Interview

ココロ踊るポップスを作り続けるGOODWARPの魅力

ココロ踊るポップスを作り続けるGOODWARPの魅力

今年3月のミニ・アルバム『FOCUS』あたりから、どこかせつなくもハッピーになれるその楽曲の魅力で、確実にジワジワきてるGOODWARP。2013年から始めた自主企画イベント「YOASOBI」では、自分たちがカッコいいと思うバンドを積極的に招き、根底のポップさを共有するカテゴリーなきシーンを作りつつもある。そんな彼らが、ダブルA面EP「bravo!bravo!bravo!/ Sweet Darwin」をリリース。ファンタジックなバラード「Sweet Darwin」は、アニメ『うどんの国の金色毛鞠』のEDテーマでもあったため、新たなエリアにもファン層が広がった。モータウン・ビートを取り入れた「bravo!bravo!bravo!」は、アッパーだけどやっぱりどこかせつなくて、だから耳も心も喜ぶ本当に素敵なナンバー。2017年にはブレイク必至の彼らに、新作への思いとこの1年の変化を聞いた。

取材・文 / 藤井美保 撮影 / 荻原大志


『FOCUS』が出てから、いろいろと反響がありましたよね。

吉崎拓也(Vo/Gt) いちばん変わったのは、今まで行ったことのない土地で、GOODWARPのことを全然知らない人たちの前でライブをしたり、ラジオを通してしゃべったりする機会が増えたということ。当然、今まで通りにライブをやっても盛り上がらない日もあったし、逆に、「コレで盛り上がるんだ!?」という現象もありました。そういう経験のなかで、GOODWARPらしさを持ちつつ、知らない人にもバスンと楽しさが届く曲を作りたいなと思うようになりました。

GOODWARPらしさとは?

吉崎 思わず体が動くビート感はやっぱり大事にしたいんですよね。ただ、今までと違うのは、そういうサウンド面でアイデンティティを維持するのではなく、もっと自分たちの気持ちやスタンスを楽曲に詰め込もうと思うようになった点です。ポジティブ・パワーを感じてもらいたいという初期衝動に立ち返って、体が自然と動くポップスを作る。そのあたりをメンバーと話したり、音で試行錯誤して作ったのが「bravo!bravo!bravo!」なんですです。実はその前に、アニメのお話が来ていたので、先に「Sweet Darwin」を作ってるんですけど。

そうなんですね! 『うどんの国の金色毛鞠』のEDテーマ。

吉崎 原作を読んだあと、たまたま香川に遠征する機会があって、アニメの舞台となっている町並みを見ることができたんです。そののどかな雰囲気を元に書いたので、久しぶりに書いた新曲が今までやってこなかったバラードになり、そして、運良く採用された。じゃあ、アッパーなのもほしいよねと、「bravo!~」に取りかかったわけです。

モータウン・ビートがオシャレなナンバーですね。

吉崎 思わず体が動く、を目指してたので、リズムを表打ちのモータウン・ビートに決めるところから始めました。俺らがやれば土くさくなりすぎないポップスにできるんじゃないかなと思って。そのリズムをイメージしてたら、サビ冒頭のメロディと歌詞が同時に出てきたんです。

「♪night wanders 恋をした・・・」ですね。

吉崎 それがですね、作ったのが初夏だったので、最初は「さぁ 熱帯夜」だったんです。

【L→R】 萩原“チャー”尚史(Ba) /有安祐二(Dr) /吉崎拓也(Vo/Gt)/藤田朋生 (Gt)

【L→R】 萩原“チャー”尚史(Ba) /有安祐二(Dr) /吉崎拓也(Vo/Gt)/藤田朋生 (Gt)

「♪さぁねったーい・・・」(笑)。

吉崎 まさに! これは季節にピッタリだぞと。

有安祐二(Dr) うっかりしてたんだよね。発売する頃には冬だってことに頭がいってなかった(笑)。

吉崎 なにしろ「熱帯夜」という響きからいろんなインスピレーションが湧いてきたので、とりあえずそのまま書き進めました。なんかこう甘酸っぱさを感じたんですよ。日の暮れるのが遅い夏、気づけばもうこんな時間ってときに、好きな人と二人で人気のない通りを歩いているだけで胸がどんどん高鳴っていく。そんなイメージで、最後の最後まで「熱帯夜」を頼りに、シナリオのように。ところが、リリースが11月と決まったとたん、「“熱帯夜”は違うんじゃない?」と(笑)。

宣告!

