Interview

カンゴシンガーソングライター、瀬川あやかが初アルバムで見せた無限の可能性

カンゴシンガーソングライター、瀬川あやかが初アルバムで見せた無限の可能性

看護師としての顔も持つシンガーソングライター・瀬川あやかが待望の1stアルバム「SegaWanderful」をリリースした。デビュー前に生まれたという大切な楽曲ばかりを収録した本作からは、彼女の大きな武器であるポップで明るいキャラクターに加え、これまで見えていなかった新たな表情もたっぷりと感じ取ることができる。アーティストとしての無限の可能性を垣間見せる本作は果たしてどんな思いで制作されたのか? 瀬川あやか本人にたっぷりと話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 藤城貴則


私という人間のキャラクターをわかってもらうために、まずは初期に書いていた曲を入れたかったんです

デビューから約9ヵ月で完成した1stアルバム。その制作にはどんな気持ちで臨みましたか?

自分にとって初めてのアルバムになるので、瀬川あやかとしての色やこだわり、好きなものを詰め込んだ作品にできたらいいなと思って制作には臨みましたね。これまでにリリースした2枚のシングルで感じてもらえたであろう「あぁ、こういうのって瀬川っぽいよね」っていう部分はもちろん、「え、瀬川ってこういう曲も歌うんだ!」っていう意外性も見せられたらなと。

今回は全7曲が収録されていますが、ライブを拝見するとストック曲はかなり多そうですよね。

そうですね。デビュー前からかなり書き溜めていたし、デビューしてからもそれは続けているので今、70曲弱はあると思います。断片的な曲も含めてですけど。

それだけの曲があると選曲はかなり悩んだんじゃないですか?

確かに迷ったところはありましたね。ただ、1stアルバムに入れるんだったらやっぱりこの子よねっていう感じで、決めるのはけっこう早かったかもしれないです。例えば、「妄想スニーカー」は私が初めて書いた数曲のうちの1曲なので絶対入れたいなと思っていたし。

デビュー以降に作った曲からも選ばれています?

いや、今回は入れてないですね。私という人間のキャラクターをわかってもらうために、まずは初期に書いていた曲を入れたかったんですよ。

初期の曲を今のタイミングでレコーディングしたことで何か気づいたことってありましたか?

今だったらこのフレーズは使わないだろうなっていう歌詞があったりとか、譜割りがなかなかおもしろかったりとか、いろんな発見がありましたね。良い悪いではないんですけど、今の自分にはないものを感じるところもけっこう多くて。

自分から生まれた曲たちだけど、月日が経ったことで逆に新鮮に感じる部分もありそうですよね。

いやほんとにそう思います。しかもアルバムに収録するにあたって、すべての曲に素晴らしいアレンジをしていただけたので印象もガラッと変わってますからね。当時はギター1本、ピアノ1本で歌ってたものが生まれ変わったというか。アレンジをいただいたときは毎回、「はぁ、自分の曲がこんなふうになるんだ。すごい!」って思いますから。

感動して泣いてしまうくらい。

そうそう(笑)! この状況を昔の自分が知ったらめちゃくちゃ喜ぶだろうなぁって思いますね。

たくさんの人に聴いてもらうにはどうしたらいいのかなって思う気持ちはより強まっている

歌に関しても変化している部分はありそうですよね。ここまでの活動の中での様々な経験が反映されることで。

いろんな場所でたくさんのライブをさせていただいてきたことで歌い方が変わってきたなっていうのは今回のレコーディングであらためて感じました。家でボイトレをしたりもしていたので、そういういろんなことの成果がでてきたのかなって思える瞬間はありましたね。

具体的にはどんな変化を感じます?

歌い出しの音程にしっかりと声を当てられるようになったこととかですかね。これまでのレコーディングではけっこう「一文字目、もう一度ください」って言われることが多かったんですけど、それが最近はなくなってきたんです。あとは高音もより出るようになったかな。シングル「恋の知らせ」に入っていた「サンサーラ」はかなりキーが高いので、ライブで歌い始めた頃は日によって「あぁもうちょっと行けたかもな」って後悔することもあったんです。でも今は徐々に安定してきた感じがあるので、それは今回のレコーディングでも生かせたような気はしますね。

歌に込める気持ちがより強まっている印象もありますよね。

そうですね。ずっと応援してくださっている人たちへの「もっともっと返していきたい!」という気持ち、今以上にたくさんの人に聴いてもらうにはどうしたらいいのかなって思う気持ちはより強まっていると思います。そのためにどうしたらいいのかっていう具体的な答えはまだ見つけられてはいないけど、そこにしっかり向き合いながら歌うようにはなっていますね。

アルバムの1曲目を飾るのはリード曲となる「妄想スニーカー」。これはどんな思いから生まれたんですか?

