男子禁制!? 乙女ゲームの世界  vol. 1

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女性の心を魅了する、乙女ゲームの甘美なススメ

女性の心を魅了する、乙女ゲームの甘美なススメ

いまや大きなカルチャーのひとつとなった、女性向けの恋愛ゲーム。通称“乙女ゲーム”と呼ばれるこのジャンルは、主人公の女性が攻略対象の男性たちと恋を育み、幸せなエンドを迎えるゲームのこと。その歴史は意外と古く、初めて乙女ゲームが登場したのは1994年。その後、続々と世に出た乙女ゲームは、時代の流れとともに世界や恋愛模様が多様化し、ただ甘いだけではなくいろいろな想いが胸に響く物語、美麗なイラスト、人気声優の起用などの要素を取り入れ、まるで荒れ狂う波のような現代社会を健気に生きる女性たちに、生きる希望と潤いを与えている。本稿では、そういった乙女ゲームの魅力を紹介。「乙女ゲームをプレイしたことがない」、「気になっているけど何をプレイしていいのかわからない」という女性は、気になった作品があったらぜひチェックしてほしい。なお、乙女の花園的な記事につき、ここからは男子禁制!

 文 / 菅谷あゆむ


乙女ゲームとはどんなゲームなのか

端的に述べれば、イケメンとの甘い恋愛を楽しむシミュレーション、またはアドベンチャーゲームのこと。登場するキャラクターは、もちろんイケメンであることが大前提で、世界はシリアスなものからファンタジックなものまで幅広い。攻略対象の男性の年齢は10代がメインだが、なかにはオーバー30も存在し、その性格も多彩。見た目も性格も良い正統派の王子様タイプから、ただただ闇しか抱えていない男性もいるが、むしろ後者のほうに人気があったりするのだから、乙女ゲームプレイヤーの趣味嗜好というのはまことに奥が深い。

趣味嗜好といえば、プレイヤーのスタイルもさまざまで、主人公の女性に自分を重ねる自己投影タイプやシナリオ重視タイプ、ビジュアル重視タイプ、起用声優重視タイプなど多岐に渡る。さらに細かく見ると、エロティックなシーンや暴力的なシーンが苦手、客観的に見ると不幸だが当人たちは幸せだと感じるメリーバッドを好む、といったプレイヤーもいるため、乙女ゲームの世界が多様化するのもうなずける。ただ甘いだけじゃダメ……そんなちょっぴりワガママな乙女心を、男性は理解してくれるだろうか……いや、理解が難しいから、女性たちは乙女ゲームの世界にハマるのだ。

ちなみに、よく“乙女”と“腐女子”を同一視している方を見受けるが、これはまったくの別物。前者は女性と男性の恋愛を描いた作品、後者は男性どうしの恋愛物語(BL)を好むことを指す。

女性たちの心をくすぐる乙女ゲームの“魔力”

乙女ゲームには、プレイする女性の想像以上の破壊力で心をときめかせるセリフの魔力、シチュエーションの魔力、そして声の魔力がある。現代社会では得られそうで得られない、ドキドキの要素が詰まっているのだ。いくつになっても恋をしたい……そんな純粋な乙女心を熱く震わす、数々のシーンを見ていこう。この萌えを男性は理解してくれるだろうか……いや、何度も言うけど、理解が難しいから、女性たちは乙女ゲームの世界にハマるのだ。

命を賭して戦う男の尊い生き様/『薄桜鬼』シリーズ(オトメイト)

▲新選組を題材に、“羅刹”と呼ばれる吸血鬼モノの要素や鬼の存在を取り入れた作品。江戸末期の波乱に満ちた史実に沿って展開する物語に、切なさがこみ上げる。そのシリアスさと甘さのある恋愛のコントラストが、さらに女性たちの胸を打つ<br />  ※画面写真は『薄桜鬼 真改 風ノ章』のものです

▲新選組を題材に、“羅刹”と呼ばれる吸血鬼モノの要素や鬼の存在を取り入れた作品。江戸末期の波乱に満ちた史実に沿って展開する物語に、切なさがこみ上げる。そのシリアスさと甘さのある恋愛のコントラストが、さらに女性たちの胸を打つ

