vol.94 LIVE SHUTTLE

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藤井フミヤの年越しライブ。同じDNAを持った弟・尚之も登場

藤井フミヤの年越しライブ。同じDNAを持った弟・尚之も登場

藤井フミヤ カウントダウンスペシャル2016~2017 @日本武道館

 2年ぶりとなる武道館でのカウントダウンライブだ。大晦日の午後10時過ぎ。ぞくぞくとオーディエンスが武道館に集まってくる。お隣の靖国神社は、元旦の賑わいを控えて、ひっそりと静かなたたずまいを見せている。その一方で、武道館では入口にデンと置かれた正月飾りの鏡餅を撮る人たちが群れをなしていた。
 手に手にサイリウムを持ったオーディエンスたちが席に着き、10時半を少し過ぎたところで場内の灯りが消えると、武道館に“光の壁”が現われた。オーディエンス自身が織りなす光の演出に、どよめきが起こる。ダンサブルな4つ打ちリズムのループが始まり、いきなりレーザーが武道館の空間を飛び交うと、いよいよ開演だ。ステージ中央のポップから藤井フミヤがせり上がってくると大きな歓声と拍手が巻き起こったのだった。

藤井フミヤ 藤井フミヤ

 バンドは不動のメンバー。ギターは石成正人と友森昭一、キーボードは松本圭司、ベースは有賀啓雄、ドラムは屋敷豪太の5人。1曲目は「TRUE LOVE」のダンス・バージョンだ。フミヤは最初から飛ばす、飛ばす。ダンスの切れ味は抜群だ。そして、それに応えるフミヤ・ファンのリズム感の良さに、改めて感心する。身体の揺らし方も、ハンドクラップも、年季の入った横ノリがカッコいい。ライブの半分はオーディエンスが作るものだが、この最強のファンたちに囲まれて、フミヤのカウントダウンスペシャルはスタートしたのだった。

 フミヤが歌の途中で「YEAH!」と叫ぶと、ファンも「YEAH!」と返す。「ようこそ、武道館へ! 今年も盛り上がって行こうぜ」。石成のギター・ソロがさらに煽る、あおる。
 続く「“Doo-bee Doo-bee”Freedom」も4つ打ちアレンジだ。フミヤが進むランウェイの両脇にミラーボールが設置されていて、華やかな雰囲気を作り出す。同じく4つ打ちの「ANGEL」でフミヤは、声を思い切り伸ばして、余裕のロングトーンを披露する。ここでは友森がギター・ソロで盛り上げた。
 なつかしいドラマ主題歌「風の時代」は、石成正人のアコースティック・ギターから。さらになつかしい「ALIVE」は、ギターの明るいアルペジオから始まる。ダンスと歌モノの連打で一気にたたみ掛けるオープニングを、フミヤは見事に決めたのだった。

 ここですぐにペース・チェンジする。「せっかくなので、冬の歌を」と、じっくり聴かせるコーナーへ。「Snow Crystal」でムードをゆったりと変えた後、アクシデントは「雪の華」で起こった。フミヤが歌い始め、オーディエンスが「あ、中島美嘉のカバーだ」と気付いた2フレーズ目で、フミヤが歌を間違えて演奏が止まってしまったのだった。
「えー、生(ナマ)でお送りしています」とフミヤがすかさず言ったので、会場は大笑い。冬の名曲を仕切り直して歌い、会場を感動させたのはさすがだった。
 このコーナーのラストは「Another Orion」。ロマンティックなメロディを、石成&友森のツインリードで締めくくって、大きな拍手を浴びた。

藤井フミヤ

「冬の歌を聴いてもらいました」と言いながら、フミヤは場内の時計に目をやる。“23:24”。「急がないと(笑)。さっきはフィギュアスケートで一回転んだみたいな感じで、立ち直るのに時間がかかった。さてここで、スペシャルゲスト、同じDNAを持ったたった一人の男、藤井尚之です!」と紹介する。
「来年は2人でやってる“F-BLOOD”の20周年です。尚之からひと言」と振ると、「えー、やっぱり生で・・・」と尚之が話を蒸し返す。「あー、もういいよ。尚之のシャベリは来年聞いてください。来年は“F-BLOOD”の3枚目のアルバムとツアーをやります。よろしく!」とフミヤは“急いで”ライブに戻る。今年のフィナーレを飾るシークエンスに入っていく。

 同じDNAを持つ尚之が入ると、ボーカル・ハーモニーが格段に豊かになる。賑やかなロックに一転した「I」、尚之のエレキギターの“弾き方”がカッコいい「SHOOTING STAR」と、武道館はボルテージを上げていく。
 もちろん尚之のサックスも忘れてはならない。フミヤがコスチューム替えにいったんステージを去ると、インスト・ナンバー「FINAL LAP」では尚之のサックスが会場をリードする。またしてもオーディエンスのリズム感の良さを実感する、痛快な演奏となった。

