Interview

SPECIAL OTHERS が斉藤和義、RIP SLYME等、豪華なメンツと絶妙な掛け合い。コラボ作品集第2弾の全貌

SPECIAL OTHERS が斉藤和義、RIP SLYME等、豪華なメンツと絶妙な掛け合い。コラボ作品集第2弾の全貌

2006年のメジャー・デビューから10周年を迎えたアニバーサリー・イヤーで意気上がるインスト・バンド、SPECIAL OTHERS。その節目の締め括りとなるコラボ作品集『SPECIAL OTHERS Ⅱ』には、斉藤和義、RIP SLYME、THE BACK HORNの山田将司&9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎、04 Limited SazabysのGEN、在日ファンクの浜野謙太という錚々たるメンツが参加。濃密な歳月を通じて育まれたしなやかで豊かな音楽性が広がる作品世界について、彼らが大いに語ってくれた。

取材・文 / 小野田雄


10年こつこつ、一日一日やってきて、感じる手応えは小さくない

デビュー10周年のアニバーサリー・イヤーを締め括る歌モノ・コラボ集の第2弾『SPECIAL OTHERS Ⅱ』を前に、まずはこの10年を振り返ってみていかがですか?

芹澤 10年やってきて、俺らの存在をみなさんにようやく認めてもらえたかなって。出てきた当時は何者かもわからなければ、インスト・バンドというのは前例がなく捉えどころがない音楽だったと思うんです。得てして、前例がないものって、否定的に見られがちだし、実際、風当たりの強さを感じた瞬間もあったんですけど、10年こつこつ、一日一日やってきて、感じる手応えは小さくないなって思います。

柳下 10年前、俺たちの音楽を聴いてくれていた学生が大人になって、今度はその子供が俺たちの音楽を聴いてくれてる。スペアザのことを戦隊モノのヒーローみたいな感じで、その子供が緊張しながらサインを求めてくれたりもして。そうやって世代を超える、グッとくる瞬間があったりもするので。

前回の歌モノ・コラボ集の第1弾『SPECIAL OTHERS』のリリースは2011年でしたけど、この作品がスペシャルなのは、ボーカリストを入れずに活動を続けてきたバンドのこだわりがあればこそ、その魅力が映える作品だな、と。

宮原 単純に歌い上げられるメンバーがひとりもいなかったし、もともと、好きな音楽が歌モノではなく、インストだったっていう、そういう複合的な要素でこのバンドは成り立っているんですけど、まぁ、こだわりといえば、こだわりですよね。

芹澤 コラボレーションをデビューからしばらくやらなかったのも、俺らが何者かもわからないときにボーカリストを迎えても、その人のバック・バンドに見えてしまうだけで。そうではなく、スペアザが世の中に浸透して、初めて、その意味や意義が生まれると思うんですよ。

そういう意味で10周年の節目はコラボ集第2弾の絶好のタイミングだと思うんですが、今回の作品はどこから着手していったんですか?

宮原 (斉藤)和義さんとやった「ザッチュノーザ」が、一番最初ですね。

芹澤 そこはわかりやすくて、オファーして、オッケーが出た順なんですよ(笑)。

宮原 まず、こちらで大まかな曲を作って、それを聴いてもらって。その反応に対して、こちらも応えていくっていうやり取りから作っていったんですけど。和義さんとやるんだったら、速い曲よりじわじわくる曲がいいなっていうところで「ザッチュノーザ」は出来ましたね。

芹澤 和義さんは発想が豊かというか、歌録りのときにもいろんなアイデアを出してくれて。

宮原 “ザッチュノーザ”という言葉は仮歌の仮歌詞で、“なんか、これ、呪文みたいじゃん”って気に入ってくれて、そのまま使うことになったんです。そのときに英語ができる人に聞いたら、“That’s You Know That”っていう英語表現は実際にあるということだったんで、これはおいしいなって(笑)。

そして、和義さんの歌詞はSPECIAL OTHERSについて歌っていますよね。

宮原 そうですね。ひとりひとりの紹介文が入ってて、SPECIAL OTHERSのテーマ・ソングにしても良さそうな歌詞というか。

芹澤 和義さんの中でもこの歌詞はちょっとキザに決めたものだったみたいで、本人も歌詞を読みながら、自虐照れ笑いをしてたんですけど、恥ずかしさを感じつつ、そういうまっすぐな歌詞を歌ってくれたことが嬉しかったですね。

SPECIAL OTHERS & 斉藤和義 – 「ザッチュノーザ」MUSIC VIDEO SHORT.

