『モンハン』で育む家族の絆  vol. 2

Report

『モンハン』の「対戦」でぶつかる父と息子の「こだわり」

『モンハン』の「対戦」でぶつかる父と息子の「こだわり」

公私ともに『モンスターハンター』(以下、『モンハン』)シリーズと歩んできたライターの父親。これまでに培った『モンハン』へのこだわりを武器に、『モンスターハンター ストーリーズ』(以下、『MHST』)の「通信対戦」で息子とバトルした彼は、健闘むなしく負けてしまった(第1回)。リベンジを誓った第2戦。息子に勝ち、さらに絆を深めるべく、父親は特別な対戦ルールで再戦を申し込む。そんな父と子のゲームセッションを父親の立場から語る。今回も、親子の日常に触れてもらいたいため、写真はスナップを多めに掲載した。対戦時の臨場感を少しでも感じてもらえたら幸いである。

文 / wodnet


その名は「くまアシラ」

皆さんは「くまアシラ」というオトモンをご存知だろうか。『MHP 3rd』で初登場した牙獣種モンスター「アオアシラ」と、熊本県が生んだ大人気のゆるキャラ「くまモン」が、『MHST』で異色のコラボレーション中なのだ。

▲アオアシラと姿形はそっくり! 全身が「黒」、ほっぺが「赤」になるだけで一気にくまモンに見えてくる

▲アオアシラと姿形はそっくり! 全身が「黒」、ほっぺが「赤」になるだけで一気にくまモンに見えてくる

この「くまアシラ」を手に入れる名目で、ボクは息子にリベンジマッチを申し込むことにした。これが2017年「狩始め」ならぬ「乗始め」である。いつもはハンターとなって新年の狩りをするところだが、今年はライダーだから乗始め。これには息子も乗り気になってくれて、年末から準備に取りかかってくれた。

正直なところ、第1戦は父の完敗だった。息子のオトモンはどれもコンセプトがはっきりしていて、まるでボクの育てているオトモンたちの情報が筒抜けであるかのように、弱点を容赦なく突いてくる印象だった。……あれ? 待てよ。そういえば普段から何の気なしに「とうちゃん、今は何(のオトモン)使ってるの?」なんて質問を頻繁に投げつけられていた気がする……。む、息子めぇ。さり気なく且つ大胆に、ボクのオトモンをリサーチしていたとはっ!

とまぁ、これを書きながら今更のように気づいた間抜けな父なわけだけど、第2戦は息子の好きにはさせまいと、ボクは「特別な対戦ルール」を採用することにした。それと「くまモン」が大いに関係しているのだ。

対戦ルール「くまモン」

『MHST』には豊富な対戦ルールが用意されている。現在も続々とダウンロードで新ルールが追加されていて、さまざまな形式のバトルが楽しめる。その中でも比較的初期に追加された対戦ルールが、この「くまモン」だ。

▲対戦のルールを選択する画面。コメント設定で「カケラ集め中です」といった対戦の目的を相手に伝えることもできる

▲対戦のルールを選択する画面。コメント設定で「カケラ集め中です」といった対戦の目的を相手に伝えることもできる

対戦ルール「くまモン」では、牙獣種と呼ばれるオトモンのみでパーティーを構成し、ライダーとオトモンのレベルは30に統一される。このルールで対戦を行うと、特別なオトモンの「タマゴのカケラ」が集まり、ゲーム内でカケラを組み合わせることでオトモン「くまアシラ」が手に入るのだ。ボクはこの「くまモン」ルールにさらに「お互いのオトモンを1頭も被らせない」という独自ルールを追加した。すると息子は真っ先にこう宣言してきた。

「じゃあ、こっちはケチャワチャ亜種とババコンガ亜種ね!」

『MHST』には7種類の牙獣種(くまアシラを除く)が存在するのだが、息子はその中に2種類しかいない「亜種」オトモンを、ことごとく先取りしようとした。理由は明らかで、本家ハンティングアクションの『モンハン』シリーズでもそうであるように、「亜種」はひと癖もふた癖もあって、要するに「強い」存在なのである。

息子が見せる「こだわり」の片鱗

何年か前にも似たようなことがあった。プレイステーション・ポータブルの『アイルーでパズルー』で息子と対戦した時のことだ。いわゆる落ちモノのパズルゲームで、積み上げたジェムを消して相手にダメージを与える。プレイヤーは、アイルーたちののんびりとした暮らしを楽しむ『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』(以下、『アイルー村』)に登場する個性的なアイルーの中からひとりを選んで対戦する内容だ。

