Interview

BRADIOのとてつもない新作アルバム。メンバーに作品の手応えを訊いた

BRADIOのとてつもない新作アルバム。メンバーに作品の手応えを訊いた

とんでもないアルバムが完成した。BRADIOの最新作『FREEDOM』は並のセカンド・アルバムではない。赤坂BLITZ、Zepp Divercityとライブのキャパシティが猛スピードで膨れ上がる中、オーディエンスから吸収したパワーがすべて音楽になるという奇跡が起こった。
ボーカルの真行寺貴秋は、自分たちの心の奥に潜んでいた思いを自然に歌詞にして、ありのままのBRADIOを描く。そこにギターの大山聡一は、挑戦的なアレンジをほどこす。ベースの酒井亮輔は、ぶっちぎりのグルーヴを弾き出す。そしてドラムスの田邊有希は、ニュアンスたっぷりのスティックワークを聴かせる。メンバーそれぞれの思いが、曲にダイレクトにつながっていく。結果、アイデアに満ち溢れ、エンターテイメントに徹した傑作『FREEDOM』が生まれた。 
ファンクを突き詰めることで、ファンクの枠をはみ出した『FREEDOM』について、タイトル曲「- FREEDOM -」とラストの「Colors」に焦点を絞って聞いてみた。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 森崎純子


アルバムが出来上がったときに、4人が同じ手応えを感じていた

真行寺貴秋(Vo)

真行寺貴秋(Vo)

アルバム作りは、どんな風に始まったんですか?

大山 「次のアルバムはこういうサウンドでいこう」とか、そういうスタートではなくて、「今、出て来るものをとにかくいっぱい曲にして、そこで自分たちの中から何かを見い出していこう」っていうスタートだったって感じです。

ライブの規模が大きくなっていく手応えの中で、「このまま作れば、絶対いいアルバムができる」っていうような感じですか?

大山 そうですね。「作っていけば何かしら見えてくるだろうな」っていうような空気がバンドの中にあったと思います。

真行寺 正直、俺は個人的な性格もあるかもしれないですけど、最初はノープランで(笑)。いざ「アルバムを作るぞ」ってなってから、自分の中で「こういうふうにしよう」っていうコンセプトがどんどん出てきたっていう感じでした。
最初のフルアルバム『POWER OF LIFE』を出して1年半が経った中で、ライブのキャパシティだったりツアーの本数や場所が大きく変わった2016年だった。その中で、自分たちの変化していく哲学が、今回のアルバムには「BRADIOらしさ」としてちゃんと取り入れることができたと思います。それが僕らの自信に変わっていった。その自信っていうのは、4人それぞれ違ってたんですけど、バンドって面白いもので、アルバムが出来上がったときに、4人が同じ手応えを感じていた。それが手に取るようにわかったアルバムですね。

その自信の表れとして、『FREEDOM』っていうタイトルになりました。「聴きたい奴だけ聴けよ」ってわけじゃないんですけど、それぐらい自信がある。「聴いたからにはもうこっちの世界に連れて行きまっせ!」みたいな自信はあったので、そういった意味でもタイトルは『FREEDOM』なのかなって。この言葉がドンって出たときに、「ああ、決まったね!」っていう感じで、みんなの意見が一致しました。

バラツキにもドラマがあるというか、時期によって考えてることが違う

大山聡一(G)

大山聡一(G)

大山 前作の『POWER OF LIFE』は、「BRADIOって、こういう奴らだぜ」っていうのを、上手くパッケージできたアルバムだと思っていて。その後にいろんなことを経験したこの4人の“人間”の部分をサウンドにして、今回のアルバムでバンドの進化として見せられたらいいなっていう想いはあったんですよね。もっとサウンドを大人にしていきたいっていうよりかは、こうやって生きてるからこそ出てくるものがパッケージできたらいいなって。そういうものを音に還元できたらいいなって。

結果、レコーディングのタイミングにバラツキのある曲たちが、同じアルバムに入っているので、それも含めて、アルバムとしてはすごく満足のいくものになりました。バラツキにもドラマがあるというか、時期によって考えてることが違う。それを包み隠さずに、素直に「俺たち、こういうふうに思ってまーす、こういうふうに生きてます」っていうのをサウンドに具現化することが上手くできたなっていう感覚がある。たとえばいちばん古い「HOTEL エイリアン」は、あのとき俺らが思ってた音だし、最新で録った曲の音は「HOTEL エイリアン」の後に、今まで出会えなかった人とお話ししたりいろんな経験をした自分たちっていうのが反映されてるんじゃないかな。そういう部分を出せて、すごくいいアルバムになったと思ってます。

