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本物の歌声に出会った。Little Glee Monsterに魅せられて

本物の歌声に出会った。Little Glee Monsterに魅せられて

広く“リトグリ”と親しまれ、人気を博している、平均17歳の女子高校生ボーカル・グループ、Little Glee Monster。2014年のメジャー・デビュー以降、 TBS系金曜ドラマ『表参道高校合唱部!』の主題歌「好きだ。」をはじめ、数々のCMソング等にも抜擢、2016年に発表した1stアルバム『Colorful Monster』はオリコンチャートで2位を記録するなど、たしかな実績を残している。今年1月6日にアルバム『Joyful Monster』をリリース、1月8日には初の日本武道館でのライブを敢行、大成功に収め、その実力を遺憾なく発揮した彼女たちを、音楽評論家・小貫信昭氏が考察する。


文 / 小貫信昭


時代の要請──彼女たちはハーモニーに、日常の中でなくしかけている大切なものを、聴き取ろうとしているのではなかろうか

『めざましどようび』の新テーマソング、Little Glee Monsterの「春夏秋冬」。サビのところの「うぉううぉううぉううぉ~」を、ふと気づけば口ずさんでいた朝。外はまだ寒く、春の姿は見えないけど、その歌声で、心の“歩幅”が広がった気がした。モノクロの景色に、色を与えるかのようなハーモニー。これぞ音楽の、歌の力だ。彼女たちに「ありがとう」を言いたくなった。

Little Glee Monster

とはいえ、6人の存在を知ったのは、ごく最近なのである。多くの方たち同様、キッカケは彼女たちが出演し、昨年放送されたソニー損保のCMだ。最初は失礼ながら、素人の女の子たちが曲に合わせて当て振りしているんだと思った。しかし彼女たちはグループとして実在し、流れていたのも本人たちの歌声であることを知った。

Little Glee Monster

芹奈

バイオグラフィ的なこともわかってきて、歌が上手な女の子たちのオーディションを、見事勝ち抜いた精鋭たちというのにワクワクした。このグループなら、ボーカリストとしてトップレベルの日本の女の子たちが、どれだけポップ・ソングが上手なのかという、基準を示すこともできるかもしれないと思ったわけだ。

Little Glee Monster

アサヒ

女性グループが多い今の音楽シーンの中でも、いそうでいなかったのが彼女たちのような存在だ。多くが“ダンス・ボーカル・グループ”なのに対して、Little Glee Monsterは歌に主軸を置いた、正真正銘の“ボーカル・グループ”である。ゴスペラーズの面々も彼女たちのことを認め、親交もあるというが、彼らが認めるというのは、非常にわかる気がする。

Little Glee Monster

麻珠

これまで3枚のアルバムをリリースしている。幅広い選曲のインディーズ盤『Little Glee Monster』は、アメリカの映画『ハイスクール・ミュージカル』挿入歌から昭和歌謡まで、実に幅広い選曲だ。そして、まさに始まりのワクワクを込めた1stアルバム『Colorful Monster』を経て、1月6日にリリースされた最新アルバム『Joyful Monster』へと至った。

Little Glee Monster

MAYU

じっくり聴いてみたが、素直に「いい曲だな」と思える作品が多かった。歌詞は高校生である自分たちの“今”をリアルに奏でるテーマが中心だが、子供以上大人未満の微妙な心情を描いていたり、1stアルバムとは違った表情も出てきている。曲調はアッパーからバラードまで多彩。もちろんタイトルに“Joyful”とあるように、自分たち自身、音楽を楽しむ気持ちは忘れずに制作されたものなのだろう。なお、初となる英語詞のオリジナルもあり、いずれは世界で活躍したいという夢を、しっかり見据えたアルバム作りとも言える。英語の発音も、自然なものに思えた。

