Interview

<潔>高良健吾&<栄輔>松下優也の“男の絆”対談。『べっぴんさん』に生きる2人の再会

<潔>高良健吾&<栄輔>松下優也の“男の絆”対談。『べっぴんさん』に生きる2人の再会

NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』で、ヒロインの〈坂東すみれ〉の父が築いた〈坂東営業部〉を戦後に再建し、新ブランド〈オライオン〉を立ち上げた〈野上潔〉役の高良健吾と、彼を支えながらもある日、突然姿を消した〈岩佐栄輔〉を演じる松下優也
男性キャスト13名が勢揃いした〈ファン感謝祭~THE男会~〉が開催された1月14日は、〈栄輔〉が10年ぶりに〈すみれ〉の娘〈さくら〉の前に現れた91話目が放映された当日。兄貴分と弟分という関係からライバル会社の社長として再会した2人にイベント終了後に話を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 冨田望


〈潔〉は闇市の頃からずっと、〈栄輔〉に支えられてた

ファン感謝祭の壇上で、撮影初期の頃の話をしていましたね。

松下 高良くんに「普段がめっちゃ気になるわ。興味ある」って言われたのを覚えてるんですよね。

高良 「どういう人なんだろう?」と思ったんです。優也が着てる服は僕が好きなものだったので、「普段、どういう音楽を聴いてるのかな?」とか、アーティストだから、「どういう生活してるのかな?」と。僕の中ではクールなイメージがあったので、すごく気になったんだと思います。最初は、優也、ツンとしてたしね(笑)。

松下 あはは。いや、こういう先輩って、素晴らしいなと思いましたね。僕は相手に興味があっても自分からは話しかけられないタイプなんですよ。だから、高良くんがそう言ってくれたことは、優しさだと思ったんです。そもそも全然慣れない現場で、溶け込めるのかなっていう不安もあって。すごくやりやすい環境にしてくれたことが、嬉しくて。それに僕も、高良くんがどんな音楽を聴いてるのか知りたかったし、ファッションもきっと似てる部分があったりするんだろうなと思ってたので。ただ、興味があったにせよ、自分からはどうしても行きにくくて……(苦笑)。

高良 僕も以前は優也っぽくて、自分からはガンガン行かなかった人間だったと思うんです。20代前半から中盤は全然行けなかったけど、30歳手前になって、自分が気になったり、興味を持った人とは話したほうがいいと思うようになって、変わったんだと思います。ただおとなしくいるだけは、クールじゃないなって。

松下 僕は、正直、何も考えてない(笑)。空気を読んじゃうと話されへんなと思ってしまうんですよ。結構、僕はクールって思われがちやし、「なんか近づきにくい」って言われることもあるんですけど、実はそんなこともなくて。喋りかけてもらったらたくさん喋るし、自分も喋りたいと思ってるんです。だけど、話しかける前にいろいろ考えちゃうんですよね。それぞれのテンションの差があるから、こっちは話したいテンションでも、向こうは役作りに入り込んでるかもしれない。次のシーンはこうだから、今は話しかけないほうがいいのかな、とか。

高良 優しいんですよね。

松下 考えすぎると行けなくなる。躊躇しちゃうんです。しかも、そんなふうに考えすぎてる自分がダサいな、ちっちゃいなと思って、結果、もういいやってなっちゃう(笑)。

高良健吾

相手の気持ちを考えるってことですよね。そんな2人が打ち解けたきっかけは?

