Interview

ちゃんみなが明かした、メジャー・デビュー直前の不安と本音

ちゃんみなが明かした、メジャー・デビュー直前の不安と本音

2016年4月に開催された第9回〈BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権〉に出場し、ベスト8で敗退するが、シーンに鮮烈な印象を残した女子高生ラッパー、ちゃんみな。その後配信した「未成年 feat. めっし」や「Princess」でもパワフルかつチャーミングなラップを聴かせ、動向が注目されていた彼女が、いよいよメジャー・デビューを果たす。韓国生まれで、日本語/韓国語/英語ができるトリリンガル。そして、歌も作曲もこなす彼女は、今後はバトルに出ず、音源一本でやっていくという彼女。音楽ルーツを聞くことから始まった今回のインタビューでは〈RAP選手権〉後にスランプがあったことも話してくれた。一夜にしてシンデレラガールとなった、ちゃんみなが抱えた不安の正体とはいったいなんだったのか。

取材・文 / 猪又孝 撮影 / 関信行


女子高生ラッパーっていう肩書きがなくても女性ラッパーで1番を獲る自信はあります

小さいときから音楽が好きだったそうですね。

お母さんがバレリーナなんですけど、歌を上手に歌える人がうらやましかったみたいで、私がお腹にいるときから「この子は歌手にしてください」って祈ってたそうなんです。そしたら私が1歳半のとき、テレビで女の人が歌ってるのを観て、歌手になりたいと思ったらしくて。「私、歌手になってもいい?」って聞いてきたってお母さんに言われたことがあります。

音楽の目覚めを自覚したのは、いつ頃なんですか?

6歳まで日本と韓国とアメリカを行き来していて、小学校から日本の学校に入学したんですけど、あまり日本語が流暢じゃなかったのでうまく馴染めず、小学校2年生のとき、家にこもってYouTubeを見てたら、BIGBANGの「Haru Haru」っていう曲が流れてメッチャ喰らって。「私、これがやりたい。こういう人たちになりたい」と思ったんです。で、BIGBANGを入り口にいろいろ調べていって。

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どんなものを聴いていったんですか?

まずは、K-POPを辿って、2PMとかブラウン・アイド・ガールズに行って、最終的にハマったのが(ブラック・アイド・ピーズの)「Boom Boom Pow」でした。ダンス・ミュージックがかっこいいと思ったんです。歌って踊る人になりたいと思ったんですよね。で、3歳からピアノとバレエをやってたんですけど、そこからヒップホップ・ダンスを始めて。小学校5年生のときにダンスの発表会で「歌いたい」と思って、そこで初めて歌で舞台に立ったんです。

何を歌ったんですか?

いきものがかりさんの「じょいふる」です。そのとき超緊張しちゃって、「もっとできたのに。もっと歌えたのに」って悔しさを感じて、そこから音楽魂に火がついたんですけど、小6のときに『ごくせん』が流行ってヤンキーに憧れちゃって。ちょっとヤンチャして地元で先輩と遊んだりしてて、音楽は後回しになっていっちゃったんです。

遊んでるほうが楽しくなっちゃった。

そう。でも、中学校3年生の終わり頃に「これじゃダメだ」と気づいて、高校1年生のときにもう一回ちゃんと音楽をやろうと思って。で、「高校生のうちにメジャー・デビューしよう」と決心したんです。何がなんでもそれを実現しよう。それが目標だって。

ラップを始めたのはいつからなんですか?

ちゃんと自分で歌詞を書いたのは、高1です。

それは〈高校生RAP選手権〉に出るため?