その分、曲順を決めるのが大変だったんじゃないですか? 激動の1年半でしたもんね。

大山 曲順はメチャクチャ悩みました(笑)。

酒井 ホントにすげえ悩んだんですけど、1曲目の「Back To The Funk」と最後の「Colors」は満場一致ですぐ決まった。「Back To The Funk」はやっぱりBRADIOのいちばん新しい世界観をいちばんわかりやすく伝えられる曲なので、アルバムの入口として雰囲気もすごくいいんじゃないかなっていうのがあって。次の「-Freedom-」に行く流れがすごい良かったんで、「-Freedom-」を2曲目にするっていうのも満場一致でした。

BRADIO

その2曲目の「-Freedom-」は、すごくいいですね。和音の進行がある意味、メチャクチャ(笑)。こういう曲は、勢いのあるバンドしか作れない。

大山 それって、ホメてるんですか?(笑)。

しっかりホメてます(笑)。

(一同 笑い)

大山 曲作りのスタートは、バンドが16ビートのリズムを永遠に刻むっていうぐらいのものだったんですよね。そういうのって楽器プレイヤーとしてのメンタルの強さが必要だから、メンバーの“ミュージシャンシップ”が色濃く出る。
実は昔、同じことに挑戦してみたんですけど、その時はどうにもならなかった。でもなんか面白いっていうか、“光”が差してたんです。それで「もう一回、しっかり曲にしていこう」みたいなところから始まった。そうしたらサビのモチーフが出てきて、「あ、これクソカッコイイじゃん!」ってなったんで、あとはもう面白い曲にしたかったから、おっしゃったようにサビの終わりでブッ飛んだコード進行を入れてみたり。

そのあたりに“いろんな経験をしたBRADIO”が反映されているんですね。

大山 そうです、そうです!で、正直、「こんなコードをぶっ込んだら歌はどうするんだろう」って思ってたんですけど(笑)。

でも真行寺くんが、そんなムチャなコードでも平気で歌っているのに、ビックリ!!

大山 そうそう、波乗りみたいに(笑)。

真行寺 マジ、ホントにあり得ないだろうと思いましたけど(笑)。「どうやってこれにメロディを付けるんだろう」と思って。

酒井 でも、その強引さがすげえカッコ良くて。ホントにもう“出来心”みたいなところから始めた曲だったんですけど、気付いたら「お、おかしいぞ、面白いぞ」ってなっていって。

“おかしカッコイイ”曲になった。

大山 はい、なんか異様な空気感がある曲になっていったので、自分たちの中でやる気が急上昇していった。ドラムやベースが他にはちょっとないぐらいの雰囲気を出せて、「あ、これはもう自分たちのオリジナリティをガッて出せる曲になるな」ってどんどん感じていったし。歌詞も“フリーダム”っていうキーワードが仮オケの段階で入って、強いメッセージが入ってきたことによって、すごくストロングな曲になっていった。

で、ショッキングなコード進行もあるし(笑)。

(一同 笑い)

酒井 ははは! そうなんですよね。そんな感じだったよね。

真行寺 そうね。

今の話を聞いているだけでも、この1年半のドラマがある。前にトライして曲の形にならなかったものが、どんなに乱暴なアイデアを入れても大丈夫なストロングな曲に仕上がった。そこに強い歌詞が乗って、っていうと、もうここ1年半のBRADIOの歴史そのものですね。

大山 そうですね。ホント、バンドを表せる曲になったなっていう感覚がすごくあります。

その場所で自分を見つけられたら最高だよね、それが自由だよね

酒井亮輔(B)

酒井亮輔(B)

歌詞はどんな風に?