実は私、けっこう落ち込みやすかったり、ネガティブな部分もあるんですよ、こう見えて(笑)。で、夜寝るときに電気を消して将来のこととか、歌を仕事にしたいけどどうしたらいいのかなとか当時よく考えていたんです。そうすると眠たくなくなっちゃうし、寝たくないなっていう気持ちになってきちゃうんですけど、明日は必ずやってくる。だったら「今日はやるだけやった。頑張った!」っていう気持ちで眠りについて、明日またしっかり頑張ったほうが前向きだなって思ったんですよね。ほんとにもう歌詞のまんまなんですけど、そういう気持ちから生まれました。

ある意味、瀬川さんのテーマソングとも言える内容ですよね。

そうですね。シンガーソングライターとしてやっていけるかもしれないっていう兆しが見えたきっかけがこの曲だったし、今の自分が聴いても気持ちを鼓舞されるところがあるのですごく大切な曲です。

AメロBメロは少し大人っぽい抑えめのトーンですけど、サビではパッと開けた印象になる。歌詞の内容に合わせて、1曲の中で声の表情の違いが見えますね。

私は1曲の中にネガティブとポジティブ、両方の感情を入れたいなって常々思っていて。この曲はそれが明確に出ているなって思います。構成に関して言うと、今回アルバムに入れるにあたってDメロを追加したんですよ。曲自体にもっと疾走感を出したかったのと、最後のサビの前向きさをより強調したいなと思ったので。今までのバージョンをライブで聴いてくれていた人がこのアルバムを聴いて「アレ?」って思ってくれたら嬉しいですね。

アコースティックな雰囲気の「声」は、本作の狙いでもあったという意外性をもっとも感じさせてくれる曲だと思います。

そうですね。すごくシンプルなので四畳半が似合う曲って身内では言ってますけど(笑)。これは大学卒業してすぐくらいに書きました。大切な人と離れてしまうと世界の中で自分は一人ぼっちなんじゃないかなって思ってしまうじゃないですか。その気持ちを、東京での一人暮らしの心情に重ね合わせた感じですね。

タイトルにもなってる“声”がキーワード。

大切な人と一緒にいるときの自分の声と、その人がいなくなったときの自分の声は違っているんじゃないかなって思ったんですよ。きっと悲しい声になっているだろうなって。だから今の自分の声に対して、「声さん、声さん。あのときの歌を覚えている? あの人はいなくなったけど、今でも歌えるでしょ? だったら最後まで歌ってみようよ」って問いかけている感じなんですよね。……こんなふうに説明するとポップな曲みたいに思われそうですけど(笑)、すごくしっとりしてます。アルバムでは唯一のしっとり曲なので。

サウンドの雰囲気に寄り添った歌声が素敵ですけど、ご自身なりにいろいろ試した感じですか?

はい。メロディが跳ね上がる曲が多いので、こういうタイプは自分の中でけっこう珍しいんですよ。だから自分で作ったにもかかわらず正直、どう歌えばいいのかっていうのはレコーディングのときにすごく考えましたね。感情を抑えすぎるのもイヤだし、明るすぎるのも全然違うしっていうところで。スタッフさんと話し合いながら、現場でいろいろ試しながら決めていきましたね。

成長はしていきたいけど初心は絶対に忘れたくないので、私はいつまでも「未熟なうた」でいいと思います!

「いつでも恋はカメレオン」は、失恋した人を新しい恋へと誘う軽快なナンバー。「ベストフレンド」は友人に向けた感謝を綴った1曲。このあたりは聴き手の日常に入り込む身近なテーマを独自の視点で切り取った瀬川さんらしいテイストですよね。

恋愛が終わったときって槇原(敬之)さんの歌じゃないけど“もう恋なんてしない!”って思うじゃないですか。でも、いつかはきっと幸せな恋ができるよっていう気持ちを伝えたかったので、「いつでも恋はカメレオン」はそれをコンセプトに書きました。「ベストフレンド」は高校時代の友達にもらった手紙が元になっていて、実際手紙に書かれていた言葉をそのまま使っているところもあるんですよ。友達に対して面と向かって“ありがとう”とはなかなか言いにくいものですけど、この曲をきっかけにそういう気持ちをあらためて感じてもらえたらいいなって思います。

ちなみに「ベストフレンド」を書くきっかけになった手紙をくれたお友達にはこの曲を聴いてもらいました?

うん、何度も聴いてもらってます。北海道でのライブを観に来てくれたことがあって、そこでこの曲を歌ったら後で「大勢の人に向けて歌ってるように見せてたけど、どうせ私のこと思って歌ってたんでしょ?」って言われましたけどね(笑)。「いや全然違うから!」って言い返しましたけど。あはははは。

いい関係ですね。

はい(笑)。あ、そういえばこの曲をきっかけに、ずっとケンカしてた幼馴染と仲直りした友達もいるんですよ! そういうふうに自分の作った曲を通して何かを感じてくれて動いてくれる人がいるっていうことはほんとにありがたいなって思いますね。

アルバムのラストには「未熟なうた」が収録されています。瀬川さんが歌う意味が込められているこの曲もまた重要なナンバーですよね。

そうですね。これ、私の曲の中ではベストオブネガティブなんじゃないかっていう感じもしますけど(笑)。大丈夫ですかね?

