Interview

THE Hitch Lowkeのルーツは歌謡曲!? 特異点ミクスチャーロックバンドに大注目

THE Hitch Lowkeのルーツは歌謡曲!? 特異点ミクスチャーロックバンドに大注目

京都を拠点に、精力的な活動を重ねてきたTHE Hitch Lowkeが、ついにメジャーデビューした。最新アルバム『BIG BOUNCE』は、彼らが培ってきたオリジナリティが存分に発揮されている1枚だ。例えば1曲目を飾っている「日本のリフ」は、聴いた誰もが強烈な個性を感じ取るのではないだろうか。童謡「かごめかごめ」の要素を大胆に採り入れ、哀愁のメロディが際立つ独自のラウドミュージックを奏でるこのような曲は、他のバンドからはまず生まれないと思う。その他にも斬新な切り口でワクワクさせてくれる曲が満載の今作は、THE Hitch Lowkeの魅力を幅広い層へ伝えるだろう。星☆拓也(Vo)、樋谷剛志(G)、濱崎雄司(G)城山貴也(B)、瀧石光(Dr)にメジャーデビューに対する想いと、彼らの音楽性の背景について語ってもらった。

取材・文 / 田中大 写真 / HIRO


独自のミクスチャーサウンドを確立していますね。

星☆拓也(Vo) ありがとうございます。好き勝手に自分たちが良いと思うものを詰め込んでいく内に、今の形になっていったバンドです。

樋谷剛志(Gt) 僕は拓也と小学校から一緒なんです。元々は別々のバンドで活動していて、20代の半ばくらいから一緒にやり始めたんですよ。お互いに特定のジャンルで固まる感じがなかったので、このバンドを結成した時から柔軟にやっていける気がしていました。

濱崎さん、城山さん、瀧石さんは2009年の加入ですよね。

瀧石光(Dr) はい。この3人は高校が同じで、一緒にバンドをやっていたんです。THE Hitch Lowkeと対バンする機会もあって、ファンでもありました。高校を卒業する時に進路を決めることになったんですけど、当時やっていたバンドが解散しまして。そんな同時期にTHE Hitch Lowkeもオリジナルメンバーの拓也くんと剛志くんの2人だけになったので、「ドラムで入れてください!」と。そして、貴也と雄司も加入することになりました。

城山貴也(B) おまけですね(笑)。

濱崎雄司(Gt) 僕らもオプションとして付いてきたというわけです(笑)。

L→R 瀧石 光(Dr) 濱崎雄司 (Gt) 星☆拓也 (Vo) 樋谷剛志(Gt) 城山貴也(Ba)

L→R 瀧石光(Dr) 濱崎雄司 (Gt) 星☆拓也 (Vo) 樋谷剛志(Gt) 城山貴也(Ba)

(笑)今回のメジャーデビューアルバムに関して、テーマとかはありました?

 なかったです。でも、勢いだけで作ったという感じでもないです。長いことやってきた今の俺らができるかっこいいものを詰め込みたいということは強く思っていました。“これが俺らだ。聴いてくれよ”というアルバムですね。

――1曲目「日本のリフ」を聴いた瞬間にぶっ飛びました。童謡の「かごめかごめ」のメロディを採り入れていたり、和的な風味をこんな形で盛り込んだラウドミュージックは、他ではまずないでしょうね。

 こういう濃いものが1曲目というのは、俺ららしいと思います。

「日本のリフ」や「さよなら夜明け」とかを聴いて感じたんですけど、歌謡曲的なメロディもすごく香るバンドですよね?

 はい。完璧に歌謡曲の影響ですね。親が歌謡曲を聴いていましたし、俺はそういう音楽に囲まれて育ったんです。後にレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとかリンプ・ビズキットとかも聴きましたけど、根底にある歌謡曲のテイストが出てしまうんです。

樋谷 多分、バンドをやり始める普通のきっかけって、特定の洋楽に憧れるのが入り口だと思うんですけど、俺らはそういうバンドを知る前の段階にあった幼少期の衝動が動機になっているんでしょうね。

 俺らの世代は、ブラフマンとかハイスタンダードとかオフスプリングとかのコピーバンドをやっているやつらが多かったですけど、俺が当時やっていたバンドでコピーしたのは光GENJIの「ガラスの十代」でしたから。あと、チェッカーズの「ギザギザハートの子守歌」や「ジュリアに傷心」とか。異端でしたけど人気はありましたよ。

光GENJIとかチェッカーズって、拓也さんより少し上の世代がリアルタイムで体験したグループですけど、昔のものを結構聴いてきたんですか?

