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いまボードゲームがキテる! 年々活性化する非電源系ゲームという存在

いまボードゲームがキテる! 年々活性化する非電源系ゲームという存在

いまボードゲームが熱い。熱いと言っても、触るとヤケドしそうになる熱さとか、興奮した熱さとか、いろいろな意味があって日本語は難しいと思うのだが、この際それら全部を含めて、いま「ボードゲームは多くの人々から関心を集め、熱い視線を浴びている」のである。本稿では、いまボードゲームがどのように盛り上がっているのかを解説していきたい。

取材 / 文 松井ムネタツ


▲筆者が持っているボードゲームのごく一部

▲筆者が持っているボードゲームのごく一部

 さて、皆さんはボードゲームと聞いて、何を思い浮かべるだろうか。『UNO』だったり『人生ゲーム』だったり、ちょっと経験がある人なら『モノポリー』なんて意見も出てくるだろう。これらは超メジャーボードゲームで、テレビゲームで言えば『スーパーマリオブラザース』級と言える。もちろん超有名タイトルなだけに、遊べば面白いのは間違いないのだが、他にも楽しいゲームはたくさんある。なにせ全世界で年間1000タイトル以上発売されているほど、世界的には大きな市場になっている。一部のボードゲームしか知らないのはとてももったいない。『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』しか遊んだことがないと言われたら、他にもたくさん面白いゲームがあるよ、と伝えたくなるだろう。『サザエさん』とジブリのアニメしか見たことない、と言われたら、もっとたくさんのアニメを紹介したくなるだろう。ボードゲームもまさにそれで、本稿を目にしたからには、いろいろなボードゲームに触れてほしい。そんなキッカケになればいい、と思いつつ書き進めていきたい。

▲マテル社より発売されている『UNO』。1971年に発表され、全世界で180億個以上売れた。今年45周年バージョンが発売され、新カードが追加された

▲マテル社より発売されている『UNO』。1971年に考案され、世界約80ヶ国で販売されており、毎年5億枚以上印刷されている。今年45周年バージョンが発売され、新カードが追加された

 「どうせ他のボードゲームも似たようなものなんでしょう?」と思うかもしれないが、これはとんでもない間違い。ボードゲームの数のぶんだけ、見た目はもちろんルールも違う。カードを使ったゲームなら、「単純に数字順とかそういう感じで出せばいい」などということはなく、たとえば『ディクシット』というゲームは抽象的な絵が描かれたカードを使い、その絵からどんなイマジネーションを受けたかをゲームに落とし込んでいる。サイコロを使うゲームなら「出た目だけ1マスずつ進む双六みたいなゲーム」と思ったらこれまた違って、たとえば『街コロ』は出た目と同じ番号が書かれた施設を建てていれば収入がある、なんていう仕組みになっている。「カードを使う」、「サイコロを使う」だけでも、ゲームによっていろいろな楽しみと可能性を秘めているのだ。

▲『ディクシット』は、絵から想像するイマジネーションを共有しあうような、不思議なプレイ感覚のゲーム。権威のある2010年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作

▲『ディクシット』は、絵から想像するイマジネーションを共有しあうような、不思議なプレイ感覚のゲーム。権威のある2010年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作

▲『街コロ』は自分の街を発展させていくゲーム。日本のテレビゲーム開発会社が作ったゲームで、2015年ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた

▲『街コロ』は自分の街を発展させていくゲーム。日本のテレビゲーム開発会社が作ったゲームで、2015年ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた

 ここで、簡単にボードゲームの歴史を振り返ってみよう。ボードゲームは紀元前5000年ほど前から存在していたと言われており、エジプトの壁画ではボードゲームを遊んでいる様子が描かれている。『バックギャモン』や『チェス』、『将棋』なども、その起源はいずれも紀元前と言われており、すでに数千年の歴史があるというわけだ。テレビゲームは、これをデジタルなものに置き換えたにすぎない。

