Interview

アニソン界に現れた暁月凛の、高い歌唱力と可憐な佇まいに注目したい

アニソン界に現れた暁月凛の、高い歌唱力と可憐な佇まいに注目したい

2016年3月にアニメ「金田一少年の事件簿R(リターンズ)」のエンディングテーマ「決意の翼」でメジャーデビューを果たした“暁月凛”が2ndシングル「コノ手デ」をリリース。アニメ「青の祓魔師 京都不浄王篇」エンディングテーマとしてオンエアされているこの曲は、彼女自身が敬愛するクリエイター湊貴大が作詞作曲を手がけたナンバー。ドラマティックなメロディ、奥深い精神世界を描いたリリックを見事に描き出すボーカルからは、アニソンシンガーとしてのポテンシャルの高さを感じ取ることができる。
幼少の頃からアニメとアニソンにドップリ浸り、2015年に大型アニソンオーディションでグランプリを獲得した暁月凛。高い歌唱力と可憐な佇まいを併せ持つ彼女の存在は、ここからさらに大きな注目を集めることになりそうだ。

取材・文 / 森朋之


ダークな側面もありながら、戦いに向かう決意が描かれていて

アニメ「青の祓魔師 京都不浄王篇」のエンディングテーマに起用された2ndシングル「コノ手デ」は、湊貴大さんの作詞作曲。暁月さんは以前から湊さんの楽曲が好きだったそうですね。

そうなんです! 中学生の頃、ボカロが大好きだったんですけど、湊さんが(“流星P”名義で)発表していた「君に嘘」「朧月」など聴いていて。その後「magnet」がヒットして、さらにファンになりました。ボカロへの愛は少しずつ落ち着いて行ったんですけど、湊さんの曲は継続して聴いてましたね。それとは別にVALSHEさんもすごく好きだったんですが、湊さんがVALSHSEさんにも楽曲提供していることを知って。2人の音楽は命に刻むほど愛してますね。

湊さんの楽曲はロックテイストが強いですよね。

私が聴き始めた頃は、それがロックかどうかもわかってなくて。それよりも心の繊細な感情が表現されているところに惹かれたんですよね。楽しいとか嬉しいというだけではなくて、そのなかにある悲しみも描いているのがすごくいいなって。

なるほど。敬愛する湊さんの楽曲を歌えることになったときはどうでした?

嬉しいというか、狂喜ですね。狂いました(笑)。

(笑)。「コノ手デ」を聴いたときの印象は?

すごく湊さんらしい曲だなと思いました。デモの段階では歌詞が少し違っていたんですが、ダークな側面もありながら、戦いに向かう決意が描かれていて。「もし他のアーティストの楽曲だったら、絶対にCDを買う」と思うくらい大好きな曲ですね。

湊さんの楽曲に親しんでいたせいか、ボーカルの表現もすごくナチュラルですよね。

ありがとうございます。自分の感性で歌ってみたのですが、湊さんからもすごく褒めていただいて、嬉しかったですね。これはあくまで私の推測なんですけど、湊さんの音楽に影響されながら育ってきたので、共鳴していただけたのかなと。

「声量や力強さよりも大事なものがある」と気付けたのは、私にとって大きな一歩でしたね

レコーディングのときはどんなことを意識していましたか?

1stシングル(「決意の翼」)のときは力強さを意識していたのですが、今回はもっと精神的な曲なので、全体の起承転結をしっかり表現することを心掛けていました。なのでAメロ、Bメロはあえて声量を抑えて歌ってるんですよ。「声量や力強さよりも大事なものがある」と気付けたのは、私にとって大きな一歩でしたね。

「まだきっと未完成で/全てが拙いけど/追い風を味方につけ/誰より輝くよ」というフレーズも印象的でした。

その歌詞は私もすごく共感しましたね。まさに自分自身がそういう状況なんですが——デビューしたばかりで、いろいろ不完全なところがあるので——それでも「誰よりも輝きたい」という気持ちもあって。そういうストーリー性が感じられる曲になったことは、すごく感謝してますね。ただ、この歌詞は私だけのことではないと思うんです。「青の祓魔師」の主人公・奥村燐とも重なるし、この曲を聴いてくださるすべての人に合ってるんじゃないかなって。

