Interview

赤い公園の爪痕を残す楽曲を綴り続ける計りしれないポテンシャル

赤い公園の爪痕を残す楽曲を綴り続ける計りしれないポテンシャル

赤い公園が2017年2,4,6月にニューシングルをリリースすることを発表していることから、今年はさぞや精力的な活動を行うのだろうと約束されているようで、期待せずにはいられない。
それは、昨年のアルバム「純情ランドセル」が提示した赤い公園の持つポテンシャルが昇華し続けていることにほかならず、この先にどんな世界を見せてくれるのか注目すべきアーティストだからだ。そんな赤い公園が放つ2017年第1弾シングルは、彼女達の持ち味である和テイストも持った痛快な楽曲で、既にテッペン!水ドラ!!『レンタルの恋』の主題歌で耳にした人も多いだろう。今作「闇夜に提灯」について、佐藤千明(Vo)、津野米咲(Gt)の二人に話を聞いた。この楽曲から赤い公園の今とこれからを感じる取材となった。

取材・文 / 田中隆信 撮影 / 荻原大志


昨年は着実にバンドとして成長した年

ニューシングルのお話を聞かせてもらう前に、まずは去年を振り返ってもらおうと思います。2016年はどんな年でしたか?

佐藤千明(Vo) 去年は、アルバムをリリースして、初めてあんなに長いツアーができましたし、すごくバンドらしい一年でした。

津野米咲(Gt) アルバムの発売とツアーを通して、これまでよりもさらにバンドらしくなったような気がします。

佐藤 うん、楽しかったね。

津野 ツアーの打ち上げもね(笑)。ワンマンなので打ち上げもいつも同じ顔なのに全然飽きなかったし。

佐藤 各地で美味しいご飯も食べれたし。

津野 食べれた!(笑)

2016年は制作モードというよりはライブモードだった感じですか?

津野 うん、制作モードではなかったですね。アルバムのリリースはありましたけど一昨年(2015年)に作っちゃってたから、とにかくちーちゃん(佐藤)は歌に、演奏隊は演奏にすごく集中してた年だったかなって。

佐藤 そうだね。

津野 何か大きく変わったとかではないんですけど、着実にバンドとして成長した年だったなって思います。

ツアーやフェス、イベントなど、たくさんライブをやった中でも特に印象に残ってるステージと言うと。

佐藤 う〜ん、どれかな? 去年はいっぱいライブをやらせてもらって、初めて行く土地も多かったりして、いい意味で、全部違ったんです。なので、正直、選べないですね。

左:津野米咲(Gt) 右:佐藤千明(Vo)

それだけ毎回ライブが充実していたということなんでしょうか。

佐藤 そうですね。でも、いろいろ迷ったり悩んだりもしました。ライブの本数が多かったからというのもあると思うんですけど、“ライブ”と向き合う時間も多くて、ライブの見せ方とか、「自分はどういうふうに歌えばいいのか?」とか、ステージに立ってライブをしている目的について考えたりもしました。
でも、考えるよりも、まず楽しむことが大事だなって気づいたんです。自分がライブを観に行く時もそうなんですけど、ステージ上のミュージシャンが楽しそうなライブがやっぱり観てても楽しいんです。グッとくるんです。それに気づけただけでも、いろいろ悩んで良かったなって。変わっていくこともたくさんありますけど、大事にしていかなければいけない部分、自分がちょっと見失っていた部分を見つめ直すことができました。

津野 私は逆で、ほとんど覚えてないんです(笑)。適当にやってて覚えてないっていうことではなくて、私の中では(ライブを)ただやるとか、ただいるっていうことの意味を見つけた年なのかなって思います。デビューした頃とかは、曲を作ってる時の自分が一番自分らしいと思っていて、ライブの時にどういう心持ちでステージに上がったらいいのかわからなかったんです。それでも、「じゃあ、こういう気持ちで」って自分なりに役割を見つけて立ってたわけですけど、どんどんバンドがバンドらしくなっていくのに対して、自分だけ一歩遅れてる気がしてたんです。
でも、自分の調子が良かろうが悪かろうがライブはありますから、とにかくステージに立って、立って、立ちまくってきました。そうしたら、そんなに考えずにただ弾く、その時の空気や風に任せて弾く、ただ上手(かみて)にいるっていうことにちょっとだけ自信が持てるようになりました。もうデビューから7年ぐらい経ちますし、その立ち位置に立っただけで解決することがいくつもあるっていうことは頭ではわかっていたんです。でも、それを肌で感じることができたのが去年でした。

