『FFXV』が提供する新時代のゲーム体験  vol. 4

Report

『FFXV』が見せる“旅”というキャラクター表現

『FFXV』が見せる“旅”というキャラクター表現

『NieR:Automata』の楽曲をゲーム内で聴くことができるようになるコラボ、100体もの敵と戦う期間限定クエストの配信といったサプライズに満ちたアップデートに加え、強力な武器や釣具が手に入るダウンロードコンテンツ(以下、DLC)など、発売から日が経ってもなお展開が止まらない『ファイナルファンタジーXV』(以下、『FFXV』)。

 別の記事では、本作の世界設定の新しさ、シリーズ初のオープンワールドという挑戦、そして自動と能動という要素を同居させた戦闘などについて触れてきたが、本稿ではキャラクター表現の独自性を振り返っていく。これまでの記事と同様に、本稿でも最後に『FFXV』のディレクターである田畑端さんの一問一答コーナーを掲載しているので、ぜひ最後まで目を通してみてほしい。

取材・文 / 村田征二朗


いつでもキャラクターが喋る喋る!

 ロールプレイングゲーム(以下、RPG)におけるキャラクター表現、と言えばイベントシーンでの会話、衣装や髪型などのデザイン、あるいは戦闘中のアクションなど、さまざまなものが挙げられます。その中でもやはりイベントシーンにおける会話や行動は、キャラクターの性格や考えかた、感じかたを直接見ることができるので、プレイヤーが抱くイメージに大きく影響を与えることは言うまでもないでしょう。このイベントシーンにおける要のひとつでもある会話が、イベントシーンのみならずゲームプレイのあらゆる場面で頻出することで、『FFXV』のキャラクター表現は本作ならではの独特なものとなっています。

▲街に着いて車から降りるときなどの些細なシーンでも会話が発生し、何気ないやり取りの中にそれぞれの“らしさ”が伺えます

 移動中や戦闘中にとにかくキャラクターがよく喋るため、サブクエストなどの寄り道を大量にこなした場合、イベントシーンのドラマよりもそういった場面場面での小さなやり取りのほうが記憶に残っていたりします。攻撃をする際に掛け声を出したり、戦闘終了時に会話が発生したり、というのはほかのRPGでもよく見ますが、本作では戦闘の前後、そして戦闘の最中にもキャラクター同士のちょっとした会話が頻繁に発生するのが特徴的です。さらに会話だけではなく、イグニスは常にノクティスの様子を伺いながら戦う、プロンプトはずっこけることがあるなど、アクション面でも細かいキャラクター表現が行われているのです。

▲モンスターを発見したときにも、キャラクターごとに異なったリアクションを見せます

 仲間に指示を出して特殊なアクションを実行させる“コマンド”実行時には、主人公ノクティスが仲間に声をかけ、それに仲間が応えるという短い会話が発生するのですが、これにもちょっとした遊び心があります。通常であれば「プロンプト!」と仲間の名前を呼ぶところで、まれにノクティスが「金髪君!」とふざけた呼びかたをしたり、ほかの仲間と名前を呼び間違えたりすることがあり、呼ばれたプロンプトが「ちょ、誰それ?」といった反応を返すなど、ちょっとコミカルな一面を見ることもできるのです。

▲基本的に戦闘中はシリアスな雰囲気なので、不意にコミカルな発言が出ると思わず笑ってしまいます

 移動中や戦闘中の会話に加え、宿や標(キャンプ地)に泊まった際のキャラクター同士のやり取りにも注目したいところです。一般的なRPGであれば、宿に泊まっているシーンというのは描かれず、暗転だけで済まされることが多いのですが、本作ではキャラクターたちが宿の中でトランプに興じる姿や、スマートフォンでアプリを楽しんでいるであろう姿などを見ることができます。こちらは会話を聞くことはできませんが、こういった他愛のない日常の場面を見ることができるというのはなかなかに珍しく、『FF』シリーズに限らず今後のRPGで増えてほしい演出です。

▲旅の合間の表情が見えるというのはとてもいい演出です。贅沢を言えば、ここでの些細な会話の内容も聞きたかったですね

 また、一部の宿や標では宿泊時にノクティスと特定の仲間との交流イベントが発生することもあるため、新しく発見した宿や標にはとりあえず泊まってみるのがオススメです。イベントによってはキャラクターの過去を伺い知ることもできるので、見ておいて損はありません。

▲夜中に宿の屋上で語り合うという、なんとも青春な一幕も

 そして、キャラクターたちの日常を垣間見るという点で見逃せないのが、“極上への誘い”というクエストです。このクエストでは、パーティの中でもカップヌードル好きのグラディオラスの提案に従い、極上のカップヌードルを作るために極上の素材を探し求めることになります。本作を未プレイの方は目を疑うかもしれませんが、これが大マジで極上のカップヌードルを追求するクエストなのです! キャラクターたちが真剣にカップヌードルについてアツく語るシーンはある意味で本編を代表するシーンといえるでしょう。

