『モンハン』で育む家族の絆  vol. 4

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『モンハン』の「対戦」でつながるボクらの「未来」

『モンハン』の「対戦」でつながるボクらの「未来」

 公私ともに『モンスターハンター』(以下、『モンハン』)シリーズと歩んできたライターの父親。『モンスターハンター ストーリーズ』(以下、『MHST』)の”通信対戦”で絆を育む父と息子のセッションは、今回でひと区切りとなる。“本気”でぶつかり、互いの“こだわり”を見せ合ってきた2人。アニメシーンを再現した対戦で、息子は父親に代わって見事に“ヒール(悪役)”を演じきった(第3回)。そんな成長著しい息子に父親が提案した最後の対戦企画は、我が家の『モンハン』シーンの“未来”を垣間見せる。プレイの模様を見せる素朴なスナップ写真とともに、親子の本気対戦で締めくくる。

文 / wodnet


お前にまかせた

 2月のとある日、父はさらなる息子の成長を見たくて、こんな対戦企画を持ちかけてみた。

「次の対戦ルールさ……お前にまかせたっ!」

 これまでの対戦はボクがルールや設定を決めて実施してきた。それには段取りやら順序もあったし、何より息子の何を引き出したいかという、大人の都合が多分に含まれていた。そこで今回は、息子の思うままに対戦しようと思ったのだ。

 すると息子は間髪入れずにこう言ってきた。

「1対1でやってみたい!」

 すなわち、一本勝負である。

▲ライフポイントがひとつだけなので、ライダーかオトモンのどちらか一方が“一度でも力尽きたら即負け”となる、きびしい対戦条件だ

 これまでの『MHST』対戦は、言わば団体戦のようなものだった。基本はライダーとオトモンによる2対2のタッグマッチだが、相手の出方やオトモンの属性を見て、より有利な状況を作れるオトモンに入れ替えて、ライダー1人とオトモン3頭の4人でバトルをしている感覚が強かった。だが、一本勝負となるとオトモンは1頭のみ。最初から最後まで固定のタッグで戦い抜くことになる。

 じつは2ヶ月前にも息子から一本勝負を挑まれていた。しかし情けないことに、その時は全力で敬遠をした。理由は明白で、ボクのライダーとオトモンの成長が、まったく息子に追いついていないと感じたからだ。息子が対戦に投入してくるオトモンは、そのほとんどが絆遺伝子を埋め尽くしている。体力や攻撃力といったステータスは底上げされ、強力なスキルを伝承している。ライダーの装備も充実している。そんな息子に対抗するには、団体戦の総合力しかないと、その時のボクは直感していた。

 だが、いまのボクは2ヶ月前のボクじゃない。今回息子の提案を受けて、不思議なことにボクの口からは自然とこんなセリフが出てきた。

「どうやらオレを本気にさせたいらしいな」

怒涛の一本勝負

 まるで格闘ゲームの試合直前といった感じで、予定調和的に煽り合う父と息子。互いの闘争本能に火をつけて、いよいよ一本勝負ルールでの対戦が始まった。初戦は父のラギアクルスと息子のジンオウガ亜種がぶつかる。

▲父がラギアクルスの絆技“キングストローム”を放っている間、「やめてやめてやめて~」なんて叫びながら、息子はスタンプで抵抗(笑)

 龍属性攻撃を強化した“龍タックル”や“連続龍撃”が無類の強さを誇るジンオウガ亜種。その強さは、本作のプレイヤーならば周知のことと思うが、息子もその強さにいち早く気づいて育て上げ、ためらいなく初戦に投入してきた。容赦のないこの選択は、勝つことにこだわる息子をそっくりそのまま表現している。

 しかし、父はそんな息子のジンオウガ亜種をラギアクルスでねじ伏せる。ジンオウガ亜種は雷属性に弱いため、雷が得意なラギアクルスで拮抗できたのだ。

▲これが父のラギアクルス。パワー、テクニック、スピードの3すくみをプレイヤー自身で選べるスキル構成にもこだわって育てた

 ここには父のこだわりがあった。第3回の記事でも書いたけど、ボクは『モンハン3(トライ)』で初登場したラギアクルスが大好きだ。妻と肩を並べてWiiリモコンとヌンチャクを振っていたあの頃の気持ちが、ラギアクルスの育成に強く働いたのは間違いない。ボクにとってラギアクルスは、そういった我が家の『モンハン』の歴史を宿した特別なモンスターのうちの1頭なのだ。

 続く2戦目は、父のジンオウガと息子のモノブロス亜種の対決となった。またもや日常に紛れる諜報活動でボクの最新オトモン事情を盗み見ていたのだろうか。息子は、ジンオウガの苦手な氷属性をモノブロス亜種に施していた。激しいスキルの乱打戦になったが、雷属性の攻撃に付与されたマヒの効果に助けられて2戦目も父が勝利を手にした。

▲ジンオウガは『モンスターハンターポータブル 3rd』に初登場した牙竜種と呼ばれる獣と竜が一体となったモンスター。ラギアクルス同様に雷が得意だ

 ここまで2連敗と辛酸をなめる息子。彼には彼のこだわりがあって丹精込めて育ててきたオトモンたちが、無情にも父に倒されていく。いつもなら不機嫌になってもおかしくない展開。ところが、3戦目を迎えた息子がこんなことを言ってきた。