 いろいろ飛ばして近年の話をすると、ボードゲームの本場ドイツで1995年に発売された『カタン』が、その後のボードゲーム業界に大きな影響を与えた。全世界で2000万個もの販売実績を誇り、いまだに売れ続けている傑作ゲームのひとつだ。プレイヤーは無人島に入植し、一番発展させた人が勝ちというルールなのだが、適度な運と適度な実力、そして他のプレイヤーと交渉して資源を得るなど、現在のボードゲームシーンを作った1本と言っていいだろう。『カタン』以降、いわゆるドイツボードゲーム旋風が起こり、その流れは現在でも続いている。

▲日本で発売された『カタン』にはいくつかのバージョンがあるが、いま購入できるのはジーピー社から発売されているものだ。量販店なら3000円前後とお手頃価格で買えるのもいい。なお写真のコマは別売りの木製コマに差し替えている

▲日本で発売された『カタン』にはいくつかのバージョンがあるが、いま購入できるのはジーピー社から発売されているものだ。量販店なら3000円前後とお手頃価格で買えるのもいい。なお写真のコマは別売りの木製コマに差し替えている

 さて、日本はどうだろうか。前述の『UNO』や『人生ゲーム』、『ドンジャラ』は今の日本でも鉄板のボードゲームだ。『カタン』は、日本でもすぐに日本語マニュアル付きという形で販売されて熱狂的なファンを生み出し、2002年にはテレビゲーム会社のカプコンが日本語版の発売元になってリリースされた。このときテレビゲームファンにも『カタン』の存在が広まったが、あとひと息なところで決定的なブームにいたらなかった。

 このあと、2000年代後半からボードゲーム市場がジリジリと盛り上がりを見せてくる。最初のキッカケは、2008年に発売された『ドミニオン』だ。500枚という大量のカードを使うボードゲームなのだが、これにトレーディングカードゲーム(以下、TCGと略)ファンが飛びついた。TCGの世界を解説し始めるとキリがないのでざっくり説明するが、要するに『遊戯王』に代表される、カードを使った対戦ゲームだ。『ドミニオン』はルールこそTGCとはまったく違うものだが、TCG勢が興味を持つようなアートワーク、ゲームデザインであったため彼らの間で火がつき、そのまま他のボードゲームに関心を持ち、プレイするようになったのである。

 さらに2012年ごろから起こった『人狼』ブームも大きい。『人狼』とは、とある平和な村に人の姿をした狼(人狼)が潜んでいるという設定のゲームで、人狼は毎晩村人を1人食い殺してしまう。村人は助かるために協力しあい、人狼を見つけだすというもの。話術と心理戦による駆け引きが楽しく、2013年に地上波の深夜番組で放送されると一般層まで広がった。このときもやはり、『人狼』で遊んだ人たちが「なんか他にもいろいろなボードゲームがあるらしいぞ?」と興味を持ちだし、その輪がどんどん広がっていったのである。

▲『ドミニオン』はデッキ構築型と呼ばれるカードゲームで、プレイ中に手札がどんどんパワーアップしていくところが楽しい。2010年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作

▲『ドミニオン』はデッキ構築型と呼ばれるカードゲームで、プレイ中に手札がどんどんパワーアップしていくところが楽しい。2010年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作

 また、TwitterなどのSNSにより、気軽に写真を共有しやすくなったのも、ブームが広まった要因だ。個性的なコマやボードを使うゲームともなれば写真を撮りたくなるし、それがアップされると他の人も興味を持ち、「なにそれ!? 遊んでみたい!」なんてことになる。昨年、テレビのワイドショーで何度も取り上げられたボードゲーム『枯山水』などはまさにその典型だろう。

 タレントがテレビやラジオ、SNSで自身がプレイしたボードゲームのことを話題にし始め、2010年以降から多くなった。きゃりーぱみゅぱみゅが『キャット&チョコレート』を、SEKAI NO OWARIが『ワードバスケット』、木村拓哉が『ディクシット』といったゲームを話題にしたのである。2015年8月にはテレビ朝日の人気番組『アメトーーク!』でボードゲームが扱われたが、これはボードゲーム人気が大きくなってきた証しと言えるだろう。

