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小田和正がクリスマスに魅せる音楽の魔法

小田和正がクリスマスに魅せる音楽の魔法

 今年の『クリスマスの約束』は、23日の深夜0時35分からの放送だ。今回で16回目を迎えるが、毎回、入念なミーティング&リハーサルを重ね、他の音楽番組にはないクオリティを誇る。どんなゲストが迎えられ、どんな曲が演奏されるのかに、音楽業界全体が注目するといっても過言じゃないし、この番組に出演すること、作品が取り上げられることは、アーティストにとってステイタスともなる。ゲストを迎えるのは小田和正と彼の音楽仲間たちであり、小田はゲストと積極的な共演を果たし、そこには自然と、「アーティスト同士が尊敬し合える場」が生まれる。そして先日、今年の番組内容が発表された。

 メイン・ゲストは宇多田ヒカルだ。2000年の『クリスマスの約束』初回で、小田は宇多田に手紙を書き、出演を依頼した。しかしその時は適わず、今回、彼女が約束を果たした。初回の放送で、小田は彼女の「Automatic」をカバーした。今回、その作品の共演も果たされる。宇多田にしてみても、いま歌えば解釈が違うだろうし、もちろん小田には小田の解釈があるはず。この1曲だけでも、本当に本当に楽しみだ。

 他のゲストも多彩である。そして、もはやこの番組になくてはならない人達も多い。二年連続出場のTRICERATOPSの和田唱は、昨年、マイケル・ジャクソンのナンバーなどを小田と共演し、大活躍だった。今年はポール・マッカートニーのナンバーを聴かせてくれるらしいが、そもそも和田はポールのことをマニア級に詳しいし、リハが必要ないほど体の中に染み込んでいるはず。そんな“洋楽に対して雑味がない”彼だからこそ、小田と声を合わせたとき、楽曲の“作品性”こそがピュアに届くだろう。

 スキマスイッチの二人、STRDUST REVUEの根本要、いきものがかりの水野良樹は、ゲストでありつつ、それ以上の存在だ。彼らに小田を加え、「小委員会」なる組織を形成し、TBSの番組制作スタッフとは別の外郭団体として内容(選曲など)に関与してきた。また、本来、“ボーカリスト”であるのは小田と根本とスキマの大橋だが、水野もスキマの常田も含め、彼らはコーラス・グループとして機能することも多い。ミーティングにおいても、まさに民主的(目上・目下の境なく、少数意見も無視せず、とことん語り合う)なのが、この5人である。

 さらにJUJUと松たか子という、女性陣の存在も見逃せない。彼女達と小田によるパフォーマンスは、これまでも数多くの名唱を残してきた。今年も三人で歌う場面があるのだろうか。個人的に僕は、小田和正&JUJU&松たか子には、このメンバーでツアーをして欲しいくらいなのである。三人の声が混ざって生まれる色彩が、もう絶妙だ。

 2016年の締めくくりということもあってか、SMAPの歌唱で知られる「夜空ノムコウ」や、ノーベル文学賞受賞で脚光を浴びたボブ・ディランの「The Times They Are a-Changin’」(「時代は変わる」)も歌われる。これまでの番組の演出からいって、おそらくディランの時は、訳詞のテロップも流れるはず。小田は今年、この番組をやるなら、必ず歌おうと思っていたのがこの曲だったそうだが、ぜひ(もし訳詞が流れたら)歌の内容に注目して欲しいものである。なぜ小田が、この歌を選んだのかが分かることだろう。

 『クリスマスの約束』の放送直前に、嬉しいリリースがあった。小田が出演した音楽番組『風のようにうたが流れていた』が、ブルーレイの高画質となり、21日に再発されたのだ。この番組をリアルタイムで観ていた人も、最近番組の存在を知った人も、ぜひチェックして頂きたい。
 どんな内容かを一言でいえば、小田の個人的な音楽史を、年代を追って紹介するものだ。幼少期である40年代末から50年代、ティーンエイジャーとして多感な時期を過ごす60年代。さらに学生からプロとして活動を始める70年代、オフコース、そしてソロ、と、全11話の構成である。番組内でパフォーマンスされたのは、童謡から始まり、ふと口ずさんだ歌謡曲、自らギターを手にし、必死にコピーした洋楽、自らの地歩を固めたオリジナル作品、ともに時代を築いた、仲間達の名曲、などなどであり、まさに多岐に渡る。でも、ただ歌うだけでなく、それらの時代背景も、丁寧に伝えようとしたのがこの番組だった。小田の喋りもフリートークというより、予め練られた原稿をもとにした“講義”という趣きでもあった。

 僕の知人のなかには、この番組でビートルズを歌う小田に接し、ボーカリストとしての凄さを再認識してライブに行った、なんてヒトもいた。番組放送後の反響は、実に幅広い人達からのものだった。なお、番組のために書き下ろされたテーマ曲「風のようにうたが流れていた」は、まさに珠玉のバラードであり、小田がどう音楽に励まされ、音楽を届けることに意義を見出していったのかが、素直に綴られた作品だ。

文 / 小貫信昭

小田和正初のテレビレギュラー番組が待望のBlu-ray化!

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風のようにうたが流れていた(完全版)Blu-ray BOX

2016年12月21日発売
FHXL-3006 ¥18,200 +税
◆BD4枚
◆豪華BOX仕様
2005年5月25日に既にDVDで発売された小田和正初のテレビレギュラー番組「風のようにうたが流れていた」待望のBlu-ray化。

クリスマスの約束2016

12月23日(金・祝) 深夜24:35〜放送(予定) ※金曜深夜放送

シンガーソングライター・小田和正によるクリスマス恒例のコラボレーションライブ番組『クリスマスの約束』。今年は12月23日(金)の深夜24時35分から放送される。16回目を迎える今年は、初めてとなる赤坂BLITZからお届け。豪華ゲストアーティストたちとともに名曲の数々を歌い上げる。

出演:
小田和正

<ゲスト>(50音順):
宇多田ヒカル
JUJU
スキマスイッチ(大橋卓弥、常田真太郎)
根本要(STARDUST REVUE)
松たか子
水野良樹(いきものがかり)
和田唱(TRICERATOPS)

<バンドメンバー>:
木村万作(ドラム&パーカッション)
栗尾直樹(キーボード)
稲葉政裕(ギター)
有賀啓雄(ベース)

<ストリングス>:
金原千恵子(ファーストバイオリン)
吉田翔平(セカンドバイオリン)
徳高真奈美(ヴィオラ)
堀沢直己(チェロ)

<ホーン>:
小林 太(トランペット)


番組ホームページ「クリスマスの約束2016」