Interview

デビューアルバムを完成させたThe Super Ballが考える「ポップ」とは?

デビューアルバムを完成させたThe Super Ballが考える「ポップ」とは?

2016年7月にシングル「トモダチメートル」(TVアニメ「不機嫌なモノノケ庵」OPテーマ)でメジャーデビュー。その1か月後に赤坂BLITZのワンマンライブを成功させるなど、一気に知名度を上げたThe Supar Ball(佐々木陽吾、吉田理幹によるツインヴォーカルユニット)が1stフルアルバム「スパボ! スパボ! スパボ!」を完成させた。最新シングル「キミノコエガ…。」(TVアニメ「エルドライブ」EDテーマ)、珠玉の卒業ソング「明日、君の涙が止む頃には」、ハシグチカナデリヤとのコラボシングル「Rin! Rin! Hi! Hi!」(TVアニメ「ナンバカ」OPテーマ)のスパボver.などを収録した本作は、佐々木、吉田というふたりのシンガーソングライターが生み出すポップで切ないナンバーがたっぷり味わえる作品に仕上がっている。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 大庭元


ガッツリ2人で活動するようになって。すぐに一緒に住みましたからね(笑)

1stアルバム「スパボ! スパボ! スパボ!」が完成しました。それぞれソロとして活動していた佐々木さん、吉田さんがThe Super Ballを結成したのが2013年。このアルバムはスパボの最初の集大成と言えそうですね。

吉田理幹(Pf/V) そうですね! 活動を初めて3年経って、いまできるベストがこのアルバムかなって思います。

佐々木陽吾(G/V) 路上ライブやライブハウス、いろんな場所でライブをやってきて、「早く音源にしたい」という気持ちがめちゃくちゃあったんですよ。アルバムを出せることで、やっと念願が叶いますね。

吉田 シングル(「トモダチメール」「キミノコエガ…。」)以外の面を見せたいという気持ちもありましたね。R&Bテイストの曲だったり、すごく盛り上がれる曲もあるので。

佐々木 そこはライブと連動してるところもあるんです。セットリストを作るときも自分たちのいろんなカラーを見せられるようにしてるんですけど、それと同じような感じで選んだ13曲なので。

思い入れの強い楽曲ばかりだと思いますが、The Supar Ballとして最初に作った曲はどれなんですか?

吉田 「ココロのブランケット」ですね。シングル(「トモダチメートル」)のカップリング曲なんですけど、2人で初めて声を合わせたのがこの曲なんです。

佐々木 そのときの音源がiPhoneのボイスメモに残ってて。この前、久しぶりに聴いてみたら恥ずかしかったです(笑)。

吉田 (笑)そのときに「イケる!」って確信したんです。自分は学生時代にアカペラをやっていて、いろんな人と声を合わせてきたんですけど、陽吾さんと歌ったときはものすごく心地よくて。相性はダントツだったし、「一緒にやりたい!」と思ったんですよね。

佐々木 僕は「とりあえず1回ライブやってみて…」っていう感じだったんですけど(笑)、下北沢の440で初めてワンマンライブをやったときの手応えがすごく良くて、そこからはガッツリ2人で活動するようになって。すぐに一緒に住みましたからね(笑)。5曲目の「tell me why」、10曲目の「夢人島へGO!!」は、そのライブのときから歌ってたんです。

ハーモニーの相性はもちろん、2人とも曲を作れるのもスパボの強みですよね。

吉田 そうですね。どちらかがもとになる曲を作ってきて、それを2人で完成させるので。

佐々木 最初に聴かせるときは緊張しますけどね。「微妙って言われたらどうしよう」って。

吉田 それはあるね。「これは絶対にいい」という自信がないと、相方には聴かせられないので。でも、曲としてカタチにするときは2人の力が必要なんです。

佐々木 2人で詰めていくと、グッと良くなるからね。使ってる楽器が違うから、メロディの感じも自然と違ってくるし。「これはどっちが原曲を作ったのかな?」って想像するのも楽しいと思います。