▲2015年にボードゲーム業界をにぎわせた『枯山水』の魅力は、なんと言ってもリアルな石の形をした数々のコマだろう。SNSに写真をアップしたくなる内容だった

▲2015年にボードゲーム業界をにぎわせた『枯山水』の魅力は、なんと言ってもリアルな石の形をした数々のコマだろう。SNSに写真をアップしたくなる内容だった

 ボードゲームとテレビゲームとの違いはなんだろうか。その根本は同じものだと思っている。ゴールを目指し、それに向かってチャレンジしていくのは、どちらも同じだ。使う道具が機械なのか紙や木なのか、の違いでしかない。もし、ほかにも違いがあるとしたら……というか、これが決定的な違いでもあるのだが、やはり「人」と「場所」だろう。テレビゲームなら、いつでも気軽にできる。それこそスマートフォーンのゲームなら電車の中だろうがトイレ中だろうが遊べるが、ボードゲームだとそうはいかない。一定のスペースが必要だし、一緒に遊んでくれる人だって必要だ。2人で遊べるゲームならまだいいが、3人以上で遊ぶゲームなら、がんばって人を集めることになる。

 そうしたいくつかのハードルを乗り越えると、これまで感じることがなかったような楽しさや嬉しさ、面白さに満ちた世界が待っている。以前と比べたらボードゲームのプレイスペースが各所にできたおかげで気軽に集まって遊べるようになったし、やはり人と対面して一緒に遊ぶのは楽しいし、コンピューターでは計算できない奇跡のようなゲーム展開が何度も起こる。テレビゲーム『モンスターハンター』やスマートフォーンのゲーム『モンスターストライク』が大いに流行したのは、その場に集まったメンバーで一緒に遊べるからというのも大きな要因だ。顔をつき合わせてプレイするからこそ、お互いのリアクションがはっきり伝わって、ゲームの楽しさがより深く共感できた。

 このようにプレイするキッカケとなるゲームがいくつか現れ、この火が少しずつ燃え広がっているところだ。着火した炎は確実に大きくなり始めている。そう、今、ボードゲームがキテるのである。今のうちにこの波に乗っておくべきだと言っておく。「ボードゲーム、遊んでみたいんだよね」なんてポロッと話してみると、「あ、興味あるんだ。今度遊ぼうよ」なんて声をかけてくれる人が意外と周りにいたりする。まずは積極的に動いて、初対面の人とだんだん仲良くなっていく感覚や、気心しれた人たちとくったくなく興奮しあう喜びを、ぜひ体験してほしい。


いまこそ遊ぼう! オススメボードゲーム①

ノイ(Neu)

 筆者がボードゲーム会を開くとき、その場に初心者がいれば必ず遊んでいるのが、おもちゃ箱イカロスから発売されている『ノイ』だ。『UNO』に近いルールだが、場に出された数字カードにどんどん数字を足していき、合計値が101を超えてしまったらその人の負け。手札はつねに3枚なので、この3枚で切り盛りせねばならず、所詮はカード運でしかない。……そのはずなんだけど、しょっちゅうミラクルな展開が起こるから面白い。合計を101にして次の手番の人を負かすことができた! と思ったらSKIPカードを出され、その次の人はTURNを出したもんだから手番順が逆になり、再び自分の手番になったときは101を超えるカードしか持ってなかった……なんていうことがよく起こる。初心者から上級者まで、最初に遊ぶ1本としてもいいし、途中の休憩がてらに「ちょっと遊んでみるか」というときにも最適な1本だ。小箱で持ち運びも便利なので、気軽に携帯できるのもいい。

▲カードはこのような種類がある。マイナスの数字カードや文字が書かれた指示カードが手札にあると、手番時に101になっていても安心できる

▲カードはこのような種類がある。マイナスの数字カードや文字が書かれた指示カードが手札にあると、手番時に101になっていても安心できる

発売元:おもちゃ箱 イカロス
価格:1728円(税込)
プレイ人数:2~7人
プレイ時間:10~30分

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