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先行プレミアに矢野顕子登場!伝説の映画『SUPER FOLK SONG』への思い語る。

先行プレミアに矢野顕子登場!伝説の映画『SUPER FOLK SONG』への思い語る。

1992年に公開された矢野顕子のドキュメンタリー・フィルム『SUPER FOLK SONG ~ピアノが愛した女。~』 が、2017年1月6日から復活上映される。それに先駆け、12月22日(木)新宿バルト9にて開催された先行プレミア上映に矢野本人が登壇したトークイベントが行われた。

矢野顕子は1976年アルバム『JAPANESE GIRL』でソロデビュー、個性的な歌声と自由奔放なピアノで奏でる楽曲が、唯一無二の存在として音楽界で不動の地位を確立してきた。そんな彼女が1992年に発売した『SUPER FOLK SONG』というアルバムは、ピアノ弾き語りシリーズの第1弾として、編集なしの「一発録り」でレコーディングされた名カヴァーアルバム。そのタイトルを冠した本作は、その緊張感あるレコーディングに完全密着したドキュメンタリー・フィルムである。

大きな拍手に迎えられ矢野顕子が登壇。冒頭、弾き語りで制作されたアルバム『SUPER FOLK SONG』の企画について聞かれた矢野は「さぁ~ね~、誰かが言ったのかなぁ~。あまり覚えてないんですよ」と何がきっかけでこの名盤が誕生したか全く思いだせないと語る。

レコーディングと撮影が同時進行で行われており、その時のエピソードを聞かれ、あまり覚えてないと言いつつ矢野は「観ると、こんな一生懸命やっちゃってすごいなぁって思います。でも、イントロやって失敗して…ということは覚えてます。失敗の仕方が良くわかる。」と自身のプレイスタイルを熟知しているからこそのコメントだった。映画が完成するまで、一切見ておらず、全てを監督にゆだね、初めてみたときには“恥ずかしい”という印象だったという。しかし、監督は“こういう矢野顕子を観てほしい”と思って編集しているからこそ、四半世紀たったとは言え、リアル伝わるものがある。

「カメラの存在を一切意識させません」と始めた撮影も、あとあと矢野本人が気づかされたことがあったようだ。「私が唯一気にしていたのは、カメラの音とか録音に邪魔になることだけでした。当時はフィルムで、録音に集中すると3時間も4時間もノンストップでやるんで、フィルムが足りなくなるのを何台かにわけてうまくやっていたとあとで聞きました。」と今のデジタル時代にはない苦労がわかるエピソードを披露した。 撮影の苦労の裏側には、この映画では矢野自身の録音へ苦悩も見ることができる。そのシーンについて「歌詞があるだけで、なんにもないからねぇ。次、自分の中から何がでてくるか…どういうイントロなのか、どういうコード進行なのか、私自身何を弾くのか解らない。みんなも何が出てくるのかと待っていて…でも、出てきたものが、ちょっと違うなとか、そうじゃないなとか、技術が足りなくて失敗したり、間違った音を弾いてみたりとか沢山あって。」と矢野が振り返る当時の“一発録り”の壮絶さは、矢野自身の作品に対する執念を思い知らされる。

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40周年を迎えた今、この『SUPER FOLK SONG』というアルバムについて聞かれると「今でこそ“弾き語りの矢野顕子”とか言われるようになりましたが、当時は、ピアノと声だけじゃつまんないんじゃないかなぁとか思ったりした小心者でした。でもこの作品とこの映画も相まって、みなさんに歌とピアノの世界を楽しんでいただく土台ができたんじゃないかなと思います。」とこの作品の制作には大きな意義があったことがうかがえた。

トータル92時間に及ぶフィルムがあるというこの作品は、岡村靖幸の主演映画『Peach どんなことをしてほしいのぼくに』を手がけた、故・坂西伊作が監督をしている。緊迫した空気の中、何度も失敗しては弾き直す極限状態でのレコーディングにカメラが入り、自分に厳しく挑む姿や、納得したテイクを録り終えての安堵する姿、達成感からくる満身の笑みなど、一心不乱にレコーディングに没頭する、彼女の一挙手一投足を捉えている伝説的な作品である。ナレーションも一切なく、その現場に没入してしまうような錯覚におちいり、ドキュメンタリーを超える緊張感を味わえる貴重な作品だ。また、今回の上映では、約四半世紀を経て、現代の上映スペックに合わせ高画質・高音質で復活しており、楽曲が誕生する瞬間の息吹や鼓動を感じ取れる。

矢野顕子の脳内では今、どんな音が鳴っているのだろう。24年前に公開されたこの映画をみると、それが今も鳴り続け、これからも我々をワクワクさせてくれているに違いないと確信できる。

取材・文/エンタメステーション編集部 写真:Kayoko Yamamoto

SUPER FOLK SONG~ピアノが愛した女。~[2017デジタル・リマスター版]

2017年1月6日(金)より新宿バルト9ほか全国の劇場にて15日限定ロードショー!

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出演・演奏:矢野顕子
インタビュー出演:鈴木慶―/谷川俊太郎/糸井重里/三浦光紀/宮沢和史/David Rubinson(出演順)
監督:坂西伊作
企画・主催 ソニー・ミュージックアーティスツ
上映時間:79分
公式サイト:http://www.110107.com/yanoeiga
©映画『SUPER FOLK SONG~ピアノが愛した女。~』[2017デジタル・リマスター版]

https://youtu.be/ZVXlqetn4Bw