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行定勲監督が影響を受けた傑作ロマンポルノの秘話を内田裕也が暴露!

行定勲監督が影響を受けた傑作ロマンポルノの秘話を内田裕也が暴露!

日活株式会社が1971年に製作を開始した「日活ロマンポルノ」が、生誕45周年を迎え、これを記念して新作製作とクラシック作品の活性化をあわせた横断的なロマンポルノ・リブート・プロジェクトがスタートしている。

塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲という日本の映画界を牽引している個性的な5人の監督による完全オリジナル新作が11月より順次公開。その記念すべき第1弾、行定勲監督がメガホンをとり、板尾創路が主演となった『ジムノペディに乱れる』が現在公開されている。

©2016日活 『ジムノペディに乱れる』より

©2016日活 『ジムノペディに乱れる』より

生誕45周年となる2016年の12月8日、新宿武蔵野館では、行定自身が作品を創る上で、多大な影響を与え、インスパイアを受けたという名匠・神代辰巳監督のロマンポルノの傑作『嗚呼!おんなたち 猥歌』(1981年)の特別上映に加え、主演を務めた内田裕也を迎え、行定監督とのトークイベントが実施された。

行定監督に続いて、内田裕也が登場。冒頭、行定自身が『嗚呼!おんなたち 猥歌』の魅力を語る。「20歳のころ浅草のオールナイトで『嗚呼!おんなたち 猥歌』を観たんです。とにかくぶっ飛んだ作品だと思いました。裕也さんの作品はどれを観ても本気度があるというか、リアリティだけではない、作劇として記憶に残る気迫があった。それと、男の弱さが肯定されている作品だと思ったんですね。社会に対して打破できないというフラストレーションをぶつけている作品。」と、この作品への思い入れを熱く語った。

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内田は、「こんな若手の監督が俺を指名してくれたことに、創って良かったなぁ、と改めて思いを強くしています。」と謝辞を述べた。続けて内田が『嗚呼!おんなたち 猥歌』の制作現場の秘話を語る。クランクインする前に、1週間リハーサルをやり、いよいよ明日から撮影というその日に、プロデューサーから“主演女優が下りたんで、中止させてください”と連絡があり制作危機に陥ったという。「どれだけの人間が携わって、一生懸命準備していることを考えると、非常に腹が立った。役者としてやってはいけないことだと思う。」と語った内田裕也には表現者としての使命感と責任感、そして何よりも作品への執着心を感じるコメントだった。そこでこの作品へ懸ける想いから、内田自身が動き、ヌードになる必要から、盟友・篠山紀信氏に連絡、女優候補を紹介してもらい、オーディションを経て、中村れい子に決定、制作に入ったという。紆余曲折を経て完成した作品は、第55回(1981年度)キネマ旬報ベストテンで日本映画第5位を獲得し、行定をはじめ、今なお語り継がれる名作の誕生となった。

 © 日活 Blu-ray発売中

© 日活 Blu-ray発売中

ここから内田節がさく裂。人生を考えさせられたといいつつも、「俺も捕まってんですけど(笑)……犯罪を犯せとは言わないまでも、作品に対して、そのくらいの覚悟を持って、やっと戦えると思う。この作品は俺自身忘れられない1作となりました。」と感慨深けに語った。

内田の語りを受けて、行定も「こういう想いが伝わるのが映画の現場で、“これで終わっていいや”っていう気迫があるし、この映画は裕也さんのライブが実感できる映画なんです。何かに抗っている感じがものすごく残っていて、そこにいる女達がすごく切ないんですね。そりゃ素晴らしい映画です。これがなかったら、『ジムノペディに乱れる』もなかっただろうし、前に創った『贅沢な骨』も完全に影響を受けた映画を創らせてもらっていると思うと、ホントこの映画に感謝しております。」と称賛していた。

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内田裕也自身が神代監督に持ち込んだ企画で”ロックンローラー内田裕也”の半自伝的作品は、公開から35年を経てもなお、愛され続けている。これをきっかけに、日活ロマンポルノにある数々の作品を振り返り、また『ジムノペディに乱れる』を皮切りに順次公開される新しいロマンポルノ作品を楽しんでほしい。

取材・文 / エンタメステーション編集部

ジムノペディに乱れる

11月26日より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

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監督:行定勲
脚本:行定勲 堀泉杏
キャスト:板尾創路 芦那すみれ 岡村いずみ
田山由起 田嶋真弓 木嶋のりこ 西野翔
© 2016日活
※R-18指定

1週間――。撮れない日々が続く映画監督の古谷(板尾創路)は、鬱屈とした気持ちを抱えながら、肌のぬくもりを求めて女たちの隙間を彷徨っていた。仕事、名声、そして愛…全てを失った男が、辿り着いた先に見つけたものとはー? 『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、『ピンクとグレー』(16)の行定勲監督による初のロマンポルノ作。主演を務めるのは芸人、俳優など様々な顔をもつ板尾創路。映画監督としても2本の作品を残し注目される彼が、全てを失い自暴自棄になっている映画監督の男・古谷を演じる。今年、生誕150年を迎えたエリック・サティの名曲「ジムノペディ」の調べにのせ、ラブストーリーの名手・行定勲監督が、切なく不器用な大人の愛を官能的に描いている。
オフィシャルサイトhttp://www.nikkatsu-romanporno.com/reboot/


行定勲

1968年、熊本県生まれ。長編第一作『ひまわり』(00)が第5回釜山国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞。『GO』(01)で、日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ国内外で50もの賞を受賞。『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)が観客動員620万人、興行収入85億円、その年の邦画1位を記録する大ヒットに。10年には『パレード』が第60回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。近年の作品として、『円卓』(14)、『真夜中の5分前』(14)、『ピンクとグレー』(16)、熊本を舞台とした『うつくしいひと』(16)など。また今後はアジア・オムニバス映画『アジア三面鏡』(今秋公開)、『ナラタージュ』(来年公開予定)などがある。