『FFXV』が提供する新時代のゲーム体験  vol. 3

Report

自動と能動が混在する『FFXV』独自のバトル

自動と能動が混在する『FFXV』独自のバトル

 2月2日にYouTube Liveやニコニコ生放送で放映された“ファイナルファンタジーXV アクティブ・タイム・レポート 新春スペシャル!”(以下、ATR)にて、無料で本編をパワーアップしていくアップデートや、有料で新しい遊びを提供していくダウンロードコンテンツ(以下、DLC)の今後の実施、配信予定などが公開された『ファイナルファンタジーXV』(以下、『FFXV』)。ATRでは直近のアップデートとして、ゲーム内の写真保存枚数の増加やレベル上限の解放などが2月21日に行われることが発表された。また、3月にはグラディオラスの、6月にはプロンプトのエピソードDLCが配信予定となっており、今後もますますプレイヤーの注目を集めていくことは想像に難くない。

 本稿では、そんな『FFXV』の自動と能動という、相反する要素を混在させた戦闘の斬新さに改めて注目していく。記事の最後にはディレクターの田畑端さんに疑問質問をぶつけた一問一答コーナーもあるので、こちらにも注目してほしい。

 なお、『FFXV』の世界設定の新しさ、オープンワールドという『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズ初の挑戦について触れている記事でも田畑さんへの質問コーナーは掲載しているので、こちらも要チェックだ。

取材・文 / 村田征二朗


FINAL FANTASY XV (通常版)

2016年11月29日発売 ¥9,504


操作はシンプルに、アクションはド派手に

  『FF』シリーズにおける戦闘と言えば、『ファイナルファンタジーIV』で誕生した“アクティブタイムバトル”(以下、ATB)システムに始まり、『ファイナルファンタジーXII』における”ガンビットシステム”、さらには『ファイナルファンタジーXIII』でのATBの発展形とも呼べる戦闘システムなど、新しいシステムを積極的に取り入れることに定評があります。そして『FFXV』もシリーズの伝統にもれず、自動的な動作とプレイヤーの能動的な操作とを混在させたユニークな戦闘システムを採用しているのです。

 本作の戦闘は、主人公やその仲間たちが敵と入り乱れて戦うアクションバトルとなっており、プレイしてみるまではいったいどうやって操作しているのか不思議に思ってしまうほどにキャラクターがよく動き回ります。しかし実際に触ってみると操作は非常に簡単で、ボタンを押しっぱなしにするだけでド派手な連続攻撃、回避やガードがすんなりとできるようになっているのです。

▲ボタンを押しっぱなしにしているだけで動く動く! もちろんボタン連打で攻撃してもオーケー

 また、戦闘中に溜まっていくゲージを消費することで仲間に特殊なアクションを行わせることのできる“コマンド”についても面倒な操作は必要なく、十分なゲージさえあれば簡単に発動することができます。コマンドを使用すると、味方のアクションが完了するまでのわずかな時間は主人公を操作することができないのですが、そのアクション実行中は主人公とアクション中の仲間はダメージを受けないという親切設定になっています。

▲敵の防御力を下げたり敵に合わせた弱点攻撃を行ったりと、その効果もさまざま

 本作は『FF』シリーズの最新作ということで、最近はあまりゲームをしなくなったという人からも注目を集めています。昨今、ゲームの進化に従って操作も複雑になりがちではありますが、本作のアクションは動きの激しさとは逆に簡単に動かすことができ、久しぶりにゲームを遊ぶ人やふだんはスマートフォンのアプリしかプレイしないような人であっても、何ら問題なくプレイすることができると思います。

 この操作性のシンプルさ、そして別の記事でも触れましたが、オープンワールドでありながらプレイヤーへの誘導がしっかりしていることなど、本作を触ってみると“久しぶりにゲームをする人”、あるいは“ゲームにあまり触れていない人”が遊ぶことを意識していることが伺えます。

連携や“シフト”で加速するアクション

 戦闘の操作が半自動的、ゲーム慣れしていない人を意識して作られている、と言うとゲーマーにとってはどうなのかと思われるかもしれませんが、先にも書いたように、本作の戦闘は自動的な動作だけではなく、そこに能動的な操作が混在しているのに注目です。当然ではありますが、戦闘のすべてが自動で行われるわけではなく、プレイヤーの操作によって戦況に合わせて立ち回ることも重要になってきます。ゲーム序盤の敵であればまだしも、夜中に出現する“シガイ”やゲーム中盤以降に出現する強敵との戦いでは、考えなしに敵に突撃して攻撃やガードをくり返すだけでは苦戦を免れません。

▲ポーションをがぶ飲みして回復しまくれば猪突猛進でも善戦できますが、序盤は資金不足に苦しめられます

 強敵との戦いでは、“パリィ”や“バックアタック”、そしてこれらを仲間と連携してくり出す“リンク”によって効率良くダメージを与えていくことが重要であり、ここがプレイヤーの腕の見せどころになります。パリィは特定の攻撃をガードしたときに発動することができ、バックアタックはその名の通り敵の背後から攻撃を当てることで発動し、どちらも通常の攻撃よりも高いダメージを与えることが可能です。

