小島監督と3万字対談  vol. 4

Column

ゲーム・クリエイター小島秀夫監督と3万字対談~今だから語り尽くす、ボクと本(4)

ゲーム・クリエイター小島秀夫監督と3万字対談~今だから語り尽くす、ボクと本(4)

世界を股にかけて活躍するクリエイター小島秀夫監督。その物語創りの原点を徹底追及し、全4回でお届けする第4回目。

小島秀夫

1963年生。ゲーム・クリエイター。コジマプロダクション代表。
1986年よりコナミでゲーム・クリエイターとして活動。昨年末コナミを退社、その後新たに独立スタジオとして「コジマプロダクション」を立ち上げた。現在、ノーマン・リーダス主演の『Death Stranding』を製作中。これまでの代表作は『メタルギア』シリーズ『スナッチャー』『ポリスノーツ』『ボクらの太陽』『ZONE OF THE ENDERS』シリーズなど。

★本記事の「通」な愉しみ方
小島監督の膨大な読書量と知識量を、読者のみなさまもフォローできるように、本編で言及された作品や作家などの注釈まとめを、別記事で用意いたしました。
小島監督のインタビューをよりよく理解するための注釈集
こちらを別タブや別ページで開き、参照しながら、本編を読み進めることをおススメします。

インタビュアー&文責&注釈 :尾之上浩司 協力:シミルボン(https://shimirubon.jp)


【少年は大人になり、クリエイター小島秀夫が誕生した】

ゲーム業界での生活と本

小島監督(以下、小島) 勤めてから、ものすごい働いていたんですよ。会社に泊まり込みで。だから、本はほとんど読めなかったです。本屋に行って、本は買ってましたけど。映画もほとんど観てなかったです。一年半ぐらい。

その時期、お仕事としては、いったいなにをなさっていたのですか?

小島 新人ながら、プロジェクトをひとつ任されてて。新人ばっかりで作ってて、なにも教えてくれへんので、夏にボツになって。次に作ったのが『メタルギア』なんです。その前に、仕事のしすぎで彼女にふられて。

え……

小島 大丈夫、俺にはゲームがあるって思ってたら、ゲームもボツになって、一回、死にそうになりました。当時、ゲーム業界に入ったら、教授とかが心配してまして。うちのおかん、友人には内緒にしてましたし。うちのおかんの友達、みんなエリートなんで。ところが、うちの息子はどこに勤めたのか言わない。
いまは状況が違いますけど。やっぱ、ゲームを一本作らないと辞められないって。それで『メタルギア』です。同期のほかの人間は三本ぐらいソフトを出してる(参加している)のに、僕だけなにもない。立場が辛かったけど、『メタルギア』ができたら状況がころっと変わった。そこからは、自由になりました。
ただ、ゲームにストーリーなんか要らんって言われて。調べ物をしたくても図書館にも行かせてもらえなくて。横スクロールのゲームの時代ですからね。スクエニ(131)の堀井さん(132)とかはパソコンのゲームを、アドベンチャー・ゲームを作っていて、あそこは違いましたけれどね。
基本は、ステージクリアのアクション・ゲームをやっていたんです。死んだら持ち駒が一個減る。みんな、それです。それで売れるんで、五、六人のスタッフが集まって、ああだこうだと考えて。「次はなんや? 火山を出せ! 海だったらなに出る? タコや。墨吐いたら真っ黒になるって」とか言ってたんです。安部公房を読んでる人なんか、一人もいなかった。

ゲーム勃興期のお気に入り

国内外で色々なゲームが登場して、発展途上にあった時期だと思いますが、ご自身、これに惹かれたとか、触発されたという具体的なタイトルがございましたか?

小島 入社する前は、アーケードで『ゼビウス』 (133) 。そしてファミコンで『スーパー・マリオ』 (134)と、堀井さんの『ポートピア連続殺人事件』 (135) 。アドベンチャー・ゲームをとにかく作りたかった。会社に入ったらPC88(136)があったので、色々と。あと、AMIGA(137)や TOWNS(138)もあった。アドベンチャーをやりたかったんですけど、会社はアクションゲームしか商品がなくて、ツールもない。アクション・ゲームしかないですから、面クリアの。そこで『スナッチャー』 (139)を作るのにも大変な思いをして、へろへろになったんですよ。

その時期の、ご自身の、ゲームに対する目標は?

