『モンハン』で育む家族の絆  vol. 1

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『モンハン』の「対戦」で育む、父と息子の「本気」

『モンハン』の「対戦」で育む、父と息子の「本気」

公私ともに『モンスターハンター』(以下、『モンハン』)シリーズと歩んできたライターの父親。家族の絆を『モンハン』で深めてきたと豪語する彼は、いま『モンスターハンターストーリーズ』(以下、『MHST』)で、10歳の息子と日々セッションを繰り広げる。『モンハン』を通じて育む親子の絆を、父親の立場から真っ直ぐに語る。親子の体温や日常感に触れてもらいたいため、写真もスナップをあえて多めに掲載した。ご了解いただきたい。

文 / wodnet


父と息子の「本気」とは

「はぁぁっ!?」

今日もリビングに息子のそんな叫び声が響き渡る。思いもよらぬモンスターに出くわしたのか、はたまた思いがけない一撃を食らったのか。まるで音爆弾が破裂したかのような甲高い息子の咆哮を聞くと、父としては「驚かさないでよ」とつい敏感に反応してしまう。だけどひとつ、ボクにはわかることがあった。いま息子は、まちがいなく「本気モード」だってことだ。思えば子どもの頃のボクもそうだった。誰と何をするにもすぐムキになって。でも、そんな「本気モード」が子どもの専売特許ではないことを、あるタイトルが鮮烈に思い知らせてくれた。『モンスターハンター』。老若男女を問わず、多くのプレイヤーを夢中にさせるこの怪物タイトルと、ボクも例外なく出遭うこととなった。

▲なぜか息子はタッチペンで遊ぶことが多い。こういう独特の操作方法で楽しめるのはニンテンドー3DSの醍醐味だ

▲なぜか息子はタッチペンで遊ぶことが多い。こういう独特の操作方法で楽しめるのはニンテンドー3DSの醍醐味だ

ボクは以前、ファミ通コネクト!オンというオンライン専門月刊誌でこの『モンハン』シリーズの攻略とコラムを連載していた。雑誌のコンセプトは「読者が主役」。いまでこそ当たり前になったSNSやオンラインゲームでの交流を誌面にまで展開させ、読者とプレイヤーと編集者がスクラムを組んで濃密な記事を作り上げる。そんな玄人好みの雑誌だ。

▲こちらがファミ通コネクト!オン。真ん中にある16号から105号までライターとして参加した。『モンハン』シリーズの特集も数多く掲載

▲こちらがファミ通コネクト!オン。真ん中にある16号から105号までライターとして参加した。『モンハン』シリーズの特集も数多く掲載

ボクが最初に書かせてもらったのは、妻にゲームを遊ばせるブログ形式のコラムで、記事のタイトルはズバリ「いっしょに『モンハン』やろっ!」。『モンハン』が好きすぎて、妻にまでイチから教え込んでしまった、というわけだ。やがて教える対象は妻と息子の二人となり、そんな『モンハン』に囲まれた我が家の日々は、6年におよぶ連載に事細かに記されているわけだが、ここでは割愛させてもらおう……というか書ききれない。

そんな、いかにも年季の入った熟練ハンターっぽいボクだけど、恥ずかしながら最初に遊んだ『モンハン』はプレイステーション2の『モンスターハンター2(dos)』で、しかもポッキリと挫折したものだった。オンライン環境が調っていなかったこともあり、素直にひとりで遊ぶにはむずかしかったと記憶している。ふつうに考えたら一度挫折したタイトルを再び遊ぶことは少ない。でも、プレイステーション・ポータブル用に発売された3作目『モンスターハンターポータブル 2nd』で、ボクは『モンハン』復帰を果たす。ひとりでもみんなでもプレイできて、なおかつ場所を選ばず手軽に遊べる内容が、当時のボクのゲームシーンにカッチリとハマった。それ以来ボクは、据え置きゲーム機用も含めて、シリーズ作品を遊び続ける『モンハン』ファンになった。

『モンハン』と歩んできた父親のこだわり

とはいえ、どちらかといえばライト層のボク。先輩の攻略ライターが、裸(装備無し)とブーメランのみでラージャンを討伐するぶっ飛んだ攻略を展開するかたわら、ボクはコラムを連載しながら別の角度から『モンハン』の魅力に迫った。どの攻略も思い出深いのだが、なかでも「弓道一直線」、「我が家のアイ棒育成計画」、「ツイッターハンター」あたりの企画は、ボクの『モンハン』愛を前面に押し出せたお気に入りの連載だった。

