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落語立川流の「本書く派」が集結! ‟本”をお題にしたビブリオ大喜利が開催

落語立川流の「本書く派」が集結! ‟本”をお題にしたビブリオ大喜利が開催

2月7日、都内某所にて電子書籍・コミックストアReader StoreとPHP研究所のコラボイベント『落語家!立川流「本書く派」ビブリオ大喜利!』が開催された。その名の通り、今回は‟本書く派”ということで、著作を持つ落語立川流の噺家4名が集結。作家の畠山健二が司会を務め、大喜利あり落語ありのスペシャルイベントが実現した。

司会の畠山氏が登壇し、立川談四楼、立川談慶、立川吉笑、立川寸志ら4人の噺家を会場内に呼び込むと、集まった観客から熱い拍手が巻き起こった。それぞれが壇上の席で自己紹介を済ませると、出演者全員が目の前のテーブルに並べられた自身らの著作に気づいてニヤリ。すぐさま司会の畠山氏からイベント開始が告げられ、間髪入れずにイベントがスタートした。

第1部の催しは、それぞれが3分間の持ち時間を使って自身の著作を紹介するビブリオバトル。自分の本のアピールをするためなら、他の出演者の著作をこきおろすのもOK…という、いわば‟なんでもアリ”のルールで熱い闘いが繰り広げられた。

はじめに、司会者の畠山氏が手始めの見本ということで、自身の著作『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)の最新刊を紹介。自身の著作が談慶師匠の著作『「めんどうくさい人」の接し方』(PHP文庫)と比較して‟いかに優れているか?”をテーマに、噺家顔負けの爆笑トークを披露した。続いて、噺家からは寸志さんがトップバッターを飾ることに。唯一、著作を持たない寸志さんだったが、談四楼師匠の著作を2冊ばかり手にすると、入門前に20年間も編集者をしていたという生い立ちをカミングアウト。談四楼師匠の担当編集から弟子入りしたという話に読書好きばかりが揃った観客席も大いに盛り上がった。2番手の吉笑さんは、自身の著作『現在落語論』(毎日新聞出版)についてコメント。今回のイベントに本を持参するのを忘れてしまったそうだが‟駅前のブックオフで2冊見つけた”、‟初版には12か所も間違いがあった”などと自虐ネタを連発して会場を盛り上げた。3番手には、いよいよ真打・談慶師匠が登場。自身のこれまでの著作の紹介や執筆したいきさつを話す過程をおもしろおかしく語り、会場の落語ファンを大爆笑させた。最後に回答したのは、真打・談四楼師匠。ベテランらしい軽妙な語り口で観客の心をつかむと、『話のおもしろい人、ヘタな人』(PHP研究所)を紹介するために結婚披露宴で仲人を務めた時のエピソードを披露。一言もしゃべることなく会場中を感動させた新郎の親友の話から、同著作が生まれたエピソードを語った。

それぞれが自著のアピールを終えたところで、第1部が終了。会場中の雰囲気が温まったところで、大喜利で優秀な回答をした噺家が一席設けてくれるというのだが……。

ステージ前に高座が運び込まれ、観客の期待値が上限に達したのと同時に、談慶師匠が羽織をはおって登場。大きな拍手が巻き起こる中、本業である落語を披露した。亡き師匠・立川談志との思い出話をはじめとした小話で‟つかみ”から会場を盛り上げると、古典落語『看板の一(ピン)』を熱演。渋い親分から軽薄な子分衆までを見事に演じ分け、会場は絶えず笑い声に包まれていた。今回のイベントには‟落語は初めて”という観客も多かったというが、さすがは真打。まるで本物の寄席に訪れたような雰囲気が醸し出され、会場中の観客たちを見事に笑いの渦に巻き込んだ。

休憩を挟んで、ビブリオ大喜利が開幕。第1問は、噺家たちの‟挨拶代わり”として、自身の出身地の名物・名勝がテーマの謎かけ。それぞれが個性を発揮し、珍回答から思わずうなってしまうほどひねりのある回答まで飛び出し、会場を大いに盛り上げた。

続く、第2問では‟本”のイベントならではのお題が登場。「〇〇さんが読みました」と回答者が答えると、司会者が「なんですか?」と合いの手を打ち、「〇〇(本の名前)です」と答えるというもの。誰もが知るような文豪の名作はもちろん、最近世間をにぎわせている話題の本まで取り入れた回答に読書好きの観客も大満足。

最終問題となった第3問は、噺家にかけた「は」「な」「し」の3文字を頭に、川柳風に回答するというもの。談慶師匠の切れ味鋭い下ネタ回答から、談四楼師匠の自虐ネタまで、抱腹絶倒の回答の連発に終始会場の笑い声がなりやまないままビブリオ大喜利は閉幕。このあと、最も会場を盛り上げた噺家が高座に上がって一席を設けてくれるというのだがはたして……。

