Interview

三浦大知が6thアルバムに込めたテーマと“欲張らない曲”の意味とは?

三浦大知が6thアルバムに込めたテーマと“欲張らない曲”の意味とは?

三浦大知が6枚目のオリジナルアルバムを完成させた。タイトルは「HIT」。シングル「EXCITE」がチャート1位を獲得、テレビ出演も急激に増えるなど、シンガー/ダンサーとしての圧倒的なレベルの高さを日本中にアピールしている現在の彼にとって、「HIT」以上にハマる題名はないだろう。
アルバムの内容も充実している。「自分自身に響く楽曲を選びました」という本作の軸になっているのは、ゆったりと心地よいグルーヴを放つミディアムチューン。大人の余裕感を感じさせつつも、ダンスミュージックとしての機能も備えた楽曲からは、彼の音楽が確実に深化していることが伝わってくる。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 森崎純子


僕が意識しているのは「長く歌いたい」ということなんですよ

まずは大躍進を遂げた2016年のことから聞きたいと思います。シングル「Cry&Fight」「(RE)PLAY」「EXCITE」が次々とヒット。テレビ出演も大幅に増えて、三浦大知さんの存在がさらに幅広いリスナーに認識された1年だったと思いますが、振り返ってみてどうですか?

2016年は例年に比べて、イベントやテレビなどを含めて、初めてやらせてもらうことが多かったんですよ。いままで三浦大知を知らなかった人にも届けられる機会が圧倒的に増えたし、それは自分のなかですごく嬉しいことでしたね。いろんなところで「アカペラのパフォーマンス、観ました」と言ってもらったり。ありがたいですね。

「EXCITE」がチャート1位を獲得したこともそうですが、いままで積み重ねてきたことがようやく認知されたというか。

うん、続けてきて良かったなと思います。「EXCITE」は仮面ライダー「エグゼイド」の曲だから特別だと思いますけど、いままで続けてきたからこそ生まれた楽曲だと思うので。着実に積かさねてきたことを取り上げてもらって、たくさんの人に知ってもらって。それがいまの評価につながったんじゃないかなって。

さすが、相変わらずフラットですね。

そうですか?(笑) 僕が意識しているのは「長く歌いたい」ということなんですよ。1秒でも長く歌って、踊れたらいいなと思ってるし、飛び級するタイプでもないので。一歩一歩確実に、コツコツやっていくほうが合ってるし、みんなで作り上げていくのも楽しいですからね。

KREVAさんの言葉で点と点が結びついた感じがありましたね

昨年は全国ツアー「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2016 (RE)PLAY」が開催されました。アルバム「HIT」と同時にツアーファイナルの模様を収めたライブ映像作品(DVD/blu-ray「DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館」)がリリースされますが、“これまでの披露してきた演出をリプレイする”というコンセプトも、これまでのキャリアがあったからこそ実現したわけで。

そうですね。去年のツアーのアイデアは、KREVAさんがくれたんですよ。どういうツアーにしたらいいのかわからなくて悩んでたんですけど、KREVAさんと食事したとききに「“ライブベスト”みたいなツアーにしてみたら?」って言ってもらって。それはおもしろいなって思ったし、「(RE)PLAY」というシングルを出すことも決まっていたので、「“(RE)PLAY”というテーマにしよう」と。KREVAさんの言葉で点と点が結びついた感じがありましたね。

さすがですね、KREVAさん。

KREVAさんもソロで活動されているし、「(三浦に対して)アドバイスしやすいんだよね」って言ってくれていて。あまりいないですからね、男性のソロアーティストって。何で少ないのかな?

大変だからだと思います(笑)。男性ソロアーティストが増えたらいいなって、思ったりします?

うん、思いますよ。僕もアッシャーをテレビで観て、「カッコいいな」と思ったのがきっかけなんです。ひとりで歌って踊って——僕が観たときはバックダンサーもいなかったので——それがすごく良くて。そのときに「何でこういう人が日本にはいないんだろう? そうか、自分でやればいいか」って思ったんですよね。だから「三浦大知を見て(アーティストを志した)」という人がいるとすごく嬉しいんですよ。

いまは聴いてくれる方がゆったり楽しめたり、いろいろと考えられる余地がある音楽をやりたい

三浦さんに憧れてアーティストを目指すキッズはこれからめちゃくちゃ増えると思います。では、ニューアルバム「HIT」について。まず「HIT」というタイトルが最高だと思いますが、制作に入るときはどんなイメージがあったんですか?

さっきも言いましたけど、2016年は三浦大知を知ってくれた方がすごく多かった年だと思っていて。だから今回のアルバムに関しては、いままで応援してきてくれた人が楽しんでくれると同時に、“初めまして”という人に向けて「三浦大知って、こういう感じなんだね」というのがちゃんと伝わる1枚にしたかったんです。コンセプチュアルなアルバムではなく、いま自分がやりたいこと、おもしろいと思うものをやるっていうことですね。自分に“HIT”しているものを詰め込んで、そのなかの1曲でも、1音でも、1行でもいいから聴いている人に響いてくれたら嬉しいなって。

大知さんにヒットする楽曲やサウンドは、時期によって変化しているんですか?

