LIVE SHUTTLE  vol. 100

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つないだ手には25年分の愛。Charaの歌という愛に満たされた特別な夜

つないだ手には25年分の愛。Charaの歌という愛に満たされた特別な夜

“愛”をテーマに曲を創り続け、歌い続けているCharaが、昨年、1991年のデビューから25年という節目を迎え、初のオールタイムベストアルバム『Naked & Sweet』を発表。1月22日に、本作をベースにした〈Chara ALL TIME BEST LIVE “Tremolo Sparks”〉を昭和女子大学人見記念講堂にて行った。一夜限りというスペシャルなこの日のステージの模様を。

取材・文 / 永堀アツオ
写真 / ©HAJIME KAMIIISAKA


「ベストを作ったことで、いろんな人との関係が思い出せることができて良かった」

今やどんなアーティストでもライブに欠かせない演出のひとつとなったコール&レスポンス。その多くは、アーティスト側の「Yeah!」という呼びかけに対して、同じく「Yeah!」と返すのが恒例となっているが、Charaのライブで巻き起こるコール&レスポンスはそれとは趣が異なる。どちらかというと、アメリカの黒人教会で歌われるゴスペルのコール&レンスポンスに近い。愛の言葉を話すように歌い、歌うように話すシンギング・プリーチャーである彼女が歌い出すと、観客が総立ちになって手を叩き、足踏みをし、全身全霊で歌い上げる。いわばクワイアとなった観客の歌にCharaが心の叫びにも似たフェイクを重ねることで会場の熱気が徐々に高められていく。やがて愛と生の痛みや哀しみ、喜びや慈しみといった様々な感情が入り混じって解放されていくようなクライマックスが、それぞれの心に訪れ、意味や理由を超えた涙となって頬を伝う。そんなライブは、いくら周りを見わたしても、Chara以外にあまり見当たらない。

Chara

1月22日に昭和女子大学人見記念講堂で開催された、Charaの〈ALL TIME BEST LIVE “Tremolo Sparks”〉。本公演は、昨年11月、キャリア最高傑作と称される5thアルバム『Junior Sweet』の世界観を紐解いた全国ツアー〈“Junior Sweet” Intimate interlude tour〉のファイナルで急遽、発表されたもの。同年の11月16日にリリースされた初のオールタイムベスト『Naked & Sweet』に則したライブで、ツアーのレギュラーバンド “Aurora Band”によるライブとしては、たった1日限りとなるスペシャルな公演となっていた。

Chara

予定時刻より15分遅れで暗転したステージには、ギターの名越由貴夫とキーボードのKeycoの2人が登場した。ゴスペルの原型であるスピリチャライズ(黒人霊歌)はアカペラのみで、のちにオルガンとエレキギターのみが加えられることになる。また、Charaがキーボードを弾き始めたのは、幼稚園の終わりの会で先生に「弾いてみる?」と勧められたことが出発点となっており、現在の彼女の楽曲たちは主にキーボードとギターから生まれている。こじつけかもしれないが、ソウルを歌い、ファンクで揺らし、デビュー初期からヒップホップビートも積極的に取り入れていた彼女にとっては、2つの意味でルーツを辿るライブにするという意図が込められたオープニングだったように思う。

Chara

オルガンとエレキギターが奏でる親密だけど荘厳な音色に誘われるように、Curly Giraffe(bass)、白根賢一(drums)、ゴンドウトモヒコ(Pro、Flute)といったレギュラーメンバーにASA-CHANG(percussion)が加わり、この日だけの6人編成のオーロラバンドが揃う。

Chara

続いて、巨大なピンクのハート型フェザーショールを巻いたCharaが登壇。3枚組のオールタイムベストの1曲目でもあった3rdシングル「No Toy」でライブをスタートさせた。ラジオDJ風のオリジナルのイントロを再現した「罪深く愛してよ」では「ちょっと懐かしいね」とつぶやき、続く「しましまのバンビ」では3曲目にして早くも会場が一体となったシンガロングが巻き起こった。

Chara

アコギ2本と歌を基調とした近年の合唱曲「世界」では、Charaがフェイクのみでスケール感を広げていったが、観客も負けじと、大きな声で歌い、力強いクラップで返した。時にスイートなウィスパーボイスで、時に激しく力強いシャウトを混ぜながら、観客の心と体を揺らしていく。

Chara

デビューのきっかけとなった「Break These Chain」、『蛇にピアス』の金原ひとみと共作した「Kiss」、浅野忠信や小林武史、岩井俊二との出会いの結晶である大ヒット曲「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」などのバラードをオリジナルのアレンジで歌い終えた彼女は、オールタイムベストの制作について、「新しい曲を作るのが好きで、どんどん前に前に進んじゃうタイプなんですが、ベストを作ったことで、いろんな人との関係が思い出せることができて良かったです」と振り返った。

