LIVE SHUTTLE  vol. 106

Report

斉藤和義囲みトータス松本、GLIM SPANKYらが「歩いて帰ろう」大セッション! 豪華コラボ&カバーの『森亀橋』ライブ・1日目

斉藤和義囲みトータス松本、GLIM SPANKYらが「歩いて帰ろう」大セッション! 豪華コラボ&カバーの『森亀橋』ライブ・1日目

森亀橋2017 presents Your Songs,Our Songs powered by FM COCOLO
@大阪フェスティバルホール 2017年2月7日

大人のリスナーをターゲットにしたステーション“FM COCOLO”ならではのイベント“森亀橋2017 presents Your Songs,Our Songs powered by FM COCOLO”が大阪・フェスティバルホールで2月7日と8日の2日間にわたって行なわれた。

これまで、これほど多くのイベントが全国各地であらゆる季節に行なわれる時代はなかった。夏フェスに限らず、年末のカウントダウン・ライブも盛んに行なわれ、音楽的にもアコースティック限定や、女性ボーカル限定など、たくさんの種類のイベントが花盛りと言っていいだろう。

しかし、時代の特徴を切り取ったり、後々まで語り継がれるようなイベントは数えるほどしかないのが現状だ。どれも似たようなキャスティングや似たような企画が多く、「そのイベントならでは」と言えるような内容を持ったものは本当に珍しい。だからこそ、この“森亀橋2017 presents Your Songs,Our Songs powered by FM COCOLO”は、楽しく、しかも意義のある珍しいイベントだった。

出演者は1日4組、8アーティストの計16アーティスト。彼らはそれぞれのオリジナルを歌い合い、コラボし、名曲をカバーする。何の交流もないアーティストたちが、ばらばらのライブを延々と行なうイベントがほとんどの中、“森亀橋2017 presents Your Songs,Our Songs powered by FM COCOLO”はいろいろなアーティストたちがひとつの舞台に上がる意味を、とことん突き詰めている。

「森亀橋」 左から森俊之、亀田誠治、佐橋佳幸 撮影 / 三浦麻旅子

それを可能にしたのは、“ホストバンド”である“森亀橋”だ。森俊之(ky)、亀田誠治(b)、佐橋佳幸(g)の3人は、深い音楽愛をもって20世紀末からJ-POPやJ-ROCKを支えてきたプロデューサー&プレイヤーたちだ。彼らは単なるビジネスとして音楽を追求してきたわけではない。音楽の可能性や役割を掘り下げて考え、過去の音楽の功績や、未来の音楽の方向に対して高い見識をもって行動してきた。そのひとつの表われが“森亀橋2017 presents Your Songs,Our Songs powered by FM COCOLO”であり、彼らの考えに賛同する16アーティストが集まった。

左上:亀田誠治 右上:佐橋佳幸 左下:森俊之 右上:河村“カースケ”智康  撮影 / 三浦麻旅子

初日の7日は、ホストバンドのセッションからスタート。“森亀橋”の3人に、盟友と言えるドラマー河村“カースケ”智康が加わったバンドは、ポップミュージックの基本である4リズム編成。ドラム、ベース、キーボード、ギターという最低限の楽器で、すべてのアーティストのバッキングを務めようというのだ。
ブラスやストリングスを入れる方法もあったのだろうが、純度の高いイベントにするため、4人はプライドをもってステージに上がった。その心意気が頼もしくもファンキーなオープニング・セッションとなった。

トータス松本 撮影 / 渡邉一生

セッションが終わる頃、「イェー!」と気合をつけてトータス松本が登場。アコギを抱えて、セッションに加わる。そのまま1曲目のウルフルズ・ナンバー「笑えれば」へ。シンプルな曲をエネルギッシュに歌って、会場をあっさりひとつにするあたりは、さすが地元のトータスだ。大きな拍手が起こり、若干緊張気味だったホールが、いきなり和む。

「こんばんは。今日はありがとうございます。森亀橋の3人に代わって、僕からお礼を言います。じゃあ、早速、コラボをやります」。

すぐに長い黒髪を揺らせて片平里菜が現われ、ウルフルズの「サムライソウル」をトータスと一緒に歌う。片平は今春リリースされるウルフルズのトリビュート・アルバムでこの曲を歌っているだけあって、堂々たるコラボぶりだ。

左から トータス松本、片平里菜 撮影 / 渡邉一生

この後、片平は自らのオリジナル「女の子は泣かない」を披露。再びトータスが岸谷香とともに登場して、3人でボブ・ディランの「風に吹かれて」をRCサクセション・バージョンの訳詞で歌う。佐橋の弾くマンドリンが、このフォーキーな曲に含まれるディランと清志郎のメッセージを増幅させる。“歌を大切にする森亀橋バンド”の強みを発揮したシーンだった。

