Interview

『スター☆ピープルズ!!』で作・演出を手がける若手俳優・池田純矢のエン*ゲキ

『スター☆ピープルズ!!』で作・演出を手がける若手俳優・池田純矢のエン*ゲキ

宇宙人×超能力×超科学が織り成すハイテンション・コメディ『スター☆ピープルズ!!』が2017年1月5日から紀伊國屋ホールで上演される。自らもキャストの一員であり、書き下ろし脚本と演出も務めるのが、弱冠24歳の池田純矢。俳優として活躍するかたわら、昨年7月には『君との距離は100億光年』という朗読劇の企画・構成・脚本・演出を手がけているが、演劇の演出を務めるのは今作が初。類い希な才能を持つ彼は、舞台というエンターテインメントにどんなこだわりを持って臨むのか?「演劇とは娯楽であるべきだ」=エンターテインメント(娯楽)+演劇=“エン*ゲキ”というニュー・ジャンルを掲げる、その背景に迫る。

取材・文 / 恒川めぐみ 撮影 / 冨田望
ヘアメイク / 鈴木智香 スタイリスト / 津野真吾(impiger)
衣装協力 / GOSTAR DE FUGA、SHELLAC


小難しいことをエンタメにするのが僕の本意

『スター☆ピープルズ!!』の構想はいつ頃からお考えになっていたのですか?

具体的に動き始めたのは1年半前ぐらい。前作の公演(2015年7月に上演された朗読劇『君との距離は100億光年』)をやって、その1週間後ぐらいにはプロットを上げていたと思います。やりたいことは明確にあって……というのは、前作は宇宙をテーマにした作品だったんですけど、それはもともと自分が書いた小説をもとに上演台本に直したものだったので、かいつまんだ部分があったんですね。それはそれでとても満足できる内容ではあったんですが、そこでは描き切れなかった部分があったことが心残りだったんです。心残りを残したまま次に進むよりは、徹底的にやりたいと思って。

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“宇宙”というのは、池田さんにとってひとつのテーマだったり?

そうですね、子供の頃から宇宙は好きで。小さいときから知識欲がすごくあって、知らないことがあるのが嫌だったんですよ。本を読むのも好きだったんですけど、本を読んでいても知らない漢字がひとつあるだけで次に進めないという、ちょっとヘンな子だったんです(笑)。とにかく知らない、わからないことをそのまま置き去りにすると眠れないほどで。あるとき、JAXAかどこかで出版された宇宙の本を読んだんですけど、ページを開くと飛び出す絵本みたいな本当に簡単なものだったのに、それでもすごく深いなぁと思って。かつ、宇宙の中で人間が知っていることって、たぶん1パーセント知っているか知らないかなんですよね。その誰も知らない、誰もわからない宇宙に虜になったんです。そこからですね、宇宙が好きになったのは。

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さきほどの“前作の心残り”とは、どんなことだったのですか?

そこは『スター☆ピープルズ!!』の核になってしまうので詳しくは言えないんですが(笑)、いわゆる物語の一番フックになるシーンですね。先にそのギミックの部分を考えて、このために何が必要なのかをまず洗い出しました。登場人物がそれぞれ特殊能力を持っていることは最初から考えていたんですけど、その特殊能力と核との結び付きを考えながらストーリーを考えていたら……なんかヒーロー戦隊モノみたいになっちゃって(笑)。ダサかっこよくなってしまったんですよね。

そこは本意ではなかったんですね。

そうなんです。ダサかっこいいんじゃなくて、ダサくて、情けなくて、ちょっと面白いほうがいいと思って。なので、最初に考えていたよりも、もっとくだらない能力にしよう、もっともっと! って、どんどんくだらない方向に持っていって(笑)、そこからキャラクターの設定を作っていきました。自分も役者なので、書きながら演じてみるんですよ。もちろん頭の中で、ですけど(笑)。

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どのキャラクターを?

物語に出てくる8人、全員です(笑)。セリフをまずひとつ書き出すと「こういうことをこいつが言ったら、じゃあ俺はこう言うだろう」「じゃあ俺はこう言うな」「それに対してきっと俺はこう反応するだろう」って、8人の自分が頭の中でクルクル変わって、ボケたりツッコんだりしながらひとりエチュードのような状態で、勝手にお芝居をしながらセリフが出てくるんです。これが盛り上がりましたね~。楽しかったです(笑)。

それを役者さんに置き換えたとき、もちろんご自身でも演じるわけですが、演出面で心がけたいことはありますか?

特にコメディはノリでやってしまうと、とても面白くないものになってしまうんですね。演じていて「楽しい!」と感じることも大切なんですが、会話のテンポや間を役者の気持ちいい感覚で演じてしまうと、コメディは崩れてしまうので、「気持ち悪くてもこの間でやってください」と伝えることは絶対に出てくると思います。それは自分自身に対しても同じで、厳しくダメ出しをします。

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そこがコメディの難しさ。

そうですね。後半部分のクライマックスはもう役者の気持ちひとつだと思いますけど、意外と軽いノリのところのほうが綿密な稽古が必要になってきますね。例えば漫才コンビが1年目よりも10年目のほうが面白いのは、ネタ作りが熟練されてくることはもちろん、2人のテンポや空気感など補い合うところが洗練されていくからだと思うんです。まぁ『スター☆ピープルズ!!』は、言ってみれば1ヵ月で作っていかなければいけない急造チームなわけですけど、それでもお客さんにお見せするためには厳しく突き詰めていかないと。ここからが演出家の醍醐味ですね。

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そもそもの話ですが、物語を創るようになったきっかけは何かあったのですか?

思い返せば、小学生ぐらいの頃からとにかく活字が好きだったんですよ。小説や漫画、美術書や哲学書を読むのも大好きでしたし、新聞も隅から隅まで読むのが楽しくて仕方がなかったんです。文字が書いてさえあればなんでもいいんですね(笑)。そこから自分でも何か書いてみたいという発想の転換があって。小学校の夏休みとかに絵日記の宿題が出るじゃないですか? 普通はあった出来事を書くものなんですが、僕のは完全な創作で、日記ではなくファンタジーの作り話ばかり書いて提出していました(笑)。それから、卒業文集の、将来の夢を書く作文では、まったく考えてもいないヘンな夢を事細かく書いたんですよ。1ミリも考えたことがないことをつらつらと。で、最後に“全部、嘘”って書いたんですけど(笑)、僕が書いたものをみんなが読んで面白がっている反応を見るのがすごく好きだったんですよね。

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