Interview

アントマン ポール・ラッド Interview

アントマン ポール・ラッド Interview

マーベル・コミックスに初登場したのは今から50年以上前のこと。
だが、『アントマン』はその設定のユニークさ故に映画化が見送られてきた。
何しろ、主人公は体長1.5センチに縮小されたアントマン(蟻男)なのだから。
そんな史上最も小さいスーパーヒーロー役に抜擢された主演のポール・ラッドが、撮影の醍醐味と苦労話を語ってくれた。

スーツが見た目以上に複雑な構造だったのが意外 着る時には専門クルーの助けを借りても数時間かかるんだ

まずは、主人公のスコットがアントマンになるプロセスから聞かせて下さい。

スコットは仕事も人間関係もうまくいかず、離婚した妻の下に預けた娘の養育費すら払えないダメ男なんだ。そこで、彼は金を捻出するために悪友から誘われてとある豪邸に押し入るんだけれど、目指した金庫の中には大金も金の延べ棒もなく、あったのは一着のスーツだけで、彼はそれを自宅に持ち帰ることになる。まさか、着装した人間を体長1.5cmに縮めるパワースーツであることなど露知らずにね。

しかし、全てはスコットをアントマンに変身させるための策略だったんですよね!?

そう、マイケル・ダグラスが演じるスーツを発明した天才科学者、ハンク・ピムの陰謀なんだ。かつて自らがアントマンとして活躍していたピムは、スーツの悪用を恐れ、スコットをアントマンの後継者に見定めて正しい使い方を伝授しようとするわけさ。

そのスーツにはどんな力があるんですか?

ピムが発明したエネルギーをコンパクトに縮小する“ピム粒子”がスーツとヘルメットに管を通って行き渡っていて、凝縮されることによって本来のパワーは倍増し、アントマンはそのサイズとは反比例するスーパーパワーを発揮することになるんだよ。

なるほど。そこで率直に伺います。スーツの着心地はいかがでしたか?

まず、見た目以上に複雑な構造になっていたのが意外だった。スーツには皮革がたくさん使われていて、パッと見た感じではヴィンテージのバイク・スーツみたいで物すごく複雑なものには見えない。ところが、実際にはとてもディテールに凝っていて、バックパック(背負っている機材)にはすごい数のパーツが入っているから、着る時には専門クルーの助けを借りても数時間かかるんだ。

この映画には確かに革新的な映像があるけれど、心に響くキャラクターが存在しているのが本当の魅力

そして、アントマンは悪漢相手に格闘技を炸裂させたかと思えば、宙を舞ったりもしますね。そこが映画の見せ場でもあるわけてすが、舞台裏は大変だったのではないですか?

格闘シーンで使われているのはバルクールで、シルク・ド・ソレイユのメンバーだったコリン・フォーレンワイダーが僕のスタントを受け持ってくれた。僕の方は早い段階からモーション・キャプチャーの撮影に入って、全身にポイントを付けて30分間跳ね回ったり回転しただけだったけれど、それでもすぐに疲れて休憩が必要だった。それなのに、コリンはビルの3階の高さから飛び降りて、金属の手摺りに着地してから、もう一回バック転を切るなんてことを一日中やりまくっても、文句1つ言ってなかったよ。

ワイヤーワークはいかがでしたか?

ワイヤーワークね……あれで唯一の問題はハーネスだと思う。だって、僕の体のちょっと言葉では表現しづらい部分にギュッと食い込んでくるから(笑)。そうやって吊り上げられて、揺らされて、積んだ箱の上に落とされて、また、吊り上げられるという繰り返しは、けっこう楽しいものだったね。吊り上げられながら、心の中で「これは仕事なんだ。こうやって一日過ごすのが俳優ってものなんだ」って、自分に言い聞かせていたよ。

苦悩の甲斐はあったのではないですか? 「アントマン」には他のスーパーヒーロー映画にはない“人間味”を感じます。主人公は娘のために英雄になろうとするわけですから。

最高に驚異的な戦争シーンがあっても、目が眩むような特殊効果があっても、見た目が物すごくクールでも、それだけでは映画に深みは生まれない。観る人がキャラクターと何らかの形でリンクしなければ意味がないと思う。この映画には確かに革新的な映像があるけれど、本当の魅力は人々の心に響くキャラクターがちゃんと存在していること。そして、子供たちと一緒に楽しめることも大きいよね。実は僕の10歳になる息子が撮影現場に遊びに来た時、スーツとヘルメットを見てぶっ飛んでたよ。生まれて初めてあんなクールなものを見て興奮したんじゃないかな。その息子と一緒に完成した映画を観られると思うと何だかワクワクするよ。これって、素敵なことだと思わないかい?

『クルーレス』(’95年公開)ではアリシア・シルバーストンの優しい義兄を演じ、その後も『40歳の童貞男』(’05年公開)や『ナイト・ミュージアム』(’06年公開)など、主にコメディ映画で活躍してきたラッドが演じるからこそ、人間味を獲得できた最新マーベルヒーロー映画。ダメ男が小さなヒーローになる瞬間を見逃す手はない。

文 / 清藤秀人

ポール・ラッド

アメリカのニュージャージー州で’69年に生まれる。’95年公開の『クルーレス』で注目される。その後、拠点をブロードウェイに移して活躍する一方、TVドラマ『フレンズ』の第9シーズンに出演して脚光を浴びる。その後も『サイダーハウス・ルール』や『40歳の童貞男』、『40男のバージンロード』などのヒット作に出演して話題を呼んでいる。

映画 『アントマン』

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オフィシャルサイトhttp://marvel.disney.co.jp/movie/antman.html

9月19日(土)全国ロードショー
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

監督 ペイトン・リード
出演 ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、コリー・ストール、マイケル・ペーニャ、マイケル・ダグラス ほか

やる気も能力もあるが、空回りばかりで失敗が続くスコット(ポール・ラッド)は仕事も家庭も失い、別れた妻と暮らす娘への養育費も払えない絶体絶命のピンチにあった。そんな彼に身長わずか1.5cmになれる驚異のスーツを着用して、想像を絶する特殊能力を持つ“アントマン”となる仕事がオファーされる。渋々引き受けて、最愛の娘のために猛特訓を開始したスコットは本当のヒーローとなって、人生を逆転することができるのか? そして、アントマンに託された決死のミッションに挑んでいくことになる。