2017年期待するフレッシュな音楽&アーティスト  vol. 1

Review

ONIGAWARA、BRADIO、チャラン・ポ・ランタン。彼らのライブ空間に期待

ONIGAWARA、BRADIO、チャラン・ポ・ランタン。彼らのライブ空間に期待

2017年はどんなエンタメが流行る? どんなコンテンツに注目する?どんな新しい世界を期待する?
エンタメステーションの執筆陣が今年の活躍に期待をよせるアーティストを紹介します。

平山雄一が2017年に期待するアーティスト

 昨年のライブシーンから、2017年の有望なニューカマーを紹介することにする。
 2015年12月に新宿ロフトで開催されたイベント“ルビー・チューズデー8”で、僕は初めてONIGAWARAを観た。メインステージの転換時間にバーステージで行なわれるミニマムサイズのライブにONIGAWARAが起用されていた。メンバーは2人。布袋モデルのギターを提げて歌う竹内サティフォと、その脇でラップとガヤを担当する斉藤伸也のユニットで、ライブはバックにトラックを走らせて2人だけでパフォーマンスする。ポップなメロディは覚えやすく、歌詞には独特の世界観があった。ライブ後、楽屋に会いに行くと「平山さん、僕らのことを憶えてないですか?」と逆に訊かれて驚いた。僕が何年か前に取材したバンド“竹内電気”のメンバー2人だったのである。

 “竹内電気”はいわゆるJ-ROCK然としたバンドだったが、ONIGAWARAは楽曲もライブも狙いがはっきりしていて、他バンドときっちり差別化できていた。そしてこの一年、岡村靖幸や小沢健二などに通じるコンセプトを21世紀にアップデートして、アイドルがライブハウスを席巻する時代のユニットとして“新しいライブ”を作り出すトライを続けてきた。

「我々ONIGAWARA 2人だけのワンマンGIG(オニーズJr.もいてくれましたが)を敢行したり、オルタナティブなシングルを3作品もリリースしたり、様子のおかしい1年でした。バンドマン崩れの2人組としてはけっこう挑戦が多かったですね。濃い1年でした」と斉藤は語る。見たこともない楽しいライブを観たいなら、2017年のONIGAWARAに注目だ。1月21日には渋谷O-WESTでワンマンツアーのファイナルが予定されている。

ONIGAWARA

ONIGAWARA

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 BRADIOは年末、Zepp DiverCityを大成功させた。ライブの規模的にはすでにニューカマーとは言えないが、まだまだ一般の認知度は低い。

 70年代のソウルショーをベイスにした、スピーディな展開のライブが売りだ。ボーカルの真行寺貴秋(赤のジャケット)、ギターの大山聡一(緑)、ベースの酒井亮輔(紫)、ドラムスの田邊有希(黄)と4人のキャラクターがはっきりしていて、胸のすくようなパワフルなパフォーマンスが魅力だ。
 そして何より、楽曲が抜群にいい。踊れるアッパーチューンだけでなく、優れたバラードも持っていて、ボーカルの真行寺にはそれらをきっちり歌い切る実力が付いてきた。なのでR&Bファンでなくとも充分に楽しめる。実際、オーディエンスの年齢層の幅は広く、そろぞれがさまざまな楽しみ方をしている点が今後のさらなるブレイクを予感させる。

 2ndフルアルバム『FREEDOM』のリリースが1月スタンバイされていて、この新作を掲げたツアーは赤坂ブリッツをスタートしてファイナルは中野サンプラザの予定。このスケジュールをZepp DiverCityで発表したとき、「席ありだよ~」とひと言、加えていたのが印象に残った。つまり、オーディエンスの性質をしっかり把握していて、今後は椅子のあるホールで勝負しようというのだ。
 もちろんオールスタンディングのライブも見どころは多いが、ホールになると聴きどころ満載のライブになることだろう。一気にメジャーシーンに飛び出しそうな、大物感を漂わせる怪物バンドだ。

BRADIO

BRADIO

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 女性アーティストとしては、チャラン・ポ・ランタンがおススメだ。
 アコーディオンの小春(姉)と、ボーカルのもも(妹)の姉妹ユニットで、タッキー&翼へ楽曲提供(作詞・もも 作曲・小春)をしたり、ももがテレビドラマに女優として出演したり、小春がアコーディオンでミスチルのツアー・サポートに参加したり、なにかとお騒がせな活躍をしている。

 だが、僕が勧めたいのは、彼女たちのライブだ。「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン ツアー2016-17“大衆音楽の手引き”」は今年1月21日に中野サンプラザでファイナルを迎える。チャラン・ポ・ランタンは2人きりでのパフォーマンスをはじめ、さまざまなスタイルでライブを行なうが、女性ばかりで編成されたバンド“カンカンバルカン”とのライブはとてもスリリングで素晴らしい。そんじょそこらの男性ロックバンドが霞んでしまうほど表現力のあるメンバーが揃っていて、個性的なももと小春とのライブでは信じられないような化学反応が起こる。ジプシー音楽やプログレッシヴ・ロックの要素が混じり合っていて、今のバンドシーンで最も音楽性の高いバンドのひとつと言っていいだろう。それでいて、シャンソンの「愛の讃歌」で泣かせてくれるのだから、驚くべき存在だ。

チャラン・ポ・ランタン

チャラン・ポ・ランタン

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 豊富な話題性に比べると、BRADIOと同じく、チャラン・ポ・ランタンもまたライブの魅力の認知度が追い付いていない。要チェックのガールズバンドだ。
 ライブ・アーティストはライブハウスからホールに規模が拡大する時期が、最も旬。前述の3アーティストは、2017年のうちにライブを見ておいた方がいい。

最もライブを観たいアーティストは、ぼくのりりっくのぼうよみとシンリズム

 一方、僕が2017年に最もライブを観たいアーティストは、“ぼくのりりっくのぼうよみ”と“シンリズム”だ。どちらもまだライブに接していないので、なるべく早く観たいと思っている。
 ぼくのりりっくのぼうよみは2016年7月に出した1st EP「ディストピア」が強烈だった。リリックも注目だが、メロディメーカーとしての才能も開花した気配がある。2017年1月には2ndアルバム『Noah’s Ark』が発売されることになっていて、さらに期待が高まる18才だ。
 シンリズムは、自ら作詞・作曲して歌うシンガーソングライターなのだが、ギター、ベース、キーボード、ドラム、シンセ、コンピュータなど一人で全楽器を演奏してレコーディングもしてしまう。今、ニコ動や“歌ってみた”系にはこうした才能があふれているが、シンリズムはこれまでのポップスの文脈にのっとって、優れた音源を作り出せる能力を持ち合わせている。つまり歴史の中で自分がどんな音楽を作っているか自覚している19才だ。
 この2人が今のシーンに同時に存在しているのは、偶然ではないだろう。また2人とも、ライブに積極的だと聞く。このティーンエイジャーのライブを、ぜひ体験してみたいと思う。

 最後に、超先物買いなら、RIRI。このサイトでも“初インタビュー”を紹介したが、ライブを観る限り、高いレベルの歌唱力とコミュニケーション能力を持ち、自分の進路を自分で決定できる規格外の17才だ。

 2017年はどうやら“U-19”に大注目の1年になりそうだ。

文 / 平山雄一

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