Interview

「和島あみ」とは何者なのか。迷いと確信の狭間で揺れる、18歳の主張

「和島あみ」とは何者なのか。迷いと確信の狭間で揺れる、18歳の主張

1万人を超えるオーディションを勝ち抜き、昨年5月に鮮烈デビューを果たしたアニソンシンガー・和島あみ。故郷の北海道から上京してきて早1年。ズシンと芯まで届くパワフルな声を武器にこの世界へと飛び込んできた18歳の少女は、この1年間でいったい何を感じ、そしてどんな自分と直面してきたのだろう? 待望の1stアルバム『I AM』は、そんな彼女のありのままを記録した一枚だ。悩んで、葛藤して、それでも夢を見て。ここまで自分をさらけ出せる人間は、そうはいない。

取材・文 / 西原史顕
撮影 / 山本哲也


不器用な自分自身を突きつけられたアルバム制作
その果てに見えた「和島あみ」とは?

いよいよ1stアルバム『I AM』がリリースされますね。

何ヶ月も歌い続けてレコーディングしていたのが随分前のことのように思えて、「あれ、まだ発売してなかったの?」っていう感覚がありますね。

(笑)。お客さんはようやく、全貌を聴くことができるんですよ。

すでに生放送のイベントを開催したり全曲試聴動画をアップしたりして、アルバムのテーマみたいなことはずっと言い続けてきているのですが、今作はコンセプトアルバムではないですけど、もし何かコンセプトがあるとするならば「和島あみ」そのものです。自分をさらけ出すだけさらけ出したので、あとは聴いてくださる皆さんの反響が気になりますね。ここから何を感じてもらえるんだろう? ということにすごく興味があります。

そうであれば早速感想を。やはり、今作では3曲目の「アイ」から6曲目の「東京」までの流れに、非常に大きな意味を感じました。

私も激推しポイントはそこなんですよ。できれば1回目は曲順どおりに聴いてほしいんです。私自身のドキュメンタリーみたいな構成になっているので。

オーディションに受かって上京し、念願のデビューを果たしたというのに和島さんの中には悶々としたものがくすぶり続けていたことが、よく伝わってきました。

私自身について、周りはシンデレラストーリーと言ったりしますが、自分の力だけではないところから「差し出されているもの」がいっぱいあって、それに対してうまく消化できないな、期待に応えられていないなと思うことがたくさんありました。だから「アイ」の歌い出しなどは、そのままなんです。作詞・作曲の和田たけあきさんが、私が抱えていたことを全部吐き出してくれました。

上京してから1年。難関を勝ち抜きデビューの座を勝ち取った和島さんに、何が起こっていたのでしょう?

東京に出てきた私は「歌うこと」以外に何もできない人間で、なんてことない存在なんだなと落ち込むことがたくさんあって。でも、そこから「どうしてステージに立ちたいのか」と考えるようになって、徐々に意識が外に向いていくようになりました。その過程が、「アイ」から「東京」までの流れにいちばんよく現れていると思います。思春期なんですよ、まだ。

青春、ではなく?

そんな綺麗なものじゃないんです。レコーディング中はディレクターさんと「10代の子なんてどこかしら病んでるところがあるんだから、それをさらけ出そうよ」ってよく話してました(笑)。今回、いろんな作家さんが「和島あみ」を表現してくださいましたが、「これに気持ちを込めなかったらいつ込めるんだよ」って言えるだけの内容を差し出してもらったなと思います。

歌唱は総じて生っぽく、あえて荒削りな印象がありました。

実はタイアップの関係もあって「アイ」がアルバム最初のレコーディングだったんです。アルバムの制作自体が初めての経験だったので、ただでさえどう歌えばいいのかわからないところに、こんな不器用な自分を突きつけられて、正直、探り探りでした。レコーディングが終わってからも「もっと違う歌い方ができたんじゃないか」とずっと思っていたのですが、今は「この不器用なところこそ今の私っぽいな」と納得しています。

続く4曲目の「気づいて」は、もっと生々しさが強調された一曲ですね。歌詞も自分で書かれていて。

「気づいて」はハモも録らず歌とギターだけの本当にシンプルなバラードで。レコーディングではうまく歌おうなどとはせず、とにかく感情を込めることだけを考えました。レコーディングでは初めて座ったまま歌わせていただきましたし、ブースにカーテンをしてたったひとりの空間を作ってもらいました。この曲は最初から最後まで一気に歌いきる一発録りで、その回数も3回だけに制限して、かなりの緊張感のなかで歌っています。

だからこその魂の叫びなんですね?