変化してると思います。今回は欲張らない曲がいいと思ってたんですよ。

欲張らない曲?

はい。いわゆるパーティ・アンセム的な曲はたくさんあって、ジャンルとして確立されているなかで、ちょっと余裕がある音楽が流行ってきてるじゃないですか。ザ・チェインスモーカーズとかブルーノ・マーズとか。「こういう展開があって、ここで盛り上がります!」みたいな押しつけがましい感じではなくて、心地よく聴ける曲が自分も好きだし、そういう”欲張らない曲”をやりたいなって。

なるほど。「Neon Dive」「Body Kills」あたりはまさにそうですね。ゆったり楽しめる曲が並んでいて。

「The Entertainer」(4thアルバム)「FEVER」(5thアルバム)はジャンルを超えて、いろんな音楽をやってる感覚が強かったんですよ。三浦大知の枠を超えていろんなところに行ってるというか。今回は自分の枠のなかでいろいろやってる感じなんですよ。近いところにある曲でも「いいな」と思ったら収録するっていう。

遠くまで行かなくても、自分の近くに「これもいい」と思えるものが見つかった?

そうですね。少しはまわりを冷静に見られるようになったのかもしれないです。今年30歳になるし、多少は余裕を持ちたいですからね(笑)。もちろん新しいチャレンジもやっていきたいですけど、いまは聴いてくれる方がゆったり楽しめたり、いろいろと考えられる余地がある音楽をやりたいんですよ。

“欲張らない曲”が増えたことで、アルバム全体のボーカルにも影響してますよね。これまでの作品に比べると、中音域〜低域がしっかり出ていて。

そうかもしれないですね。意識して低い音を増やそうと思っていたわけではないですけど、聴いていて気持ちいい楽曲を選んで歌っているうちに、自然とそうなったというか。自分の音域のチェックもあまりやらないんですけど、使える声の種類は増えている気がします。ライブを重ねていくなかで「こういう声の使い方もあるんだな」って見つかることもあるし。
年齢も関係してるかもしれないですね。歌も楽器と一緒というか、体が鳴ってくるといい声が出せたりするので。

アルバムの新曲についても聞かせてください。1曲目はギターと歌で始まる「Darkest Before Dawn」。ポジティブなパワーがゆったりと伝わってくるような楽曲ですね。

Naoさん(Nao‘ymt)の曲なんですけど、希望に満ち溢れていて、すごく素敵な曲だなって思って。とにかくNaoさんの曲が大好きなんですよ。デモを聴かせてもらうたびに泣きそうになるというか、名前が付けられないような感情をきれいに音楽に落とし込んでるんですよね。今回のアルバムには「Darkest Before Dawn」と「Hang In There」がNaoさんの曲なんですが、日々の生活のなかで疲れたときに「三浦大知の音楽があって良かったな」と思ってもらえるような曲じゃないかなって。ゆったりした雰囲気のなかで、聴いてくれる人の背中を押せたり、元気になってもらえる1枚にしたかったから、開幕の1曲としても文句ナシですね。

「Darkroom」は大知さんの作詞。抒情的なギターと現代的なダンスビートが融合した楽曲ですが、歌詞のテーマはどんなものだったんですか?

曲のなかだからこそ、ちょっとイヤな感じのもことも言えると思っていて。それがフィクションで歌詞を書くときの楽しみだし、それは「Darkroom」にも出てますね。“暗闇を求めてる2人”というか、2人が2人でいられる場所だったり、マッチを擦ったときに一瞬だけ姿が見える感じ——それはライブの雰囲気にもつながってると思うんですが——ちょっとカッコつけて歌ってみようかなって。

ダンスを注目してもらえることが多いけど、「三浦大知って、歌もいいよね」って思ってもらえたら

大知さんにとって歌は、ふだんは出せない自分を出せる場所でもあるんですね。

そうですね。「Baby Just Time」という曲があって、そこでは「ホンモノを今 選べばいい」って歌ってるんですよ。そんなことをインタビューで言ったら、すげえイヤなヤツじゃないですか。「僕の曲を聴いておけばいいと思うんだよね」みたいな(笑)。でも、曲のなかだったら「おお、かっこいい!」って思ってもらえるだろうし、それもエンターテインメントの在り方だなって。音楽をやってるときはカッコつけられるし、大げさなことを言っても大丈夫というか。楽しいですよね、そういうのって。

なるほど。逆に言うと“音楽を通して自分自身のありのままの姿を伝えたい“という気持ちが少ないのかも。

うん、そういう感じじゃないですね。自分の気持ちを書くときも「この気持ちを聴いてくれ」ということではなくて、「こういうことってあるよね」って提示する感覚なので。あんまり自分の話をするタイプじゃないと思います。

インタビューの場でもいつも冷静だしね。アーティストとしての実力は圧倒的なのに、まったくビッグマウスなところがないっていう。

いやいや、だって(自分がすごいとは)まったく思ってないですから。まだまだ頑張らないとダメだし、そのぶん「まだやれることがたくさんあるんだろうな」っていうワクワク感もあるので。モノ作りって、そういうものだと思うんですよ。もし完全に理想的なものが作れたら、ずっとそれを眺めて暮らせるじゃないですか。でも、そんなことはないし、すごく良いものが出来たときも「こっちの角度から見たら、ちょっと足りないんだよな」って思うので。