ライブをたくさんやったからこそ、二人とも気づけたことがあったという感じなんですね。

津野 はい。たぶん、ちーちゃんも私もみんな、ライブがいっぱいあることによって思うところもたくさんあったと思うんです。でも、私は私なりに気づけたことがありましたので、去年の最後のライブは名古屋で、ワンマンとかじゃなく対バンライブだったんですけど、とても気持ちよくライブができました。とても痛快でした。

佐藤 うん。4人それぞれが成長したし、バンドとしても成長できた年でしたね。

久しぶりにこういう曲をシングルで出せるなって

そして2017年ですが、2月15日にニューシングル「闇夜に提灯」がリリースされます。剛力彩芽さん主演のドラマ『レンタルの恋』の主題歌にもなっていますが。

津野 はい、脚本をいただいて書き下ろした曲です。剛力さん演じる“レミちゃん”は、指名ナンバーワンのレンタル彼女なんです。お金を出せば誰でもレンタルすることができて、その人たちの望みをなんでも叶えてくれる。そんな“最強の女子”っていうのをテーマにして書こうと思いました。でも、現実世界でそういう子に出会ったことがないので、「もし、実際にいたとしたらどういう人なんだろう?」と想像しながら考えていたら、“長い長い闇夜に現れるたった一つの提灯”なんじゃないかなって。そこからイメージを広げて歌詞を書いていきました。

この曲が津野さんから上がってきた時、どういう印象を受けましたか?

佐藤 「あぁ、久しぶりにこういう曲をシングルで出せるな」って。ちょっと速めで、ちょっとエッチな感じなんですけど、こういう赤い公園を楽しみにしててくれた人も多かったんじゃないかなって。あと、“和風感”も感じました。イメージがパッと浮かぶような日本っぽいお祭り感っていうのも、赤い公園の強みというか、持ち味だったりすると思うんです。ドラマにも合ってると思いますし、またこういう曲が出せて嬉しいです。

アレンジは最初からこういうイメージでしたか?

津野 私が作ったデモを基にみんなでアレンジをしていったら、すごい“ザ・ロック”っていう感じになったんです。これはこれですごく気に入ってたんですけど、曲を作った時のイメージのみず「長い長い闇夜の中でやっと現れた提灯」っていう“やっと”感がなんか足りないなって思ったんです。どちらかというと、“前にも一回提灯に会っちゃってる”みたいな感じになっちゃって(笑)。

佐藤 ハハハハ!

津野 「なんか、あとちょっとなんだけど、そのちょっとがわかんないなぁ」ってところで蔦谷(好位置)さんにアレンジをお願いして、“やっと現れた提灯感”にしてもらいました。

佐藤 うん、“やっと現れた感”がちゃんと出たからね。あと、“和”な感じも。

津野 ウンウン。蔦谷さんはこれまでにもアレンジなどをお願いしたことがあるんですけど、いつもちゃんと相談に乗ってくれるんです。点じゃなくて線で見てくれますし、何と言っても一緒にやっていて楽しいんです。今回も「何回やってもここのセクションになると遅く感じるんですよね」って言ったら、「じゃあ、リズムパターンをちょっと変えてみようか」みたいな感じで、事務的、かつ建設的なスタジオ作業ができました。

ミュージックビデオもモノクロの映像から始まって、その後、色が現れる感じが、さっき言っていた「やっと現れた提灯感」が映像でも表現されているのかなって思いました。

津野 うん、まさにそういうイメージです。最初、闇夜ですもんね。

佐藤 歌唱シーンと演奏シーンは結構撮りましたね。自分たちの周りをカメラが動いて撮るというのは初めてだったんです。なので、ここにカメラがいるっていうのを意識した動き方になっていますし、慣れるまでが大変でした。

津野 そうだね。カメラと同じ速度で自分が動いちゃうと見栄えが変わんなくて動かしてる意味がなくなっちゃうし、「動けないドラム、ずるいなぁ」なんて思った(笑)。

佐藤 後、日本の男性の俳優さんに初めて出演してもらってます。

津野 外国の方はあったけど、日本人は初めてだよね。清水尋也さんという若手俳優さんで、私、映画とか出演作を観てたのでうれしかったですね。すごくいい俳優さんなんです。

佐藤 うん、「闇夜に提灯」にピッタリだと思った。

津野 ちょっと儚げでね。

佐藤 赤い公園っぽい顔してるよね。

津野 ちょっと語弊があるかもしれないけど、わかる!(笑)