※画面写真は『薄桜鬼 真改 風ノ章』のものです


ゲーム『薄桜鬼』シリーズ

恋愛対象がみんなドS/『DIABOLIK LOVERS』シリーズ(オトメイト)

▲性格が最悪な六人兄弟のヴァンパイアと同居生活をすることになった主人公が、ことあるごとに罵倒されつつも、深い愛を育んでいく。エロティックで吐息交じりのセリフが多く、それらの大半が臨場感を演出するダミーヘッドマイクで収録されている。ヘッドフォンで聴くと耳元で囁かれているような感覚を味わうことができ、悶え転がること必至<br />  ※画面写真は『DIABOLIK LOVERS』のものです

▲性格が最悪な六人兄弟のヴァンパイアと同居生活をすることになった主人公が、ことあるごとに罵倒されつつも、深い愛を育んでいく。エロティックで吐息交じりのセリフが多く、それらの大半が臨場感を演出するダミーヘッドマイクで収録されている。ヘッドフォンで聴くと耳元で囁かれているような感覚を味わうことができ、悶え転がること必至

※画面写真は『DIABOLIK LOVERS』のものです

時空を超えて描かれる恋愛ドラマ/『遙かなる時空の中で』シリーズ(コーエーテクモゲームス)

▲物語の舞台は平安時代や幕末、大正時代などさまざまで、各時代特有の男性たちとの恋物語が展開する。時空(とき)を超え、戦いに巻き込まれていく中で芽生える恋に胸が締めつけられる。敵とバトルを行う本作では仲間の男性たちが敵の攻撃から守ってくれることがあり、自分が特別な存在であることを教えてくれる<br />  ※画面写真は『遙かなる時空の中で6 幻燈ロンド』のものです

▲物語の舞台は平安時代や幕末、大正時代などさまざまで、各時代特有の男性たちとの恋物語が展開する。時空(とき)を超え、戦いに巻き込まれていく中で芽生える恋に胸が締めつけられる。敵とバトルを行う本作では仲間の男性たちが敵の攻撃から守ってくれることがあり、自分が特別な存在であることを教えてくれる

※画面写真は『遙かなる時空の中で6 幻燈ロンド』のものです

やむを得ない事情から男に変装して男子校に潜入/『喧嘩番長 乙女』(スパイク・チュンソフト)

▲生き別れた双子の兄との偶然の再会によって、女の子なのになぜか県下のヤンキーたちが集まる男子校へ通うことになり、ケンカで学園の頂点を目指すことに。性別を隠したまま過ごす学園生活は、非常にスリリングだが、女の子だとわかりそうでわからないギャグテイストが痛快。攻略対象の男子の、腕っぷしの強さとウブな性格のギャップがたまらなくキュンとする

▲生き別れた双子の兄との偶然の再会によって、女の子なのになぜか県下のヤンキーたちが集まる男子校へ通うことになり、ケンカで学園の頂点を目指すことに。性別を隠したまま過ごす学園生活は、非常にスリリングだが、女の子だとわかりそうでわからないギャグテイストが痛快。攻略対象の男子の、腕っぷしの強さとウブな性格のギャップがたまらなくキュンとする

アツアツなバカップル/『STORM LOVER』シリーズ(ディースリー・パブリッシャー)

▲進学校を舞台に、知り合いから友だち、そして恋人へ発展していく。恋人状態をさらに極めるとカップルモードとなり、ふたりだけの世界へまっしぐら。ただし、好感度を一定以上に保たないと倦怠期モードや三角関係モードへ突入する。目まぐるしく展開する恋愛模様は、作品タイトルのごとく、まるで嵐のように刺激的<br />  ※画面写真は『STORM LOVER V』のものです

▲進学校を舞台に、知り合いから友だち、そして恋人へ発展していく。恋人状態をさらに極めるとカップルモードとなり、ふたりだけの世界へまっしぐら。ただし、好感度を一定以上に保たないと倦怠期モードや三角関係モードへ突入する。目まぐるしく展開する恋愛模様は、作品タイトルのごとく、まるで嵐のように刺激的

※画面写真は『STORM LOVER V』のものです

星座をモチーフにした13人の攻略対象/『Starry☆Sky』シリーズ(honeybee)