 はい。ブルーコメッツも好きですからね。特撮ヒーローの『人造人間キカイダー』とか、生まれるよりもずっと前の番組の曲も好きでしたし。一番好きなのは『超人機メタルダー』です。これは子供の頃にリアルタイムで観ていました。あと『仮面ライダーブラックRX』のオープニングの曲が、バリかっこいいんですよ。

樋谷 あれかっこいい。緊張感のあるイントロな?

 そう! 仮面ライダーBLACK RXは、お腹から剣を取り出すんですけど、しまう時、心配でしゃあなくて。刺さるんやないかと思って(笑)。昔の戦隊ものやアニメって歌謡テイストでしたけど、そういうものに魅力を感じながら育ちました。そういうやつがリンプ・ビズキットとかリンキン・パークとか、いろんなものに影響されてグチャグチャになって出てきたのが、THE Hitch Lowkeですね。

城山 俺も昔の音楽が好きなんですよ。40、50代の人とよく飲みに行くんですけど、さっき拓也くんが挙げた曲を一緒に歌ったりしています。

 最近、何が好きなんやったっけ?

城山 渡辺真知子さんです。「迷い道」が好きなんですよ。

瀧石 移動の機材車の中で「迷い道」をずっと流していますからね。僕はそんなにそういう音楽を辿ってきた方ではないんですけど、聴かせてもらうとかっこいいと思います。

濱崎 僕は尾崎豊が大好きです。尾崎こそがロックやと思っています。

樋谷 ほんまこういうバンドなんですよ。京都から東京までの数時間の移動中の機材車の中で、ずっと井上陽水さんを聴いたりもしていますし。

 “ダンス系で好きなのは?”って訊かれたら、俺だったら荻野目洋子です。今のダンス系よりも、荻野目洋子の方がかっこええと思います。安全地帯も好きですよ。高速で全然進まへん時に「じれったい」がかかったり(笑)。昔の曲って個性があったと思います。そういうのを継承したいです。あと、他の人が使ったことがないワードを使いたいというのも思っています。“この歌詞は多分、俺が初やろ”っていう。

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たしかに、言葉選びも個性的ですよね。例えば「初恋」は、《エンヤ コラヤ》という言葉が出てくるのが独特なアクセントになっていますし。あと「キュルルムーン」も、タイトルからインパクトがあります。

 造語も好きやったりするんです。“キュルルムーンって何やろ?”って、パッと見ただけで思うやろうし。語呂の良さとか、言ってみたくなる感じとか、目で見た印象の美しさとか、そういうのも大事にしています。

サウンドに関しても柔軟にいろんな要素を採り入れていますよね。

樋谷 例えば、「暫定モンスター」にマンドリンが入っていたりしますからね。あれはマンドリンが得意なプロデューサーに入れてもらいました。

 そういうのも俺ららしさですね。“やってみよう”っていう精神がすごく強いので。何か意見が出たら“それはやめておこう”じゃなくて、まずはやってみるんです。

「日本のリフ」は、琴みたいな音が入っていますが、これは?

 この琴の音は打ち込みです。ウチのおかん、弾けるんやけど。

濱崎 ライヴで弾いてもらうのは、どう?

 頼めば弾いてくれると思う。楽屋が気まずいけど(笑)。

樋谷 おかんがいたら、MCでロックなことを言いづらい(笑)。

(笑)歌詞に関しては、夢を追うことに伴う現実を多くの曲で描いているのも印象的でした。「暫定モンスター」や「デスペラード」とか。

 「暫定モンスター」に関しては比較的前向きですけど、「キュルルムーン」とかは“諦めた方がいい”というようなメッセージも入っているんですよね。全ての音楽がそうではないですけど、世の中に“諦めんなよ”という音楽が多い気がするし、諦めないまま進むのが絶対に正解やとは限らないと思うんです。

“諦めない”というのを目的にし過ぎると、何かがズレがちですよね?

 そうなんですよ。諦めた時に見えてくる他の方法もあるし、俺もそうやってここに辿り着きました。“憧れているこういうのは自分にはできないから、こっちを伸ばそう”ってやってきたんです。俺らは歌詞で人を奮い立たせるような曲はないんですよ。“お前もできひんのか? 俺もできひんわ”っていう曲の方が多いです。

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そういう曲が並んでいる中、「ムラサキ」みたいなアプローチがあるのも面白いですね。聴きながらすごく笑っちゃいました。

 これは友だちの藤井君に関する事実です。バックが鬼かっこよくて、歌詞は“何言うとんねん!?”みたいなバランスをとっている曲です(笑)。

樋谷 これは“エロい”じゃなくて“いやらしい”の曲やな?

