LIVE SHUTTLE  vol. 85

Report

家入レオ。5周年を前にしたシンガーとしての大きなスキルアップを探る

家入レオ。5周年を前にしたシンガーとしての大きなスキルアップを探る

家入レオ「5th Live Tour 2016 ~WE | ME~」
2016.12.10@東京国際フォーラム ホールA

「自分としては変わったと言うより、自然体になったっていうニュアンスのほうが近いんですよね」と、4thアルバム『WE』のインタビュー時、晴れやかな表情で語っていた家入レオ。傍目には表に出てきたことだけを捉えて「この人は○○な人」「これは○○な作品」と判断しがちだけれど、本人のなかには、その「○○」を覆すような“何か”がある、ということもしばしばだ。そういった意味で、『WE』には“何か”がふんだんに詰め込まれていた。

 だからこそ『WE』を中心に据えたライブが、とても楽しみだった。このアルバムで「自然体になった」と言った家入レオが、今度はステージの上でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。きっと、いや絶対に、これまでのパブリックイメージとは違う“何か”がライブにも現れるに違いない。そう思うにつけ気持ちは前のめり。アルバムリリースの7月から前のめり。というわけで待つこと5ヵ月、待ちに待ったその日がやって来た。

家入レオ

 ツアー最終日の12月10日。ソールドアウトとなった東京国際フォーラム ホールAでのライブは、まさに“何か”だらけのパフォーマンスが繰り広げられた。誤解を恐れずに言うなら1stアルバム『LEO』と4thアルバム『WE』、そこから受ける家入レオの印象は陰と陽ほどにも違っていた。けれども、どちらも紛れもなく家入レオだったわけだが、それがステージの上でも端的に表れることになった。

 まず第一の驚きは、水音、鳥の声、足音、時計の時を刻む音……というイマジネーションを刺激されるさまざまなオープニングのSEに続いてステージに姿を現したときの衣装。デビュー以来のトレードマークだったスキニーパンツは今回姿を消し、グリーンの細身のサロペット&フレンチスリーブの白いカットソーで登場。さらにライブのほぼ中盤で早着替えをしたあとは、なんと赤いロングスカート姿! しかもその2着の衣装はともにオーダーメイドとのこと。音楽や舞台セットや照明などと同じように、着るものにも「今の自分のモードを出していきたい」とこだわった結果、そうなったのだという。

 それにしてもスカートの裾を揺らす家入レオを見ながら『サブリナ』を聴く日が来るとは、正直、爪の先ほども思わなかった。そうした視覚的な変化で言うと、歌いながらの身振り手振りもそうだ。これまではキレのいいエネルギッシュな身体の動かし方が定番であり、どちらかと言えば男性ロッカーのようなキビキビ&パワフルな身のこなしが中心だった。ところが今回は、そこに愛らしさが加わった。身軽にピョンピョン跳ねてみたり、茶目っ気たっぷりに首を傾げてみたり、楽しそうにゴーゴー風のダンスを踊ってみたり……、とにかく動きの端々がキュートでラブリー。それがまた演出というより、とても自然な動きとして出てきているところが本当に新鮮だった。

家入レオ

 もちろん演奏面での“何か”も枚挙に暇がない。特に何度もさまざまな形で魅せられたのは、声の色を含めたボーカルのあり方だ。たとえば声の若々しさ。若干22歳という年齢を考えれば、まだまだ充分に若いのだが、『シティーボーイなアイツ』の少女のようにも聴こえる声や『I Wish』の可憐な声を筆頭に、どの曲の声もピカピカのツヤツヤ。変な言い方かもしれないが、デビュー時から時計が逆に動いているかのように、声が若返っているような気がした。