アイルーによって使える必殺技が異なり、ジェムを消しやすくするものやピンチを脱出できるものなどさまざまあるのだが、息子はなぜか「相手の邪魔をする」必殺技を持ったアイルーばかりをよく選ぶ傾向があった。最初は「子どもはやっぱりイタズラ好きなんだなぁ」なんて考えたけど、今にして思うと「相手を打ち負かしたい」という気持ちが純粋に現れていて、むき出しの攻撃性といった感じだ。その「強さ」への「こだわり」が今も息子には色濃く残っている。ボクは、彼のオトモンの選びかたを見てそう感じたのだ。

▲ボクと妻が遊んでいるのを眺めるだけだった息子が、本格的に参加できた『モンハン』シリーズのひとつ、『アイルーでパズルー』

▲ボクと妻が遊んでいるのを眺めるだけだった息子が、本格的に参加できた『モンハン』シリーズのひとつ、『アイルーでパズルー』

我ながら大人気ないが……これがボクの「こだわり」

そんな息子の「亜種」先取り作戦なんて無論許すはずがない。独自ルールを追加したのも、放っておいたら息子は強くて厄介な「ケチャワチャ亜種」を3頭用意してくると思ったからだ。というわけで父と息子は、交互にオトモンを選び取って1週間後の対戦に向けて備えることになった。父はアオアシラ、ケチャワチャ、ババコンガ亜種を、息子はウルクスス、ババコンガ、ケチャワチャ亜種を選んだ。

ボクはこの時つい不敵な笑みを浮かべてしまった。息子は普段から飛竜種や獣竜種のオトモンの話ばかりしている。きっと牙獣種オンリーの対戦ならボクとそう大した差は生まれないはず。だから勝機はある。……あぁ、もちろんわかっているさ。小学生の息子に対して、ボクが相当「大人気ない」ってことは十分わかっている! でもこれがボクの、父としての「こだわり」なのだ。息子といい勝負をしたい。いい勝負の中にこそ、息子を成長させ、絆を深める熱いセッションが生まれるはず!

いざ新年、リベンジマッチ

わずか1週間。ボクはすでに手に入れていた3頭のオトモンに急場しのぎで絆遺伝子を伝承させてその日を迎えた。一方の息子はといえば……むむ? どうもオトモンの様子がおかしい。ウルクススはやや赤みを帯びているし、ババコンガもケチャワチャ亜種も色味が違う。「もしや……!?」。ボクは気づいた。そして戦慄した。息子のオトモンが、ガッチガチに強化されていることに!

オトモンにさまざまな絆遺伝子を伝承させて属性が変化すると、火・氷・水・雷・龍の各属性に合わせて体の一部が変色する。息子のウルクススが赤みを帯びていたのは、元々氷属性なのに火属性に変わっていたからだ。今回の対戦に向けて、ボクと息子はオトモンのドラフト会議を行った。当然のことながら、ボクが使う3頭のオトモンは息子に知られてしまっている。明らかにその弱点を突く属性を揃えて、息子は自分のオトモンを仕上げてきたのだ。

▲向き合って座り、お互いの表情を見ながら対戦するのが我が家スタイル。つぎに何を仕掛けてくるか、会話で引き出しあう駆け引きも

▲向き合って座り、お互いの表情を見ながら対戦するのが我が家スタイル。つぎに何を仕掛けてくるか、会話で引き出しあう駆け引きも

いざリベンジマッチがスタートすると、やはり父の不安は的中した。ボクの使うアオアシラとケチャワチャの弱点「火属性」を、息子のオトモンたちが的確に突いてきた。

ウルクススはイャンクックの「火球」だけでなくグラビモスの「拡散熱線」を放ち、氷上を滑走する火車の様相。ババコンガはブラキディオスの「粘菌スタンプ」を覚えて火属性攻撃を強化し、元から使える「悪臭」も合わせて状態異常のデパート状態。そして、ケチャワチャ亜種は「乱れ粘炎液」で火属性攻撃をしつつ、ボルボロス亜種から伝承した氷属性攻撃の「雪飛ばし」まで駆使してきた。あまりの火属性攻撃の応酬に耐えかね、ボクがアオアシラとケチャワチャを引っ込ませてババコンガ亜種を出したところを、今度はその弱点である「氷属性」で対応しようという算段。……もはや「お見事!」としか言いようがない。息子の読み勝ち状態だ。

▲ウルクススがグラビモスの「拡散熱線」を放つ!? 絆遺伝子を活用し、意表を突くオトモンを育成できるのが本作の醍醐味だ

▲ウルクススがグラビモスの「拡散熱線」を放つ!? 絆遺伝子を活用し、意表を突くオトモンを育成できるのが本作の醍醐味だ

しかし……父の逆襲が始まる!

このままでは今回も父の惨敗……。しかし、ボクにはとっておきの秘策があった。ズバリ「おれにまかせろ作戦」だ。本作は、プレイヤーの分身であるライダーもバトルに参加する。息子ライダーは、汎用性の高い片手剣でさまざまな場面に対応するスタイル。一方のボクは「ハンマー」だ。このハンマーという武器、じつはオトモンの攻撃にも劣らない「攻撃力の高さ」が魅力なのだ。

そう、ここで父がとった作戦とは、オトモンをオトリにしてライダー自身が攻撃の要になる、というもの。ババコンガ亜種の使える「腹ガード」というスキルで1ターンのあいだ相手の攻撃を無効化しているうちに、ボク自身がハンマーで息子のオトモンをボコスカ叩きまくった!