真行寺 “フリーダム”っていうワードから広げていきました。サビが答えみたいな感じで、「自由は探さなくても、今ここにあるじゃん」みたいなメッセージが込められてます。

僕はサビの♪監督は俺なんだ♪っていうフレーズが好きです。普通、歌詞で「監督」って言わないでしょ(笑)。

真行寺 ははは! なんか、歌詞の中で違和感みたいなのが欲しくて。そういう言葉が1曲に1個でもあったらいいかなと思って作ってます。「人生の監督は自分なんだ。自分で人生を作り上げていくんだ」っていう。今、自分の置かれてる状況がすごくイヤだったり、抜け出したかったりする人ってけっこういるじゃないですか。でも、「そうじゃなくて、その場所で自分を見つけられたら最高だよね、それが自由だよね」みたいな、そういうメッセージも込めつつ、っていう感じです。

今回のアルバムで歌詞がすごく強くなってると思う。前は「なるべくみんな自由にやっていいよ」って言ってたのが、今回は「やれ! 君たちは自分で選べるでしょ」って言ってる。それはリスナーを信用してるっていうことでもあるんですけどね。

真行寺 ああ、はい。

大山 お客さんへの信頼は、ホントに厚くなってると思います。「いいお客さん」って言っちゃうとすごく薄っぺらい感じがしますけど、でもホントに愛すべきファンがすごくいっぱいいて。BRADIOっていう存在を通していろんなことを楽しんでくれたりとか、BRADIOをきっかけにしてBRADIOと全然関係ないことまで楽しんだり。そういう存在自体が、自分たちから見てもメチャメチャハッピーだし。

BRADIOもハッピーにしてもらってますか?

酒井 もらってますね! すごくいい信頼関係を持ってる――まあ、こっちが勝手に思ってるだけかもしれないですけど(笑)。今回のアルバムができたあとに、改めてそれを感じます。俺たちはいろんなことや出逢ってきた人に、すごく影響されてる。そしてそれがこのアルバムにそのまんま「出ちゃってるじゃん」みたいな部分があって、いいなと思ってます。

田邊 これは個人的な意見になっちゃうかもしれないんですけど、今回のアルバムって、今までに比べてオブラートが1枚剥がれたような歌詞になってると思ってて。その中でも「-Freedom-」はいい意味でいちばんファンタジーじゃないですけど、強くていい歌詞だなっていうのが素直な感想でした。真行寺節じゃないですけど――。

どんどんみんなのスイッチが入っていくんで、楽しいですよ

田邊有希(Dr)

田邊有希(Dr)

アルバムの最後に入っている「Colors」は?

酒井 これは、曲の最後で子どもたちが合唱する展開なんですけど、すごく幸せな気分になれるなあと思っていて。やっぱりアルバムの最後なんで、気持ちよく終わりたいなっていうのがあって、「Colors」がふさわしいと思って最後に置きました。

大山 この曲はアレンジにメッチャ悩みました。途中で大胆なアレンジ変更が入って、ベースが変わったらそれに合わせてギターも変えてって何度もやっていったら、結果すっげえ輝く着地をしたんですよ。BRADIOは今、ちょっとしたきっかけで話が動いたり、思わぬほうに曲が展開していったりしていて、「結果、それって偶然できたんだよね」って言われると「うん、そうだね」っていうことになるんですけど、メチャクチャ面白い状況にあるバンドだと思ってます。すごくいい方向に転ぶ。どんどんみんなのスイッチが入っていくんで、楽しいですよ。

「さっぽろ雪まつり」のテーマソングですけど、歌詞の方は?

真行寺 冬っぽさをどう表現しようかなあと思って、なるべく冬のワードを使わずに、夏、秋、春を書いて、周りから囲って冬を表現しようと思った。その辺はけっこう苦労したかなって感じでしたけど、ちょっと新しいやり方かなというふうには思ってます。

ボーカリストとしては?

真行寺 超ムズいっす! この歌、マジ、ムズいっす!!(苦笑)

そうだよなあ。

(一同 爆笑)

朝聴くのと、雨の日に聴くのと、寒い日に聴くのと、それぞれの曲の表情が違ったアルバムだなと

BRADIO

最後に、このアルバムを完成させての感想を聞かせて下さい。

真行寺 今回は、僕らの“人間っぽさ”がすごく出たなあと思っていて。そういうものがより普遍的に届きやすくなったのかなっていう期待もあります。きっとライブも、今までやってきた“ダンスパーティー”みたいな感じ以外の部分、もっとバリエーションが増えたんじゃないかなと思っているので、その辺はツアーがすごく楽しみです。

“生きる”っていうワードが、このアルバムから感じてもらえたらいいなって思ってます。歌詞の目線から行くと、その辺をすごく意識していて。辛いこととか、お先真っ暗なこととか、いろいろある世の中で、そういう今の状況っていうものが肯定できるような――「こうならなきゃいけない」じゃなくて、「今、その場所の、それでいいんだよ」っていうものが感じ取ってもらえたらいちばん嬉しいと思ってます。

なるほど。これ、トランプ大統領に聴かせたいですか?

