原田泰造xコトブキツカサの<試写室噺(ばなし)>  vol. 6

Column

原田泰造とコトブキツカサが『マグニフィセント・セブン』で戦う7人に男泣き

原田泰造とコトブキツカサが『マグニフィセント・セブン』で戦う7人に男泣き

世界的名作『七人の侍』、その西部劇バージョンといえる『荒野の七人』。偉大な2作品の系譜を受け継ぎ、アクション超大作としてリメイクされた『マグニフィセント・セブン』。
力なき村人の頼みを受け、立ち上がる7人のガンマンたち。軍隊並みの人数と武器を誇る敵を前に、拳銃、斧、ナイフ、弓矢などそれぞれの武器を手に命がけの戦いに挑んでいく姿は問答無用でアツくなること必至。伝統的でありながら革新性にも満ちた西部劇アクション大作について、原田泰造さんとコトブキツカサさんが語り尽くします

メイン写真 / (l to r) Vincent D’Onofrio, Martin Sensmeier, Manuel Garcia-Rulfo, Ethan Hawke, Denzel Washington, Chris Pratt and Byung-hun Lee star in MGM and Columbia Pictures’ THE MAGNIFICENT SEVEN.


いろいろなものを乗り越えた友情や戦う気持ちがよりアツく感じられますよね

コトブキ 年末年始は旅行に行ってらしたとか?

原田 ニューヨークに行ってきたんだよ。初めてだったから、自由の女神とかセントラルパークとか観光コースを回って、タイムズスクエアのあたりとか、もう『バードマン』の世界だなって思った。

コトブキ 海外旅行で有名な場所に行くと、ここ映画に出てきたとか考えちゃいますよね。

原田 カーネギーホールの周辺のホテルに泊まっていたのだけど、『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』を観たばかりだったから感激したよ。あの映画、良くなかった? マダム・フローレンスが、最後にカーネギーホールで歌を発表するとき、ずっと持っていた鞄から遺言書みたいなものを取り出すシーンで泣いちゃった。メリル・ストリープって改めてすごい役者だなって思ったね。

コトブキ メリル・ストリープは、今回のゴールデングローブ賞でのスピーチが話題になってましたけど、ああいう場所で主張するところもすごいですよね……。で、ガラっと変わって今回は『マグニフィセント・セブン』がテーマなんですけど、泰造さんは西武劇はお好きですか?

Chris Pratt stars in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures and Columbia Pictures' THE MAGNIFICENT SEVEN.

Chris Pratt stars in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures and Columbia Pictures’ THE MAGNIFICENT SEVEN.

原田 映画館ではあまり観たことはないんだけど、僕らの世代は子供の頃からテレビでよくやっていたから馴染みはあるよね。

コトブキ 僕がリアルタイムで体験した大好きな西部劇は、クリント・イーストウッドの『許されざる者』とかですね。あと、西部劇って、最近になってオマージュしたような作品が増えてきたじゃないですか。クエンティン・タランティーノの『ジャンゴ』とか『ヘイトフル・エイト』を筆頭に。セス・マクファーレンの『荒野はつらいよ』とか。

原田 イーストウッドもいいけど、チャンスがあったらジョン・ウェインを観たらいいと思うよ。

コトブキ ジョン・ウェインですか! かなり昔に観たのであまり覚えてないんですよね。

原田 僕もそう思ってたの。なんでこの人をみんなすごいって言うんだろうって。でも大人になって観てみたらジョン・ウェインって、すごいカッコいいんだよ! 役者としてすごい存在感があって、男が憧れないでどうするみたいな雰囲気が満ちていてね。みんなが言うだけの貫禄があるなって思った。

コトブキ ジョン・ウェインみたいな王道があるからこそ、イーストウッドはそのカウンター的なカッコよさなんですね。『マグニフィンセント・セブン』の原作となった『荒野の七人』は観てます?