そして、2曲目の「始まりはQ(9)CUE」にフィーチャーしたRIP SLYMEとはどういった繋がりなんですか?

宮原 フェスでちょいちょい顔を合わせるうちに仲良くなって、RIPのイベントにも呼んでもらったり、一緒に飲みに行ったりもして。

芹澤 あんなに美女に囲まれて違和感のない大人はいないでしょっていう男としての憧れもあって(笑)、俺らのほうから徐々に間合いを詰めていったんですけど、近づいていって、わかったのは、彼らのようにはなれないっていうことで(笑)。

宮原 彼らはヒップホップのマナーを飛び越えていった人たちでもあるから、今回のセッションでも自由度が高かったですね。

芹澤 だから、高い自由度のまま、俺たちとRIP SLYMEがやるなら、みんなが聴きたいのはこういうグルーヴだろうっていうものを形にしたという。

又吉 SUさんのリリックに“ソロベースライン”って言葉が出てくるんですけど、その言葉に対応してベース・ラインを際立たせてみたりもしました。

宮原 4人のカラーやボーカルのキーに合わせて、演奏のニュアンスを変えたり、小技を効かせてあるので、そういう部分も聴いてもらえたら面白いんじゃないかなって思います。

「始まりはQ(9)CUE」SPECIAL OTHERS & RIP SLYME 特報

THE BACK HORNの山田将司さんと9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎さんをフィーチャーした3曲目の「マイルストーン」は、前回のコラボ作でいうところのACIDMANオオキノブオさんとストレイテナーのホリエアツシさんを迎えた「あの国まで」と同じ、2人のボーカリスト共演曲ですよね。

芹澤 前回のパターンを踏襲しつつ、今回は闇 VS 闇ですよね(笑)。2人ともそれぞれに黒のイメージがあって、その黒が2つ合わさったら、とんでもない黒になるぞっていう。それが見事に形になった曲ですね。

宮原 2人のことを知ってる人なら、名前を見ただけで納得してもらえる。そして、絶対にいいでしょって思えるラインナップですよね。

そして、そんな2人が組めば、エモくならないわけがないっていう。

宮原 エモいですよね。矛と盾じゃなく、矛と矛が同時にくるイメージ(笑)。ものすごいガッツを感じて欲しいですね。

芹澤 ホントに攻撃しかないっていう(笑)。2人はもともと仲がいいし、僕らと山田くんはレーベルも一緒だったり、対バンに呼んでもらったり、ことあるごとに顔を合わせる間柄だったりもするし。

又吉 卓郎に関しては一緒にツアーを回ったこともあるし、同じ横浜が地元で、昔からよく知ってるしね。

宮原 この曲は冒頭でドラムの4つ打ち、矛と矛のボーカルがドーンと向かってくる様をぜひ聴いて欲しいですね。

「マイルストーン」 SPECIAL OTHERS & 山田将司 (from THE BACK HORN), 菅原卓郎 (from 9mm Parabellum Bullet) 特報

4曲目の「loop」には、4人組バンド、04 Limited Sazabysからボーカル&ベースのGENさんが参加。これは意外な組み合わせですよね。

宮原 意外に感じると思うんですけど、過去、彼らが主催する“YON FES”に呼んでもらったり、実はマネージャーが我々の同級生だったり。そういういろんな縁があって、今回オファーしないで、いつオファーするんだっていう。そして、04 Limited Sazabysはスペアザを聴いている層とは違う20代の若い層が聴いているし、普段の僕らは若手のバンドと絡む機会があまりなかったりもするので。

芹澤 勢いがある若手のバンドにこっちからすり寄っていくのも白々しいというか、おじさんが若者に媚びるのもね(笑)。

又吉 あはは! まぁ、彼らとは縁があったということなんですよ。

そして、普段の04 Limited Sazabysはラウドなバンド・サウンドであるのに対して、この曲では……。

宮原 GENのハイトーン・ボイスは男性ボーカルとして、かなり個性的なので、その声を活かして曲を作ったら絶対面白くなるなって思ったんですよ。

芹澤 ディストーションの効いたギターが乗ってない、ラウドではない曲で歌うGENは、04 Limited Sazabysのファンにとっても気になるところでしょうし。