▲特定の攻撃をガードした際に発動可能なパリィ。自分が攻撃している最中は発動できないので、ときには相手の攻撃を待つのも大事です

 パリィやバックアタックが発動する際、味方が近くにいれば“パリィリンク”、“バックアタックリンク”といった連携攻撃が発動し、かなりの大ダメージを与えることができます。とくに、仲間と背後から攻撃を行うバックアタックリンクは通常攻撃の数倍以上のダメージを叩き出すことができ、これを活用するのとしないのとでは戦闘を終えるスピードが段違いです。さらに、連携攻撃の最中は連携に参加している仲間も主人公も敵の攻撃を受けないので、攻守どちらの観点からもリンクを使わないという手はありません! リンクによる連携攻撃を発動するためにも、闇雲に攻撃するのではなく、味方や敵との位置関係を意識して動くことが効率的な戦闘のカギとなります。

▲装備している武器や連携する仲間によって変化するアクションも戦闘に華を添えてくれます

 パリィやリンクに加えて、プレイヤーが積極的に動かすという点で重要になるのは、本作の大きな特徴のひとつでもある“シフト”です。投げ飛ばした武器の元へと瞬時に移動する、直線的瞬間移動とも言えるこのシフトを使うことで、離れた敵に急接近すると同時に攻撃をしかける“シフトブレイク”や、敵の攻撃が届かない高所などに一瞬で避難する“マップシフト”といった、『FFXV』ならではのアクションを展開することができます。

▲シフトブレイクを使えば空中にいる敵など、通常攻撃が届かない敵にも攻撃が可能

 シフトやガードなどを行う際にはMPを消費し、MPがなくなればもちろんこれらのアクションを行うことができなくなってしまいます。しかし、マップシフトで高所などに避難すると一瞬でMPが回復し、マップシフト可能な場所さえあれば実質無尽蔵のMPを使ってシフトブレイクや空中攻撃を仕掛け放題になるのです。

▲回避アクションなので軽視しがちなマップシフト、じつはMPやHPを安全に回復できる優れものです

 仲間との連携、シフトによる攻撃や回避を駆使すれば、通常攻撃だけで戦うのとは戦闘の効率だけでなく、その操作感もまったく変わってきます。アクションが得意でないという方も、プレイに慣れてきたらひたすら正面から殴りに行くのではなく、敵の背後を突いたり、マップシフトによるMP回復を利用して縦横無尽に飛び回ったりと、『FFXV』独自のアクションを楽しんでみてはいかがでしょうか? きっと、それまでとはまったく別のゲーム体験が幕を開けるはずです。

ゲーム全体に見える自動と能動

 本稿では戦闘における自動と能動の混在について触れてきましたが、本作においてのそれは戦闘だけではありません。細かい話ではありますが、作中の主な移動手段である車での移動も、オートドライブ中でも自分で進路を変更することができたり、あるいは逆にマニュアルドライブ中であってもコーナーリングやルートの補正などを行ってくれたりと、自動的な部分と能動的な部分が巧みに機能しています。

▲反対車線にはみ出した場合も、プレイヤーがハンドリングをしなければ自動的に元の車線に戻るという事故防止機能が付いています

 また、別の記事で触れた、現実とファンタジーを融合させた独特な世界設定についても、相反する要素を合体させているという点で言えば、この自動と能動との混在にリンクしているように思えてきます。そして何より、プレイヤーが能動的にクエストや冒険を探し求めて行動するオープンワールド形式から、ゲームが提供する物語に沿って半自動的に進行していくリニア形式に変化していくという進行スタイルそのものが、その最たるものではないでしょうか。

 もちろん、別の記事のインタビューで田畑さんにお答えいただいたように、オープンワールド形式とリニア形式の融合という独特のスタイルは開発期間などの事情もあって誕生したものではありますが、筆者個人としては、戦闘や車での移動における自動と能動の混在、そして現実とファンタジーの合体という流れのなかで見れば、ゲーム全体の進行がオープンワールド形式とリニア形式とを織り交ぜた形になったのは面白い符合であるとともに、ある種の必然であるようにも思えます。また、オープンワールドとリニアという異なったジャンルを組み合わせるという試みも、新たなゲーム体験を生み出すための挑戦としては興味深いものであり、そこについてはいま一度評価を受けてしかるべきでしょう。

 さて、本稿や別の記事では、『FFXV』の戦闘に見る自動と能動の混在、現実とファンタジーとを合体させたゲーム内の世界設定の新しさ、そして『FF』初のオープンワールドという挑戦について触れてきました。別の機会では、本作がロールプレイングゲームとしてのみならず、『FF』として、ゲームとして、ある種の異色作となった要因のひとつでもあるキャラクター表現の独自性について触れていきたいと思います。

vol.2
vol.3
vol.4