 そう。妖艶でいやらしいっていう象徴が紫色というイメージ。祇園のキャバ嬢も大体、紫色のピタっとしたシルクのドレスですから。そういう服、大好き。

瀧石 何の告白?(笑)。この曲はコール&レスポンスもできますし、ライヴで鉄板になるんちゃうかなと思っています。

各曲について語って頂いて改めて思いますけど、アクが強いバンドですね。

 そうですね。他とは被っていないと思います。

このアクの強さが、メジャーデビューまでにここまでかかった理由?

樋谷 その可能性は大いにあります(笑)。10年くらいかかりましたから。

 “何でデビューできたんやろ?”って思って、同じレコード会社所属のバンドを調べたら、大先輩の筋肉少女帯とか人間椅子って書いてあったから、“ああ、なるほど”と(笑)。

(笑)このメジャーデビューアルバムと同時に、インディーズ時代の曲を収録したベストアルバムも出ましたが、これに関してはどんな想いがありますか?

 俺ら、インディーズの期間が長かったので、聴いてみると成長を感じます。でも、どの曲もTHE Hitch Lowkeらしいですよ。

樋谷 その時その時で頑張ってきたんやなっていうのが分かります。このベストアルバムも聴いてもらえると嬉しいですね。

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こうしてメジャーへ飛び出したわけですが、今後に関して何か思い描いていることはあります?

 この前、横浜アリーナに友だちのバンドを観に行ったんですけど、 “THE Hitch Lowkeがやるには、でか過ぎるな”というのと“絶対にここを埋めたろ!”という両方の想いがあったんです。でも、メジャーデビューを周りが喜んでくれていますし、“でかいところでもできるようになるやろ”っていう前向きな気持ちの方が少し大きくなったので、そういう目標を持つようになっていますね。

樋谷 横浜アリーナとかでやれる日が来たら、京都出身の杉本彩さんにも出て頂いて?

 いいねえ([dot笑)。

濱崎 「ムラサキ」の藤井君も呼びましょうか?

城山 まじで?(笑)。

 それもありやな(笑)。まずは、とにかく多くの人に知ってもらえるバンドになりたいです。

瀧石 一歩一歩やってきたバンドなので、まずは知って頂くところからやっていきたいですね。2017年の1月28日から3月29日まで、全国ツアーがありますので、これに来てもらえると嬉しいです。あと、近いところだと12月23日に『BIG BOUNCE』と『GREATEST HITS!? -Early Years-』のリリースイベントが、東京の青山RizMであるんですよ。こちらもぜひ!

 12月23日の青山RizMが、アルバムの新しい曲を初めてやる日なんです。

濱崎 スタジオで「ムラサキ」とか、新曲の練習をしているんですけど、“コーラスの《ムラサキ》の《ム》が甘い!”とかレクチャーされています(笑)。

 細かいところまで突きつめていますので、楽しみにしていてください。

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リリース情報

big-bounce
メジャー1stアルバム
BIG BOUNCE

2016年12月14日発売
TKCA-74451 ¥2,778+税
【収録曲】
01.日本のリフ
02.エスカマリ
03.さよなら夜明け
04.デスペラード
05.暫定モンスター
06.ムラサキ
07.初恋
08.雨降りのロケンロー
09.My Pain Killers
10.ここ止まってる
11.キュルルムーン


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Indies BEST ALBUM
GREATEST HITS!?-Early Years-

2016年12月14日発売
TKCA-74452 ¥2,593+税
【収録曲】
01.MADE CYNTHIA
02.killer smile
03.BLUE BIRD
04.JUSTICE
05.ENEMIES
06.TRAIN
07.突き飛ばしてくれよ
08.Everlast
09.アンダーワールド
10.真夜中
11.終わりなき日々
12.SOLDIER
13.Song A

ライブ情報

BIG BOUNCE TOUR 2017開催決定!
2017.03.29(水) 渋谷REXよりスタート!
詳細はこちら…http://www.hitchlowke.com/live.php

THE Hitch Lowke

星☆拓也、樋谷剛志を中心に京都で結成。2009年、別のバンドで活動していた濱崎雄司、城山貴也、瀧石光の3人が加わり現在のメンバーとなる。
年間100本近いライブで鍛え上げられたパフォーマンスでオーディエンスだけに留まらず、他のバンドやライブハウスからも注目を浴びる真のライブバンド。
多くの音楽ジャンルを感覚的にごたまぜにした独創的な曲と日本人の心の根底を揺らすメロディー。
一度聞いたら頭から離れない声、リズムや語感重視の歌詞。
そしてTHE Hitch Lowkeの真髄ともいえる魅力的なLiveパフォーマンス。
各地で注目を集めつつあるこのバンドを見逃す手は無いだろう。

オフィシャルサイトhttp://www.hitchlowke.com/