▲13星座を題材にした本作は、春夏秋冬の4作品があり、それぞれ幼なじみ、部活の仲間、教師、生徒会メンバーなど、作品によって攻略対象が違うのが特徴。星座というロマンチックな要素に加え、学園内に女生徒がただひとりという設定は夢のような世界で、胸の高鳴りが止まらない<br />  ※画面写真は『Starry☆Sky~Spring Stories~』のものです

▲13星座を題材にした本作は、春夏秋冬の4作品があり、それぞれ幼なじみ、部活の仲間、教師、生徒会メンバーなど、作品によって攻略対象が違うのが特徴。星座というロマンチックな要素に加え、学園内に女生徒がただひとりという設定は夢のような世界で、胸の高鳴りが止まらない

※画面写真は『Starry☆Sky~Spring Stories~』のものです

アイドルとの禁断の恋/『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズ(ブロッコリー)

▲アイドル候補生と、作曲家志望の主人公が織り成す恋物語。夢に向かって突き進みつつも、お互いを尊重し、想い合う深い関係性にドキドキが持続する。ゲームはもちろん、音楽CDやアニメ、イベントなど、メディアミックスな展開からも目が離せない作品<br />  ※画面写真は『うたの☆プリンスさまっ♪Repeat LOVE』のものです

▲アイドル候補生と、作曲家志望の主人公が織り成す恋物語。夢に向かって突き進みつつも、お互いを尊重し、想い合う深い関係性にドキドキが持続する。ゲームはもちろん、音楽CDやアニメ、イベントなど、メディアミックスな展開からも目が離せない作品

※画面写真は『うたの☆プリンスさまっ♪Repeat LOVE』のものです

乙女ゲームの歴史を振り返る

乙女ゲームの奥深い世界を見てきたところで、さらに知識を得るため、歴史について振り返ってみよう。最初の乙女ゲームは、1994年に光栄(現コーエーテクモゲームス)から発売された『アンジェリーク』。宇宙を舞台に圧倒的なスケールで描かれる物語と、見目麗しい“守護聖”たちと恋仲になれるという設定は、多くの女性が虜になった。ちなみに、いまでこそフルボイスが当たり前だが、当時は音声は収録されていない。なお、光栄は自社で開発した乙女ゲーム作品を“ネオロマンスゲーム”と称し、その後もコンスタントに作品を発売している、乙女ゲーム業界のパイオニアである。

2000年代に入り、コーエー(現コーエーテクモゲームス)が新たな作品『遙かなる時空の中で』をリリースすると、それまでのファンタジックな要素から一転、KONAMIより現代を舞台にした『ときめきメモリアル Girl’s Side』が登場する。当時男性向けとして高い人気を誇っていた『ときめきメモリアル』シリーズの女性向け版というセンセーショナルさと、男子生徒たちと絆を育んでいく等身大の恋模様は、瞬く間に女性たちを熱狂の渦の中へ。

さらに、ネオロマンスゲームの第3弾『金色のコルダ』が発売され、乙女ゲームが世に少しずつ浸透してくると、老舗メーカーのカプコンも『フルハウスキス』を掲げ、業界に名乗りを上げた。しかも、超ブルジョア学校・祥慶学園の4人の王子様“ラ・プリンス”とひとつ屋根の下で生活をするという、当時としては禁断の設定。ゲームとコミックを同時に展開し、ゲームの知識に疎い新たな女性層の獲得を目指した意欲作でもある。

そして2005年になると、アイディアファクトリーは“IF 乙女いと♪”という女性向けのブランドを立ち上げ、その後2007年に“オトメイト”として乙女ゲーム業界に本格参入。それまでの乙女ゲームに必ず入っていたシミュレーション要素を取り払い、シナリオと美麗なイベントCGを中心として構成し、『緋色の欠片』シリーズや『薄桜鬼』シリーズなどの作品をリリースする。これ以降、続々と乙女ゲームに新規参入するメーカーが増え、これまでに発売された乙女ゲームは300タイトルを優に超える。さらに、ゲームから派生したアニメ作品や舞台、ドラマCD、声優を起用したイベントも多く、毎日何かしらの情報が飛び交っているのだ。女性たちのゲームへの思いが、この業界を一大産業にまで押し上げたことを考えると、今後の乙女ゲーム業界がどういった展開を見せるのか、ますます目が離せない。