「弓道一直線」は、『モンスターハンターポータブル 3rd』の頃の企画。弓が大好きだったので、弓しか使わない狩猟を突き詰めてみた連載だ。ハンターそれぞれに表現の仕方は違えども、何かしら「こだわり」を持って遊んでいるはず。そんな「自分らしさ」を大切にすること自体が楽しいのだと、ボクは愚直なまでに弓にこだわることで伝えようと試みたのだ。

「我が家のアイ棒育成計画」は、『モンスターハンターポータブル 2nd G』の頃から始めた長期企画で、ハンターをサポートする『モンハン』のマスコット的存在「オトモアイルー」を育てることに特化した連載だ。いまでこそ最新の『モンスターハンタークロス』で自ら操作できるようになったオトモアイルーだが、当時はハンターを追従して勝手に行動するのみの存在。思い通りに動いてくれず、まるで手のかかる幼い子どものような「アイ棒」だった。

「ツイッターハンター」は、Twitterを用いてハンターを募り、読者や偶然に企画を目にしたハンターたちと狩りをする企画だった。参加者はみな、狩りのなかで感じたことやほかのハンターへのアドバイス、また成功や失敗、ハプニングについてハッシュタグ「#ツイハン」を付けて思い思いにツイートした。間接的に巻き起こるハンターたちのコミュニケーションも含めて、すべてが『モンハン』だとボクは思っていたし、この記事をきっかけに出来上がったコミュニティーや、個性的な狩友たちとの交流は、代えがたい宝物になったといまでも感じている。

▲上記で取り上げた記事の一部。さまざまな角度から眺めることで、『モンハン』の奥深さと楽しさは何倍にも膨れ上がった

▲上記で取り上げた記事の一部。さまざまな角度から眺めることで、『モンハン』の奥深さと楽しさは何倍にも膨れ上がった

『MHST』で新たに加わった『モンハン』の魅力

「父ちゃん対戦しない?」

そう言って、息子がボクを壮大な回想から呼び戻した。さっきまで目の前でモンスター相手にギャーギャー言っていた小僧。今度は矛先を父であるボクに変えるらしい。返事はもちろん「受けて立つッ!」だ。

いまボクと息子が遊んでいる『MHST』は『モンハン』初のRPG(ロールプレイングゲーム)タイトル。出てくるモンスターはすべてが立ち向かう存在ではなく、絆を結んだモンスター、通称「オトモン」をタマゴからふ化させて仲間にでき、モンスターの背中に乗っていっしょに冒険とバトルができる内容となっている。だから本作では、プレイヤーはハンターではなく「ライダー」となる。

▲オトモンのディアブロス亜種にまたがっているのが父のライダー・うっど。その肩に乗っているのが、プレイヤーを導く存在のナビルーだ。とても特徴的な顔つきのアイルーだが、いまでは猛烈にかわいらしく思えているから不思議

▲オトモンのディアブロス亜種にまたがっているのが父のライダー・うっど。その肩に乗っているのが、プレイヤーを導く存在のナビルーだ。とても特徴的な顔つきのアイルーだが、いまでは猛烈にかわいらしく思えているから不思議

『モンハン』といえば、最大4人のハンターが集まって大型モンスターを狩猟するアクションゲーム。誰がモンスターにトドメをさすか。素早く狩れるか。そんな風に競うこともできるゲームだけど、基本となるコンセプトは「協力」で、プレイヤー同士が直に斬り合うような対決シーンは存在しない。

そんな『モンハン』シリーズの最新作『MHST』には、なんとド直球な「対戦」が用意されている。プレイヤーの分身であるライダーとオトモンを育ててチームでバトルするモードだ。我が家的には、『アイルーでパズルー』以来の『モンハン』シリーズで行う対戦だ。

▲通信対戦は、近くの人と対戦できる「ローカルプレイ」と、遠くの人と対戦できる「インターネットプレイ」の2つから選べる

▲通信対戦は、近くの人と対戦できる「ローカルプレイ」と、遠くの人と対戦できる「インターネットプレイ」の2つから選べる

対戦はじつにシンプルで、パワー、テクニック、スピードの3つの攻撃が三すくみの関係になっている。これに加えてライダーは、片手剣、大剣、ハンマー、狩猟笛の4種類から武器を選んで立ち回りに変化をつけられ、仲間のオトモンは、選ぶモンスターの種類によって得意な攻撃や属性が異なるだけでなく、別のオトモンから絆遺伝子を伝承することで、自分だけの特別なオトモンを作ることができる。対戦の根幹にあるのは「ジャンケン」だが、さまざまな付加要素によって深い駆け引きが生まれる仕組みになっているのだ。ライダーかオトモン、どちらかの体力が完全に奪われるとライフが1つ消滅し、基本ルールの場合、このライフを先に3本先取したほうの勝利となる。