吉崎 顔となる部分を変えなければいけなくて、七転八倒しました。でも、書きたかった世界観は保てたと思います。恋をすると、男子はあの娘の裸が見たいって妄想しますよね。それ自体はすごく俗っぽい妄想だけど、そう思ったりすることの積み重ねが、きっと大人になったときの価値観を作るんだろうな、幸せにつながるんだろうなと思うんです。明日がやってくると信じてるからこそ膨らむのが妄想。ドロドロした部分もあるけど、やっぱりロマンチックでポジティブだなと。青春の1シーンを切り取った歌に見えるけど、実は妄想に対しての僕の思いを、賑やかなビートに隠れて歌い上げたという感じです。明日も捨てたもんじゃないなと思ってもらたらうれしいですね。

ビートを担うおふたりは、どうアプローチしましたか?

有安 表打ちのスネアがずっと続くと攻撃的な感じになるので、ウルさくなりすぎないような音作りをしましたね。スネアにはミュートをだいぶかけました。

萩原“チャー”尚史(Ba) ロック的な派手さはなくなるけど。

有安 代わりに軽やかさが出ましたね。その試行錯誤が楽しかった。

萩原 そもそもモータウン・ビートをどこまで続けるかということも課題でした。当初は、ひたすら貫いてたんですけど、そうするとリズムの印象に引っ張られて歌詞の世界観が広がらない。起承転結のある構成にしたほうがいいんじゃないかと、そこはけっこう話し合いました。

有安 1グルーヴで聴かせるが目標だったから、それを払拭するのが大変で、最後の最後まで両方のパターンを聴き比べたりしてましたね。

萩原 ベースとしては、コード進行に華やかさみたいなものが出るような工夫をしました。それも何パターンか。あらゆる面で、考えうるパーツをすべてテーブルの上に乗せて厳選するというやり方をしましたね。選び抜いたからこそ、最終的にシンプルにまとまったのかなと。

サビでベースはけっこう動いてますね。

萩原 上でホーンやギターがしっかり鳴ってくれているので、僕は荒々しくいっても大丈夫だなと思ったんです。

ギターも細かいパーツの組み合わせで物語を作ってる。

藤田朋生(Gt) 今まではリフやフレーズで主張したい感じがあったんですけど、この曲にはちょっと違う感覚が湧きました。たとえば、1番のAメロ。通常ギターで弾く感じではないイントロの弦のフレーズをなぞったのは、あのメイン・テーマを生かしたいと思ったからなんです。

2番のAメロにもまた違う気になるフレーズが聞こえてきます。

藤田 あれは流れのなかで生まれたもので、リフというより効果音ですね。効果音感覚のギターが、今ちょっと自分のなかで流行ってて(笑)。

_og_0241

そういえば、一瞬逆回転の音かと思いました。

藤田 歌の世界観をサポートする音になればいいなと。後半は妄想が爆発する感じなので、難しいことを考えずにバーンといきました。ベースが動いてくれてるから、いいバランスなんじゃないかな。

歌の面での変化はありましたか?

吉崎 ありました。今回初めて力まずに歌えたんですよ。

そうなんですか! 魅力的な声の成分がよく出てます。

吉崎 歌入れのときって、何かひとつ気になると悪循環にハマッて、それが如実に歌にも出ちゃうんです。歌詞が頭に入りきってない状態で歌詞カードを追ってると、気持ちをこめるところまでいけなかったりもする。ということにようやく気づいたので、今回は歌詞をちゃんと頭に入れて、かつ、歌詞カードの余白にお客さんのシルエットを書いて、ライブだと思って歌いました。無意識に「イケてるだろ?」って感覚になるからなのか、なんか力まずにいけました(笑)。不思議なもんだなと。