原田 それがあんまり覚えてないんだよね……。その原点の『七人の侍』は何度も観てる。これも大人になってからビデオで観たんだけど、最初、農民たちのセリフから始まるじゃない。もうあの時点で、彼らが何を喋ってるのかわからないんだよね。

コトブキ セリフが聞き取りづらいんですよね。

原田 最初に観たときは、芸人でなんとか食えるようになった頃で、次の日も仕事で朝早くて。だからちょっと観てから寝ようと思って観始めて「何を喋ってるのかわからないなぁ」って思ってたらすぐに夢中になって、そこから最後までモニターの前から動けなかったくらい、すごかった。本当に衝撃を受けた作品。特に三船敏郎さんがカッコよくてね! 志村喬さんも、あの侍も……いや7人全員が良かった。あれだけ強烈なものを観てしまったから、『七人の侍』へのオマージュって言われても、やっぱりオリジナルには勝てないって思っちゃうよね。でも、この『マグニフィセント・セブン』の監督は『七人の侍』が大好きなんだなっていうことはすごく伝わってきた。

コトブキ ほんとにそう! 思った以上に『七人の侍』なんですよね。こういう原案がある作品って、監督がどうしても自分の色を入れたがるじゃないですか。『七人の侍』『荒野の七人』という偉大な作品と勝負するのは難しいから、ちょっとハズしたアプローチとかをしそうなのに、正々堂々と作っているというか、わりと忠実でしたよね?

原田 すごく忠実。7人が、自分のためじゃなく民衆のために戦うっていうテーマも含めてね。

Haley Bennett and Chris Pratt in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures and Columbia Pictures' THE MAGNIFICENT SEVEN.

Haley Bennett and Chris Pratt in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures and Columbia Pictures’ THE MAGNIFICENT SEVEN.

コトブキ 僕は最も涙腺が緩むのが、自分のためでなく誰かのために犠牲になる、みたいな映画なんですよ。だからこういうタイプの作品はグっときてしまう。

原田 僕、『ダイ・ハード』でもそうなる。ジョン・マクレーンは、自分や家族のためだけじゃなく、たまたまその場にいたから、しょうがない、やるしかねぇって頑張るじゃない。そこが泣けるんだよね。

コトブキ 今作も同じテーマですよね。そこで軸になるのは、なんといっても主役のデンゼル・ワシントンの存在感ですよ。いつもよりアップが多いような気がしましたけど(笑)。

原田 たしかに多かった(笑)。でもやっぱりデンゼル・ワシントンはボスの風格があるよね。画面に出てきたときから、このポジションで輝く人なんだなって思った。そのデンゼルがたまたま出会った村人の未亡人の頼みで命を賭けて悪党退治をしていくわけじゃない。そこでひとつ思ったのが、あの村人の女性がちょっと色気ありすぎなんだよね。

コトブキ たしかに胸元がザックリ開いてたりして、セクシーでしたね。

原田 7人のガンマンたちが正義のために戦ってても、観客が「この女性の色気にやられてんじゃないの?」って思っちゃったら彼らがかわいそうだなって(笑)。

コトブキ それはあるかもしれない(笑)。あの未亡人はクリス・プラットが演じるギャンブラーと、ちょっといい感じになるのかなと思ったんだけど、ロマンスには発展しないんですよね。そこで“女のために”ってなったら、たしかに世界観がブレますもんね。主役の7人がみんな男くさいんで、あのぐらいの色気を入れたくなったんじゃないですかね。イ・ビョンホンとイーサン・ホークのコンビなんて男くささがすごかったじゃないですか。イ・ビョンホンはたくさんハリウッド映画に出ているけど、今回の『マグニフィセント・セブン』はお客様感はなかったですよね。存在感もあって。

原田 違和感なかったし、カッコよかった。充血した目がヤバそうな雰囲気を出してて、迫力あるんだよね。それに、あのネイティブ・アメリカンの戦士もすごく強くて頼もしかった。なぜ彼が仲間に加わったのか、いまいち理由がわからなかったけどね(笑)。

コトブキ アイツは確実に戦闘能力の平均値を上げてましたよね。すっごい働いてた。ハンターのオジサンも、最初はどうかと思ったけど、戦闘になるとすごい強かったですね。

Denzel Washington stars in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures and Columbia Pictures' THE MAGNIFICENT SEVEN.

Denzel Washington stars in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures and Columbia Pictures’ THE MAGNIFICENT SEVEN.