 かと思えば『君がくれた夏』『太陽の女神』などの余裕のある歌い方もたいしたものだった。歌い込むことなくサラリと軽く歌うことで、曲が持つメッセージをより鮮やかに浮かび上がらせる。そういうスタイルのボーカルも随所に見受けられた。なかでも大人の落ち着きさえ感じたミディアムスロー・ナンバー『miss you』、バックで暴れるバンドサウンドをものともせずに存在感のある歌を響かせた『恍惚』、緩急をつけつつ安定した重量感あるボーカルが心のなかを深く潜っていくようだった『Silly』の3曲は秀逸。かつての固い殻の裂け目から感情を覗かせているようだったボーカルとは、驚くほどの違いがあった。テクニックもさることながら、いい意味でどっしりと構えた歌いっぷりに耳も目も釘付けにさせられた。

家入レオ

 また楽器を持った演奏も印象深い。アコースティックギターを弾きながら歌われた『そばにいて、ラジオ』は、文字どおり等身大の家入レオを思わせられる、ゆったりと伸びやかなボーカルが魅力的であったし、ボートを漕ぐ水音に続いて始まったキーボードの弾き語りの『we』は、やわらかく繊細な声が実に耳に残る珠玉の1曲となっていた。さらにライブ終盤に立て続いたアッパー曲では、メリハリのある疾走感でグイグイと観客を引っ張っていくところも、素晴らしかった。
 そしてラストは心に染み入るMCと静かにグルーブするボーカルが本当に見事だった『Every Single Day』──。

「どんなに苦しくても、いつか絶対に笑える日が来るんですよね。17でデビューして、“大丈夫かな、自分……”って思うこともあったけど、音楽にだけは嘘をつかずにやってきたら、力を貸してくれる人がどんどん増えて、こうしてみなさんに会うことができました。そういうなかで気づきました。苦しくてしかたないときは、頑張る必要なんてない、そこに立ってるだけでいい。それでも、いつか笑える日が来るんだってことを、感じることができました」
 そんな言葉に続いた、まるで気持ちが声そのものになったかのような、声の消え際まで感情を行き渡らせたかのようなボーカルは、家入レオというボーカリストの真価を目の当たりにしたと言っても過言ではない素晴らしい歌だったと思う。

家入レオ

 このあとアンコールとして3曲が披露された。レゲエのリズムに乗せた『僕たちの未来』のC/W曲『わたしの歌』、「頑張っている人への応援歌として書いた」という穏やかな明るさに心が温められるような気がした新曲『それぞれの明日へ』(配信シングル)。そして最後の最後は「独りぼっちだと思っていた私が未来へ向けて歩いて行きたいと思って作った曲です。何があっても私が音になってみんなのそばにいることを忘れないでください。では聴いてください、いや、一緒に歌ってください(笑)」と言って『僕たちの未来』が歌われた。

 歌の力、話す言葉の優しさ、衣装を含めた見た目の驚き……。新鮮に目に映るものだらけだった2時間半弱の今回のライブのなかで、頑張らずに頑張れる術を身につけた家入レオに何度も出会った。デビューして4年半。17歳の女の子が歩んできた道のりは、決して簡単なものではなかったと思う。けれど、清々しくも柔らかい笑顔でステージに立つ姿を目にして、これから歩んで行くであろう道のりの豊かさにも想いを馳せたくなった。

 ──と思った矢先。素晴らしい発表があった。デビュー記念日の2017年2月15日に初のベストアルバム・リリース! さらに2017年4月30日に初の日本武道館公演決定! こいつは春から縁起がいい。家入レオの5年目は、そこからまた始まりを告げるのだろう。

文 / 前原雅子 撮影 / 田中聖太郎

家入レオ「5th Live Tour 2016 ~WE | ME~」
2016.12.10 東京国際フォーラム ホールA セットリスト

1. Brand New Tomorrow
2. ミスター
3. シティボーイなアイツ
4. 君がくれた夏
5. 太陽の女神
6. miss you
7. Silly
8. そばにいて、ラジオ
9. I Wish
10. さよなら Summer Breeze
11. 恍惚
12. we
13. サブリナ
14. Shine
15. Hello To The World
16. Party Girl
17 .Every Single Day
<アンコール>
18. わたしの歌
19. それぞれの明日へ
20. 僕たちの未来

