Interview

日常生活に溶け込むように使える 「anywhereVR」がVRのイメージを変える

日常生活に溶け込むように使える 「anywhereVR」がVRのイメージを変える

VRのイメージといえば、ゲームの世界に入って遊ぶものだったり、360度いろいろな場所にしかけがしてあるムービーだったりではないだろうか。今回紹介する「anywhereVR」は、それらの積極的に体験して楽しむVRとは違って、毎日の生活におけるひとときに、ちょっとした癒やしを体験させてくれ、かつ日常の生活も送れるという、非常に画期的なソフトだ。ここでは開発した株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント阿部達矢氏に、開発エピソードを聞いた。

取材・文 / 上林将司

VRしながらスマートフォンを操作できればいつものリビングも癒やしの空間に変わる

「anywhereVR」のコンセプトはどのように思いついたのでしょう?

私自身VRを体験してみて感じたのは、ゲームはもちろんですが、映像系のコンテンツもこれから市場が伸びていくだろうということでした。しかし、映像コンテンツを研究していくうちに、きれいな映像世界を観る体験は良いけれど、それを何時間と継続して見続けられるだろうかという問題にあたりました。

たしかに、観ているだけではすぐに飽きが来てしまう印象ですね。

我々としては、1日の中でVRを使う時間をできるかぎり増やしたいと思っています。ゲームをやる時間以外でVRを使ってもらえるようなコンセプトを考えたときに、皆さんも心あたりがあると思いますが、スマートフォンを使っている時間が非常に増えていることに着目しました。誰でもテレビを観たり音楽をかけたりしながらスマートフォンを操作していますよね。その時間枠にVRを付けてもらえばいいのだと気づいたんです。
そこで、VRしながらスマートフォンを使うスタイルを提案することで、映像だけのVRにありがちな手持ち無沙汰感を解消できますし、リビングで過ごすひとときが、いつもと違った景色で、よりリラックスした環境にできるだろうと。そこから生まれたのが「anywhereVR」です。

非日常空間の中に日常を取り入れる。通常のVRソフトとはまったく逆のアプローチですね。

image007_anywherevr

360度の風景を観るだけなら他にもたくさんのソフトがあるが、このソフトはスマートフォンの画面を表示できる。これだけで、VR空間にいる意味がまったく変わってくるのが面白い。

image021_anywherevr

株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント デジタルコンテンツグループ企画推進チーム 阿部達矢氏

スマートフォン、時計、ゲーム・・・
自分の好きなようにVR空間をカスタマイズ

スマートフォンをVR空間の中に表示して操作できるのは、不思議な感覚ですね。

android専用のアプリをインストールしてもらうことで、自分のスマートフォンの画面がVR空間上に映し出されます。自分が使い慣れているスマートフォンの画面なので、使いやすさは変わりません。
画面を移す場所も任意のポイントに置くことができますので、真ん中でも端でも好きなところにおいてお使い頂けます。ちなみにandroid5以降のOSが入った端末であれば、タブレットの表示も可能です。これはとても見やすいですよ。

VRゴーグルをかぶりながらなので手元が見えないのですが、思ったほどは違和感なく操作できました。これならネットサーフィンしたり、メールを読んだりするのにストレスは感じませんね。

慣れるとさらに違和感はなくなると思います。ひとつの楽しみ方として推奨しているのが、スマートフォンで電子書籍を読んでもらうスタイルです。スマートフォンの位置を天井にして、寝ながら読むといったことも可能です。お気に入りの風景とBGMで、ゆったりと読書するのはおすすめですね。

スマートフォンの画面がすこし透過されていて、後ろの背景がうっすらと見えるのがいいですね。

風景となじませるには、少し透過していたほうが良いと感じましたので、デフォルトで少し透過させています。この透過率はもっと薄くすることもできます。

表示できるのはスマートフォンの画面だけですか?