真行寺 トランプ……(笑)。

大山 でもなんかトランプに聴いてほしいっていうのはあるな(笑)。

(一同笑い)

田邊 そうですね、まあ前回の『POWER OF LIFE』から1年半ぐらい経った作品なんですけど、その中で培ったものとか経験させてもらったこととか、もちろん良かったこともたくさんあるけど、悔しい思いもたくさんしてきて、そういった等身大の自分たちが上手くパッケージできてるんじゃないかな。僕はこのアルバムを何度も聴いてるんですけど、たとえば朝聴くのと、雨の日に聴くのと、寒い日に聴くのと、それぞれの曲の表情が違ったアルバムだなと思っていて。この1年半で培ったバンドの芯みたいなのがあるからこそ「BRADIOだ!」っていうのがあるし、いろんな聴き方に耐えられてるのかなって思ってます。

酒井 今回はレコーディングに縛られたくなかったんですよ。ライブのことはひとまず考えずに、要は硬くなりすぎずに、柔らかくやりたいなあと思っていて。いろんな景色を思い浮かべたり、歌詞の世界のことを思いながら弾けた。それがパッケージできたアルバムになってます。だけどそれをやったことによって、当然、ライブのハードルがすごく上がっちゃいました(苦笑)。「やべえ!」みたいな感じになってます。でも、それが今は楽しみでもある。きっとライブで曲も成長してくだろうし。今度の“FREEDOM tour 2017”は、最初の日と最後の日で、全然違うものになってるんじゃないかっていう期待があるんで、ワクワクしてます。

大山 今回のアルバムは、俺、子どもいないんですけど(笑)、親気分というか、「可愛い我が子が生まれたなあ」っていう心境です。ホントに愛しいアルバムになった。で、今は、いろんな人に育てられてこい」って思っていて。いろんな人に愛されて、いろんな人がいろんな捉え方をして、「ああ、うちの子どもはこういうふうに思われてるんだ」(笑)みたいなのがすっごい楽しい。親は子に育てられるって言いますけど、きっとこのアルバムによってまた育てられる部分が自分たちに出てくるであろうっていう期待が、今すごく大きいですね。……いやあー、産後っていう感じですね、ホント。生まれて良かったなあー、みたいな(笑)。

産後って(笑)。

大山 今後のBRADAIOのステップアップも含めてすごく重要になってくアルバムを、今回ひとつの形にすることができたっていうことに、今は誇り高い気持ちでいますね。

ありがとうございました。

ライブ情報

BRADIO ワンマンツアー FREEDOM tour 2017

3月5日(日) 東京:赤坂BLITZ
3月10日(金) 広島:セカンドクラッチ
3月12日(日) 香川:高松DIME
3月19日(日) 富山:SOUL POWER
3月22日(水) 鹿児島:SR HALL
3月24日(金) 福岡:DRUM LOGOS
3月26日(日) 新潟:LOTS
3月31日(金) 北海道:Penny Lane 24
4月2日(日) 宮城:仙台RIPPLE
4月8日(土) 大阪:なんばHatch
4月22日(土) 愛知:名古屋DIAMOND HALL
4月30日(日) 東京:中野サンプラザ

BRADIO

真行寺貴秋(Vo)、大山聡一(G)、酒井亮輔(B)、田邊有希(Dr)、4人組ロックバンド。
~Break the Rule And Do Image On~日常の世界(Rule)に、素敵な時間・空間のイメージを加え(Do Image On)、良き変化(Break)を。
「日常に彩りを加えるエンターテインメント」をコンセプトに結成。2013年10月に1st mini album“DIAMOND POPS”を全国リリース。2014年夏にはT.M.Revolution西川貴教主催イナズマロックフェス2014に出演。2015年1月期アニメ「デス・パレード」オープニングテーマ、10月期アニメ「Peeping Life TVシーズン1 ??」オープニングテーマ、さらに”京都きもの友禅” 全国CMのイメージソングのタイアップの数々を担当。
2015年夏には国内邦楽最大級フェスティバル“ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015”に初出場。楽曲ごとに異なるサウンドを鳴らすドラムンベースを軸に、さらに熱唱&ファルセットを使い分ける個性の強さが魅力のヴォーカリスト真行寺の歌声で見に来たFUNKY PARTY PEOPLEを虜にするエンターテイナー集団。

オフィシャルサイトhttp://bradio-web.com