高良 音楽の話かな。ヒップホップの話をして。お互いの趣味の話だったと思います。

松下 ドラマと関係ない話は、たいてい、音楽かファッションの話ばっかりですね。あと、お互いにお酒をそんなに飲まないっていう共通点もあって。僕はそれが意外だったんですよね。めっちゃ飲めると思ってたから。

高良 みんなにそう言われます(笑)。九州出身なんで、注がれたら絶対に飲むんですけど、自分からは飲みには行かないです。だから、みんなでご飯に行ったときも、僕らは注がれるから飲むだけで。ただ、そのあとは、潰れちゃうっていう(笑)。

松下 周りもシラフのときはそれをわかってると思うんですけど、酔っ払うとそんなの関係なくなっちゃいますからね。

松下優也 高良健吾

(笑)また、高良さんはお年玉として後輩に洋服をあげたっていうエピソードもありましたね。

高良 大掃除をしてたら、いろいろと出てきて。「これ、あの子に似合うな」「優也はこれが似合うな」というのが自分の中にあっただけで、お年玉っていう感覚ではないんですよ。

松下 まさかくれると思ってなかったからびっくりしました。僕はコートとパンツとデニム、それにキャップまでもらって。自分もたまに後輩に着てない服をあげたりするんですけど、先輩から服をもらったことがなかったから、新鮮な感じがして嬉しかったですね。それができる心意気がすごいなって。僕はやっぱり、考えすぎてできないです(笑)。

あはははは。そこでも、やっぱり考えちゃうんだ。

松下 「これ、もらったけど、あんまり着ないかな」って思われたら嫌だなって思うと、あげられなくなっちゃう。気を遣わせたくないから。

高良 僕の場合は自信がある(笑)。これ、絶対に似合うなって。

松下 中島(広稀)くん、今日、高良くんにもらった帽子をかぶってましたよね。

高良 うん。

松下 ホントに嬉しいですよね。ただ、ひとつ言わせてもらうとするならば、持ってきてくれた袋の底が破けてた(笑)。

松下優也

(笑)ファッションの話が出ましたが、劇中では1960年代に入りました。当時のファッションについてはどう感じてます?

高良 かっこいいと思います。やっぱり、流行は繰り返すというけれど、ちょうど今、当時のファッションがすごくカッコよく見えますよね。スーツも、今の自分の気分はこっちだなと思います。シュッとしてるよりも、ストンとしてるほうが、2017年の僕にはしっくりきてます。

松下 純粋にすごい時代やなって思いましたね。僕も〈エイス〉の社長として戻ってきた〈栄輔〉をやるにあたって、当時の本を読ませてもらったんです。インターネットが普及してる今でこそ、海外のものを取り入れるのは簡単だけど、当時、日本という島国で、アメリカの大学生の最新ファッションを持ってきて広めた方たちのパワーはすごいなと思って。情報がないなかで、これだけおしゃれな人たちがいっぱいいるのもすごいなって思いましたね。

高良 ファッションにしても、音楽にしても、自分の足で行って、自分の目で見ないと出会えないものたちだからね。僕たちはもう、スマホ1台あれば知れちゃうけど、当時の人たちは自分の目で、足で、耳でちゃんと出会いに行ってたのはすごいなと思う。それがその当時の人たちの豊かさであり、パワーであるような気がしますね。

松下優也 高良健吾

松下さんは第16週目に若者のカリスマとなって帰ってきました。オンエア上は2ヵ月ぶり、劇中では10年ぶりの再登場となります。お互いに再会したときはどんな心境でいましたか?

高良 僕たちはあまりにも変わっていて。〈栄輔〉は〈エイス〉という自分の会社を提げて帰ってきたし、〈潔〉への態度もまったく違う。だけど、〈潔〉としては、嬉しさがありましたね。野垂れ死んでいるよりは、あれだけ大成功して目の前に現れてくれたことが良かった。僕は嬉しかったです。申し訳なかったから。

申し訳ないけど、嬉しかったというのは?

高良 〈潔〉は闇市の頃からずっと、〈栄輔〉に支えられてたんですよね。〈栄輔〉が代わりにいろいろやってくれていたところがあるのに、〈紀夫〉くんが帰ってきてからは、〈紀夫〉くんや〈坂東営業部〉に向かい過ぎて、〈栄輔〉の気持ちに気づいてあげられなかった。そこに対しては、「ごめんね」というのがあるんです。だから、久しぶりに再会できることが素直に嬉しいっていうだけでなく、申し訳なさのほうが強い。本当に「ごめん」っていうほうが大きかった。

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