▲「ガッツラッシュ!」から「ガッツフィニッシュ!」までの4つのハンマースキルが父ライダーの奥の手。パワー・テクニック・スピードの三すくみも自由に選べるので、相手オトモンの行動にかぶせることができる

▲「ガッツラッシュ!」から「ガッツフィニッシュ!」までの4つのハンマースキルが父ライダーの奥の手。パワー・テクニック・スピードの三すくみも自由に選べるので、相手オトモンの行動にかぶせることができる

ボクは初めて息子の冷や汗を見た。「おれにまかせろ作戦」が完全に息子の虚を突いたのだ。対戦ルール「くまモン」もボクに味方して、レベル30制限で少ないHP(体力)にハンマーの強烈な一撃が脅威となった。そしてなんと、負け続けていたこのボクが、息子から2連勝をもぎとった!

だが、息子はすぐに対応してきた。「こんなこともあろうかと……」なんて偉そうなセリフを吐きながら、父ライダーの特技を封じ、細かいダメージを与えてハンマーによる攻撃を警戒してきた。ハンマーのスキルは、威力が高い代わりにライダー自身のHPが減っているとミスしやすいというリスクがあるのだ。

新年の「乗始め」は、そんな父と息子の攻防戦が幾度となく繰り返される展開となり、勝敗数では息子に軍配が上がったものの、要所で父の鮮烈な勝利も光った。やがて、「くまアシラ」を手に入れるためのカケラ集めも無事に達成された。

▲このように9つの特殊なカケラが揃ってタマゴが完成! ふ化させて、いよいよ「くまアシラ」とご対面だ

▲このように9つの特殊なカケラが揃ってタマゴが完成! ふ化させて、いよいよ「くまアシラ」とご対面だ

「くまアシラ」誕生、そして

父と息子は、お目当てのカケラを同じタイミングでゲットし、第2戦は幕を下ろした。二人は対戦で高揚した気分もそのままに、そそくさとゲームの中の厩舎に向かう。「くまアシラ」をふ化させるためだ。さっきまでガチンコで「対戦」していた父と息子だが、それはオトモン「くまアシラ」を手に入れるための「協力」でもあった。そこで間髪入れずに息子が言う。

「くまアシラで対戦してみよーよ!」

もしかしたらそれは、ただ単にいつまでもゲームで遊んでいたい息子のズル賢い誘いだったのかもしれない。あるいは、手に入れた「くまアシラ」の「強さ」をいち早く確かめたい一心の誘いだったのかもしれない。二人は再び対戦し、「くまアシラ」のスキルや絆技を見て驚きを共有した。ああでもないこうでもないと、「くまアシラ」の育成についても語った。そしてその日の夜。湯船にいっしょに浸かっていた時、息子は驚くべきことをさらっとボクに言ったのだった。

「くまアシラさ、とうちゃんの作戦にピッタリかもね」

どうやらボクは勘違いしていたみたいだ。息子はすでに『アイルーでパズルー』の時に見せた「相手を打ち負かすこと」にこだわるだけの息子ではなかった。今回ボクが見せたハンマーの立ち回りを踏まえ、ボクの身になってボクに適したオトモンや絆遺伝子の選択を助言し始めたのだ。たしかにそれは、依然として「強さ」を追い求める「こだわり」なのかもしれない。だが、息子もきっと父と同じ「こだわり」に気づいたのだとボクは信じている。いい勝負の中にこそ……だ。

▲「くまアシラ」の絆技。その名も「くまもとサプライズ」。相手全体にダメージを与えつつ、自分たちも強化する珍しいタイプの絆技だ

▲「くまアシラ」の絆技。その名も「くまもとサプライズ」。相手全体にダメージを与えつつ、自分たちも強化する珍しいタイプの絆技だ

父と息子はその日、いつもよりちょっとだけ……いや、妻にブーブーと文句を言われてしまうほど対戦に没頭していた。まぁ息子の成長が垣間見えたんだ。ちょっとくらいはボクの「こだわり」に免じて許してもらおうと思う。

モンスターハンター ストーリーズ

モンスターハンター ストーリーズオフィシャルサイトhttp://www.mh-stories.jp/

©CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.
©CAPCOM CO., LTD. 2016 ALL RIGHTS RESERVED.
©2010熊本県くまモン


モンスターハンター ストーリーズ

モンスターハンター ストーリーズ 公式ライダーズガイド

株式会社カプコン (著) 双葉社

vol.1
vol.2
vol.3