ライブで聴いてもらえれば、CD以上に自分の気持ちを伝えられると思う

シングルのリリース後には、初めてのリリースイベントも開催されました。

初めてみなさんの前で披露したのですが、死ぬほど緊張しました。人生初のサイン会のときも、緊張しすぎて(参加者の)目を見れなかったり、日付を間違えたり…。もともと緊張しやすいタイプだし、私を応援してくださる方の前でどう振る舞えばいいかわからないんですよ。

でも、ステージで歌うのは好きなんですよね?

そうですね。「コノ手デ」は自分自身も大好きな曲だし、しっかり思いを伝えたいなって。ライブで聴いてもらえれば、CD以上に自分の気持ちを伝えられると思うんですよね。ただ、この曲は本当に難しいんです。レコーディングのときは「簡単だな」と思っていたし、インタビューなどでもそう言ってたんですが、ライブで歌うたびにこの曲を表現することの難しさを実感していて。そこに向き合うことが大事だと思うので、がんばって歌っていきたいですね。

精神世界こそがリアルなんですよ……まあ、ちょっと変わった価値観だとは思いますけどね(笑)

カップリング曲の「星を辿る道」は、暁月さんと交流がある二胡奏者のKiRiKoさんが参加したバラードナンバー。こちらも湊さんの作詞・作曲ですね。

はい。この曲にはアニメのタイアップなどもないので、さらに自由に妄想しながら歌いました。「星を辿る道」というのは、私のなかではオーロラのことじゃないかなと思っていて。そこにはいままでの自分に別れを告げるようなイメージもあるし、変えることができない過去を許せるようになって、彼方に向かって歩き出すような場面も浮かんできて。私はこの曲を“死に際の人が歌っている”というふうに感じているんですよ。だから、会えなくなってしまった人にも会えるんじゃないかなって……人類補完計画みたいな感じもあるかも。

「エヴァンゲリオン」ですね。「星を辿る道」という切なくてロマンティックなバラードから人類補完計画に結びつけるって、すごい想像力と思います。

ありがとうございます。いい意味として受け取っておきます(笑)。

精神世界にも興味があるんですか?

そうですね。物質世界と精神世界があるとして、どっちが大事? と聞かれたら、それは絶対に精神世界だと思っているので。物質って、人間が感じ取れないと存在していないのと同じじゃないですか。だから私にとっては、精神世界こそがリアルなんですよ……まあ、ちょっと変わった価値観だとは思いますけどね(笑)。「星を辿る道」の歌詞にも精神世界に通じるような象徴的な言葉がちりばめられているし、すごく奥深いんです。聴いてくれる方の経験に重ねながら、いろいろと妄想してもらえると嬉しいですね。

現実とは違う美しさを提供できたらいいなと思います

暁月さん自身のルーツについても聞かせてください。まず、アニメを好きになったのはいつ頃ですか?

小さいときから好きだったんですけど、中学生まではまわりにアニメ好きの人がいなくて、ずっと孤独を感じていて。高校生になるとアニメ好きの友達がたくさんできて、すごく幸せだったし、さらにアニメにハマっていって。いまは自分の血液のような、かけがえのない存在ですね。

最初に好きになったのは、どんな作品なんですか?

何だろう? コナン(「名探偵コナン」)、CCさくら(カードキャプターさくら)、コードギアス、エヴァンゲリオンなどを同時期に見たのが最初かな。コナンはリアルタイムで毎週見ていて、あとはDVDを借りたり。そのとき初めてアニメというジャンルがあることを知って、「これはすごい!」と思ってずっと見ていて。あまりにも熱狂的だったから、親に心配されてましたね(笑)。いろんな影響を受けていると思いますけど、いちばん価値観を変えられたのはコードギアス、エヴァですね。

当然、アニソンも好きになって。

はい。KOTOKOさん、GARNET CROWさんなどもよく聴いていたので。普通のポップスは三次元の世界のリアルを歌っていると思うんですけど、アニソンはそれぞれ違う世界の真実を語っていて。そこが素晴らしいと思っています。

