LIVE SHUTTLE  vol. 121

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家入レオ×大原櫻子×藤原さくら、一期一会のパフォーマンス

家入レオ×大原櫻子×藤原さくら、一期一会のパフォーマンス

3月12日にパシフィコ横浜 国立大ホールにて開催された、家入レオ×大原櫻子×藤原さくらの3組によるライブイベント〈ビクターロック祭り 番外編 IchigoIchie Join 6〉。音楽性の違う3人のアーティストが同じステージで、それぞれの個性を発揮。さらに、仲の良い関係性をも見せたこの日のパフォーマンスを考察する。

取材・文 / 永堀アツオ 写真 / 田中聖太郎


「せっかくだから『曲を作りたいね』っていう話になったんです」

共通点と相違点を探しながら見た。

まず、共通点は3人とも同じレコード会社に所属する女性アーティストであるということ。年齢は家入レオが22歳で、大原櫻子と藤原さくらが21歳だからほぼ同年代。出身地は家入と藤原が福岡、大原が東京。家入と藤原は同郷だが、家入は13歳で音楽塾ヴォイスに入り、10歳でギターを始めていた藤原は15歳からヴォーカルスクールのVOATに通っていたという違いはある。また、家入は音楽一本だが、大原は2013年に映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』のオーディションで合格し、女優とシンガーデビューを同時に果たし、昨年7月クールの月9ドラマ『好きな人がいること』、ミュージカルへも積極的に出演している。シンガーであると同時にプレイヤー/ミュージシャン志向の強い藤原も2016年4月クールの月9ドラマ『ラヴソング』にヒロイン役で出演し、知名度を広げた。

J-POPというフィールドの中では同性で同年代だからこそライバル視してもおかしくない3人がどうして、プライベートでも食事に行き、頻繁に連絡を取り合うほど仲が良くなったのか。まずは、その経緯を振り返っておこう。

3人の中で最もデビューが早かったのは、2012年2月に、当時17歳でデビューした家入レオ。彼女のファンだった大原櫻子が自身のメジャーデビュー直後の2014年に家入のライブを観覧し、挨拶したことから交流がスタート、テレビの歌番組でのコラボレーションも実現。翌年、2015年の秋には2人によるジョイントコンサート〈ビクターロック祭 番外編〉も開催された。そして、同年の3月にメジャーデビューした藤原さくらのライブに家入と大原が一緒に足を運び、ライブの楽屋で3人で会話したことがきっかけとなって、友人関係が築かれていったそう。学生時代の友達には話しても理解されにくい、ミュージシャン同士だからこそわかり合える悩みや葛藤も話せる貴重な存在でありながら、似て非なるお互いの表現活動に刺激を受ける部分もあっただろう。

年齢、性別、職業、所属レコード会社という共通点を持った3人の最大の相違点は、なんと言っても、彼女たちの本質である音楽性そのものにある。端的にジャンルで分けるとすると、藤原はフォーク/カントリー、大原はポップス、家入はロックということになる。天気で表すなら、藤原は花曇り、大原は晴天、家入は雨や落雷が似合う。また、3人ともギターを弾くが、その頻度は異なり、見せ方やMC、演出もまったく違っているのが面白い。

トップバッターで登場した藤原はアコギを抱えて椅子に座り、本人出演のドラマ『ラヴソング』主題歌「Soup」や挿入歌として制作されたラブバラード「好きよ 好きよ 好きよ」、映画『3月のライオン』後編主題歌でスピッツのカバー「春の歌」、2枚目のシングルとしてリリースされる新曲で「出会いの大切さについてたくさん考えて作った」というカントリーポップ「Someday」など、全7曲をパフォーマンス。東京のジャムシーンを代表するバンドであるOvalのmabanua(drums)、関口シンゴ(guitar)、Shingo Suzuki(bass)に村岡夏彦(keyboard)を加えた編成をバックに、アンニュイでブルージーながらも弾んだ歌声を響かせ、客席からは自然とクラップが巻き起こった。3人の関係については、「私はもうすぐデビューして2年。ラコちゃんとレオちゃんよりも後輩なんですが、気さくに接してくれて。ラコちゃんとは会ったときにLINEを交換したんですけど、ある日、『家入レオからLINEを聞かれているよ』ってスタッフの人に言われて。『家入レオが!?』って(笑)。それから、去年、今年と遊ぶようになって、こういうライブが開催されることは嬉しいことだなと思います。それぞれのファンの方がいると思うんですけど、3人とも音楽が大好きということで仲良くさせていただいております」とコメント。音楽が好きだという想いは、欠かすことのできない共通点だろう。

リラックスしながら味わい深いグルーブを楽しむ雰囲気から一転、続く、大原櫻子は登場からド派手でキラキラと輝く演出となっていた。大原が「横浜、盛り上がっていくぞ!」と叫ぶと、観客は総立ちになり、桜色のサイリウムを振りながらジャンプで応戦。ハンドマイクでステージを所狭しと動き回り、お客さんひとりひとりとしっかりと目を合わせながら歌い、映画『チア☆︎ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』の挿入歌となった新曲「青い季節」ではタオルが回り、同映画の主題歌で最新シングル表題曲のピアノバラード「ひらり」では堂々とした歌いっぷりを見せた。また、主演映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の劇中バンドMUSH&Co.としてリリースしてヒットした「明日も」ではアコギを弾きながら伸びやかなロングトーンを響かせ、「まだまだ踊っていたいか!」と煽った「踊ろう」では文字どおり、会場全体がひとつとなって歌い、踊り、大きく盛り上げ、オーディエンスを笑顔にさせた。また、MCでは、「武道館以来、半年ぶりでド緊張しているんですが、藤原さくらちゃんと家入レオちゃんと一緒のイベントができることが本当に夢みたいです。とあるカフェに3人で行ったときに『いつか3人で歌いたいよね〜』って言ってたのが実現して感慨深いなと感じています」と喜び、「三者三様のライブというか、ひとりひとりが個性的で同じ色を持っていないので、それぞれのライブを楽しんでもらえたらいいな」と語った。大原による“三者三様”という言葉が、このイベントのすべてを物語っていると言ってもいい。