Little Glee Monster

かれん

大好きになったのが「私らしく生きてみたい」だ。この曲の“自分自身”を精一杯生きようとする強いメッセージと、サビへ向かう突き抜け感というか達成感というか、聴いているうちにやがて包まれる多幸感はハンパない。しばらくこの曲、耳から離れそうにない。さらに個人的に、〈カバーCD付き通常盤〉の〈Disc2〉で、僕がずっと取材してきている小田和正の「たしかなこと」をカバーしているのにも注目した。なかなか高校生が歌って様になるとは思えなかったが、いや驚いた。この歌は“こう在るべき”という、ひとつの答えに届きさえすれば、歌う人の年齢というのは、特に関係ないものなのだということを知った。

Little Glee Monster

manaka

実は『Joyful Monster』を聴いてすぐ、彼女たちを生で観るチャンスに恵まれた。武道館へ行ってきたのだ。九段下の駅からエスカレーターで上っていくと、途中の壁に彼女たちの大きなパネルが設置されていた。それを見つけてファンの人たちは大歓声。ライブはすでに、この時点から始まっていた。もちろん会場はものすごい熱気。オープニングから鮮やかな演出が冴え、終始、総合的な音楽エンターテインメントとして楽しんだ。曲によっては、ダンスにも積極的に挑戦していた。日頃のレッスンの成果も充分に出ていた。

Little Glee Monster

芹奈とアサヒと麻珠とMAYUとかれんとmanakaの6人の、それぞれのボーカリストとしての特色を、つぶさに言い当てるほどの認識はまだ僕にはない。しかし、例えば同じシャウトにしても、しゃがみ込むほどのアクションのメンバーがいるかと思えば、背筋をすっと伸ばすような仕草が自分には合ってることを知っているメンバーもいて、それらを観察しただけでも、よりこのグループを味わい深く思ったものだった。全身で歌ったとき、ふと出る仕草こそが、ボーカリストにとって、音楽の神様から贈られた最高の“振り付け”なのだろうと、そう信じている。あと、彼女たちのアカペラは本物だ。途中、メドレーをやってくれたが、こればかりは“聴いた”というより、その場の空気感も含め“体験した”と表現したいくらいの臨場感だった。早い話、ゾクゾクした。

Little Glee Monster

最後にちょっと畏まった感じになるけど、“時代の要請”ということを書いておく。Little Glee Monsterが注目されるのは、もちろん本人たちやスタッフのみなさんの努力あってのことだろうが、“時代の要請”でもある気がするのだ。人と人が直接気持ちを通い合わせる機会がどんどん減っていっている今の時代にあって、彼女たちのハーモニーというのは、それなくして成り立たないものだろうし、事実、時間があれば楽屋でもどこでも、みんなで集まって、彼女たちはハーモニーの練習をしているという。そこに私たちは、私たちが日常の中でなくしかけている大切なものを、聴き取ろうとしているのではなかろうか。

Little Glee Monster

2月10日からは春のツアーがスタートする。武道館でも新作から歌ってくれていたが、『Joyful Monster』の全貌は、次のツアーで披露してくれることだろう。個人的には今回のアルバムに入ってる「青春フォトグラフ」のバラード・バージョンも、ぜひ生で聴いてみたいものである。

Little Glee Monster

Little Glee Monster

芹奈、アサヒ、麻珠、MAYU、かれん、manaka。2014年10月29日にシングル「放課後ハイファイブ」でメジャー・デビュー。その前より注目を集め、『スッキリ』(NTV)、『めざましテレビ』(CX)や、大型夏フェスでの歌唱、多数の著名アーティストとの共演を果たす。2015年9月にリリースしたシングル「好きだ。」が TBS系金曜ドラマ『表参道高校合唱部!』主題歌に抜擢。2016年秋には日比谷野外音楽堂、大阪野外音楽堂公演を開催。2017年1月6日にアルバム『Joyful Monster』、1月8日には〈Live in 武道館〜はじまりのうた〉を開催、成功に収める。2月10日より〈リトグリライブツアー2017 ~Joyful Monster~〉を敢行。

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