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志尊淳が初主演舞台に挑む境地を語る。『春のめざめ』製作発表会

志尊淳が初主演舞台に挑む境地を語る。『春のめざめ』製作発表会

ドイツの劇作家フランク・ヴェデキントの名作戯曲『春のめざめ』がKAAT 神奈川芸術劇場プロデュースのもと、この春に上演される。その製作発表が2月9日に同劇場大スタジオで行われ、構成・演出を手がける白井晃、キャストを代表して〈メルヒオール〉役の志尊淳、〈ヴェントラ〉役の大野いと、そして〈モーリッツ〉を演じる栗原類が登壇した。

取材・文 / 恒川めぐみ 撮影 / 冨田望


志尊淳に、見た目以上に芯の強い一面を感じたことが、ぜひとも〈メルヒオール〉をやってもらいたいなと思った

『春のめざめ』は1891年、フランク・ヴェデキントが書いた名作戯曲で、思春期の少年たちの性へのめざめ、生きることの葛藤、大人たちによる抑圧などが描かれ、そのセンセーショナルな内容から当時、上演処分を受けたことのあるほどの問題作とも言われている。近年はブロードウェイや劇団四季によるミュージカルの印象が強いが、今回はあえてストレートプレイでの上演。若く新しい才能の発掘と発信を目指す白井晃、自らが声をかけたり、オーディションを行うなどで選んだ若手俳優たちが多数出演する。

製作発表は登壇したそれぞれの意気込みからスタート。

白井晃「なかなか不思議で難解な部分もある作品です。ですが、いつの時代においても少年・少女たちは時代を選ばず生まれてくるわけですから、登場人物たちの気持ちは現代の若者の姿と呼応するのではないかと思いました。そのなかでどう社会と対峙しながら生きていくのか。この作品に出てくる登場人物と近い世代の役者さんたちに集まっていただき、この戯曲を一緒に読み解いていきたいと思います」

志尊淳「僕にとっては初のストレートプレイ、しかも初主演で白井さん演出のもと出演させていただくことが決まり、今はすごく嬉しい気持ちでいっぱいなのですが、お話をいただいたときはやはりプレッシャーと不安が大きくて、どうなっていくんだろう?という気持ちが強かったです。ですが、誰しもが通る道が描かれ、人それぞれ、環境それぞれで感じるものが変わるこの作品を、僕と同年代の方や上の方にもぜひ届けたいという想いで努めたいと思います。僕自身プライドを捨てて、精一杯臨みます」

大野いと「この本を読んだとき、120年前に書かれた話なのに、ここまで性について取り上げた作品があるんだ、と、すごく驚きと魅力を感じました。長い時を経て上演されることになり、そこへ私が出演させていただくことに誇りを持って挑んでいけたらいいなと感じています。私が演じる〈ヴェントラ〉という女の子は14歳の少女なのですが、私は21歳なので、そこの間を埋めながら、14歳をもう一度生きたいなと思います」

栗原類「僕は2014年に『春のめざめ』の朗読劇をやらせていただいたのですが、今回はストレートプレイになるので、最初は不安が大きかったです。特にオーディションで白井さんに自分のお芝居を見ていただく際には、自分の解釈が果たして合っているのか? やっていることは本当に正しいのか?と。なので今回、オーディションに通ったということはすごく嬉しいです。僕が演じる〈モーリッツ〉という役は、おそらく観に来てくださるお客様に一番近い、普通の思春期や成長期にぶつかる男の子ですが、舞台上では初めて経験することがすごく多いと思いますので、僕のすべてを捧げて、観に来てくださる人たちに『観に来て本当に良かった』と思ってもらえる舞台にしたいと思います」

この『春のめざめ』は広いホールではなく、スタジオというより密閉された空間での上演となるが、これについて白井晃は「誰もが他者と接し・交わりながら社会という見えない壁を通り抜けて成長していく。この(スタジオの)濃密な空間がそれを表すものとして、保育器のようなガラス張りの部屋の中に閉じ込められている世界をイメージして『春のめざめ』を作ってみたい」と語った。そんな閉じ込められた空間の中で、思春期の若者たちは何をもがき苦しむのか。それを表現する覚悟として、志尊淳、栗原類の口から「プライドを捨てる」「僕のすべてを捧げる」という強い言葉が出たのではないだろうか。

志尊淳「この舞台への出演が決まった当初は、本番までの時間に自分が経験したものをどのように表現できるのか、やはりそれ相応のものを提示しなければいけないんじゃないかといろいろ考えていたのですが、白井さんや共演のお2人とお話ししていくうちに、そんなものは必要ないなと感じるようになりました。身を投げ出す覚悟でやらせていただければと思っています」

“捨てるプライドとは?”という質問にこう答える志尊を見ていた白井監督は「非常にソフトでナイーブな青年のようにお見受けしていましたが、非常に負けず嫌いなんですよ、この人(笑)。自分に与えられたものを乗り越えないと気がすまないタイプ。見た目以上に芯の強い一面を感じたことが、ぜひとも〈メルヒオール〉をやってもらいたいなと思った引き金でした」と、キャスティングの真意を添えた。

『春のめざめ』は、5月5日より23日まで、KAAT 神奈川芸術劇場で上演されたのち、京都・北九州・兵庫でも公演。様々な葛藤と向き合いながら若い役者たちが舞台の上でどう生き抜くのかを、ぜひ見届けてほしい。

舞台『春のめざめ』

2017年5月5日(金)〜23日(火)KAAT 神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉
■チケット一般発売日:2017年2月18日(土)
2017年5月27日(土)・28日(日)ロームシアター京都 サウスホール
■チケット一般発売日:2017年2月18日(土)
2017年6月4日(日)北九州芸術劇場 中劇場
■チケット一般発売日:2017年4月2日(日)
2017年6月10日(土)・11日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
■チケット一般発売日:2017年2月18日(土)

【原作】フランク・ヴェデキント
【翻訳】酒寄進一
【構成・演出】白井晃
【出演】
志尊淳 大野いと 栗原類
小川ゲン 中別府葵 北浦愛 安藤輪子
古木将也 吉田健悟 長友郁真 山根大弥
あめくみちこ 河内大和 那須佐代子 大鷹明良
【企画製作・主催】KAAT 神奈川芸術劇場

「春のめざめ」オフィシャルサイト

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