▲プレイヤーの選択によって極上の肉、極上の卵、極上の海老のいずれかを探すことになりますが……。その顛末はぜひご自身で確認してみてください

 メインストーリー、とくにチャプター13などの後半においては、キャラクターやストーリーの描写についてさまざまな意見がありますが、アップデートの中期目標として“ゲーム後半の演出強化”も掲げられているので、ここからメインストーリーがどのようにブラッシュアップされるのか、その進化にも期待したいところです。

旅の記録を切り取る写真機能

 ゲームのあらゆる場面でよく喋るキャラクターたちに加え、『FFXV』のキャラクター表現を独自なものとしているのが、ゲーム内で撮影される写真です。本作ではいわゆるスクリーンショットとはまた別に、イベント中や戦闘中、あるいはショップに立ち寄ったワンシーンなどが写真として保存されるのですが、これがまたユニークなシステムとなっています。1月24日のアップデートによって“セルフ撮影機能”が実装され、非戦闘中であればプレイヤーが自由に写真を撮影することが可能となりましたが、基本的にはゲーム内の写真は自動で撮影され、宿や標に泊まった際に撮影された写真を確認し、保存する写真を選択することとなります。

▲宿で経験値を精算すると写真の選別タイムがスタート。ちなみにここでもキャラクターがよく喋ります

 非常にユニークなこの写真機能、プレイを始めたころは必要性を疑問視しつつも、プレイを進めるにつれてその存在の大きさに気づかされていった、という方も多いのではないでしょうか。まず、メインストーリーやサブクエストの行く先々で撮影される写真がアルバムに残るのですが、これによってプレイヤーが積極的にスクリーンショットを撮らずともプレイの記録が残っていきます。ゲーム終盤で改めてアルバムに貯まった写真を見返してみると、これがなかなか感慨深いのです。

▲パラパラと写真をめくりながら「こんなこともあったなぁ」と振り返るのは、実際の旅を思い返すのに近いものがあります

 また、戦闘中に撮影される写真を見るのもプレイ中の楽しみのひとつです。戦闘中の写真もランダムなタイミングで撮影されるのですが、そのランダム性ゆえに写真がバッチリ決まった格好いいものからシュールな光景を切り取ったものまで、かなりバリエーション豊かな写真が撮れるのです。

▲公式サイトやゲーム雑誌に載っている写真かと思うほどのクオリティで撮れることもありますが……?

▲パーティの中でもイケメン度の高いイグニスはそのイケメンゆえにシュールなスタイリッシュさを生むことも……

 この写真機能はSNS上でも高い人気を博しており、旅の思い出の写真から戦闘中の迫力の1枚まで、多様な写真がシェアされています。2月6日までは公式コンテストである“第1回 スナップショットコンテスト”も開催され、これまたさまざまな写真がネットを賑わせました。第1回と題されているだけに第2回以降の開催も待たれます。こちらの続報も気になりますね!

▲筆者のお気に入りの1枚はこちら。照明の効果もあって、敵である魔導兵が主役のようになっているのがたまりません

自分仕様の車で世界を駆ける!

 各地で撮影する写真がアルバムに保存されていくことでより一層旅をしているという感覚が強まる本作ですが、写真機能と並んで”旅感”を演出しているのが車による移動です。RPGで、車が移動手段となるだけでなく、ガソリン消費や給油といったリアリティまで含めてゲーム内に実装されていること自体が斬新だ、というのは別の記事でも触れた通りですが、『FFXV』は車のカスタマイズ機能にまで力が入っているという点でもほかのRPGとはひと味違います。外装と内装の色だけでなく、ホイールの色まで個別に指定することができ、さらにはさまざまなステッカーを使って車体を飾り付けることまでできてしまうのです。自分好みにカスタマイズした愛車で世界を駆けるというのは、車好きならずとも少し憧れてしまうものがあります。

▲こちらが塗装を変更していない状態。黒塗りのボディに惚れ込んで、あえてこのままにしている人も少なからずいるのでは?

▲カラーリングを変更したり各地のショップで購入できるステッカーを使ったりすることで、随分とイメージが変わります

 車道以外も車で移動したいという多くの要望に応えるように、2月2日にYouTube Liveなどで放送された“ファイナルファンタジーXV アクティブ・タイム・レポート 新春スペシャル!”では車道外も走ることが可能になるフリードライブを開発中との発表も行われました。発売直後から要望が多く上がっていた要素だけに、1日でも早い実装が望まれるところです。

 別の記事や本稿では世界設定からキャラクター表現の独自性まで、改めて『FFXV』について振り返ってきましたが、公式サイトのアップデートロードマップにもさまざまなアップデート目標が書かれているように、今後もストーリー演出の強化やキャラクターを掘り下げるエピソードの配信などによって本作は大きく変化していくことでしょう。発売当初とは大幅に異なったゲーム体験ができるようになるというのはじつに現代的です。まだ本作をプレイされていない方は、ぜひ体験版をダウンロードして本作の操作感やゲーム体験を確かめてみてはいかがでしょうか? 現在発表されているアップデート内容がすべて実装されるのがいつになるのかは興味深いところではありますが、体験版を遊んで面白いと思えたのであれば、いますぐ製品版を購入してみてはいかがでしょうか!


FINAL FANTASY XV (通常版)

2016年11月29日発売 ¥9,504


vol.3
vol.4