小島 ゲームはゲームで、本や映画にない面白さがある。そこを突きつめたかったんですけど、プレイして面白かった後に、物語とドラマがあって、そこのキャラクターの台詞や、キャラクターの生きかたで、プレイヤーが影響受けるようなもの。それこそ、自分が色んな本を読んできたなかで、自分の背中を押してもらった言葉とかもあるんで、そういうものがあるゲームを作りたいな、と思ってました。それは、いまだに目標です。
当時、それは理解されなかったですけれど。ゲームと映画は違うって、さんざん言われましたけどね。しかも、表現力がまだまだで、キャラクターの顔とかなかった。記号ですからね。
なんかが向こうから来るんですよ。それが敵なんです。ただ描画ができないので、“出てきた記号”のそれを撃つんです。そして死ぬだけ(ゲームオーバー)なんです。記号だけで、背景がないんです。なんで、この二人が戦っているのかって重要じゃないですか。たとえば、それが米ソの冷戦だったりという。そこが僕には重要なんです。それを描くことができない時代だった。そして、描く必要もなかった。セールス的にも。ただ、そこをやりたかったので『メタルギア』を作ろうと言いだして、いまに至る、いまに繋がる。その根底にあったのが、いままで読んできた本である、と。

『メタルギア』を作るにあたって、触発された物語は?

小島 あれは映画の『大脱走』 (140)ですね。前々から戦争ものをやろうとしていたんですが、MSXは描画ができないのでプロジェクトが何度もボツになり、最後に『メタルギア』が形になった。あれで一日にして、環境が変わりましたよ。入社直後から企画書を大量に書いていたので注目はされていたんですが。

マイケル・クライトンが『ウエストワールド』を作った時も、映画監督がしたくて、最初にペンネームで娯楽ものの小説を書いて、そのうちの一冊を自分の監督・脚本でテレビ映画にして、そして低予算のSF映画『ウエストワールド』で打って出ましたけれど、小島監督とイメージが重なる部分が色々とありますよね。

小島 あの映画、また観たら、泣いてしまいましたよ。低予算でね。最初の方で、飛行機で飛んでるシーンがあるんですよ。

お客をウエストワールドに運ぶ小型旅客機ですね。

小島 それが、飛行機の操縦席の中も外も映さないんです。外の景色が反射している、パイロットの眼鏡だけ(笑)。あれは、庵野さん(141)もビックリですよ。すごいっすよ。
僕は映画に触発されてゲームに来た。大友さん(142)や手塚さん(143)は、映画に触発されて漫画を描くようになった。山田正紀さんは小説を書いた。全部、日本だからですね。映画を撮れないから。その環境が、すごい宝を生み出した。だから、僕は映画を撮れないってネガティヴなことを言ってはいますけれど、結果的には良かったんじゃないかなと思っています。

企画、企画、企画の日々

次に、ミリタリー・ジャンルへのこだわりについて、うかがいたいのですが。

小島 僕、入社してから一人でプランニングしていたじゃないですか。それで、企画提出まで一週間ぐらいしかないんですよ。設定、物語、ゲーム性をふくめて。企画者が僕で、チームがだいたい五、六人だったんです。それで、一回プロジェクトが終了となると休みがもらえるんです。僕は次の企画の準備をしなくちゃいけないので、誰よりも先に用意をしなきゃならないんです。旅行に出ていようが、なにしようが。一週間で企画をまとめなきゃいけないのに、ネットのない時代だから。図書館に行くにしても時間に限りがあるし、そもそも、平日に図書館に行くと会社に怒られるので、自分が持っているものを参考にするしかなかったんです。
さんざん冒険小説と国際諜報小説を読んでたんで、ほかに知識がなくても作れたのが『メタルギア』だったんです。