同じく大知さんが歌詞を書いた「誰もがダンサー」も印象的でした。

ダンス、ダンサーをモチーフにして書いてみようと思って。誰でもそうだと思うんですけど、日々を生きているなかで、上手くいくことあるし、上手くいかないこともあるじゃないですか。それを踊りにたとえて「みんなが自分の人生を踊るダンサーなんだ」みたいな感じで歌えたらいいなと。

ダンスを追求し続けている大知さんだからこそ成立する歌ですよね。

自分にしか書けないだろうなとは思います。ダンスを評価してもらえると嬉しいし、
「歌ももっとがんばろう」と思えるんですよね。いまはダンスを注目してもらえることが多いけど、「三浦大知って、歌もいいよね」って思ってもらえたらいいなって。

ストイックですよね、ホントに。アルバムタイトル「HIT」に関連して、もうひとつ。大知さんにとってヒット曲とは何ですか?

え、難しいですね(笑)。曲がヒットするというのは、たくさんの人の心に届いたということだから、すごくいいことだと思います。ただ、根本は「いいものを作る」ということなんですよね。売るために作るんじゃなくて、作ったものがヒットするっていうのが大事。その根本を間違えちゃいけないなって思いますね。

リリース情報

[CD+DVD+スマプラミュージック&ムービー]

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[CD+スマプラミュージック]

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DVD/Blu-ray

DVD/Blu-ray

三浦大知

『HIT』

2017年3月22日発売
[CD+DVD+スマプラミュージック&ムービー]
AVCD-16752/B  ¥4,212(税込)
[CD+Blu-ray+スマプラミュージック&ムービー]
AVCD-16753/B  ¥4,644(税込)
[CD+スマプラミュージック]
AVCD-16754  ¥3,348(税込)

「DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館」
[2DVD]
AVBD-16756~7  ¥5,940(税込)
「DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館」
[Blu-ray]
AVXD-16758 ¥6,912(税込)

■『HIT』
CD
01 Darkest Before Dawn
02 EXCITE
03 (RE)PLAY
04 Neon Dive
05 Body Kills
06 Darkroom
07 Can’t Stop Won’t Stop Loving You
08 Rise Up feat. SOIL&”PIMP”SESSIONS
09 Star
10 誰もがダンサー
11 Cry & Fight
12 Hang In There

DVD/Blu-ray
Darkest Before Dawn -Music Video-
EXCITE –Music Video-
(RE)PLAY -Music Video-
Cry & Fight -Music Video-
BONUS
Darkest Before Dawn -Making-
Hang In There -Dance Edit Video from DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL-

●LIVE
Unlock  
I’m On Fire  
Right Now  
FEVER  
Look what you did  
Neon Dive  
Daydream  
MAKE US DO  
Dance Number  
Delete My Memories  
4am  
The Answer  
Two Hearts  
ふれあうだけで ~Always with you~  
(RE)PLAY Medley – Black Hole ~ Half of You ~ Illusion Show-  
(RE)PLAY [Special Guest : ISSEI, WATA, Hilty & Bosch, GOGO BROTHERS, KITE]  
EXCITE [Special Guest : 仮面ライダーエグゼイド]  
全速力 feat. 三浦大知 [Special Guest : KREVA]  
Your Love feat. KREVA  
Touch me  
GO FOR IT  
Turn Off The Light  
Cry & Fight  
●ENCORE
Hang In There  
music  
●BONUS
Documentary of DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL

三浦大知 | DAICHI MIURA 

1987年8月24日生まれ、沖縄県出身。
Folder のメインボーカルとして1997 年にデビュー。
2005年3月にシングル「Keep It Goin' On」でソロ・デビュー。
天性の歌声とリズム感、抜群の歌唱力と世界水準のダンスで人々を魅了し、コレオグラフやソングライティング、楽器も操るスーパーエンターテイナー。2012年に日本武道館、2013年に横浜アリーナ、2017年にはチケット一般発売後1分でSOLD OUT、12,000人を動員した国立代々木競技場第一体育館にて単独公演を大成功させ、ライブの規模も年々拡大させている。ミュージックビデオの祭典「MTV VMAJ」では“ベストR&B賞” を2014年から2016年まで3年連続で受賞し、ヨーロッパ最大の音楽授賞式「2014 MTV EMA」では“ベスト・ジャパン・アクト”に選出されるなど国内外でそのパフォーマンスが高く評価されている。2015年9月リリースのアルバム「FEVER」は自身最高となるオリコン週間アルバムチャートで3位を記録。その後もコンスタントにシングルをリリースし、2017年1月にリリースした「EXCITE」で自身初のオリコン週間シングルチャート1位を獲得。2017年3月、6枚目となるオリジナルアルバム「HIT」をリリース。

オフィシャルサイトhttp://avex.jp/daichi/

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