原田 『七人の侍』もそうだったけど、ひとりひとりのキャラクターとか、登場シーンがやっぱり面白いよね。仲間になるくだりとかさ。

コトブキ でもこうしてみると、今回の7人は人種の多様性をちゃんと出してますよね。アジア人もブラックもメキシカンもいて、ダイバーシティなんですよ。逆にこれを白人で揃えてたら「白すぎる」って抗議がくるかもしれない。

原田 まさに、今のハリウッドというか、アメリカを表してるキャスティングなんだろうね。

コトブキ 7人が全部カッコいいんですけど、僕がいちばん興奮したのが馬なんですよ。『七人の侍』も馬のアクションが一番絵になるじゃないですか。スクリーンで馬が跳ねてるとなんか興奮しちゃうんですよね。いろいろ武器やガジェットも出てきますけど、個人的には馬一頭でも充分ですよ。

原田 今回の映画で、敵側の秘密兵器で出てくるガトリング砲がすごくなかった? あんなに距離が遠くてもすごい威力で。あれ無敵すぎて大丈夫?って思ったよね。

コトブキ あれはヤバかった。戦争映画でいうところの、戦車がやってきちゃった感じですよね。こっちは歩兵でピストルとかライフルとかでやってるのに、向こうから戦車がきたからもう無理だ、みたいな。

原田 そうそう(笑)。あれで相当やられちゃうからね。

コトブキ やられっぷりというか、それぞれの死に様もカッコいいんですよ。

原田 最後まで観ると、やっぱり侍とガンマンはちょっと違うのかなって思う部分もあるよね。侍とか武士って剣で人に仕える職業でしょ。『七人の侍』は、村人たちを殿と定めて、仕える。

コトブキ なるほど……。ガンマンたちは、どこかで自分のためというのがありますよね。でも、それぞれの思惑を持った男たちが、あとはみんな一緒に立ち向かっていくというのがハリウッド的なのかもしれない。

原田 このガンマンたちは、いろんな人生を経てきたけど、最後は正義のために仕事したいんだっていうのが感動するんだよね。僕たちにはわからない、アメリカの南北戦争の背景も入ってるじゃない。『ヘイトフル・エイト』でも描かれてたような。そのあたりを踏まえると、この時代のガンマンたちの生き様をもっと深く感じられるかもしれないね。

コトブキ いろいろなものを乗り越えた友情や戦う気持ちがよりアツく感じられますよね。これは配給・宣伝さんに申し訳ないけども、女性にはわからない部分かもしれないですよ。男子なら、あの7人が横並びで歩いてるだけでグっときますから。デートで観るのもいいですけど、ぜひ男同士で劇場に行ってもらいたい作品ですね。

映画『マグニフィセント・セブン』

2017年1月27日公開

マグニフィセント・セブン

冷酷非道な悪漢〈ボーグ〉に支配された町で、彼に家族を殺された〈エマ〉は、賞金稼ぎの〈サム〉、ギャンブラーの〈ジョシュ〉など、荒れ果てた大地にやってきた“ワケありのアウトロー7人”に正義のための復讐を依頼する。圧倒的な人数と武器を誇る敵を前に一歩もひるむことなく、拳銃、斧、ナイフ、弓矢などそれぞれの武器を手に命がけの戦いに挑んでいく──。

【監督】アントワーン・フークア
【キャスト】デンゼル・ワシントン クリス・プラット イーサン・ホーク イ・ビョンホン ピーター・サースガード ヘイリー・ベネット
【配給】ソニー・ピクチャーズ・エンタテイメント
日本オフィシャルサイトwww.magnificent7.jp


コトブキツカサ 原田泰造

原田泰造

1970年生まれ。“ネプチューン”のメンバーとして、バラエティ番組などで活躍。俳優としてもドラマ、映画、舞台などで高い評価を得ている。ネプチューンによるシチュエーションコメディ、空想大河ドラマ『小田信夫』(前田司郎 脚本)が2月4日(土)23:35〜NHK総合にて4週連続放送。

コトブキツカサ

1973年生まれ。日本工学院専門学校放送・映画科非常勤講師。映画パーソナリティとしても注目を集め、コメンテーターやイベントMCなどで活躍。雑誌連載やテレビレギュラーも多数。

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