リリース情報

初回限定盤A

初回限定盤A

初回限定盤B

初回限定盤B

通常盤

通常盤

家入レオ
5th Anniversary Best

2017年2月15日発売
【初回限定盤A:CD+DVD】
VIZL-1097 ¥4,900+税
【初回限定盤B:CD+DVD】
VIZL-1098 ¥3,900+税
【通常盤:CD】
VICL-64706 ¥2,900+税

【初回限定盤A:CD+DVD】
<CD>収録曲
01. それぞれの明日へ
02. 僕たちの未来
03. Hello To The World
04. 君がくれた夏
05. miss you
06. Silly
07. for you
08. 純情
09. チョコレート
10. 太陽の女神
11. 君に届け
12. Message
13. Bless you
14. イジワルな神様
15. Shine
16. サブリナ
[Bonus Track]
17. 僕たちの未来 (Special Version)
18. I promise you *初回限定盤A/Bのみ収録  (M-1,17,18は初収録楽曲)
<DVD>
家入レオ 5th LIVE Tour 2016 ~WE|ME~
  at 東京国際フォーラム ホールA(2016年12月10日) コンプリート収録映像
【初回限定盤B:CD+DVD】
<CD>(初回限定盤Aと同じ)

<DVD>
デビューシングル「サブリナ」からの全12曲のシングル曲ミュージックビデオに新曲「それぞれの明日へ」ミュージックビデオ&メイキングを初収録。全14トラック。
・それぞれの明日へ (Music Video)
・それぞれの明日へ (Making Movie)
・僕たちの未来 (Music Video)
・Hello To The World (Music Video)
・君がくれた夏 (Music Video)
・miss you (Music Video)
・Silly (Music Video)
・純情 (Music Video)
・チョコレート (Music Video)
・太陽の女神 (Music Video)
・Message (Music Video)
・Bless you (Music Video)
・Shine (Music Video)
・サブリナ (Music Video)

【通常盤:CD】
<CD>
M01~M17までの全17曲(16曲+ボーナストラック1曲)収録

ライブ情報

家入レオ 5th Anniversary Live at 日本武道館
2017年4月30日 日本武道館

家入レオ

福岡出身。13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、青春期ならではの叫び・葛藤を爆発させた「サブリナ」を完成させた15の時、音楽の道で生きていくことを決意。翌年単身上京。都内の高校へ通いながら、2012年2月メジャー・デビューを果たし、1stアルバム「LEO」がオリコン2週連続2位を記録。第54回日本レコード大賞最優秀新人賞他数多くの新人賞を受賞。翌1月より開催の初ワンマンツアーは全公演即日完売に。
2013年春高校を卒業。同年、5thシングル「太陽の女神」で第55回日本レコード大賞優秀作品賞受賞。
2014年2月に2ndアルバム「a boy」をリリースし、3月~4月に3rd.ワンマンツアー全14公演を開催。昨年2月には3rdアルバム「20」をリリース。5月から自身4度目の全国ワンマンツアーを開催し全国15公演2万人を動員。8月に、2度目の月9主題歌となる10thシングル「君がくれた夏」をリリース、第30回日本ゴールドディスク大賞BEST 5 SONGS BY DOWNLOADを受賞。7月6日には11thシングル「Hello To The World」(TBS系テレビ「CDTV」2・3月度オープニングテーマ)、12thシングル「僕たちの未来」(日本テレビ系土曜ドラマ「お迎えデス。」主題歌)、「Brand New Tomorrow」(映画「ペット」イメージソング)などを収録した、約1年5か月ぶりとなる4thアルバム「WE」をリリースし、今秋には初となる全ホールツアー(全国20公演)を開催。
現在、第95回全国高校サッカー選手権大会 応援歌を担当し、2017年2月に迎える5周年を記念した初のベストアルバム「5th Anniversary Best」の発売と、4月には同じく初の日本武道館公演「5th Anniversary Live at 日本武道館」の開催も決定している。

オフィシャルサイトhttp://leo-ieiri.com/

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