Interview

NakamuraEmiが「日本の女性」をテーマに唄う理由

NakamuraEmiが「日本の女性」をテーマに唄う理由

昨年1月『NIPPONNO ONNAWO UTAU BESTで』衝撃のメジャーデビューを果たしたNakamuraEmi。収録楽曲の「YAMABIKO」が全国のCSやFM/AMラジオ52局でパワープレイを獲得し、5月には東名阪で初のワンマンツアーも大成功に収め、確実にステップアップしてきたアーティストだ。
約1年2ヶ月ぶりに待望の2ndアルバムが完成した。昨年が、生きてきた中で1番楽しい1年だったと振り返る本人が、メジャーデビュー後に様々な人と出会い、刺激を受け、ファンからもパワーをもらい、完成された2ndアルバムの中身が気になり、取材を行った。日本の女性をテーマにして歌い続けている理由がわかる貴重な取材となった。彼女からみた日本人女性の輪郭がわかる歌の数々に込めた想いを受け取ってほしい。

取材・文 / 土屋恵介 撮影 / 増永彩子


いつかはああいう女性になれますようにって思いが込められた曲がどんどん溜まっていったんです。

NakamuraEmiさんは、インディーズでの活動を経て、去年1月に『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』でメジャーデビューしました。これまでと環境がガラリと変わったと思うのですが、この1年でどんなものが得られましたか。

とにかく去年は初めてだらけで、あっという間でした。でも生きてきた中でも一番楽しい1年でした。正直、メジャーデビューしたら自分のやりたいことができなくなるんじゃないか?ってイメージがあったんです。でも、全くそういうことがなく、チームの仲間で話し合う時間を作ってくれたり、みんなでいろんなことをひとつひとつ丁寧に決めてお仕事を進めさせてもらっているので、ほんとに楽しい1年だったなって。あと、ライブやフェスに出て、たくさんの新しいお客さんと出会えたのもとてもうれしかったです。フェスに出るのも初めてだったし。私、ライムスターさんに感銘を受けて音楽人生が変わったんですけど、イベントでご一緒になったりもして、そういうのも感慨深かったです。スチャダラパーさんだったり、ホンモノのすごさを痛感しました(笑)。

そうした思いが、ニューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』にも出てますね。そもそもNakamuraさんが、なぜ日本の女性をテーマにした楽曲を歌うことにしたのかを聞かせてください。

今、私は35歳なんですけど、20代から30代頭までは、音楽をやりつついろんなお仕事をしてたんです。自分は、仕事ですごく悩んだり、ネガティブな部分が多かったんです。でも、いろんな人に出会ったことが私の財産になりました。私のこの悩みも、あの人みたいに生きられたら変わるかもと思ったり、あの人みたいにかっこいい姿でいられたらこういう風に生きられるのかなとか、憧れの素敵な存在がたくさんいたんです。いつかはああいう女性になれますようにって思いが込められた曲がどんどん溜まっていったんです。

自分のなりたいという願望が曲になっていると。

そうですね。なので、私が日本人女性を代表して歌いますじゃなくて、日本人らしい、細やかな心を持った、芯のある女性にいつか自分もなれますようにって願いを込めての歌なんです。なので、『NIPPONNO ONNAWO UTAU』って題名をつけてずっと活動しています。

いわゆるビッグネームじゃなく、身近な女性をテーマにしてるのがNakamuraさんの特徴ですね。新作も、やはり『NIPPONNO ONNAWO UTAU』シリーズの第4弾にしたかったと。

はい。もし、私の中で気持ちが変わっていたら、アルバム名も変わったと思うんです。でも、相変わらず変わっていないので、ナチュラルに昔から作ってきたものの続きだなって思ったので、この題名になりました。

『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』は、Nakamuraさんの1年の記録という印象があります。曲に触れていくと、「Rebirth」は、ラップでスタートする、フォーキッシュでファンキーなナンバーです。

