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アビイ・ロード・スタジオでマスタリングした大橋歩夕の「CHARADE」に注目!

アビイ・ロード・スタジオでマスタリングした大橋歩夕の「CHARADE」に注目!

 アイドルがもはやオタクのためのコンテンツではなく、音楽ファンにとって注目すべきものとして、アニメや声優の世界もずいぶん間口が広がった。有名なところでいえば、坂本真綾の名前が挙げられる。小山田圭吾(コーネリアス)からandropまで様々なアーティストとのコラボレートでシンガー、もしくはアーティストとしての地位を確実に固めてきた。その流れをくむ大きな存在になりそうなのが、大橋歩夕ではないだろうか。

 大橋歩夕は『ストライクウィッチーズ』や『ラブライブ!』などの人気アニメでは重要な役割を演じて声優としての人気を確立しているが、シンガーとしても精力的に活動。2010年にミニ・アルバム『ファンタぢっく』をリリースして以来、コンスタントに作品を発表してきた。水準以上のクオリティをキープし続けていることで定評が高かったが、とりわけ今年発表したオリジナル・アルバム『FAITH』では、これまで以上にアーティスティックな音楽性を押し出し、熱い注目を集めることとなった。

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 その参謀的存在が、サウンド・プロデュースを手掛けたSPOOKY ELECTRICの存在だ。プリンス直系のエレクトロ・ソウルやファンクをバック・グラウンドに持ち、ファレル・ウィリアムスやブルーノ・マーズといったR&Bやヒップホップのトレンドをさり気なく取り入れたサウンドは評価が高く、黒っぽさだけでなくアイドルらしいキャンディポップに仕上げた稀有な作品となった。アイドル系のDJイベントでは、数曲がすでにアンセムとなっているという。
 その傑作アルバムから先日シングル・カットされたのが、収録曲の中でも人気の高かった「CHARADE」だ。リリースの形態はType-A、Type-Bに分けられ、それぞれダンサブルなリミックスが収められたピンクのジャケットと、メロウなリミックスが収められたブルーのジャケットの2種類をリリースするという懲りよう。しかも前者はカイリー・ミノーグやゴリラズを手がけたマスタリング・エンジニアのジェフ・ペッシュが、後者はコールドプレイやブラー、さらにはザ・スミスのリマスタリングなどで知られる名手フランク・アークライトが、それぞれマスタリングを手がけるというこだわりを見せている。たんにジャケット違いを売りにするビジュアル戦略とは一線を画し、本格派をアピールできるのが大橋歩夕の個性なのだ。
 もちろん、こういったマニアックな要素も、彼女のアーティスティックな指向性があるからこそ。ただの声優やアイドルと思わず、その歌とサウンドに耳を傾けてもらいたい。

文 / 栗本 斉

大橋歩夕(おおはし あゆる)

4月28日生まれ。声優として、この春より放送開始された「ハイスクール・フリート」(青木百々役)をはじめ、「ストライクウィッチーズ」(エイラ役)、「ガールズ&パンツァー」(おりょう役)、「ラブライブ」(優木あんじゅ役)、「放課後のプレアデス」(あおい役)など数々の人気アニメで活躍する一方、アーティストとしてもコンスタントに楽曲リリース。作品を発表するごとに進化するその姿に毎回大きな期待が寄せられている。オフィシャル・ファンクラブは「ファンタぢっかー」(http://ayuru.net)。
オフィシャルサイトhttp://ayuru.net