①アンジェリーク/1994年発売 光栄(現コーエーテクモゲームス)
※画面写真は『アンジェリーク』のものです
②遙かなる時空の中で/2000年発売 コーエー(現コーエーテクモゲームス)
③ときめきメモリアル Girl’s Side /2002年発売 KONAMI
④金色のコルダ/2003年発売 コーエー(現コーエーテクモゲームス)
⑤フルハウスキス/2004年発売 カプコン
⑥薄桜鬼/2008年発売 オトメイト

メーカーに訊く! いまいちばんホットなオススメ作品

 つぎつぎと新たなタイトルを発信するメーカー4社に、現在発売中の推しタイトルについて伺った。どれもメーカーのイチオシなだけあって、プレイヤーからも高評価を得ている作品ばかり。まだ乙女ゲームをプレイしたことのない方、未プレイの方は、このコメントを参考に、自分に合ったタイトルを見つけてみては?

オトメイト『Code:Realize ~祝福の未来~』

「2014年11月に発売された『Code:Realize ~創世の姫君~』は、ヒットメーカーであるディレクターの一ジョー(にのまえじょー)と人気イラストレーターmikoが初めてタッグを組んだ作品です。物語の舞台となる機鋼都市・ロンドンで猛毒を宿した少女と攻略対象キャラクターとの切ない恋物語が描かれた事で話題となりました。また緻密に描かれた背景やスチームパンク風の世界観などもファンからご好評をいただき、2016年11月にファンディスク『Code:Realize ~祝福の未来~』の発売が決定。攻略対象キャラクターと結ばれた主人公が紡ぐ本編後のストーリーや人気サブキャラクターとのストーリーなど、ファンの声に応えた内容となっております。また、アニメ化も発表されるなど、注目のシリーズです」

コーエーテクモゲームス『遙かなる時空の中で6 幻燈ロンド』

「2015年3月に発売した恋愛アドベンチャーゲーム『遙かなる時空の中で6』の続編。大正時代に似た異世界を舞台に、前作の“その後”の世界で、攻略対象キャラクター全9名との甘い恋愛ドラマが展開します。前作の振り返りもしっかり入っているので、前作をプレイしていない方も安心です! また、好きなキャラクターとひとつ屋根の下で過ごせる“拠点イベント”を搭載したほか、カードバトルによる戦闘システムも強化!」

ブロッコリー『うたの☆プリンスさまっ♪Repeat LOVE』

「『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズの原点となる物語がPS Vitaでよみがえります。アイドル候補生たちとのストーリーを楽しめる本作は、【BACKSTAGE EPISODE】、【SPECIAL EPISODE】、【PRESENT EPISODE】といった3種類、計49本のフルボイスエピソードや21枚の新規スチルが追加されています。さらに表情アニメーションの追加やイベントイラストのタッチボイスなどなど、システム面でもより遊びやすくなっています。7人のアイドルたちの学生時代のお話をじっくり楽しんでみてください」

ディースリー・パブリッシャー『百花百狼 ~戦国忍法帖~』

「この世でいちばん哀しい戦いが始まる――。本作では、忍びとして生きる者たちの生き様と恋が描かれます。平和の象徴として育てられ、自らも忍びである主人公が初任務をきっかけに自身と里の運命を覆す大事件に巻き込まれます。任務と忠誠心が絶対の忍びたちが、時に命を賭して任務を遂行し、時に仲間との絆に揺れ、初めての恋心によって運命を変えていく……。忍びたちの激しくも美しい生き様を人気イラストレーター・悌太氏が美麗に描く感動の一作です」


乙女ゲームがいかに女性の“萌え”を追究し、女性の欲求に応えるべく制作されたものなのか、この世界の奥深さが少しはおわかりいただけただろうか。プレイしている女性は周知のことだけど、携帯ゲーム機だけでも月に平均5本のリリースを数えることから、良質な作品を作り続けるメーカー側の努力にも感心すべきものがたくさんある。次回は乙女ゲーム業界の第一線で活躍するクリエイター陣へのインタビュー記事を掲載。制作者たちがどのような思いで作品を生み出し、プレイヤーの欲求を満たすために尽力しているのか。その姿に迫っていく。

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