これは古い曲で、自分がライムスターさんに感銘を受けていろいろ変わってきた頃、今のバンドメンバーに出会ったときに書き上げた曲なので、4年くらい前にできた曲なんです。ラップとか韻を踏むのも、初めて挑戦したのがこの曲なんですよ。フェスとかでも必ず歌って、こういうものですって自己紹介的にライブでやっていたんです。なので、今回のアルバムの1曲目に入れたいなというのがありました。

歌詞が、生まれた頃から今までが歌われてる、まさにNakamuraさんの自己紹介ですね。ネガティブな自分から変わりたいという思いもすごく出ています。

もともと私はこういうスタイルになる前に、バラードばかり歌っていたんですよ。男性ばかりのお客さんで、中にはただ写真を撮りに来るだけの人もいたりして。そういうときに、ヒップホップに出会って、こんなかっこいい人たちになりたいって思ったんです。そこから、すっぴんでTシャツでデニムでライブをやり始めたら、男のお客さんが全然いなくなって、でも女性のお客さんが増えていったんです。自分の転換のときに書けた曲なんですね。

以前のNakamuraさんの話を、もうちょっと聞かせてもらえますか。

以前の私は、人を感動させたいですって言いながら、生きるとか愛してるとか好きですっていっぱい入った曲を歌ってたんですよ。その頃、ヒップホップが好きな彼氏がいて、“お前の曲気持ち悪いな”って言われたのがとてもショックで、最初は意味がわからなかったんです。でも、ヒップホップを聴いたり、レゲエのライブを見て、フリースタイルの音楽に触れて、私のやってたのは気持ち悪いわって思うようになったんです。そこから、作る曲の雰囲気が変わっていったんです。

ダメだって思うよりは、生きるための選択肢にしちゃえばいいじゃんかって思いがありますね。

ベーシックな話ですが、曲作りはどのように進めるんですか。

私は、まず歌詞から作って、ギターやピアノで適当なコードを弾いて1曲仕上げるんです。そこからイメージを、ギターでプロデューサーのカワムラヒロシさんにお伝えして、曲が生まれ変わるって感じです。歌メロも私が作るんですけど、歌詞を先に作っちゃってるから、AメロBメロとか全然関係なかったりするんですよ(笑)。それをカワムラさんが、“この歌詞を一番に言いたいからサビにしよう”“これは冒頭にしよう”とかアドバイスしてもらって構築していくことも多いです。

なるほど。曲の話に戻ると、「大人の言うことを聞け」は、ソウル感のあるアップチューンですが、大人と子供の中間の立場で書かれた曲ですが、どのように生まれたんですか。

私は35歳で、大人になった気でいたんですけど、年上で輝いてる方がたくさんそばにいて、自分はまだまだなんだなって思ったんです。でも、こんな風になりたいって、めちゃくちゃかっこいい大人もいれば、この人みたいには絶対ならないって人もいたりして。そういう中で、私が中学生高校生のときは、35歳だとおばさんだと思ってたなって。そういう子たちから私は、ああなりたいって思えてる人か、なりたくないって思われてるのか、っていうすごく中間にいるなと思ったんです。そこで自分が感じることを歌にしたんです。若い人には、とにかくいろんな大人を見て、自分で選別して自分のものにしちゃえばいいさって歌ですね。それがわかるのが先でもいいし、もし自分が迷ったときに、こうならないようにしようとかヒントになるものになればいいなとも思いました。逆に、大人が聴いたら、子供たちに見てもらう人として、自分もかっこよくいたいと思ってもらえたらいいなっていう思いで書きました。

最後に、“子どもと大人の真ん中のこの曲も聞いて捨てろ”って言ってるのが潔いなと思いました。

やっぱり受け止め方とか、みんな生き方が違うから、この曲を大事に受け取ってもいいし、全然オレとは違うと思って捨ててもいいし。そうやって、いろんなことや言葉を受け入れて捨てて受け入れてっていうの、繰り返しやっていってもらえたらなってことですね。