藤井フミヤ 藤井フミヤ

 黒のレザーパンツ・スーツをまとったフミヤが、ステージに帰ってきたところで、イントロの尚之のサックスが印象的な「I Love you,SAYONARA」が始まる。心憎いセットリストだ。「ONE NIGHT GIGOLO」でライブは派手の極致。バラードの「夜明けのブレス」で、新しい年を迎える気分が整った。“23:55”。フミヤがまた時計を見る。 
「おーっ、バタバタでよくわからんかったが、今年が終わっちゃう。今年はいい年でした。第一、ここで歌ってるし、尚之が参加できたのでいろんな曲ができて、俺も楽しいです。武道館でカウントダウンをやるのにはどういう意味があるかというと、日本の中心でやってるってこと。近くに皇居があり、国会議事堂があり、しかもお堀の中で歌ってる。そして来年の始まりも、みんなと一緒にいられる。嬉しくって、悲しい歌を歌ってても笑顔になっちゃうよ。あと1分を切りました。みんな、何事もなく武道館に来れてよかったね。ま、何かあったら勉強だと思って、神様、よろしくお願いします」。

藤井フミヤ  

 そこにいる全員でカウントダウンして、フミヤの「新年、明けましておめでとう」というシャウトを合図に、紅白の風船がオーディエンス全員の手から解き放たれる。何度、立ち会っても感動のカウントダウンだ。
 フミヤは2017年の1曲目として「君が代」を歌う。そして2017年、最初のフミヤ・ナンバーは、なんと「GIRIGIRIナイト」だった。2016年に出したアルバム『大人ロック』のリードトラックで、50才を過ぎた“大人の不良”が歌うロックンロールだ。この吹っ切れ方に、2017年のフミヤの心意気を感じる。最高!!
 だが、本当の“最高”は、その後に待っていた。
 松本のゴスペルタッチのピアノから始まった「クレイジーパラダイスへようこそ」は、ドラムの強烈なバックビートが炸裂するソウル・ナンバーにアレンジされていて、独特のテイストを持つ“ソウルマン・フミヤ”のボーカルの魅力が全開になっていた。2017年のフミヤは、勢いだけでなく、音楽的にもますます高みを目指している。
 終演後の楽屋でフミヤに「クレイジーパラダイスへようこそ」が最高だったと告げると、「あれね、豪ちゃん(屋敷豪太)に『STARS』みたいにやってよってお願いしたんだ」と教えてくれた。『STARS』は、屋敷が正式メンバーとして参加していたイギリスのバンド“シンプリー・レッド”の大ヒット・アルバムで、全英チャート1位に12週連続で輝いた傑作だ。フミヤの音楽的アイデアは、まだまだ尽きない。

藤井フミヤ

 アンコールでは「Blue Moon Stone」の洗練されたグルーヴが心地よかった。
 大団円は「紙飛行機」。オーディエンスがそれぞれに折った紙飛行機が、エンディングで宙を舞う。フミヤのカウントダウン名物の光景が広がる。いつもならおびただしい数の紙飛行機から目を守るために、フミヤはゴーグルをかけるのだが、今回は何もかけずに飛行機の行方を目で追っている。ラストはこれも恒例の「Come On!!しょうちゃん!!」に雪崩れこむ。お正月ソングの「一月一日」のロックバージョンだ。2分にも満たないスピードロックでこの夜を締めくくったフミヤは「帰りは気を付けて! また一緒に遊ぼうぜ」。缶ビールを捧げつつ、「じゃあな」と言ってステージから去った。いつになく若くて明るいその声の調子が、いつまでも耳に残った。

文 / 平山雄一 撮影 / M.キセキ、田辺佳子

藤井フミヤ

1962年7月11日、福岡県生まれ。’83年 チェッカーズとしてデビュー。’93年に「TRUE LOVE」をリリースし、以降ソロアーティストとして活動。2016年、4年振りとなるオリジナルアルバム「大人ロック」をリリース。9月より2年振りの全国ツアー「Fumiya Fujii CONCERT TOUR 2016 大人ロック」を開催し、昨年、年末には福岡でのクリスマスライブ、日本武道館でのカウントダウンライブを行った。2017年は、4月から『藤井フミヤ meets 西本智実 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT』がスタート。また、20TH ANNIVERSARYを迎える弟の藤井尚之とのユニット・F-BLOODの活動も。6月にアルバム発売、9月から全国ライブハウスツアーを予定している。

オフィシャルホームページhttp://www.fumiyafujii.net

ライブ情報

billboard classics
藤井フミヤ meets 西本智実
PREMIUM SYMPHONIC CONCERT

4.22(土) 東京都 東京文化会館大ホール
4.23(日) 東京都 東京文化会館大ホール
4.29(土) 愛知県 名古屋センチュリーホール
5.07(日) 福岡県 福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)
5.16(火) 大阪府 フェスティバルホール
5.17(水) 大阪府 フェスティバルホール
5.20(土) 東京都 東京文化会館大ホール
5.21(日) 東京都 東京文化会館大ホール

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