2人の感性が反映されているからこそ、これだけ幅広いテイストの楽曲が揃ってると思います。まず1曲目の「ミライキャッチャー」は“未来を今 捕まえよう!”というフレーズで始まるアッパーチューン。

佐々木 まずは気合いを見せたくて。ここから自分たちの未来を掴んでいくんだっていう。

吉田 2人の声でアルバムをスタートさせたいという気持ちもありましたね。だからあえて(ハモリではなく)ユニゾンで歌ってるんですよ

佐々木 この曲を聴くと、理幹が歩いてきた人生を思い出すんですよ。理幹は“プロ野球の選手になる”ということ以外のことを排除して18年生きてきて、その後、“歌手になる”ということ以外のことをすべて排除してがんばってきて。その人生観がそのまま出てるんですよね。

吉田 何がそうさせたのか、自分でもわからないんですけどね。ずっと野球のことしか考えてなくて、それがダメになったとき「音楽でがんばろう」と思って。

佐々木 そうやって真っ直ぐに向き合えるのがすごいですよね。僕は“広く浅く”というタイプというか、勉強もスポーツもけっこう何でもできるんだけど(笑)、“これだけは負けない”というものがないんです。理幹と出会った頃も、じつは音楽を半分あきらめかけてたんですよね。けっこうな倍率のオーディションに残ったり、ソロとして活動してきたけど、これ以上は無理かなって限界を感じていて。「教師になって、たまにライブをやれたらいいかな」と思ってたんですけど、理幹と一緒にやるようになって、ここまで引っ張ってもらって。

吉田 いやいやいや(笑)。さっき言ったように陽吾さんとの声の相性はすごくいいと思ってたし、絶対に一緒にやりたくて。ライブをやっているうちに陽吾さんの意識もどんどん変わってきたし…。自分もいろいろありましたけどね。家族からは「音楽をやりたいなら、就活して内定を取ってからにして」と言われて、音楽をやるために就活したり。

いろんな人が話しかけてくれるんですよ。そこで話したことが歌詞に反映することは多いですね

でも、結局は音楽を選んだ。

吉田 そうなんですよね。「人に決められた人生なんて歩かない」という思いも「ミライキャッチャー」には込められてます。

佐々木 このエピソードを知ると、「ミライキャッチャー」がさらにグッとくるんですよね。

「明日、君の涙が止む頃には」は王道の卒業ソングですね。

吉田 ライブでファンのみなさんに愛されている曲があって、それを卒業ソングとして改めて生まれ変わらせたんです。誰もが経験していることなので、きっと共感してもらえるだろうなって。

佐々木 よく路上ライブをやってた頃は、「高校を卒業しました」とか「大学に受かりました」って教えてくれるファンの方もけっこう多くて。卒業ソングはいつか絶対に作りたいなと思ってたんですよね。

吉田 自主制作のCDを手売りしてると、いろんな人が話しかけてくれるんですよ。そこで話したことが歌詞に反映することは多いですね。自分は「明日、君の涙止む頃に/変わってくものも許せるさ」という歌詞が気に入っていて。ずっと変わらないものもあるけど、変わっていくものもあると思うし、それを受け入れることも大事なので。それは自分たちに対しても言えることなんですよ。3年活動してきてメジャーデビューに辿り着きましたけど、変えていかなくちゃいけないこともあるし、そのうえで前に進んで行かないといけないので。

佐々木 いまはたくさんの人が関わってくれているし、そのぶん、責任の大きさも感じてますからね。

吉田理幹(Pf.Vo)

佐々木陽吾(Gt.Vo)

最新シングル「キミノコエガ…。」は切ない手触りのミディアムチューン。スパボのメロディの良さがしっかり感じられる楽曲だと思います。

吉田 ありがとうございます。この曲、じつは原型は2年以上前に作ったんですよ。出来たときに「これは絶対にいい曲になる」と思ったし、メロディも気に入っていて。陽吾さんと2人で、夜中の公園で詰めていったんですよね。

佐々木 六畳一間のアパートだったから、部屋で楽器が使えなかったんですよ。