Interview

小栗旬主演舞台『髑髏城の七人』、青木崇高インタビュー

小栗旬主演舞台『髑髏城の七人』、青木崇高インタビュー

今年の3月に東京・豊洲埠頭地区にオープンする新劇場〈IHIステージアラウンド東京〉。劇場の中央に360度回転する円形の客席が配置され、それを4つのステージと巨大なスクリーンが取り囲むという斬新なシステムを採用した劇場は、発祥の地であるオランダに次ぐ、世界で2番目のオープンで、アジアでは初となる。
そのこけら落とし公演となるのが、劇団☆新感線の代表作で、劇団最高傑作とも称される『髑髏城の七人』(作・中島かずき/演出・いのうえひでのり)。しかも、“花”“鳥”“風”“月”の4シーズン、2017年3月30日から2018年まで1年3ヵ月にわたり、脚本、キャストや演出を替えながら上演し続けるという前代未聞の企画となっている。
その第一弾〈Season 花〉に小栗旬や山本耕史、成河、古田新太らとともに出演する、劇団☆新感線初参加にして、製作発表会見などで「最初はオファーを受けるべきか躊躇していた」と正直に語っていた青木崇高にその言葉の真相を訊ねた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 関信行


とんでもない世界観、観客も含めた一体感が豊洲に出来上がる

製作発表直後の会見などを拝見すると、最初はオファーを受けるつもりはなかったが、小栗旬さんに説得されて……というような記事が出ていましたが、実際のところはどうだったんですか?

ちょっと失礼なことを言ってしまったようで申し訳ない気持ちですけど(笑)、そもそもは、劇団☆新感線の舞台に「まさか呼ばれるとは!?」と、まったく想像もしていなかったっていうのが正直な気持ちです。そのあとに〈兵庫〉という役について聞かされて、最近、映像で力強くあばれはっちゃく的な役柄が多かったので、そのイメージが強いんだろうなと思いつつ、自分的には「兵庫(関八州荒武者隊の頭目)か……天魔王(関東髑髏党の党首)をやりたいな」って思ったりして。でも、(小栗)旬くんと飲んだときに〈IHIステージアラウンド東京〉のことを熱心に話され、「そのこけら落としを一緒にやりたい」って改めて言われて。まあ、彼が人たらしなのは知っているので(笑)警戒しながら聞いてはいたんですけど。

あはは。仲間を巻き込んで大きなうねりを作っていく人ですからね。

すごく大きなプロジェクトが今、動こうとしていて、その舞台に一番最初に立てるっていうことを考えれば、自分の役がどうこうということより、このチャンスを逃す手はないなって思うようになって。よく考えると、自分が求められている見た目は役者としても大切なエッセンスなわけですから、ありがたい話だと思うんです。今はもう、まだ想像すらつかない大きな舞台の上でどう表現していけるのかっていうことに集中しています。

青木さんにとって小栗さんはどんな存在ですか?

ヘンな人ですよね(笑)。しょっちゅう遊んでるわけではないんですけど、映像の仕事で一緒になってから、時々会うようになって。とても魅力的な人間ですし、日本の中でも稀有な存在だと思うんです。だからこそ、彼の人生に引っ張られないように意識しているところは、かなりあります。

今、“かなり”のところに力が入っていましたね(笑)。

本当にパワーがすごいんです。尊敬しているし、大好きだから言えるんですけど、彼には彼の勝ち取ったスタイルがある。だから、僕が彼のスタイルをマネても何もいいことはないんです。こうして日本で新しいエンターテインメントの企画があったときに、彼はでかいプロジェクトの真ん中に立つ人間なんです。じゃあ、彼がそこにいるときに自分がどういう立ち位置にいるのか? それぞれがそれぞれの軸をちゃんと持つということが、作品が深く強くなることだと思うので、その中で自分の軸を探して、そこをちゃんと魅力的に見せる。そういう集合体が一番強いエンターテインメントを生むんじゃないかと思っているので、自分は自分でしっかりやるべきことをやる。さらに、キャストのみんなと噛み合ったときに、とんでもない世界観というか、観客も含めた一体感が豊洲に出来上がるんじゃないかなと思っています。

小栗さんの熱に警戒しながらも(笑)、最終的に参加したいと思えたのは、やはり斬新なシステムのこけら落としであるということが大きいですか?

そうですね。初めてのプロジェクトで、演者だけじゃなく、関係者を含めみんなで「やってみなきゃわからない」っていうことに挑戦するということも大きいです。僕は自分の命が燃えるような、興奮できるものをやりたいとつねに思っていて。今回の舞台は、なかなか人生で出会えないような機会でもあるし、怖くても挑戦できることがあるというのもありがたいことで。そこで、自分はちょっと……って、よくわからない言い訳に逃げたら、一生後悔しそうな気がしたんです。

新劇場にはもう足を運びましたか?