生きるためには、選択肢が必要だよって言ってる感じもしますね。

確かにそうですね。ダメだって思うよりは、生きるための選択肢にしちゃえばいいじゃんかって思いがありますね。

あと、歌に関してですが、曲それぞれで歌い方がちょっとずつ変わりますよね。

そうですね。言葉が一番伝わりやすいものを、そのときの気持ちで歌ってるから、自然と声質が変わると思うんです。

それは、歌詞を書いてるときから浮かんでるんですか。

いや、私は歌い手なんですけど、歌詞ばかり考えちゃうんですよね。なのですごくメロディ作りに時間がかかるんです。私は、曲を作ってすぐレコーディングするよりも、ライブでやってみて、自分の伝えたいことを考えて歌詞を直すんです。ライブ後にお客さんに、新曲どうでしたか?って聞いて、“ここがよかった”ってときもあれば、“ここはなんて言ってたの?”とか言われると、そこの歌詞は聴き取りづらいんだって直したりします。それから録音して、カワムラさんと客観的に聴くんです。だから、歌詞もメロディもどんどん変えていきます。なので、ライブして作り上げていくって感じですね。

歌の聴き心地のよさがとてもあるんですが、それは、ライブの空気が入ってるから、難しい譜割りもスムーズに聴こえるんですね。そして、「ボブ・ディラン」って曲が、爽やかな感じの恋の歌でびっくりしました(笑)。

これは、初めてカワムラさんと共作で作ったんです。地元の厚木で、疲れてコーヒー飲んでたときに、ボブ・ディランの気持ちいい音楽が流れてきて、その気持ちよさを広告の裏にバーっとメモで書いたんです。そのとき、カップルが買い物をしてたのを見てたりしていいなと思って。その感じが、夏の浴衣の人、花火大会の人、冬のクリスマスとかいろんなものがリンクしたんです。私、恋の曲を作るのが苦手なんですよ。でも、カワムラさんになんとなくのイメージを伝えたら、優しいメロディのギターを弾いてくださって、そしたら歌詞が一気に書き上げられたんです。いつもは自分中心の曲が多いんですけど、初めて、周りの人や聴く人のことを考えて作れた曲ですね。

たくさんの人の光が注がれて、自分が光合成してできたアルバムだなと

アルバムのラストは「メジャーデビュー」という、決意表明と自分への喝が込められたパワフルな楽曲が収められています。歌詞の中で、NakamuraEmiと叫んでますが、ヒップホップで自分の名前が出てくることはありますけど、いわゆるポップソングではあまりないですよね。

あ〜、そうですね(笑)。最初はメジャーデビューする前に、この曲の元になる歌詞があったんです。それは、怖いとかなんて言われるんだろう?って不安ばかりの歌詞だったんです。でも、デビューして半年くらいして書き直したんですよ。もともと私は、だいたい半年とか1年後に書いた歌詞を書き直して曲にするタイプなんです。

歌詞を寝かすタイプなんですね。

そうなんです。で、メジャーデビューして半年経って、思ってたのと全然違うぞと思ったんです。マネージャー、レコード会社の人、みんなが私のことを考えてご飯食べる時間いっぱい取ってくれたり(笑)、曲を作りやすい状態にしてくれるし。それで、いろんなことがいい形で進んでいくなんて、私はすごく幸せものだなと思って。あとは、お客さんみんなの力がすごいなって。今までは、私を好きになってライブに来てくれる人ばかりだったけど、今は、テレビとかラジオとかWEBで、私の音楽が好きじゃない人にも聴こえる状態になったわけで。だから、たとえいろんな言葉が飛び交っても、今この仲間がいるのは自分の音楽があってだから、ブレんじゃねえぞって最後に自分に言い聞かせてるんです。でも、関わってくれるみんなへの感謝が大きくてできた曲なので、レコーディングでは、スタッフ、バンドメンバー全員の声を入れたんです。これは、私にとって一生メインになる、大事な曲ですね。

なるほど。では、アルバムを作り終えての感想は?