言うまでもないことだけど、父が息子に遅れを取るわけにはいかない。何しろボクの『モンハン』へのこだわりは、もうご覧いただいたとおりだ。「弓道一直線」だったあの頃からずっと、何かにこだわり抜く精神が宿っているし、言うことを聞かないオトモを手なずける術は「アイ棒」たちのおかげで身につけてきた。さらに付け加えるなら、ライターとしてのボクはさまざまな仕事のご縁が重なって、現在日曜の朝に絶賛放送中のアニメ『モンスターハンター ストーリーズ RIDE ON』の脚本も一部手がけていたりする。いろいろな意味で、息子に負けられないものを背負っている父なのだ。

さぁ、バトル開始だっ!

ルールは「フラット」を採用! 「フラット」とは、本編でどんなに成長していても、ライダーとオトモンのレベルが50で固定になるルールのこと。進捗に差があるプレイヤー同士でも白熱したバトルになることが多く、オーソドックスなルールだ。

対戦が始まると、ジンオウガ、リオレウス希少種、リオレイア希少種を擁する片手剣装備の息子ライダーは、ライダーとオトモンに同時にダメージを与える全体攻撃を巧みに使って、父をじわじわと追い詰める。一方の父ライダーは、リオレウス、ティガレックス、ディアブロス亜種というオトモン構成。ディアブロス亜種の高い攻撃力と爆発力に加え、ライダーの装備するハンマーで息子のオトモンをマヒ状態にして行動を封じる。一進一退の攻防が続き、お互いに残りのライフポイントが1ずつとなった。そして、その瞬間は訪れる……!

▲息子がジンオウガをリオレウス希少種に入れ替え、交互にライフポイントを1ずつ失う序盤の展開……

▲息子がジンオウガをリオレウス希少種に入れ替え、交互にライフポイントを1ずつ失う序盤の展開……

▲負けじと父が繰り出した2番手はティガレックス。その絆技「ティガインパクト」が炸裂!

▲負けじと父が繰り出した2番手はティガレックス。その絆技「ティガインパクト」が炸裂!

▲抜きつ抜かれつの攻防の末、ライフポイントは双方とも残り1。しかし、父ライダーのHPが大ピンチ! この後、勝敗が決したのだが、その結果は……!

▲抜きつ抜かれつの攻防の末、ライフポイントは双方とも残り1。しかし、父ライダーのHPが大ピンチ! この後、勝敗が決したのだが、その結果は……!

「はぁぁっ!?」

その叫び声を発していたのは、今度はボクのほうだった。父は、健闘もむなしく息子に敗北してしまった。悔しい。子どもだろうと大人だろうと負けたら悔しい。ボクは思わず、ひっくり返って叫んでしまっていた。

▲無情にも突きつけられる「敗北」の文字。ナビルーも悲しそうだ

▲無情にも突きつけられる「敗北」の文字。ナビルーも悲しそうだ

でも同時にうれしくもあった。息子はいつのまにか、父から本気モードを引き出せるほど、駆け引きや勝負に強くなっていた。そして何より、父と息子が同じ土俵で、同じテンションで叫んで一喜一憂できていること。ボクは大人であり父でもあるけど、「子ども心」を失ったわけではない。息子はきっと、そんなボク自身のありのままを感じ取りながら、育ってきたのだろう。そう思うと、ちょっと恥ずかしいような気もするし、でもやっぱりうれしい気もする。

つぎを見据える準備も楽しい

対戦後、父と息子は反省会をした。お互いのよかったところ、ダメだったところを言い合った。もちろんつぎの対戦を見据えての準備だ。つぎこそ負けてなるものか。そしてボクはふと思う。もしいま「ツイッターハンター」の企画に息子を参加させたなら、彼はどんなことをツイートするだろう。『モンハン』本来の「協力」する楽しさと、『MHST』で「対戦」する楽しさ。どちらも存在するいまだからこそ、『モンハン』について新たな視点で語れることがたくさんある。ボクが息子に伝えたいのは、勝ち負けだけじゃなくて、モンスターやキャラクターにこだわりを持って愛でることも楽しいよ、ということだったりするのだが……なんだか負け惜しみっぽいので、心の奥底にしまっておくとしよう。

モンスターハンター ストーリーズオフィシャルサイトhttp://www.mh-stories.jp/

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