左から 岸谷香、miwa  撮影 / 三浦麻旅子

岸谷が残って、プリプリのヒット曲「DIAMONDS<ダイアモンド>」を会場と一体になって歌う。岸谷のコラボ相手は、miwaだ。2人で、これもプリプリ・ナンバーの「世界でいちばん熱い夏」を熱唱する。世代も違えば、声質もまったく違う2人のコラボは興味深かった。いちばん異なるのはリズムに対する感覚で、20世紀の大らかさと、21世紀の繊細さの対比が面白い。miwaはオリジナルの「結-ゆい-」でアコギを抱え、鮮やかなスリーフィンガー・ピッキングを披露して大きな拍手を浴びていた。

miwa  撮影 / 三浦麻旅子

オリジナルとコラボとカバーが結合する有機的な構成に、オーディエンスはこのあたりから慣れていく。少々、複雑だが、それを了解してしまえば、いつも以上に深く音楽を楽しめる。変な言い方だが、この夜のオーディエンスはコラボやカバーを楽しめる“音楽力”に長けていて、充分に成熟していたのが頼もしかった。

筋肉質でロック体型のTOSHI-LOW(BRAHMAN,OAU)が登場して、会場の熱は一気に高まる。まずはP.F.スローンの書いた名曲「明日なき世界」のRCサクセション・バージョンの訳詞のカバーからスタートする。核戦争への恐怖を描いた歌詞を生々しく歌うTOSHI-LOWの声に、会場の雰囲気が一瞬にして変わる。森は、ディランのバックを務めたアル・クーパーを彷彿とさせるオルガン・ソロでTOSHI-LOWの背中を押す。

TOSHI-LOW(BRAHMAN)  撮影 / 三浦麻旅子

終わると、RCサクセションの「YOKOSO」が演奏され、TOSHI-LOWが「紹介するぜ、清志郎のダチさ。今は俺のダチでもあるんだ」と仲井戸“CHABO”麗市を呼び込む。70年代の大阪を代表するバンド“ファニー・カンパニー”の「スウィート・ホーム大阪」のカバーが始まった。TOSHI-LOWの大阪弁の歌が凄い。負けずに仲井戸が叫ぶ。「今日は俺のリサイタルにようこそ! 最年長! 明日なら小田(和正)がいたのにぃ!!!」。

左から 仲井戸“CHABO”麗一、TOSHI-LOW(BRAHMAN)  撮影 / 三浦麻旅子

この日、最年長の仲井戸は、ブルース・スプリングスティーンの「Hungry Heart」を自ら訳して日本語でカバーする。さらには「バンドのみんなも歌うよぉ! 清志郎と共作した俺のタカラモノ」と紹介した「雨あがりの夜空に」では森亀橋+カースケもリードボーカルを取る。怒涛の4曲だった。

GLIM SPANKY  撮影 / 渡邉一生

最後の1組は、まずGLIM SPANKYが登場。オリジナルの「怒りをくれよ」からスタートする。続くオリジナルの「大人になったら」がよかった。答の出ない問いに真っ直ぐに向き合う青臭い歌を、そうそうたる出演者に囲まれても気後れせずに歌う松尾レミの素直な声が心に沁みた。

GLIM SPANKYのセッションの相手は、斉藤和義と中村達也のMANNISH BOYSだ。カバーしたのは、はっぴいえんどの「はいからはくち」。“ハイカラ白痴”と“肺から吐く血”のダブル・ミーニングのこの曲を、2組のスーパーロックユニットが歌うスリルがたまらない。つくづく心憎い選曲だ。

MANNISH BOYS(斉藤和義&中村達也) 撮影 / 渡邉一生

そのまま残ったMANNISH BOYSは、リハーサルで決めた段取りをすっかり忘れて大暴れ。森亀橋バンドの苦笑が、このイベントの温かさを象徴していて愉快だった。
ラストは出演者のほぼ全員がステージに登場し、斉藤を中心に「歩いて帰ろう」を会場と一体になっての大セッション。1日目の笑顔の幕切れとなった。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 三浦麻旅子・渡邉一生

撮影 / 渡邉一生

セットリスト

01.トータス松本「笑えれば」
02.トータス松本x片平里菜「サムライソウル」
03.片平里菜「女の子は泣かない」
04.トータス松本x岸谷香x片平里菜「風に吹かれて」(RCサクセションVer.)
05.岸谷香「DIAMONDS<ダイアモンド>」
06.岸谷香「ミラーボール」
07.岸谷香xmiwa「世界で一番熱い夏」
08.miwa「結-ゆい-」
09.miwa「ヒカリへ」
10.TOSHI-LOW「明日なき世界」(RCサクセションVer.)
11.仲井戸“CHABO”麗一xTOSHI-LOW「スウィート・ホーム大阪」(ファニーカンパニー)
12.仲井戸“CHABO”麗一xTOSHI-LOW「Hungry Heart」
13.仲井戸“CHABO”麗一x森亀橋 2017 BAND「雨上がりの夜空に」
14.GLIM SPANKY「怒りをくれよ」
15.GLIM SPANKY「大人になれば」
16.MANNISH BOYSxGLIM SPANKY「はいからはくち」(はっぴいえんど)
17.MANNISH BOYS「曲がれない」
18.MANNISH BOYS「グッグッギャラッグッグ」
19.オールメンバー「歩いて帰ろう」

カバー曲の詳細についてはこちらでご覧いただけますhttps://cocolo.jp/ysos/

オンエア情報

この日のライブ音源とバックステージインタビューを2時間×2日=計4時間にわたってオンエア!

FM COCOLO SPECIAL PROGRAM
森亀橋2017 presents Your Songs,Our Songs
2月19日(日)/2月26日(日) 各日19:00-21:00
radikoで聴くにはこちらからhttp://radiko.jp/#CCL

この記事の画像一覧
vol.105
vol.106
vol.107