LIVE SHUTTLE  vol. 86

Report

ザ・クロマニヨンズのライブで体感したロックンロールという生き方

ザ・クロマニヨンズのライブで体感したロックンロールという生き方

 11月17日に長野からスタートしたザ・クロマニヨンズの『BIMBOROLL TOUR』。8本目の11月30日恵比寿リキッドルームは、ライヴハウスならではの熱気と密度と距離感が最高のライヴだった。
 ザ・クロマニヨンズのツアーは前半がライヴハウス、後半が少し大きめのホール中心で、数カ月にわたり全国を回っていく。東京は今回は恵比寿リキッド・ルームで2daysになった。年頭の前ツアーではDIVERCITYと中野サンプラザが会場だったことを思い出すと、ここはステージがグッと近い。それだけでワクワクしたのは私だけではないだろう。

 「El Bimbo」が流れてちょっとした余興が行われたのは、遊び心たっぷりのザ・クロマニヨンズらしい演出だ。そして最新作『BIMBOROLL』のアルバム・ジャケットと同じ絵柄のバックドロップの前に現れた4人は、1曲目からフルスロットルで走り出した。シンプルな歌詞を一言ずつ4人が交互に歌えば、オーディエンスも拳を突き上げ体を揺らし、一緒に歌う。最新作からの曲を立て続けに演奏した前半、途中で珍しいことが起こった。ドラムのカツジが曲を間違え、イントロを演奏し直すことになったのだ。こんな時も甲本ヒロトの正直さとウィットが光る。

ザ・クロマニヨンズ エンタメステーション ライブレポート

「ここははっきり言いたい、間違えたのはカツジだー!こらっ」
と後ろを向いて言うと、今度は前を向いてオーディエンスに
「みなさん、せーの、こらっ!」
 オーディエンスが声をそろえた「こらっ!」に頭を掻きながらペコリと下げたカツジに笑いが起こる中で、すかさずヒロトは声をかけ、小気味よく曲へ突入する。
「ロックンロール、行くぞ!」

 むしろこんなハプニングもライヴの醍醐味の一つでもあるが、結成10年になったザ・クロマニヨンズでも、新曲が多いツアーではこんなことも起きる。その言い訳でもないだろうが、ヒロトはこんなことをMCで言っていた。
「新しい曲ばっかで、俺たちもこのツアーでやるのが初めてで、お客さんも、何度もクロマニヨンズを見てくれた人も、初めて見てくれた人も同じ条件で、みんな初めて聴く曲ばっかりです。自由に、自分のやり方で楽しんで、帰ってください」
 確かにCDで聴いているのと、今目の前の演奏を見て聴いて感じるのでは、当たり前だが全然違う体験だ。それは新曲に限ったことではなく、何十回もライヴで聴いている曲でも、その時だけの体験になる。ザ・クロマニヨンズのライヴではいつもそのことを思い知る。
 中盤での「ゴー ゲバ ゴー」などお馴染みの曲は、体の一部になっているように熱量がアップしていたけれど、新曲のテンションも甲乙つくものではない。

ザ・クロマニヨンズ エンタメステーション ライブレポート

 再び新曲が並んだ後半は、大きく体を動かしながらヒロトは歌い、手に持ったマイクを上に差し出しオーディエンスのシンガロングを受け、時には真剣な顔で、時には嬉しそうにフロアを見渡す。マーシーは爆音でギターを鳴らし、コビーは長い足を開いてベースを弾いている。新曲はシンプルだけれど曲それぞれの個性が強く、ザ・クロマニヨンズ流ロック図鑑のようだ。パンクもブルースもあり、60年代ポップス風があればハードロックもある。ダジャレのような歌詞の曲もあれば、シニカルなユーモアを織り込んだ曲もあり、歌詞の意味など考えるまでもなく楽しいビートに巻き込んでくる曲もある。ヒロトはMCでアルバム『BIMBOROLL』について、こう言った。
「いろんな曲が入ってます。全部ロックンロールです」
 英国ロックンロールへの愛情を感じさせる「誰がために」「ピート」が並んだところは圧巻だ。ヒロトが指し示して見せるほどかっこいいマーシーのギターソロに、4人のコーラスも曲の厚みをグッと増している。ライヴでやることで曲が生き生きとした表情を持っていく。そしてオーディエンスのコールに応えてヒロトがギターを弾くピート・タウンゼントのように腕をグルグル回してみせたり、マーシーが腕を上げながらキレのいいギターリフを刻むのを、こんなに近くで見ることができるとは!と胸の中が暑くなった。

 「ありがとう、楽しんでますか? ここからはバーっとやる。ここまでもバーっとやってきたんですけど、時々余計なこと言ったりふざけたり。もともと言いたいことはないので。何かを言うためにここに立っているわけではなくて、やりたいことがあって立ってるんです。みんなは楽しむためにそこに立ってるんです。俺たち、自分のやりたいこと、精一杯やって帰ろうな!」

ザ・クロマニヨンズ エンタメステーション ライブレポート

 ヒロトの言葉にフロアから大きな声が上がり腕が突き出されて始まった終盤は、新曲にお馴染みの曲が続きフロアの熱気はこれ以上ないほど上がていく中、ヒロトの言葉通り一気に駆け抜けた。マーシーのギターだけでヒロトが歌い出すとカツジが踊り、最高な気分を歌った曲ではマーシーがご機嫌でピックを投げた。本編最後が新曲だったのはちょっと意外だったが、それも新作ツアーならでは。そして全員が上半身裸になって応えたアンコールは、再びお馴染みのナンバーを2曲。ヒロトは得意のTシャツをパンツ風に履くスタイルで踊りまくり、オーディエンスは大声で歌った。メーター振り切るぐらいの興奮に輝く顔を見回し、最後にこう言ったヒロト。
「楽しかった!ありがとう、またやらせてください、ロックンロール!」

 汗を拭きながらフロアを後にする人たちは、一様に爽快な笑顔を浮かべていた。半端なものは何も残さない。だからこそ痛快な記憶が鮮明に残る。それがザ・クロマニヨンズのロックンロールだ。

取材・文 / 今井智子 写真 / 柴田恵理


ツアー・スケジュール

「ザ・クロマニヨンズTOUR BIMBOROLL 2016-2017」
11/17(木)長野CLUB JUNK BOXより開催中!
詳細はこちら・・・http://www.cro-magnons.net/live/

ザ・クロマニヨンズ

2006年7月23日 13時41分「FM802 MEET THE WORLD BEAT 2006」にて、甲本ヒロトVo.  真島昌利G. 小林勝B.(nil) 桐田勝治Dr.(Gargoyle)のメンバーでザ・クロマニヨンズ出現!その後、シングル15枚、アルバム9枚、アナログ盤25枚、映像4作をリリース。
ツアー、大型ロックイベント出演を重ね、11月2日には待望のニューアルバム「BIMBOROLL」をリリースし、11月17日から、56本に渡る全国ツアー「ザ・クロマニヨンズTOUR BIMBOROLL 2016-2017」をスタートさせる。
オフィシャルサイトhttp://www.cro-magnons.net/

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