さらに、長男が生まれたときに作った曲で、「私の曲の中で、子供たちが2人とも一番好きな曲」だという「大切をきずくもの」をアコースティックギターの音色を基調に、観客と一緒に優しく歌った。

Chara

ミラーボールが煌めいた後半は、アーバンなソウルナンバー「Happy Toy」や「Junior Sweet」で、まさにゴスペル教会のようなコール&レスポンスが巻き起こった。観客全員で繰り返す「愛を浴びて」を歌っているときの多幸感といったらない。そして、「男の人の応援歌というイメージで作った」という最新曲「Sweet Sunshine」でさらに光度を上げ、「(長女の)SUMIREちゃんとカラオケに行ったときに、最後の締めとして歌わされた」というミドルバラード「月と甘い涙」を、絵本を朗読しているかのように観客に届け、ドラの深遠な響きの余韻と共に、神秘的で甘く、ファンキーで音楽の豊かさに溢れたライブの幕は閉じた。

Chara

アンコールの声に応えて再登壇した彼女は、「あの曲やってないっていう曲があるよね? でも、みんな、まぁまぁお腹いっぱいでしょ?」と笑顔で語りかけ、2ndシングル「Sweet」の一節も盛り込んだ「あたしなんで抱きしめたいんだろう」は、観客のクラップと足踏みに合わせ、「罪深く愛してよ」のフレーズで締めた。最後は、ステージ上でくるくると回りながら、「やさしい気持ち」を観客全員と大合唱。

アンコールも含め、全19曲を歌い終えた彼女は、メジャーデビュー曲「Heaven」のフレーズを口にしながらステージをあとにした。筆者の脳裏には、客電がついた会場で両手を高く掲げながら熱唱した「手をつなごう」というフレーズがまだリフレインしているが、つねに新曲を生み出し続けることが好きな彼女は、すでに前を見ていることだろう。

Chara

Charaは、2月19日の大阪公演から、全国7ヵ所におよぶツアー〈Naked & Sweet Soul Session”〉を開催する。チケットは、全公演即日完売し、3月14日には、初めてCharaがライブを行った地・渋谷クアトロでの追加公演が緊急決定した。Ken Sano(keybord)に加え、初顔合わせのMATER(bass)と只熊良介(drums)を迎えたギターレスのトリオ編成の次ツアー。タイトルはオールタイムベストに紐づいているが、内容はまったくことなりそうだ。ジャズ/ファンク系の凄腕ミュージシャンとのセッションによって生まれるあらたなグルーヴを期待したい。

〈Chara ALL TIME BEST LIVE “Tremolo Sparks”〉2017年1月22日@昭和女子大学人見記念講堂 セットリスト

01. No Toy
02. 罪深く愛してよ
03. しましまのバンビ
04. 世界
05. Duca
06. スカート
07. タイムマシーン
08. Break These Chain
09. kiss
10. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
11. 大切をきずくもの
12. ミルク
13. レモンキャンディ
14. Happy Toy
15. Junior Sweet
16. Sweet Sunshine
17. 月と甘い涙
EN1. あたしなんで抱きしめたいんだろう?
EN2. やさしい気持ち

Chara “Naked & Sweet Soul Session”

2017年2月19日(日)大阪 森ノ宮ピロティホール
2017年2月25日(土)金沢 北國新聞 赤羽ホール
2017年3月4日(土)岡山 さん太ホール
2017年3月20日(月)福岡 イムズホール
2017年4月1日(土)東京 Zepp Tokyo
2017年4月2日(日)仙台 イズミティ21小ホール
2017年4月8日(土)名古屋 ダイアモンドホール
*全公演SOLD OUT

<追加公演緊急決定!!>
2017年3月14日(火)渋谷CLUB QUATTRO
18:45 open / 19:30 start
info: DISK GARAGE 050-5533-0888
【オフィシャルチケット先行受付】
受付期間:2017年2月3日(金)18:00~2月12日(日)23:59
受付URLhttp://w.pia.jp/t/chara/

Chara

シンガー・ソングライター。
1991年にシングル「Heaven」でメジャー・デビュー。1996年、岩井俊二監督映画『スワロウテイル』では主演を務め、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。同映画の劇中バンド〈YEN TOWN BAND〉名義のシングル「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」や、1997年発表のアルバム『Junior Sweet』が好セールスを記録。2016年にデビュー25周年を迎え、11月に初のオールタイムベストアルバム『Naked And Sweet』を発表。
2月19日よりツアー〈Naked & Sweet Soul Session”〉を開催、3月15日には映像商品『”Junior Sweet” Intimate interlude tour Live at AKASAKA BLITZ 2016.11.3』もリリースされる。

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