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ドラマ「カルテット」いよいよ最終章!Doughnuts Holeの主題歌「おとなの掟」からドラマを考察

ドラマ「カルテット」いよいよ最終章!Doughnuts Holeの主題歌「おとなの掟」からドラマを考察

ついに最終章に突入したTBS系ドラマ「カルテット」。巻真紀(松たか子)の“お離婚”が成立したことで(コンビニ強盗で自首する“夫さん”、宮藤官九郎がホントにハマリ役でした)、カルテットDoughnuts Holeの四角関係もクライマックスを迎えようとしている。まず別府司(松田龍平)に片思い中の世吹すずめ(満島ひかり)は、別府が真紀に思いを寄せていることを受け、“好きな人と好きな人が幸せになってほしい”と考え、ふたり(別府、真紀)の距離を縮めようと画策する。そして家森諭高(高橋一生)はすずめの複雑な感情を敏感に察し、彼女に対する恋心を滲ませつつ、“自分が好きになった相手から好かれることはないから、恋はしない”と別府に告げる。4人が抱える切なさと愛らしさにドキドキしていると、今度は“真紀は(旧姓)早乙女真紀ではなかった”という事実が発覚し、ミステリードラマとしての側面がクローズアップされる。
松たか子、満島ひかりという日本の代表する役者陣が揃い、いい大人が葛藤と秘密をこじらせながら展開する群像劇「カルテット」はまちがいなく、ここ数年でもっとも優れたドラマのひとつだと言っていいだろう。そして、このドラマの世界観――ラブストーリー、ミステリー、コメディの要素が絶妙なバランスで共存している――を生々しく示しているのが、主題歌「おとなの掟」だ。

椎名林檎が作詞・作曲を担当、主演4人による番組限定ユニット“Doughnuts Hole”の歌唱による「おとなの掟」は、シックな手触りのストリングスを軸にしたミュージカル調のナンバー。上品さと淫靡な雰囲気を持ち合わせた旋律、しっかりと抑制を効かせながらもドラマティックに展開する楽曲構成、斎藤ネコカルテット、ヒイズミマサユ機(ピアノ)、田村優弥(チューバ)、井上雨迩(レコーディングエンジニア)といった手練れのクリエイター陣によるサウンドメイクなど、まさに“大人のための高品質ポップス”と称すべき楽曲に仕上がっている。

メインボーカルを取るのは、松たか子。先日、映画「アナと雪の女王」がテレビ放映された際も「“レット・イット・ゴー”を歌う松たか子、やはりすごい」とSNS上で話題を集めた彼女は、「おとなの掟」でも抜群のボーカル表現を発揮している。人には言えないことを内に秘めながら、繊細で複雑な大人の情感を描き出していく歌を聴けば、シンガーとしての松たか子の豊かな魅力を改めて実感してもらえるはずだ。また、大人の女性像を映し出す松の歌声と対を為す、満島ひかりの鮮烈なボーカルも印象に残る。さまざまな思惑と以上が大人の世界に翻弄されながらもピュアで不器用な生き方を貫こうとする“すずめ”とリンクした彼女の歌がなければ、奥深い陰影をたたえた「おとなの掟」は成立していなかったはずだ。

ドラマのストーリーと強く重なる歌詞にも触れておきたい。この曲のテーマをひとことで言えば(ドラマ「カルテット」と同じく)“虚実”ということになるだろうか。理想と現実、好きと嫌い、真実と嘘、夢と現。100%の正解なんてものはどこにもなく、「ああ白黒付けるのは恐ろしい」という思い、“本当の自分はこうじゃなかったはずだ”というドーナツの穴のような欠落を感じながら、グレーな世界を生きざるを得ない大人たち。そのなかにある不安と甘美、心のなかの深淵をのぞき込んでいるような感覚こそが、「おとなの掟」のキモなのだと思う。それはもちろん、劇中で4人の主人公が紡ぎ出す物語ともしっかり結びついている。

2月7日(火)から配信がスタートし、iTunesをはじめとする配信サイトで1位を獲得。昨年大ヒットを記録した星野源の「恋」に続き、2017年の“ドラマ発のヒット曲”として認知され始めている「おとなの掟」は、ドラマ「カルテット」のクライマックスに向けてさらに注目度を高めることになりそうだ。

文 / 森朋之

TBS系火曜ドラマ『カルテット』

放送日時:毎週火曜日 夜10:00~10:54放送
出演者:松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平 他
製作著作:TBS
脚本:坂元裕二
チーフプロデュース/演出:土井裕泰、プロデュース:佐野亜裕美
©TBS
オフィシャルサイトhttp://www.tbs.co.jp/quartet2017/

TBS系 火曜ドラマ「カルテット」オリジナル・サウンドトラック

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