「んじゃ、伝家の宝刀出しちゃおっかなー」

 な……なんだって? ジンオウガ亜種とモノブロス亜種以外に隠し玉が!? というか、そもそも“伝家の宝刀”なんて言葉、どこで仕入れたんだ!? と、思わず動揺する父。子どもは思い通りにならないとすぐにへそを曲げるものだけど、いま息子は、悔しい思いに耐えて次の一手に前向きになった。その姿勢こそが息子の伝家の宝刀だ。

 伝家の宝刀は“出す”ものじゃなくて“抜く”ものだ、なんてライターとしてのツッコミもそこそこに、父のイャンガルルガと息子の伝家の宝刀・グラビモス亜種のバトルが幕を開けた。

▲グラビモス亜種の登場に驚いた父だが、父が使うイャンガルルガもまた、息子にとっては想定外だったらしい

 グラビモス亜種のスキルである“溜め拡散熱線”と“豪熱線”は、相手の防御力を無視して大ダメージを狙える攻撃で、息子は堂々とその破壊力を行使してきた。対する父は、初めてパワー・テクニック・スピード3種類すべての絆遺伝子コンボを揃えたイャンガルルガで、多彩な攻撃を駆使して食らいつく。あと一歩のところまで息子を追い詰めたが、グラビモス亜種の圧倒的な火力に押し切られる父。3戦目は息子に軍配が上がった。

▲最大HPの低さが敗北の決定的な要因のひとつと分析しているが、キリンに次ぐトップクラスのスピードと毒攻撃をもっと上手く活用できれば、勝利も可能だった……はず!

子育てと親育て

 その後も一本勝負は続き、自分で書くのは少し恥ずかしいのだけど、名勝負と呼べるバトルがくり広げられた。最終的には父が勝ち越し、息子は悔しさに表情を歪ませた。そんな中でふと息子がこんな風につぶやいた。

「父ちゃん、強くなったね」

 それは、いつだって大人の階段を上りたがる偉そうな小僧の、上から目線の負け惜しみとは一線を画していて、やさしい声のトーンに彩られていた。ボクにとってすごく心地よい言葉だった。それで、ボクは気づいてしまった。

「育ててくれたのは、むしろ息子のほうだった……」

 『モンハン』で育む家族の絆。『モンハン』で楽しむ子育て。それは今回、ボクが掲げたテーマだったのだけど、一方向からの見方にすぎなかった。息子の“本気”と“こだわり”がなければ、ボク自身ここまで本気でオトモンを育てられなかったし、“ヒール(悪役)”になれるほど息子が強かったおかげで、ボクも容赦なく強さにこだわって自分のプレイスタイルを磨き上げられた。ボクが父として眺めて考察してきた息子のすべてが、いつのまにかボク自身に跳ね返っていたのだ。

 大好きなラギアクルスを使い、一本勝負の初戦を勝利で飾った瞬間。それはある意味、息子に演出されていたのかもしれない。大人をここまで歓喜させる子どもがいてたまるものか(笑)。でもそういう考えかたそのものが違うのだ。主従ではなく、上下でもなく、ひょっとしたら父と息子でもなく、“wodnet”と“キッド”というプレイヤーがいっしょに作った喜びの瞬間。ボクと息子の『MHST』のセッションは、妻を含む我が家の歴史を内包しつつ、新しい視点を獲得する貴重な経験となった。敢えて言うなら“子育てであり親育て”でもあったのだ。

▲ラギアクルスの絆技では、このシーンが父のお気に入り。チカラを蓄えた雷光の一撃が放たれる直前だ!

『モンハン』とボクらの「未来」

 そんなこんなで、いまは“ディノバルド”のオトモンをゲットすべく、対戦ルール“MHX”でセッションの日々を送る父と息子。来る2017年3月18日に発売予定の『モンスターハンターダブルクロス』にも登場する獣竜種だ。そんなディノバルドの話をしていると、息子は執拗に念押ししてくる。

「父ちゃん、『ダブルクロス』もやるよね? ね?」

「もちろんやるよ。でも今回は……」

 いまはない月刊誌ファミ通コネクト!オンで攻略していた頃は“弓道一直線”だった父。『モンハン3(トライ)』からは、スラッシュアックスという剣モードと斧モードを変形させる武器も使い、弓とスラッシュアックスの2つをメイン武器に掲げるハンターになった。今回、息子と『MHST』の対戦を数多く重ねてきたことで、すっかり気に入ってしまった武器種がある。ひょっとしたら、ボクの3つ目のメイン武器に追加されるかもしれない。

▲溜めて溜めて溜めて……爽快にフルスイング! 豪快にフルスタンプ! 本作はRPGだけど、しっかり作り込まれた伝統の“ハンターアクション”が気持ちを盛り上げてくれる。父はすっかり“ハンマー”の虜になってしまった

 こうやってボクは今後も、『モンハン』をきっかけにした“変化”と“成長”をずっと楽しんでいくのだろう。そこには予想もしない我が家の“未来”がきっと待っている。新たな『モンハン』の到来と同じくらい、予想もしないボクたち自身の“変化”の到来も、いまから楽しみで仕方がない。

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