それだけです、ミリタリーものの企画になった理由は。『スナッチャー』にしても、同じです。
本当ならば、もうちょっと自分も知らない世界を作りたいじゃないですか。企画のために一ヶ月ぐらい調べものをさせてくださいってところなんですが、当時はそれは無理なんで、一番得意で、資料がなくても作れるのがあれだったんです。ただ、うちの両親は戦争体験者で、アウシュビッツの本なども読まされていたんで、戦争自体は嫌だったので、ちょっと違う側面から――撃って殺すんじゃなくてという――それで『大脱走』をやりたっかったけれど、脱走ものでは売れないからって、逆に潜入して逃げるという設定にしました。そうなってきたら、もういくらでも筋は出てくるじゃないですか。それに銃のことも詳しかったんで。007にしたかったんですけど、さすがにあの頃の007は下火だったんで――いまなら状況は違いますけど――さすがに、タキシード着ているよりも、装備に迷彩服のほうが格好良いですからね。
あの頃、ゲームでこういう設定のものがなかったんですよ。『ランボー』 (144)みたいに、裸で鉢巻を巻いて「あ~!」って叫んで戦うのって、ありえへん(笑)。あれは特殊部隊兵を理解していない。裏でこそこそやっているから諜報戦なんで、人を殺しに行くのが目的じゃない。それが、『メタルギア』というソフトに収まったんです。ハードの限界があるから撃ち合いができなかったので、これが生まれた。キャラクターは隠れて進み、世界観がある。簡単なドラマも入れて。ただ、完成するまでは理解されていなかったですけれどね。

いままでにないものを作るのは大変ですよね。

小島 作家さんがものを作る手前にあるのが、「見てほしい」「聞いてほしい」「理解してほしい」という欲求じゃないですか。さらに、それプラス「いままでにないものを共有してほしい」ってあるじゃないですか。この両方を満足させるもんじゃないと、面白くないですね。ただ単に、多くの人に注目してもらうだけなら、語弊があるかもしれないけれど、それのためにものを作ることもできなくはないけど、それはほかの人にもできることだから、自分の存在価値はない。

オススメ本大放出

ご自身のゲームのファンに、この本を読んでもらいたい、という具体的なタイトルを教えていただけませんか? 内外の作家で十冊ぐらい。古いものでも、新しいものでも結構です。

小島 さっきの順番であげると、クリスティ。読みやすいですから。何がいいかな。『オリエント急行』、それとも『そして誰もいなくなった』か。『オリエント急行』がいいですね。一日以内に読めますから。

松本清張先生は『点と線』。時刻表トリックなんで、鉄っちゃん(145)の人はいいんですが、その向こう側にあるものがすごいんです。
そしてなにがいいかな。リチャード・マシスン。『縮みゆく男』 (146)の新訳が出ましたよね。『オメガマン』 (147)は映画の影響のほうが大きいですしね。マシスンといっても『ある日どこかで』 (148)は、また傾向が違いますよね。


縮みゆく男

縮みゆく男

リチャード・マシスン (著)
本間 有(翻訳)
扶桑社


宮本輝さんは『錦繍』 (149)が短くていいかな。
安部公房は『砂の女』か『他人の顔』。


錦繍

錦繍

宮本 輝(著)
新潮社

冒険小説だと、『高い砦』 (150)とか、マクリーンは『女王陛下のユリシーズ号』 (151) 、『ナヴァロンの要塞』。読者って、映画を先に観ていたりしますよね?

1960年代、1970年代のそのあたりの映画は地上波テレビで流れないので、三十代ぐらいまでのファンはご存じないでしょうね。気にされないほうがいいですよ。

小島 小説の入門篇ということで推理ものを読んでもらって、冒険小説を読んでもらって、『シャドー81』 (152)とか良いですよ。

ずっと絶版だった後で復刊した、名作ですものね。

小島 あれは僕の人生のなかでも、いちばんおもろい本のひとつです。すべてにおいて。安部公房もそうなんですが、『他人の顔』でも作る時に詳細に用意するものを列挙しますよね。それを買いに行きたくなるくらい、ちゃんと書いてある(笑)。『シャドー81』も、そうなんです。俺にもハイジャックできるんとちがうかって思わせるとこがね。ああいう手法、なかなかないですよね。日常のものだけで――カッター、木工用ボンドとか。
あと『初秋』 (153)

ロバート・B・パーカー。

小島 これなら、誰でも読めるでしょう。
『寒い国から帰ってきたスパイ』 (154) 。『神は銃弾』 (155)
そして、ルヘイン(156)ですね! 『闇よ、わが手を取りたまえ』 (157) 、シリーズものの第二弾で、僕はこれの権利を買おうかと思いました。あまりに、すごすぎて。