空間カスタマイズとしては、時間を出したり、ゲームを出したりすることができます。ゲームは2種類入っていまして、「マインスイーパー」に似たゲーム(「Honeycomb」)と「釣り」をするゲーム(「WorldFisherman」)です。どちらも気軽にできるものですので、スマフォの画面でネットサーフィンをしていて、気分転換に……といった遊び方ができます。
それからTwitterのタイムラインを、新幹線の電光掲示板のように定期的に流すことができます。私はニュースサイトなどのアカウントをフォローして、気になるニュースが流れたらスマホのTwitterアプリからWebに……といった使い方をしていますね。

image009_anywherevr

左が時計、日時・BGMのタイトル/作者が表示。真ん中がゲーム「Honeycomb」(六角形のマス目を、ハチを避けながらクリックしていくパズルゲーム)で右はスマートフォンの画面。これらを好きな場所に置くことができる。

image011_anywherevr

もうひとつのゲームは釣りが楽しめる「WorldFisherman」。タイミングにあわせてコントローラーをプッシュするだけだが、魚のコレクションもできるため、つい遊んでしまう。

広大な土地から水族館といった施設まで、さまざまなシチュエーションが楽しめる追加コンテンツ

実際に体験させてもらって感じたのが、美しい映像です。

撮影は、360度映像経験が豊かな株式会社ランドスキップにお願いしました。こういった風景撮影の際に出てしまいがちな、継ぎ目のない美しい風景画を体験できます。

BGMも、ピアノソロ、アコースティック・ギターとドラム、弦楽四重奏といった、比較的軽めのアンサンブルが多く、主張しすぎないのが良いですね。

BGMは複数の方にお願いしています。どの風景にどのBGMといった決まりを作らず、どの風景にも合うようなものを作ってもらいました。いろいろと自分が気に入った組み合わせで使ってもらえればと思っています。
なお、「anywhereVR」発売と同時に。追加コンテンツとして風景を集めたパックを2種、追加BGMのパックを1種有料で発売します。「anywhereVR」は無料で楽しめますから、まずは試してもらって、気にいって頂けたら追加コンテンツをぜひお買上げいただければと思います。

追加コンテンツで観られる北海道の美しい風景や森林の中のせせらぎも癒やされましたが、水族館の中や体育館の中などは、体験としても面白いですね。

普段行けない場所に行けるのがVRのメリットですから、いろいろな場所を模索しながら撮影しました。今も撮影できる場所は常に探していますよ。普段リラックスしている場所はもちろんですが、たとえば会社のオフィスの中などネタっぽいことも考えていますので、今後の「anywhereVR」にぜひ期待頂ければ嬉しいですね。

長時間使い続けたくなる中毒性。新しいVRの価値がここに生まれた

非日常空間で、日常的なことができるのが、こんなにも面白いものだとは思いませんでした。いくつかの風景をただ観るだけでもいろいろな角度で表情が違って楽しめますし、かなりの時間VRをつけっぱなしでストレス無く体験できました。

1つの風景ごとに360度ありますから、いろいろなものが発見できると思います。好きな角度を見つけて、その場所が目の前に来るようにもできます。さらに、それぞれの景色は撮影した座標を表示するようになっていますから、同じ場所に行ってみることも可能です。バーチャルで体験した場所をリアルで観るのはまた特別な体験になりますよ。
ちなみに、この「anywhereVR」は、PS4しか持っていなくても使うことができます。大画面に風景を映し出して、フォトフレームのように使うこともできますし、Twitterのタイムラインを流しっぱなしにしておく、という使い方もできます。とにかくまずはダウンロードして使ってみてください。

image013_anywherevr

追加コンテンツ「リラックスセレクションA」に収録される釧路水族館で撮影された水槽。実際の水族館に行ったときのような体験ができる。

image015_anywherevr

追加コンテンツ「リラックスセレクションB」には、暖かそうな暖炉のある部屋もある。薪の燃える音が耳に心地よい。

image017_anywherevr

「BGMセレクションA」には6曲収録。

image019_anywherevr

いわゆる全部入りのパックも発売。今ならオトクな価格で販売中だ。


image001

▼GooglePlayでの購入はこちら

オフィシャルサイトhttp://anywhere-vr.com/