トリを務めた家入レオは総立ちで大歓声に包まれるなか、静かにステージ中央まで足を運び、まっすぐに前を見据え、ピンスポに照らされる中でドラマ『お迎えデス。』の主題歌「僕たちの未来」を高々と歌い上げ、ライブをスタートさせた。デビュー5年目に入り、力強さの中に優しさも加わった歌声が爽やかな風を引き連れてくる。最初のMCでは「尊敬しているアーティストでもあり、大好きな友人でもある藤原さくらちゃん、大原櫻子ちゃんとイベントをすることができて嬉しく思います」と挨拶し、「今日のイベントのことを大人に提案される前から本当に仲良かったのよ。大原櫻子ちゃんのことは“ラコちゃん”、藤原さくらちゃんのことは“さくらポン”とか“さくら”とか呼んでて。同世代で集まって、ご飯食べながら音楽の話をもちろん、いろんなことを共有していて。私もさっきまで客席でライブを観ていたんだけど、大原櫻子ちゃんが言っていたように三者三様というか、それぞれの音楽を刺激し合いながら、大好きだって言い合いながら届けられる場があるのはみなさんのおかげです」と感謝の気持ちを述べた。さらに、大原櫻子が出演していたドラマ『恋仲』の主題歌で、テレビやイベントで2人で歌ったこともあるミドルバラード「君がくれた夏」をしっとりと歌い上げ、デビュー曲「サブリナ」ではステージ上を全力疾走。大原櫻子に触発された投げキッスも初披露し、「やばい、楽しいんだけど! 音楽ってやっぱり素晴らしいね」と清々しい笑顔で語りながら、明日を前向きに生きるエールを届けた。

アンコールでは、藤原が大原、大原が家入、家入が藤原のツアーTシャツを着て、仲良く手を繋いで入場。家入が「こないだ、3人で電話で2時間くらい話したあと、藤原さくらからLINEが入って。翌朝のモーニングコールを頼まれたんですよ」というエピソードを明かすと場内は爆笑。大原は「先輩なんだから怒っていいよ」と笑い、藤原は「8時にジムに行くって言ってたからついでにと思って」と弁明。素の3人のトークは、頼りになる家入が父親、つねに2人のことを気にかけて話す大原が母親、マイペースで自由な藤原が娘のような関係性に見えた。

そして、「なかなか3人でライブをする機会ってないじゃん。せっかくだから『曲を作りたいね』っていう話になったんですよ」と語ると、客席からは悲鳴にも似た歓声が上がった。「スタジオの手配までしてくれた大原櫻子ちゃんが歌詞を書いて、藤原さくらちゃんが曲を作った」というオリジナル曲「僕らは」を初披露。藤原のアコギとMabanuaのカホーンの伴奏で、大原のアカペラから藤原〜家入と歌い継ぐミドルナンバーで、サビでは家入をメインに2人がコーラスをつけるという、この日にしか見られないスペシャルな構成。さらに、「ポップな曲も欲しいなと思って、この日のためにもう一曲作りました」という家入が自身のバンドメンバーを呼び込み、家入が作詞作曲を手がけたラブソング「こいのうた」をパフォーマンス。場内にハート型の紙飛行機が舞い散るなかで甘くキュートな歌声を聴かせ、3人で同時にジャンプをし、温かなミュージシャンシップで結ばれたイベントの幕は締められた。

好きな音楽のジャンルは違っていても、好きな音楽を好きな人と楽しむという姿勢こそが、彼女たちを含むライブ会場に集まった観客全員の最大の共通点なのだと思う。音楽が好き、相手が好きという気持ちが、「いつか一緒に音楽を作りたい」という創作的発展に向かうのは自然なこと。願わくば、音楽を好きなもの同士が、友人感覚で一緒に作り上げていった「僕らは」「こいのうた」の2曲がいつかリリースされ、この輪がさらに広がっていけばと思う。

ビクターロック祭り 番外編 IchigoIchie Join 6
家入レオ×大原櫻子×藤原さくら
2017年3月12日@パシフィコ横浜 国立大ホール

セットリスト

藤原さくら

M01. Soup
M02. BABY
M03. 好きよ 好きよ 好きよ
M04. Cigarette butts
M05. Someday
M06. 春の歌
M07. 「かわいい」

大原櫻子

M01. ステップ
M02. 青い季節
M03. 大好き
M04, サイン
M05. ひらり
M06. 明日も
M07. 踊ろう

家入レオ

M01. 僕たちの未来
M02. 太陽の女神
M03. 君がくれた夏
M04. Silly
M05. Shine
M06. Hello To The World
M07. サブリナ
M08. それぞれの明日へ

家入レオ×大原櫻子×藤原さくら

EN01. 僕らは(作詞:大原櫻子/藤原さくら 作曲:藤原さくら)
EN02. こいのうた(作詞作曲:家入レオ)


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