私立探偵パトリック&アンジーシリーズ(158)でしたね。

小島 彼、バットマンが買ったでしょ、ベン・アフレック! (159)

でした(笑)。ルヘインの映画化権、何冊も押さえていましたよね。

小島 アフレック、映画を撮るな、クソ! ボケ!って思っていたら、いざ映画を観たら、おまえ最高やないか、って(笑)。彼は天才ですね。バットマンなんかすんな(笑)。まあ、アフレックは自分の映画を作るためにバットマンをやってるんで、僕も『バットマンVSスーパーマン』 (160)を観に行くんですが。
次に『コインロッカー・ベイビーズ』 (161) 。『極大射程』 (162)は入れなくていいかな。「愛の手紙」 (163)はまだ売ってるのかな。『星を継ぐ者』 (164) 。『火車』 (165)
『夏への扉』 (166)は初心者向けかな。なんか初心者向けばっかりで。

星を継ぐもの

星を継ぐもの

ジェイムズ・P・ホーガン(著)
池央耿 (訳)
東京創元社

そして、ルメートルはぜんぶ読んでほしい。まずは『悲しみのイレーヌ』 (167)がいいかな。新作も面白かったんですけど、前の作品に比べると、もう作家のやろうとしていることがわかってきてしまっているので。クリスティっぽいというか。この作家のクセがわかってしまうと、ってところがありますよね。ディーヴァー(168)も買っているんですけど、もう読まなくなってしまいました。あんなに大好きやったのに。

悲しみのイレーヌ

悲しみのイレーヌ

ピエール・ルメートル (著)
橘明美 (訳)
文藝春秋

小島 『錦繍』は良いですよね。女性読者もきゅんとしますから。おっさんとおばちゃんの恋愛が。手紙の文通だけの、投函小説。じつに色使いに長けた本なので。宮本輝さん、あんなんも書けるんですよね。『春の夢』って連載の時、違う題名でしてね。主人公が学生で、本人は貧乏で、親の借金で逃げていて、暗いなかで下宿先に引っ越すんですよ。なにかを掛けるために、壁に釘を打つシーンがあったんです。暗いところで釘を打ったもんで、トカゲを貫いていて、抜いたら死ぬからそのままにしておいて、餌を与える。その日に彼女が下宿に来てエッチするんですが、主人公が「俺はこの日に、二つの生物に釘を刺した」って言うところからはじまるんですよ。天才ってすげえな! お姉ちゃんとトカゲかよっ! って思った(笑)。しかも、『春の夢』かよっ! こんなんには、勝てないですよ。アシモフやクラークを読んでいても、こんなん書かれへんわって、落ち込みましたね。やっぱり、ミステリーから入ってきた人とは違いますよね。なんやねん、この人。天才すぎるって。『春の夢』、読んでもらったほうがいいんですけどね。

春の夢

春の夢

宮本 輝 (著)
文藝春秋

小島 お勧めするって、どっちがいいんでしょう? お話で引っ張るほうがいいんでしょうかね。本を普段読んでない人には。

監督のファンでしたら、どうでしょう?

小島 僕のファンは両方いるかな。

両方いると思います。

小島 いま挙げてきた本から始めて、気に入ったら作家を追ってもらえればいいんじゃないかと思います。ポール・オースターも最近は読んでないけれど、いいですよ。『ガラスの街(別題『シティ・オブ・グラス』)』 (169)とか、これ安部公房の『燃えつきた地図』 (170)じゃないかって思いました。安部公房パクってるって、いや、パクってないけど(笑)。安部公房いっぱい読んでいたのは中学生くらいなんですけど、『他人の顔』の主人公が梅毒なんですよ。いまどき梅毒言っても、スピロヘータ―って言っても通じないかもしれないけど――梅毒に罹っているのでスキンがないとエッチができない男の話なんですよ。すごいですよね、それ。あの頃の――僕の親父の世代の性病とか文学の匂いがして、そこに惹かれるんですよ。明治・大正の人のというか。