柳下 楽器を持たずに歌うGENもなかなか見られないだろうしね。

芹澤 彼は研究熱心というか、努力家で、一度録り終わった歌に再チャレンジしたりもして、若くてガッツがあったんですよ。その若さが歌詞にも表れていて、俺たちだけでは生まれない、そんな曲になったかな、と思います。

「loop」 SPECIAL OTHERS & GEN (from 04 Limited Sazabys) 特報

さらに、在日ファンクの浜野謙太さんをフィーチャーした5曲目の「かませ犬」は、アフロファンクが土台となっていますよね。

宮原 ハマケンとは知り合って10年以上になるんですけど、昔、彼と喋ったときに、アフロファンクのオリジネーター、フェラ・クティの話になったんです。フェラ・クティって、ジェームス・ブラウンをマネした人だし、ハマケンはジェームス・ブラウンの影響が強いじゃないですか? “だったら、フェラ・クティっぽいアフロファンクをハマケンとやったら楽しいんじゃない?”っていう、そんな話になって。だから、今回、ハマケンが参加してくれることになって、最初はフェラ・クティっぽい曲を作ろうと思っていたんですけど、作っているうちにストレートなファンクの要素も欲しくなって、結果的にはフェラ・クティとジェームス・ブラウンを半々で掛け合わせたような曲になったんです。こういう曲は海外のミュージシャンも作ってないし、日本人もやってないと思うので、新しいタイプの曲になりましたよね。

芹澤 そう。曲の展開の仕方がアフロでもファンクでもないし、急にプログレッシヴロックっぽくなったりもするし(笑)。

ハマケンにはどこかコミカルなところもありますけど、この曲には彼の持つ別の一面である反骨精神が感じられますね。

芹澤 そう、まさにそういう曲になっていますよね。なにせ、タイトルは「かませ犬」ですから(笑)。どうやら、“かませ犬”の気持ちをスペアザなら共有できると思ったらしく(笑)、つまり、彼は自分が主役じゃないとどこかで思っているし、俺たちもそうだろう、と。でも、嫌々“かませ犬”になっているわけではなく、自分で望んでいることなんだけど、主役じゃない鬱積した気持ちを歌っていて。たしかにその気持ちはわかるし、僕らもハマケンのどこか主役になりきれないところが好きだったりするんです(笑)。

「かませ犬」 SPECIAL OTHERS & 浜野謙太 (from 在日ファンク) 特報

インスト・バンドは各プレイヤーそれぞれが主役でもあるし、聴き手が主役の音楽でもあると思うんですけど、未来のSPECIAL OTHERSに関してはどんなビジョンがありますか?

宮原 僕らの音楽性はほかのインスト・バンド、ジャム・バンドより振り幅が大きいと思うんです。そしてそもそも、僕らは自分たちのことをジャム・バンドとは言ってないし、カメレオンのようにいろんな色が表現できる、そんなバンドなので、この振り幅を武器に、次の10年もミュージシャンとして生活したいですね。

芹澤 どうにも立ちゆかなくなったら、4MCになる覚悟もありますよ(笑)。

柳下 あはは! まぁ、長く音楽をやりたいよね。長くやってこそ、見せられるものもあると思うし。

宮原 最終的にはジジイの4MCまで(笑)、限界まで頑張りますよ!

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SPECIAL OTHERS

宮原 “TOYIN” 良太(drums)、又吉 “SEGUN” 優也(bass)、柳下 “DAYO” 武史(guitar)、芹澤 “REMI” 優真(keyboards)。1995年に横浜の岸根高校の同級生にて結成。2006年、ビクターよりメジャー・デビュー。2013年には日本武道館でのワンマン・ライブを開催。2015年10月に “10周年”イヤーキックオフ企画として、オリジナル・アルバム『WINDOW』をリリース。2017年3月11日より〈SPECIAL OTHERS 10th Anniversary BEST盤 TOUR QUTIMA Ver.22〉を開催。

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