噺家たちが一度控室に戻り、誰が登場するのかと期待に胸を膨らませる観客たち。そして、目の前に現れたのは……、ここもやはり真打の談四楼師匠。落語界の重鎮の登場に、大きな拍手が巻き起こったのも束の間。高座に上がった師匠の「実は、最初から真打がやるって決まっていたんです」という、いきなりの暴露トークに会場中が大爆笑。観客の心をつかんだまま、大名人による人情噺の名作「浜野矩随(はまの のりゆき)」がスタートした。1人で男女の隔てはおろか、さまざまな年齢層の人間を演じ分ける師匠の姿に、時には笑いが巻き起こり、時には固唾を飲んで聞き入る観客たち――。落語の持つ魅力を最大限に伝えたいという師匠の思いのこもった一席に、終演後は鳴りやむことのない今日一番の拍手が贈られた。

最後に、Reader Storeのイベントとしては恒例となったプレゼントコーナーを実施。当選した参加者には司会の畠山氏を含む、出演者5人全員のサイン入りポスターが贈られた。

終始盛り上がりを見せたまま大団円を迎えた、本×落語のコラボレーションイベント。両社の相性の良さが抜群であったのは、観客たちの表情からも一目瞭然。読書好きなら一度は寄席にも足を運んでみてはいかがでしょうか?


司会:畠山健二(はたけやま・けんじ)

1957年東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、週刊誌のコラム連載、ものかき塾での講師まで精力的に活動する。日本文芸家クラブ会員。2012年『スプラッシュマンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。文庫書き下ろし時代小説『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)が好評を博し、33万部を超える人気シリーズとなる。

『超入門! 江戸を楽しむ古典落語』

畠山健二 (著)
出版社:PHP研究所


真打:立川談四楼(たてかわ だんしろう)

1951年群馬県生まれ。1970年立川談志に入門。1983年落語立川流第一期真打。落語協会の真打昇進試験をきっかけに落語界の状況と将来に疑問をもち、その経緯と心情を綴った中編小説「屈折十三年」で文壇デビュー。1990年初の小説集『シャレのち曇り』(文藝春秋)を刊行(現在、PHP文芸文庫)。以降、落語と文筆の両輪で活動を続ける。『談志が死んだ』(新潮文庫)『一回こっくり』(新潮社)『いつも心に立川談志』(講談社)など著書多数。

『話のおもしろい人、ヘタな人』

立川談四楼 (著)
出版社:PHP研究所


真打:立川談慶(たてかわ だんけい)

1965年長野県上田市生まれ。慶応大学経済学部卒業後、株式会社ワコールに就職。誰もが羨むエリートコースを捨て、立川談志に入門。2005年真打に昇進。社会人生活で身につけた素養と、談志門下の前座修業で鍛えられた精神力を武器に、「落語家」のみではなく、「役者」と「脚本家」までもこなす。テレビ寺子屋やNHKラジオ講座の講師も務める、コミュニケーション指導の第一人者。最新刊『「めんどうくさい人」の接し方、かわし方』(PHP文庫)ほか著書多数。

『「めんどうくさい人」の接し方、かわし方』

立川談慶 (著)
出版社:PHP研究所


二つ目:立川吉笑(たてかわ きっしょう)

1984年生まれ、京都府出身。2010年立川談笑に入門。わずか1年5ヵ月のスピードで二ツ目に昇進。「立川流は〈前代未聞メーカー〉であるべき」をモットーに、気鋭の若手学者他をゲストに迎えた『吉笑ゼミ』の主宰や、50週間連続独演会の開催など、業界内外の注目を集める。現在、TOKYO MX『MUSIC B.B.』、NHK Eテレ『デザインあ』などにレギュラー出演中。2017年から『中央公論』にて「炎上するまくら」を連載中。

『現在落語論』

立川吉笑 (著)
出版社:毎日新聞出版


二つ目:立川寸志(たてかわ すんし)

1967(昭和42)年東京都生まれ。前職は編集者。数々の会社を経て仕事をするうちに、小説家としても活躍する談四楼師匠の担当編集者となった。そんな彼が44歳にして職を投げ打ち、収入が激減する前座になる決意。2011年立川談四楼に入門。2015年二ツ目に昇進。現在東京の二ツ目噺家で二番目の高齢。キャッチフレーズは「遅れて来た落語少年」。

『師匠!』

立川談四楼(著)
出版社:PHP研究所
※寸志さんが編集者時代に担当。