なるほど。アニメの世界観とリンクさせることで、現実とはまったく違う世界のメッセージを表現できるわけですからね。

そうなんですよね。もっと自由になれるし、妄想もできるので(笑)。私、現実に対するリアリティが薄いんですよ。こうやって話をさせてもらっていても、魂は別の場所にあるような気がするというか…。ちょっと危ないんですけど(笑)、だからアニソンの淵から出られるないんだと思います。哲学や精神世界が好きなのも、それが“仮説”だからなんですよね。“もしこうだったら”という仮説のなかでいろいろと語るのが好きなので。それも妄想みたいなものですが(笑)、そうやって現実とは違う美しさを提供できたらいいなと思います。

グランプリが決まったときは運命を感じましたね

アニソンシンガーになるという夢もずっと持ってたんですか?

いや、「私は歌手にならないといけない」みたいな使命を感じていたわけではなくて。中学生のときに考えていたのは「歌手のオーディションを受けるチャンスがあれば、やってみたい。だけど、それを人生の計画には入れない」とうことなんですよ。そういうところは現実的なんですよね、私の性格は。

何が何でも夢を目指すというわけではなかった、と。

はい。私のイメージでは「人の前で歌うというのはすごく尊いことで、そんなことは普通できない」という感じだったんです。もしチャンスがあれば掴みに行くべきだけど、その確率は低いだろうなって。いまはニコニコ動画もあるし、“歌ってみた”とか、自分でアップすることできるじゃないですか。そういう模索を続けながら、現実と夢のバランスをアレンジしてきたんですよね。

では、アニソンシンガーのオーディションでグランプリを獲得したときはどんなふうに感じてました。暁月さんのなかで尊い存在だった歌手への道が開けた瞬間だったの思うのですが。

オーディションの最中は「私が受かるわけない」と開き直っていたところもあるんですが、心のどこかで「もし選ばれたら、私の人生は神作になる」という気持ちもあって、ドキドキしていました。自分の人生がアニメなるとしたら、どんな感じかな? とか(笑)。まさか選んでもらえると思ってなかったから、グランプリが決まったときは運命を感じましたね。

これからいろんなことにチャレンジして、自分のスタイルを見つけていけたら

1stシングル「決意の翼」では顔を隠し、謎のシンガーとして登場。今回はCDジャケット、ミュージックビデオでも顔を出していて、いよいよアーティストとしての活動が本格的にスタートします。その中心にあるのはもちろん歌だと思いますが、現時点では、自分のボーカルスタイルをどう捉えていますか?

力強いハイトーンボイスが好きだし、それを求められることも多いんですが、自分としては「まだまだやっていないことばかりだな」と思っていて。“暁月凛らしさ”もぜんぜん決まっているわけではないので、これからいろんなことにチャレンジして、自分のスタイルを見つけていけたらいいなと思います。

ライブ情報

ANIMAX MUSIX NEXTAGE

2月25日(土) 秋葉原P.A.R.M.S
[出演アーティスト]暁月凛、MYTH&ROID、MICHI、Luce Twinkle Wink☆ and more…
[ゲストアーティスト]Ray × DJ和(レイカーズ)

ANIMAX MUSIX NEXTAGE公式HP
https://musix.animax.co.jp/liveinfo/nextage/

暁月凛(あかつき・りん)

3月29日生まれ。幼少の頃から、大のアニメ好き
2015年、3000名を超える大型オーディションで、見事グランプリを獲得。
その実力が認められ、2016年3月2日に「金田一少年の事件簿R(リターンズ)」のエンディングテーマ「決意の翼」でメジャーデビュー!そして、2017年2月15日にリリースとなるセカンドシングル「コノ手デ」は、コミックス発行部数累計1500万部突破の加藤和恵原作『青の祓魔師』、待望のアニメ新シリーズ「青の祓魔師 京都不浄王篇」のエンディングテーマに大抜擢!
今、最も活躍が期待される女性ボーカリスト!

オフィシャルサイトhttp://www.akatsukirin.com/

暁月凛の楽曲はこちら

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