いや全然大丈夫ですよ。確かにネガティブな感情が見えているところもありますけど、しっかり前を向いた決意がにじんでいるし。

だったら良かったです。これ実は最初、タイトルが「へたくそうた」で、歌詞もけっこう違っていたんです。でもそれだとあまりに卑屈すぎるからっていうことで“未熟”っていうワードに変えたんですよね。歌詞を書き直してからは自己紹介ソングとしてライブで歌わせていただく回数もけっこう多くて。自分の気持ちがダイレクトにあらわれているからほんとに大事な1曲だと思います。

アルバムに収録されたことで多くの人に届くでしょうし、これからも大切に歌い継いでいく曲になりそうですよね。

そうですね。活動をしていく中でいろいろな変化もあるとは思うんですけど、この曲を書いた当初に思っていたことを忘れずに、ここから出会っていく人たちにも大切に歌っていけたらなって思います。そうすることで曲自体に新たな気持ちがどんどん入っていくことにもなるだろうし。

そうするといずれは“未熟”ではなくなるときがくるかもしれない?

完熟になった、みたいな(笑)。それか「熟女のうた」? それだと意味が全然違いますよね。あはははは。成長はしていきたいけど初心は絶対に忘れたくないので、私はいつまでも「未熟なうた」でいいと思います! ちなみにこの曲だけピアノを私が弾いているんですよ。そういう意味でも大事な1曲になったので、アルバムの最後の曲としていい余韻を感じてもらえたらいいなと思います。

「ほんとに普通だね。変えてください」ってすぐNGが出るんですよ!

では最後に「SegaWanderful」というアルバムタイトルに込めた思いを教えてください。

最初のアルバムだから自分の名前を入れつつ、インパクトを出せたらいいなと思ってこれに決めました。“Wanderful”の部分には“wonder=驚き”と“wander=歩き回る”という2つの意味を込めたんですよ。これから“wonder”な瀬川あやかと一緒に、いろんな場所を歩き回り、たくさんの人に出会っていこうよ、みたいな感じですね。

1枚目にふさわしいタイトルだと思います。でもダジャレなんですね、やっぱり(笑)。

すぐダジャレにしちゃうっていうね(笑)。うちの事務所ってライブのタイトルなんかにしてもちょっと普通な案を出すと、「ほんとに普通だね。変えてください」ってすぐNGが出るんですよ! 写真チェックとかではほとんどNG出ないのに(笑)。

Instagramに白目の写真を上げても大丈夫なのに。

そうそう。白目の瀬川はOKなのに、ダジャレじゃないとダメっていう。なのでこれからはきっとダジャレの腕もどんどん上がっていくことになると思います(笑)。

あははは。本作リリース後、東京、大阪、北海道でのワンマンツアーも開催されますね。楽しみにしています!

今まではライブでしか聴けなかった曲たちがこのアルバムで音源として聴けるようになったので、予習して来てくれる人もきっといらっしゃると思うんですよ。それによってパフォーマンスも、お客さんとのやり取りにも変化があるはずなので、それが一番の楽しみですね。誰かの辛さの感じ方が変わるように、という思いでライブでも歌を届けていきますので、ぜひ遊びに来てください!

ライブ情報

“SegaWanderful” LIVE TOUR 2017 
~ニコニコニッコリ2ッ5リツアー~

4月28日(金) 東京 恵比寿Creato
4月30日(日) 大阪 hillsパン工場
5月5日(金・祝) 札幌 キューブガーデン

瀬川あやか

1992年4月27日生まれ。北海道 富良野市出身。
5歳からピアノをはじめ、幼少の頃から歌手になる夢を抱くと同時に、当時看護助士をしていた母親の影響で看護師を目指す。高校時代は毎朝4時半に起床し、富良野から往復4時間かけて登校。
2011年、看護師になるため、一人上京。大学1年の時に人に勧められ、大学のミスキャンパスコンテストに出場、準グランプリを獲得。2015年2月国家試験合格後は、看護師をしながらアコースティックギターとキーボード弾き語りで年間50本を超えるライブをこなす。 どんなことでもすぐにポジティブに変換させる天性の明るさと伸びやかな優しい歌声が、”なぜか元気になれる”と言われる瀬川あやかのライブの所以。“人の痛みや辛さはゼロにはできないけれど、 明日の辛さの感じ方が少しでも軽くなったら…”昼は看護師として、夜はシンガーとして、明日への元気と心の栄養を処方する。
2016年6月15日に「夢日和」メジャーデビュー。10月19日にはセカンドシングル「恋の知らせ」をリリース。リリースした2枚のシングル収録曲全曲にタイアップが決定している、話題の現役看護師シンガーソングライター。

オフィシャルサイトhttp://aya-web.com/

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