〈高校生RAP選手権〉に出るためではなくて、その頃、韓国に『SHOW ME THE MONEY』っていうラップ・バトル番組があって、韓国でラップがメチャメチャ流行ってたんです。で、こういう曲調ならイケるでしょと思って。

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その後、高2の4月に〈高校生RAP選手権〉に出場。フィメール・ラッパー対決となったRei©hiとの1回戦を突破し、写楽との対戦となった2回戦で敗退しました。

まず、出ること自体、私にとってすごい挑戦だったんです。ずっと韓国語でやってたのに、日本語で、しかも即興で、まったく知らない人の悪口を言うっていう。すごい怖かったけど、自分でどこまでやれるのか知りたいと思って。もちろん事前にいろいろ考えて準備はしてたんですけど、バトルなんてやったことがないから、本番になったら全部飛んでアタマ真っ白でした。でも、目標は達成できたんで。

目標というのは?

女の子には勝つっていう。JKナンバー1は絶対獲ってやろうと思ってたんです。だから勝った瞬間、私、帰りたかったんですよ(笑)。スタッフさんに「帰っていいですか?」って聞いたら「ダメだよ」って言われて(笑)。

デビューを目指して音楽をやっていく道はいろいろあると思います。その中で、なぜ〈RAP選手権〉を選んだんですか?

時間がないと思ったんです。まずはみんなに私のことを知ってもらわないと、って。そのためには何かメディアに出て、こういう私がいるっていうこと、“Here I Am”っていうのを伝えないとなと思って。で、知ってもらってからどう動くかが勝負だなと思ってたんです。

その〈高校生RAP選手権〉で脚光を浴び、自分にどんな変化が起きましたか?

180度変わりました。まず環境が変わりすぎて。それまでは出演料を払ってライブに出てたのに、お金をもらってライブに出るとか、フォロワーが急に増えるとか、歩いてても知らない人に話しかけられたりするようになって。他人が私のことを見てるんですよ。それがプレッシャーで、プレッシャーで。

爪痕を残したくて〈高校生RAP選手権〉に出たのに、残したら残したで違う悩みが出てきた。

そう。まだ準備できてないのに「よーい、どん!」って言われた気がして。走らなきゃいけないんだけど、でも「えー、待ってよぉ」みたいな。もう不安やプレッシャーで情緒不安定でした。ガッタガタでしたもん。

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〈高校生RAP選手権〉の放送2日後に発表した「未成年 feat. めっし」がiTunesのヒップホップ・チャートで1位を獲得し、その3ヵ月後に発表した「Princess」も動画再生数がぐんぐん上昇しました。それによって自信がついたところもあるんじゃないですか?

自信どころか、むしろ逆で。「Princess」を出したくらいが、いよいよ、そう思い始めた時期なんです。私が何かアクションするたびに、反応があるわけじゃないですか。それが嫌でたまらなかったんですよ。

すごく矛盾してますね(笑)。「私を見て!」という気持ちで行動に出たのに、注目されたらウザくなってきた。

そうなんですよ(笑)。「私をかまって」って出て行ったのに、いざかまわれたら「もうやめてー!」ってなっちゃった。で、嫌なことを言ってくる人たちの声しか聞こえなくなっちゃったりとか。「Princess」を発表したあとにビクターさんと契約したんですけど、いろいろ告知のタイミングがあるから、(いままでと違って)曲が出来てもポンポン出すわけにはいかないし、SNSとかでも音楽の話は書けなくなる。そうすると「あいつ、最近、さぼってんな」とか「一回売れたからって調子に乗ってるでしょ」みたいな声が増えていって、余計ストレスが溜まって、クソ病んでたんですよ。

その壁をどうやって打ち破ったんですか?

最近ですよ、破ったのは。1週間前くらい(笑)。やっと環境が変わってきて。

メジャー・デビューが発表されて、「FXXKER」よろしく、とか言えるようになってきたから。

そうです。だから今はグワーッとモチベーションが上がっていってる感じ。本当、1週間前までは「消えたい」と思ったこともあったし、本気で死にたいと思ったこともありましたから。でも、音楽をやめたいとは一度も思わなかったんです。ただ、前と比べて、音楽に向き合う気持ちは変わりました。今は売り物になるから慎重になってきたし、責任感も出てきたし、どういうことを歌ったら、みんながどういう気持ちになるかとか、そういうこともすごく考えるようになりましたね。

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