佐藤 女の子とかがミュージックビデオを観て、キャーキャー言ってくれたらいいなぁ。でも、本当に俳優さんってすごいなって思いました。

津野 そうだね。監督さんに「(清水さんと)目を合わせてください」って言われたんですけど、うちらただのギャルだから、すげえ緊張して(笑)。

佐藤 めっちゃ緊張してた(笑)。

津野 でも、恥ずかしがって時間をかけちゃうのは申し訳ないので、ちょっとずらして白目のところを見よう!みたいな感じだったんですけど、清水さんは私の目の真ん中をまっすぐ見てるんです。

佐藤 目ヂカラ!

津野 ホント、目ヂカラすごかった! 撮影が終わったら17歳の若い男の子って感じなんですけど、カメラが回った時のスイッチが入った時の表情が本当に素晴らしかったんです。

ミュージックビデオもたくさんの人に観てもらいたいですね。

津野 はい。

カップリング曲は「放蕩」。こちらもタイトルからしてインパクトがありますが、いつ頃作った曲なんですか?

津野 「放蕩」は2013年ぐらいに作った曲で、今回レコーディングするにあたってほぼほぼアレンジを変えました。最初のアレンジはイントロがなくて、リズムパターンも違っていたし、ベースのフレーズも変わったし、使ってる音も変わったし。でも、歌詞は変わってないです。

どういうイメージで作りましたか?

津野 太宰!

佐藤 太宰治ね。

津野 そう。太宰が放蕩娘に翻弄されるっていう内容なんですけど、女の私が書いてるので男性に向けて書いてるような部分もあります。これは結構つらつらつらっと書けました。さっき、「闇夜に提灯」に対してちーちゃんが「久しぶりにこういう曲を」って言ってたんですけど、赤い公園結成当初から頻繁に香ってくる“和”の匂いがこの曲にもあるんです。「闇夜に提灯」と「放蕩」は作った時期としては3年ぐらい離れてますけど、同じ人間が作ってるだけあって共通するものがあるなって思いました。

それが赤い公園の変わらない良さということなんでしょう。

津野 はい。そういう変わらない部分がありつつ、できることも増えてきたので今回、このアレンジで仕上げることができたんだと思います。「闇夜に提灯」は蔦谷さんにアレンジをお願いしましたけど、こっちはセルフプロデュースです。なんか、“カップリング”って燃えるんですよね。個人的に「これ、好きなんだけどなぁ」っていうのを引っ張り出してきて、本気で作る。表題曲を作る時とはまた違う燃え方なんです。

佐藤 うん。みんなすごかったもん。本気も本気。

津野 「みんな本気ね。初めて見る顔だわ」みたいな(笑)。

「闇夜に提灯」と「放蕩」は、“和”な匂いという共通点はありますが、曲のタイプも違っているので、シングルとして振り幅が広くて面白い組み合わせだなって思いました。

津野 最近、よく言われてうれしいことがあるんです。

佐藤 ふむふむ。

津野 赤い公園はいろいろと違うタイプの曲あるというのを以前よりも知ってくれてる人が増えてるんです。もっともっと増えて欲しいなって思いますね。今回の「闇夜に提灯」がきっかけでもいいんです。入り口を見つけてもらって、この底なし沼にハマってもらえれば(笑)。

佐藤 今回のシングル2曲だけでも「こんな曲もあんな曲もやってるんだ」って感じて、楽しんでもらえると思います。

楽しく自然体にやっていきたい

あと、初回限定盤には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016」のライブ映像が収録されています。半年ぐらい経ちましたが、どんなライブでしたか?

津野 この日はいろんなアクシデントもありましたけど楽しかったなぁ。

佐藤 すごくバンド感があったよね。「サイダー」「14」「NOW ON AIR」「西東京」の4曲が入ってるんですけど、どれもバンド感がすごく出ていて楽しさが溢れてます。溢れ過ぎて動物園っぽくなってる(笑)。

津野 春に長い尺のワンマン(ツアー)をやり終えて、ちょっと短めの尺のライブが楽しかった時期でした。

佐藤 お客さんもいっぱい来てくれました。女の子のお客さんが増えたのも嬉しかったです。

他に、ドキュメンタリー映像「情熱公園」が収録されていますが。

津野 これまでもアルバムやシングルの初回盤DVDに入れてきてるんですけど、「闇夜に提灯」を仕上げたのが合宿だったんです。なので今回の「情熱公園」は、私が歌詞を書いたり、みんなでアレンジをしたり、そういった合宿の様子が収録されています。