歌としてはあんまり上手じゃないかもしれません(笑)。でも、ここでも完璧ではないのが私らしいと思っています。

作詞の部分では、「一人」という言葉を何度も使っています。

「ひとりってなんだろう?」ってことをとても考えました。私はなんでもひとりで考え込んでしまうようなタイプなんですけど、そうすると自分の中にあるたくさんの矛盾が気になってきて、それがどうしても受け入れられないという気持ちになってしまう。解決したいんだけど、解決できない自分の気持ちをそのまま書きました。嘘だけはついていないつもりです。

矛盾イコール嘘ではないですからね。

わがままな歌詞を書いてるなとは自分でも感じているんです。おこがましい。でもそういう本当の自分が気にくわないという気持ちは、誰かに認めてもらいたい、誰かと本気で向き合いたいって気持ちの裏返しでもあると思うんです。

完全に、さらけ出してますね。丸裸。

服の着方がわからないんですよ(笑)。何が自分に似合うのか。まわりに服を用意してもらっても、しっくりこない自分がいて。

でも、インタールードの「街(interlude)」を挟んで「東京」になると、その心のトンネルに明かりが差し込みますよね。

インタールードが時間の経過を表していて、夜から朝になるイメージですね。自分のカラに引きこもっていたのが「東京」では少しだけ外を見るようになっています。もう、上京してから1年が経とうとしているのですが、最初はとにかく人の多さと電車の煩わしさに戸惑ってしまい、つねに誰かに責められている感じというか、急げと煽られているようなプレッシャーを感じて、なんだか同じところにとどまってはいけないのが東京なんだなと思ってました。けど、今はそれをあまり窮屈に感じることがなくなった。だから「東京」の歌詞は、外に出て街を歩いているイメージなんです。東京に来て大人になったとは言いませんが、何かが変わってきたんだろうなということは、自分でも感じています。

自問自答の取調室を抜け出して、
今、「和島あみ」は何を思うのか

一方で、デビュー当初からある和島さんのロックなイメージが、アルバムの前半と後半部分ではさらに強化されていますね。

「幻想ドライブ」と「永遠ループ」で見てもらったロックなイメージも、私らしさのひとつなので。「ココロエンパシー」なんかはすごくメロコアじゃないですか。これは実家でお父さんと一緒に聴いてたようなやつだ! っていううれしさがありました。

「スノーマン」のスケール感にも驚かされました。絶対にライブで映えるシンガロング。

いちどイベントで歌ったのですが、かなり盛り上がりました。聴いたことないはずなのにみんなも歌ってくれて。

後半のロック曲では稲葉エミさんの作詞の力も大きいですよね。

たしかにそうですね。レコーディングには毎回来てくださいましたし、「ココロエンパシー」では私が書いたプロットみたいな詞からたくさん言葉を使っていただいたり、「スノーマン」でも私の体験をリアルに書いてくださったり。

やっぱり、この「スノーマン」の歌詞も体験談なんですね?

私のイメージでは札幌です。歌詞のなかにある地下鉄も、公園通りも、実際に私が使っていたところを思い出しながら歌いました。私にとって倶知安や札幌に住んでいた頃のことが心の支えになっているように、誰にでも「あの街」と思える大切な場所ってあると思うんです。だからこそもがきながら都会を転がっている人に、こういう夢に溢れていた「あの頃」のことを思い出してほしい。それが遠回りの応援になればいいなと思っています。

明らかに、歌っている内容が「アイ」や「気づいて」とは違いますね。

こっちの私はすごく前向きですね(笑)。実際、私がいちばんがむしゃらだったのは札幌時代でした。あの頃はとにかく芸能人になりたくて、私ならなんでもできるっていう根拠のない自信に溢れていました。

まさに思春期。

今でもその感覚はあるんです。私は絶対に売れると思ってるし、いずれ関係者の方々にも「和島を選んでよかった」と言ってもらえる自信はあります。

なるほど。弱気になったり強気になったり、忙しい人ですね。和島さんって(笑)。

そうなんですよ(笑)。「スノーマン」のあとに「トオリアメ(new mix)」でまたウジウジ悩みだしちゃうところなんかは、正直面倒くさい女だなって自分でも思います。こんなふうに感情の起伏が大きいのは、私がまだまだ子どもだからなんだろうなとも思います。まだ思春期から抜け出せていない。でも、それをそのまま見せていくのが『I AM』だったので。

その正直さは、十二分に伝わってきましたよ。

東京に出てきて自分が少し変わってきたのは事実なので、みなさんにはその過程を一緒に見てもらえたらと思います。過程を見守っていただくことが、今の私にできることなんじゃないかなと思っています。

ならば5月3日の初ワンマンライブでは、その姿を存分に見てもらいましょう。

5月3日はほんとにデビュー一周年の記念日で、その日が祝日だったことに感謝しています(笑)。すでに私の妄想の中ではどういうセットリストにしようとか、ライブのイメージが出来上がっているんです。

それは頼もしい。『I AM』を通じて自分を突き詰めた結果ですね。

『I AM』は自分探しの作品でもありました。探しながら歌っている部分が強いアルバム。「和島あみっぽさ」というものはやっと今できてきたところだし、まだ明確なものではない感じもしています。「アイ」みたいに自分に自信がないことも事実だし、「幻想ドライブ」みたいに未来があるからと思っていることも事実。今はようやく気持ちが外に向いたというのが何よりで、人から与えていただいたものを信じられるようになったり私が人に何かを与えたいと思えるようになって、自分ひとりの部屋にいる時間が減ったことが大きいですね。

和島さんの二面性。この『I AM』と今度のライブで存分に見せつけてやりましょう。

まさに未成年の主張ですよね(笑)。ただひとつ言えるのは、嘘はついてないということです。アルバムを無事歌いきったことで自分のことを昔よりも好きになれたので、みんなにもそう認めていただけたらうれしいです。

和島あみ

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