映像で様子は観ました。実際にはまだ行っていないのでサイズ感もわからないんですけど(取材当時)、これから稽古が始まって、そのあと場当たりをやって、本番の幕が開いて……二段階、三段階と感動を感じながらやるということも、きっとあまりないことなんじゃないかなと思っています。みんなで未知の体験を同時に共有できるっていうことは特殊な経験になると思いますし、人生の中でも忘れられない経験になると思います。とにかくやれるだけのことをしっかりやるっていう気持ちでいるんですけど、終わったあとにいったいどんな興奮が待っているんだろうっていう期待もあります。ただ、劇団☆新感線にしかできないような究極のエンターテインメントになるのは間違いないと思います。

その劇団☆新感線の代表作である『髑髏城の七人』という作品についてはどう考えてますか?

長いこと愛されていますし、普遍的でとても面白い作品だと思いました。僕は、前回、旬くんがやった2011年版(通称:ワカドクロ)をDVDで観て。そのあと、古田(新太)さんや(市川)染五郎さんのほかのバージョンも買ったんですけど、稽古前にあんまり観るべきじゃないなって思い始めて。見過ぎてしまうと、イメージがつき過ぎるし、それが主流になってしまうのも怖いので。今はあんまり色をつけないようにして、台本を受け取ったあとでキャラクターの振り分けを見つつ、それぞれの匂いみたいなものを大切にやれたらなと。

物語の魅力はどう感じています?

“現代風時代劇”っていう言い方は間違ってるかもしれないですけど、時代がどうであれ、人間の感情のやり取りにはやっぱり普遍的なものがあると思うんです。『髑髏城の七人』に出てくる登場人物たちにもそれぞれいろんな理由があって、そこでいろんな人間関係が生まれていく。まさに、日本人が心震えるストーリーになっていると思うんです。「待ってました!」っていうと簡単すぎるけど、現れて欲しいところに現れて、戦って欲しいところで戦い、危機には仲間が助けにくる。わかっているというか想像がつくけど面白い。そこに、劇団☆新感線ならではのプラスアルファもあって。あらすじを読んでいれば、小さい子供や外国人の方が観てもわかるようなストーリーで、そこで展開する人間関係や感情の流れがすごい好きです。早く本読みをしてみたいと思ってます。ほかのキャストがどんなキャラクター作りをするのか。「お! そういう感じでくるんだ!」という意外なアプローチの方がいるのも面白いし、感化されるものですから。

まだ本読み前の現時点では〈兵庫〉という役柄をどう捉えていますか?

ストーリー全体を通して明るい展開ではないので、観ている人がひと息つける場所でありたいなと思います。陰と陽があるのであれば、しっかりと陽をやる。あとは、荒武者隊でお百姓出身でもあるので、感情的には観客に一番近い感じかなと思ったりしますし、いい意味での愛されるバカさも備えつつ、ほかにない大きいステージなので体力をつけて暴れまわりたいというか、大きく存在していたいなっていうのがありますね……こうして話していても、自分が今、置かれている状況をまだ俯瞰で見れてなくて……終わったときのことなんて考えてもいなかったけど、終わったら本当にどうなるんだろうって、今、初めて思いました。

あはは。では、どうなっていたいですか?

抜け殻になりたいなと思います。からっからのドクロになれたらいいなって。それだけやり尽くしたいし、人生にそうこないチャンスだと思うので、存分に楽しみたいです。できれば、お客さんの立場でも観たいなと思うんですけどね(笑)。まあ、そこはお客さんにも楽しんでいただいて、かつ、ステージに立ったら気持ちいいんだろうねって思わせたいです。そういう意味では、85公演ってとても長いんですけど、一公演一公演、大切な瞬間だなって思います。ずっとフレッシュなままでいられるんじゃないかな。

何かもう準備はしてますか?

いのうえさんに「(稽古前に)フルマラソンできるくらいの体力をつけてきてくれ」って言われているので、走ったり、トレーニングに行ったりして、とにかく足腰を強くしてます。昨日も、「ビリーズブートキャンプ」をやってました(笑)。

(笑)野球選手の開幕キャンプ前の自主トレみたいですね。このあとキャンプ=稽古に入って、本番を迎えるっていう。

ステージは大きいのにあんまり動いてないなって言われたくないですから。早めに体力はつけておいて、稽古ではいのうえさんの注文にちゃんと応えられるようにしたいなって思ってます。「そこまで動けるなら、こういう動きもつけよう」ってできるように。劇団☆新感線の舞台って、たくさん動くし、見栄えや華やかさも大事じゃないですか? 音と同時に動きが決まるところが、観てるほうも気持ち良さを感じるし、こういう舞台はまず足腰が強くないといけないなって思っていますから。

これから稽古に入るわけですが、稽古から本番まで、何か楽しみにしていることはありますか?