あの時代ならではの生々しさですね。

新作ゲーム『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』について

新作ゲームが、安部公房の作品に関係あるのでは、という話がありましたが

小島 「なわ」 (171)ですけれど、触発はされていません。安部公房の「なわ」という短篇をもとに、高校のときに読書感想文を書いて――ちょっと血迷って、ツイッターに載せてしまったんですが――出すんじゃなかった(苦笑)。それを、いま作っている『DEATH STRANDING』の説明をしている時に、どう説明したらいいか悩んでいたら、安部公房の「なわ」を思い出したんですよ。だから「なわ」があったから作ったんじゃないんです。説明に一番わかりやすいし、安部公房だからと。いまのゲームって、棒を使って殴り合う暴力が主流じゃないですか。暴力を共有するラインゲームがあって、暴力で共闘するゲームしかない。そこに“縄”の使いかたでコミュニケーションを取るものにする予定なんですが、あくまで予定なんで(笑)。
まさに安部公房さんが書いていたように、“棒”は悪しきものを遠ざけるために発明した道具で、“縄”は逆に自分の欲しいものや大切なものを結びつけるために発明した道具である、という解釈をしています。

そこに「死(Death)」がかかってくるのが、監督らしいのか、らしくないのか。

小島 ううう、あんまり言えない。臍の緒で、世との繋がり、死との繋がり。親と子の繋がり。友達の繋がり。生物の繋がり。全部、そこに集約するようになるんですが。
インディーズなので大きなことはできないんですが、自由度は欲しいじゃないですか。そのための仕掛けが、けっこう新しいんですよ。これがどう出るかは難しいんですが、そんな中でも、お話も要求されるし……そこは、いまどうしようか悩んでいるところです。
まだ、企画実験中の段階です。けっこう時間がかかるんですが、あまり時間をかけるわけにもいかない。成功させなければならないし。大手のメーカーは二千人ぐらいで作ってますけれど、うちはそうじゃないので。二千人で作るとハリウッドっぽくなって、作家性が出にくくなるんで、少人数で、じっくりではないけれど、作家性が出せるようにちゃんと作って発売したいですね。
ここを間違えないようにしてほしいんですけれど、ビックリしてほしいので作っているんですが、僕のファンにもアドベンチャーのファンもいれば、『メタルギア』のファンも、それ以外のもと、色々いるじゃないですか。その人たちが色々と言うんで、全員に満足してもらいたいんですが、どこに向けるかっていうのがね。ファンの人に向けて作っているので、最終的に『君の名は。』、いや『きみのなわ。』になるかどうかは置いておいて(笑)、ファンの人に向けて作るしかないので、それは例えば、ルメートルのファンの場合、ルメートルのいつもの構造の話が良かったりするわけじゃないですか。でも、新しいものも欲しい。まあ、トリックが新しかったほうが嬉しいんですけれど、そこをちょっと考えながら……ただ、ゲームとしては、いままでになかったことをやっています。
入口はすんなり入れるので、ある種、パッと見は、いままでのゲームの延長線上に見えると思うし、それは意図的にやっているんです。

プレイをしながら、新しいものが見えてくるという構成だと。

小島 はい、そうです。そうじゃないと、良くないかなと。トリプルAのアクションをやっている人でも、何時間もやっているうちに、いつもと違うことをやっている自分に気づいて、その違う感覚が面白い、となってくるようになる、と思うんですけどね。当然、そこにはドラマと、テーマと、物語があって。その新しい要素とテーマがひとつになって、きれいになればと思っています。
なので、ジョン・カーペンターのように、ジャンルは言えない、色んな要素が入っています。それをもってして“小島秀夫ゲーム”と。

新生コジマプロダクションの第一作らしい、新たに始まるのにふさわしい作品であるということですね。たくさんの貴重な面白いお話を、ありがとうございました。

小島秀夫監督が稀代の読書人であるという話を耳にしたファンは多くても、本についてここまで深く突っ込んで語ったインタビューをお読みになった方はいなかったはずである。これをきっかけに、少年時代から現在まで、監督が読んできた本の道程をたどってみるのはいかがだろう。そこに隠れているアイデアの源泉を、あなたも見つけることができるかもしれない。

【コジマプロダクションHP】
http://www.kojimaproductions.jp
*コジマプロダクションのロゴ・ムーヴィーや、『DEATH STRANDING』トレイラ―第一弾などをご覧になれます。

*2016年10月吉日、コジマプロダクション本社にて収録

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