藤田 レコーディングでは、毎回いろんな発見があるよね。自分の甘さに気づいたり、機材を見直すきっかけになったり。

吉崎 次はこういう曲を書こうって思いついたりもするしね。

いい刺激になってるんですね。では、「Sweet Darwin」にいきましょう。アニメ『うどんの国の金色毛鞠』は、何か心にわだかまりのある青年が、ある日うどん屋を営んでいた実家に帰ると、そこに本当はタヌキの不思議な子供がいて・・・というファンタジーですよね。

吉崎 青年がうどん屋を立て直す話かなと思ってたら、そうでもなくて、彼はモヤモヤとフツーの日々を過ごしていく。絵がファンシーだから女子や子供向けなのかなと思いきや、描かれているのはヒロイックじゃない青年の葛藤なんです。そのリアリティを大事にしたかったので、大人の男が聴いても共感できる曲を書きたいと思いました。

藤田 ギター的にこだわったのはBメロですね。ケルティックな響きで広がりを出したかったんです。きれいなバラードは好きだけど、優しいばかりでもつまらないので、どこかにロック・スピリッツを残したいと思いつつソロを弾いたりもしました。ヨッシー同様、男が聴いてもカッコいいと思えるバラードにしたくて。

%e2%98%85_og_0209

ヨッシーもバッキング・ストロークをやってるんですか?

吉崎 「bravo!〜」は全部朋生ですが、「Sweet〜」では僕も弾いてます。どっちがやるかの明確な取り決めがあるわけじゃないんですけど。

藤田 自然と棲み分けはできてますね。歌っている人のストロークのほうが混じりがいいときがあったりもするから。

ドラムはどういうアプローチを?

有安 やっていくうちにどんどん引き算をしていきました。引き算しすぎるとバンド感がなくなることもあるけど、この曲では朋生のソロでバンド感がしっかり出てるので、ドラムは余計なことはしない方向でいこうと。シンプルだからこそ良し悪しがハッキリと出るという意味ではチャレンジングでしたね。もちろん、音色も大事にしました。

萩原 僕なしの段階でもバラードとして仕上がってたので、ベースはすごく自由にいけるなと思いました。基本的に1フレーズを繰り返すのが好きなんですけど、この曲では珍しく、流れのなかで歌い続け、徐々に盛り上げていくということをしました。荒井由実作品での細野(晴臣)さんのベースが大好きなので、ちょっと参考にしてます。

「Darling」じゃなく「Darwin」にしたのは?

吉崎 「本当はタヌキの不思議な子供」って生物学的に面白いと思ったときに、「進化論」の「Darwin」が浮かんだんです。調べてみたら、「Darwin」には「親愛なる友」という意味もあるとわかった。青年と不思議な子供の友情物語でもあるし、「Darling」と思いきや「Darwin」だったっていうどちらの意味でも、コレだ! と。

ヨッシーの歌詞って情景が鮮やかに見えます。さっき「シナリオのように」と言ってましたが、映画とか本は好きですか?

吉崎 好きですよ。実生活で見たものだけじゃなく、映画や本にあった情景が、歌詞を書くときに浮かんだりするのかも。傾向としては、夜の歌が多いです。意識して夜をテーマにしてるわけじゃないのに、なんでなんだろうと自分でも考えるんです。

ほう!

吉崎 締め切りに追われてヒーヒー言いいながら作ることもあるんですけど、すんなり出来るときもある。そういうときは、基本鼻歌からなんですね。鼻歌が出るくらいだから上機嫌なわけで、それって大抵夜なんですよ。たぶん何かに追われてないときなんだなって、このあいだ気づきました。いや、実は追われてるんだけど、追われてない気にさせてくれる。それが夜なんだなと。

ほう!!