前作はこれまでのベストで、自分はこうですって自分感が強かったんですけど、今回は、自分だけじゃなく、たくさんの人の顔が浮かぶアルバムになったのはあります。それは周りの人もだし、聴き手の人たちもですね。たくさんのお客さんから、事務所にファンレターが届いたんですよ。50代の女性から、“今、母の介護をしてるんですが、あなたの曲でがんばれてます”とか、“自分の娘が受験を前に鬱になってたけど、ラジオであなたの曲を聴いてから変わったんです”とか言葉をいただいて。今までは、同年代しか出会えなかったけど、この1年でたくさんの人に聴いていただける環境になったのは、やっぱりメジャーデビューしたからで。そうやって、私にいろんな言葉をちゃんと伝えてくれるから、いっぱい思った言葉を曲にできたなって。たくさんの人の光が注がれて、自分が光合成してできたアルバムだなというのがあります。

光合成してできたアルバムだと。

いろんな人の光が入った印象があったので、ジャケットも光のプリズムが出てる写真を使ったりしてるんです。とにかくこの1年で出会った人たちと、昔から応援してくれてる人たちとでできたアルバムというのはすごく感じます。光がいっぱい出たアルバムだなって思います(笑)。

取材時に撮影させて頂いたNakamuraEmiさん直筆サイン入りチェキを抽選で2名様にプレゼント!

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ハイレゾ配信中!

ライブ情報

NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4~Release Tour 2017~

2017年4月25日 (火)横浜BAYSIS
2017年5月02日 (火)岐阜ants
2017年5月05日 (金・祝)高松TOONICE
2017年5月07日 (日)広島 LIVE JUKE
2017年5月09日 (木)金沢21世紀美術館・シアター21
2017年5月13日(土)札幌CUBE GARDEN
2017月5月14日(日)仙台darwin
Vo:NakamuraEmi / Gt:カワムラヒロシ

2017年5月26日(金)福岡Be-1
2017年5月29日(月)名古屋 CLUB QUATTRO
2017年5月30日(火)大阪BIGCAT
2017年6月01日(木)恵比寿LIQUIDROOM
Vo:NakamuraEmi / Gt:カワムラヒロシ / Ba:豊福勝幸 / Dr:TOMO KANNO / Per:大塚雄士

NakamuraEmi

神奈川県厚木市出身。
1982年生まれ。
山と海と都会の真ん中で育ち幼少の頃よりJ-POPに触れる。
カフェやライブハウスなどで歌う中で出会ったHIPHOPやJAZZに憧れ歌とフロウの間を行き来する現在の独特なスタイルを確立する。
その小柄な体からは想像できないほどパワフルに吐き出されるリリックとメロディーは、老若男女問わず心の奥底に突き刺さる。
2016年1月20日、日本コロムビアよりメジャーデビューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』をリリース。
収録楽曲の「YAMABIKO」が全国のCSやFM/AMラジオ52局でパワープレイを獲得。
5月には東名阪で初のワンマンツアーを開催。
東京・代官山UNIT公演の中から、厳選された楽曲を7inchアナログ盤とアナログ盤未収録曲も含めた7曲入りEPをApple Music/iTunes限定にて配信リリースした。
多数の夏フェスに出演後、10月11日より、全国9ヶ所を巡るカフェツアー“ NakamuraEmi CAFE LIVE TOUR 2016 秋~あなたの夕暮れいただきます~ ”を開催。
メジャーデビューから1年、今の心情を表現した「メジャーデビュー(Studio Session)」MVの公開と共に、2017年春に2nd Albumをリリースすることを発表した。
オフィシャルサイト:http://www.office-augusta.com/nakamuraemi/

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