僕も結婚したばかりなのですが、耕史さんや旬くんとか同じ境遇の人もいらっしゃるので、先輩方のお話を聞けたら面白いなって思ってます(笑)。シリアスなヒューマンドラマとは違って動きもいっぱいある舞台なので、みんなで汗を流して、同じ飯を食うっていうのも、まっとうな部活のようで楽しみです。しかも、お酒が大好きな人も多いから、きっと終わったあとは毎日のように飲み会になると思うんですが……飲み過ぎないように自分のペースを保ちつつ(笑)。そうやってみんなでご飯を食べるのも楽しみです。とにかく、人生の中でも大変に思い出深い作品になることは間違いないので、楽しくやってきたいです。もちろん大変なのは承知のうえなので、挑んで挑んで、しっかりやっていきたいと思ってます。

最後に劇場に足を運ぶお客さんにメッセージをお願いします。

本当に「瞬きしないでくれ」っていうくらいのことをやりたいと思っています。僕の実家は大阪なんですけど、実家からもすでにチケットを頼まれていて(笑)。地方から観に来た方にも絶対損をさせない仕上がりにします! なので、東京在住の人は、わざわざ一回、沖縄とか北海道に行っていただいて、そこから駆けつけてもらっても(笑)、大満足していただける舞台になると確信しています。わざと遠くに行ってから来てもらっても構わないくらいのエンターテインメントを見せますので、ぜひ楽しみにしていてください。

ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season 花 Produced by TBS

2017年3月30日(木)〜6月12日(月)IHIステージアラウンド東京(豊洲)

STORY
天正18年。豊臣秀吉が天下を治めていた頃、都から離れた関東の村々は〈天魔王 / 成河〉率いる〈関東髑髏党〉に荒らされていた。そんななか、〈髑髏党〉に追われる〈沙霧 / 清野菜名〉というひとりの女がいた。彼女は〈天魔王〉の居城〈髑髏城〉の絵図面を手に逃げていたのだった。あるとき〈兵庫 / 青木崇高〉を筆頭とした〈関八州荒武者隊〉が〈髑髏党〉から村を守ろうと戦っていたところに〈沙霧〉が飛び込んでくるのだが、〈兵庫〉は仲間の裏切りにより窮地に陥ってしまう。そこに浪人〈捨之介 / 小栗旬〉が現れ、助太刀を果たす。その後、難を逃れた3人は色里〈無界の里〉へ向かい、主の〈蘭兵衛 / 山本耕史〉や〈極楽太夫 / りょう〉にかくまわれるも、ここにも〈天魔王〉の手が伸びていた。そして〈捨之介〉は〈天魔王〉を倒す決意を固め、〈贋鉄斎 / 古田新太〉に無敵の鎧を叩き斬ることのできる〈斬鎧剣〉の製造を依頼する──。〈捨之介〉〈天魔王〉〈蘭兵衛〉が抱える深い縁、それぞれの戦いの結末は。

【作】中島かずき
【演出】いのうえひでのり
【出演】
小栗旬/山本耕史/成河/
りょう 青木崇高 清野菜名/
河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 磯野慎吾 吉田メタル 保坂エマ/
近藤芳正/古田新太 ほか
【企画・製作】
TBS
ヴィレッヂ 劇団☆新感線

オフィシャルサイト

青木崇高(あおき むねたか)

1980年3月14日生まれ、大阪府出身。2003年に映画『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』で本格的にスクリーンデビュー。2006年に『繋がれた明日』(NHK)で初出演、朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』(07/NHK)、大河ドラマ『龍馬伝』(10/NHK)で注目を集める。近年の出演作には【舞台】『幕末太陽傳』(15/江本純子 演出)、『ぼくに炎の戦車を-Bring me my chariot of fire-』(12/鄭義信 作・演出)【映画】『沈黙-サイレンス-』(17/マーティン・スコセッシ 監督)、『雨にゆれる女』(16・主演/半野喜弘)、『日本で一番悪い奴ら』(16/白石和彌 監督)、『S-最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』(15/平野俊一 監督)、『王妃の館』(15/橋本一 監督)、『るろうに剣心』シリーズ(14・12/大友啓史 監督)【テレビドラマ】『水晶の鼓動 殺人分析班』(16/WOWOW)、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(16/NTV)、『99.9-刑事専門弁護士-』(16/TBS)、『ちかえもん』(主演、16/NHK)などがあるほか、映画『雪女』(2017年公開/杉野希妃 監督)が公開中。