吉崎 俺だけの感覚かもしれないんですけど、朝とか昼って確実に一日の終わりが迫ってくる。でも、夜が待ってるのは朝。つまり始まりなんです。だから、錯覚なんですけど、いつまでもこの時間が続くんじゃないかという感覚になれる。朋生が、「夜書いたラブレターは、朝見るとヤバい」と言ってたことがあるけど(笑)、そういうある種のパワーを夜はくれる。シラフじゃとても書けない言葉が出てきて、それがメロディを生み出す力にもなるんじゃないかなと。

%e2%98%85_og_0249

GOODWARPが持つキラキラ感の秘密はそこなのかも(笑)。さて、今年はイベント出演なども多かったと思いますが、あらためて自分たちの立ち位置をどう感じましたか?

吉崎 俺らってギター・バンドじゃないし、じゃあシティ・ポップかといったら、それよりは汗くさいことをやってる。つまり、GOODWARPみたいなバンドがたくさんいる界隈ってないんだなとすごく感じた1年でした。けっして悲観ではなく、それこそを生かしていかなきゃなと。そう思ってから、自主企画イベント「YOASOBI」で誰を呼ぶかということでも、毛色を似せるべきかとか、あえて違うほうがいいかとか、そういうことであまり悩まなくなりました。振り幅の大きさをらしさとしてブレずに貫いていきたいと、今、すごく思ってます。

そういう決意が「Tongit is the night」に感じられました。

藤田 ポジティブなバイブレーションが、わかりやすく詰まった曲。

吉崎 レコーディングも最高に楽しかった。

萩原 最後に録った曲だから、打ち上げる感じもあって(笑)。早くライブでやりたいです。

吉崎 うん。ステージに立つ日々を思って書いた曲だからね。個人的には今回でいちばんエモい曲だと思ってます。バンドってなんかの縮図だと思うんですよ。仲のいいバンドが増えて、どんどん売れていくのを見れば、尊敬すると同時に焦ったりもする。一方で、活動を休止したり解散したりするヤツらもいる。刹那的ですよね。なのに音楽自体はなくならないじゃないですか。僕ら自身も20年前、30年前の曲を、今も口ずさんだりしてる。そのギャップに胸を焦がすというか、「何なんだ! 音楽って」という感じなんですよ。形はなくなっても、形のない音楽は永遠に残したい。そういう気持ちでやってるし、いつかそういう音楽を絶対作りたいとも思う。そのほんの端っこだけでも曲にできたらなと。

まさに「“未来”の2文字信じる バラ色になる日まで」ですね。

吉崎 はい。バラ色になるように、2017年も頑張ります!

GOODWARP

90‘sポップス、シティポップ、クラブミュージック等への愛着を感じさせるダンサブルなサウンドメイクの中に、温もりある日常ドラマを唄う4人組バンド。
結成後すぐに「出れんの!?サマソニ!?2012」を勝ち抜き、その後も「MINAMI WHEEL」や 「COMIN‘KOBE」をはじめとする各地のイベントへ勢力的に出演。フロアには仕事帰りのOLから家族連れ、音楽好きの大人世代まで幅広い世代が集う。
東京を拠点とする自主企画イベント「YOASOBI」では、2015年9月にVol.6を代官山UNITで開催。シンパシーを感じるバンドとともに規模を拡大し、ダンサブルにメロウな夜を揺らしている。
作詞作曲のみならず、アートワーク等も手掛けることもあるVo.吉崎拓也が描く、どこか男臭くて遊び心のある歌詞とメロディーの世界観、そして人懐っこい歌声、ポップ且つハッピーグルーヴィーなバンドサウンドは老若男女の垣根を越えて心を軽やかに踊らせる。
ポップシーンを新たに色付けるダンサブルなドリーミーポップバンド『GOODWARP』から目が離せない!!!

オフィシャルサイト http://goodwarp.jp/


アニメ原作本 『うどんの国の金色毛鞠』
bt000022027400100101_tll

うどんの国の金色毛鞠 1巻
篠丸のどか (著)
新潮社
バンチコミックス

俵宗太は、東京在住のウェブデザイナー。故郷に帰った彼が実家のうどん屋で見つけたのは、釜の中で眠りこける不思議な子どもだった。実はその子には他の人には言えない秘密があって!? ゆったりと時間が流れる“うどんの国”を舞台に、ちょっと不器用なふたりのあたたかい共同生活が始まる。堂々第1巻!