佐藤 あと、ミュージックビデオの撮影現場の様子とかも。

津野 制作の裏側とかが見れます。以前から言ってるんですけど、このドキュメンタリー、めちゃくちゃ面白んです! この空気の現場で曲が作られているっていうことを知って欲しい。

佐藤 私たちの普段の様子、素の表情が見られます。今回のアーティスト写真のようなスタイリッシュさは片鱗も見られないもんね(笑)。

津野 うん。バンドの毎日ってどんなんだろう?って謎が……、わかんないかなぁ。より謎が深まっちゃうかも(笑)。

今後も続々とリリースの予定があると聞きました。

津野 はい。次のシングルが4月で、その後、6月にもリリースします。今回のシングルも含めて、それぞれ違うタイプの曲なのは間違いないんですけど、きっとどこかで“女の人”感というか、同じ人間が作って同じ人間が歌って演奏してるので通じるところはあると思います。どれも自信作になってます!

いろいろとリリースがあるのも楽しみですが、今後の展望というか、どんなことをやってみたいと思っていますか?

津野 リリースがいろいろありますけど、やっぱりライブもたくさんしたいですね。さっき話したように、去年の後半ぐらいから変な肩の力抜けてきてて、よりバンドらしくもなってきてるので。去年のツアーやライブで学んだことを生かせたらいいなと思ってます。

佐藤 私は、バンドとしても、音楽をやっていく上でも、楽しく自然体にやっていきたいなって思います。シンプルでいることの強さとか難しさってあると思うんですけど、そのまま、日常の続きでステージに立てるような感じになっていけたらいいなって。あとはネットの検索とかで、「赤」って打ったぐらいで予測変換のトップに「赤い公園」が出るぐらいになりたいです(笑)。

津野 今、「赤い公園」って打ったら、続きに「ベース 可愛い」って出てくるの知ってる?

佐藤 え、そうなんだ!(笑)

津野 じゃあ、今年の目標は「赤い公園」って打ったら「千明 最高」っていうのが出るようにする。

佐藤 うれしいけど、それ、みんながいっぱい書いて検索しなきゃいけないんだよ。

津野 私がいっぱい書く!(笑)

佐藤 じゃあ、年末ぐらいには検索のトップに出るように頑張りたいと思います。今年はシングルをいっぱい出せるので、皆さんが検索したりする機会も多いと思いますから(笑)。

津野 うん。相も変わらず、“赤い公園”をもっとたくさんの人に知ってもらえると嬉しいなって思ってます。


4月19日 ニューシングル「恋と嘘」発売決定!

■初回限定盤(CD+DVD)
UPCH-7247 ¥1,780+税
■通常盤(CD)
UPCH-5903 ¥1,167+税
【収録曲】
01.恋と嘘
02.スーパーハッピーソング

赤い公園

高校の軽音楽部の先輩後輩として出会い、佐藤、藤本、歌川の3名によるコピーバンドにサポートギターとして津野が加入。そのまま現在に至る。
2010年1月結成。東京:立川BABELを拠点に活動を始め、デモ音源「はじめまして」、ミニ・アルバム「ブレーメンとあるく」の2枚の自主制作盤をリリース。
2011年10月にはカナダツアー「Next Music from TOKYO vol.3」に参加。
2012年2月ミニ・アルバム「透明なのか黒なのか」をEMIミュージック・ジャパンより発売。
2012年5月ミニ・アルバム「ランドリーで漂白を」発売。約半年の活動休止を経て、2013年3月1日活動再開を発表。
2013年8月14日1st FULL ALBUM「公園デビュー」発売。2014年9月24日2nd FULL ALBUM「猛烈リトミック」発売。
2014年 第56回 輝く!日本レコード大賞「優秀アルバム賞」受賞。2016年3月23日3rd FULL ALBUM「純情ランドセル」発売。
ガールズバンドらしからぬ圧倒的な演奏力と存在感から、ブレイクが期待されるバンドとして高い評価を受けている。
また、作詞・作曲・プロデュースを務める津野の才能がアーティスト・クリエイターから注目を集めており、SMAP「Joy!!」の作詞・作曲等の楽曲提供を行うなど、活動の幅を広げている。
そして2017年2月15日には待望のニューシングル「闇夜に提灯」を発売。
オフィシャルサイトhttp://akaiko-en.com/