ALFA MUSIC LIVE Special  vol. 8

Interview

松任谷正隆インタビュー ALFA MUSIC LIVEを振り返って

松任谷正隆インタビュー ALFA MUSIC LIVEを振り返って

「音楽プロデューサーは何かと問われると、船の船頭かな。僕は船の設計もやるけど、大工も船頭もやってしまう‥‥」(松任谷正隆)

アルファ・ミュージック・ライブ特集のトリを飾るのは、言わずとしれた“マンタ”こと松任谷正隆。
今回のライブでは演出だけでなく、ティン•パン•アレーのキーボードプレイヤーとしても出演した。
キーボード・プレイヤーから編曲家、そしてプロデューサーへと変貌を重ねた松任谷の音楽への知識とスキル、そして冷静な自己分析。
音楽家として譲れないこだわりの一方で、計り知れない彼のバランス感覚に感銘を覚えたインタビューとなった。

ALFA MUSIC LIVEに関して当サイトでは、リハーサルの時からスタジオにお伺いして、扉越しに漏れてくる音を聴いたりしていたんですけど、今回、“通しリハーサル”にもすごく時間がかかったという話を聞いて、単刀直入に松任谷さんが一番ご苦労されたことは、どのようなところでしょうか?

松任谷 リハーサル時間が短かったことです。普通だったら、全部を3倍はやりたいところですけど、それを1/3でやったということじゃないですかね。

あらかじめこうなるだろうなという、短いリハーサルの中でシミュレートしていたことはおありだったんですよね。

松任谷 ありますよ。全部そうですね。例えば、セットに関しても、とにかく当日しか仕込みができないから、簡単に吊れるもの、で変換、3ルック、いや4ルック作ったかな、それくらいのルックであること。で、その中に予算もあるから、とってもALFAらしいオープンリールテープをいくつか・・・あれは新たに作ったけど、それ以外はあり物を使いましたから。
あとは・・ライトニング・コンバースという機械を使い、予めライティングをシミュレーションで全部作っておいてやりました。コンバースで作っても、本当の照明とは最終的に誤差があるので修正しなければいけないんだけど、その修正も最小限で済むような・・・色修正くらいで済むものを考えながら組みました。あとはなんですかね・・・おじいさんばっかりだから(笑)、絶対予定通りに進まないだろうなと。予定通りに進まない時のためにどうしたらいいかということばかりを考えましたね。

危機管理を。

松任谷 危機管理だらけになることは予想できました。僕は、ショーって時間のアートだと思っているので、途中で分断される・・・例えば、セットチェンジが一杯あるから、それで分断されるのが嫌で、ああいう構成にしたんですけど。

プレゼンターを入れて・・・それで転換の時間を待っているという感じにさせないでということですね。

松任谷 そうですね。

終わってみて、ホッとしたところはあるんでしょうか?

松任谷 勿論そのリハーサルを3倍やっていれば、もっとディテールまでいろいろ詰められたと思うけど、やっぱりライブの魅力ってある程度荒削りな部分であったり、なんかそういうことを考えると、これで良かったのかなぁと思ってますけれど。1日目は通しも全部出来ていなかったので、4時間近く全く休憩なかったじゃないですか。それはさすがにお客さんのことを考えられてないよなと思って、2日目は間にトイレに行ける時間を作った・・・

休憩を入れましたね。

松任谷 基本的に僕は一部構成というか、間に何もない構成が好きなんだけど、さすがにやっぱり4時間ではないよなって。そこまで読めなかったのは、リハーサルがあまり出来なかったということだったと思います。

出演者の順番やセットリストは、松任谷さんからまずリクエストしたんですか?

松任谷 そうですね。僕が一番最初にスタッフにお願いしたのは、時系列に並べたいって。最初にALFAが出来て、どういう風に、どういう人たちが時系列上に並んでいったかと。それは割と簡単に決まった。

時間を追っていけば良かったということですね。それには何か意図はあったんですか?ヒストリーを見せるという・・・

松任谷 そうですね、やっぱりこれはヒストリーじゃないとつまらないと。

ちゃんと始めと終わりがあるということで組み立てたということですね。

松任谷 一番最初に「ALFAの歴史みたいなものを書いて下さい」って村井邦彦さんにお願いして、パンフレットに結局したんだけど、あれを書いてもらって。あれを見ながら僕はレイアウトを作っていくつもりでね。でもあれパッと見た瞬間、パンフレットにしましょうよって話に。そしたらそれをタダで、売らないで配るというから(笑)、そりゃ凄いなって思いました。

あれはかなり精密に、村井さんはお書きになってましたよね。

松任谷 うん、だからあのショーって村井さんの想いがあれだけ詰まっているということですよね。

村井さんとの最初の出会いって、どういうものだったんですか?

松任谷 うーん多分、(荒井)由実さんの録音の時だったと思いますけどね。他でもきっと会ったことないと思うな~

アルバム「ひこうき雲」ですか?

松任谷 そうですね。さもなかったら、小坂忠さんのライブレコーディングの時にお会いしてるかもしれない。でもそれはもう覚えてないです。

松任谷さんの場合は、加藤和彦さんが松任谷さんにオーディションの後に連絡をしてきてくれたって。それで、吉田拓郎さんのレコーディングに行かれてたんですよね。

松任谷 そうですね。

それは「結婚しようよ」ですか?

松任谷 はい。

その現場は単純にキーボードプレイヤーとして呼ばれたんですか?

松任谷 そうですね。アレンジャーになっていくのは・・・どうなんだろうな~その後、小坂忠さんと一緒にやるようになって。バンドで一緒にやるようになって、なんかヘッドアレンジのアイデアとかを出すようになって、だんだんとアレンジャーになっていくんです。

今も松任谷さん、絶対音感お持ちですか?

松任谷 今ね崩れてきたんですよ。

そうですか。

松任谷 半音くらい狂いますよ。

この部屋の空調の音とかは?

松任谷 F♯からGの間だと思うけど。

へえ~なるほど。その絶対音感をお持ちになっていることを、アレンジャーとして活かしたことはあるんですか?

松任谷 まあ、便利なことはありますよね。例えば、昔から人に頼まれて、このコードは何?って聞かれても、オリジナルのキーで解るわけじゃないですか。だからパッと書いてあげて。

松任谷さんに聴かせれば、全部譜面にしてくれるよとか、コード教えてくれるよとかということですよね?

松任谷 そうだね、でもそれと音楽的なことは全然関係ないから。解るってことだけだから。

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