LIVE SHUTTLE  vol. 124

Report

河村隆一ソロ20周年。1997年発表のアルバムを再現するライブ

河村隆一ソロ20周年。1997年発表のアルバムを再現するライブ

河村隆一 RK 20th Anniversary Action 「Love Special Live」
2017年3月19日 中野サンプラザ

今年ソロ20周年を迎え、現在は<RK 20th Anniversary Action>と題して、これまでリリースしてきた作品を再現するSpecial Liveシリーズを行なっている河村隆一が、『Cranberry soda』、『人間失格』に続き、3月19日(日)に東京・中野サンプラザにおいて“あの”『Love』を再現した<RK 20th Anniversary Action #001 Special Live「Love」>を開催した。

『Love』は、1997年に自身のバンド・LUNA SEAが1年間の活動休止期間に入った時期、LUNA SEAのRYUICHIとしてではなく“河村隆一”名義で彼が出した2枚目のソロアルバムだ。隆一はこのアルバムをトータル320万枚以上売り上げて、男性ソロシンガーとして歴代トップという華々しいセールス記録を樹立。それと並行して、ドラマやバラエティー番組などにも出演し、シンガー以外に俳優、タレントとしてお茶の間にも進出。その年の年末にはNHK紅白歌合戦にも出場し、1年という限られたわずかな期間中に、彼はRYUICHIとは違う、ソロシンガー・河村隆一をLUNA SEA以上に大ブレイクさせるという、日本のアーティストとしては前代未聞といっていい偉業を成し遂げたのだ。こうして日本中の人が河村隆一というソロシンガーを知るきっかけとなった、いわば彼のキャリアを代表するアルバムの再現ライブが行われるということで、あの当時をリアルに知る世代の女性ファンからまったく知らないであろう若い世代の男性ファンまで、幅広い年齢層のお客さんが会場には集結。

河村隆一

定時になると客電が消え、ライブは波の音がが場内に広がっていくところから『Love』の世界観を忠実に再現していく。波のSEに合わせてサポートメンバー登場。続いて、隆一が客席に手を振りながら颯爽とステージに姿を表すと、観客から黄色い声援が上がる。「I love you」でライブがスタートすると、一瞬にして時間がレイドバック。なんともいえない懐かしい空気感が場内いっぱいに広がっていった。続いて始まったのは「好き」。この冒頭2曲で、『Love』にパッケージされたあの可愛くて甘酸っぱいラブソングへの旅が始まると、ハンドクラップを入れたり、頭上で手を前後に振る懐かしい振り付けをしながらオーディエンスは大喜び。隆一は「みなさんこんばんは。河村隆一です。20周年を迎えました」と爽やかな笑顔で挨拶。本日のライブの主旨を説明した後、「今日は自分も久しぶりのナンバーを歌います」とファンに伝えた。

「涙色」に続いて、次は隆一が着ていたジャケットをおもむろに脱ぎ、自らアコースティックギターを弾きながら「Birthday」をパフォーマンス。演奏が終わると「今日思いついてギター弾いてみた」といってオーディエンスを驚かせた。また、この曲は当時隆一が出演していたドラマ「ふたり」の制作発表の日が共演者の一色紗英の誕生日だったため「バースデーソングを歌って欲しい」とプロデューサーに頼まれ、急きょオリジナルのものを作ったというエピソードも披露。“ラブソングを歌うのは君の前だけだよ”とどこまでも甘い言葉を綴った「Love Song」では、“神様”というフレーズで胸の前で十字架をきり、何年経っても“色あせないメロディー”を紡いで作った「BEAT」を、原曲よりもテンポを上げて曲間にベースソロを組み込んだニューアレンジで披露すると、場内はどんどん熱気を帯びていった。「BEAT」を歌い終えた後は「とても短い時間だったな」と感慨深そうに1997年の出来事を振り返っていった隆一。そのなかで、当時は夜中までドラマの撮影をして、2〜3時間寝て3時に起きてサーフィンをしに海へ行き、朝が来たら再びドラマの撮影現場に向かうという日々を送っていていたため「女優さんに“隆一さん潮の匂いが”とよくいわれてた(微笑)」と明かして、観客を笑わせた。

河村隆一

「蝶々」から始まった中盤からは、あの頃の甘酸っぱい想いが詰まった曲たちを、あの頃とははるかに違う次元まで歌を進化させた隆一が、変幻自在のヴォーカリングで歌を立体的に魅せていく。この20年間、例えば6時間半で104曲を歌いギネス記録にも認定されたとんでもないライブを日本武道館でやってみたり、神々しい世界遺産や教会で歌ってみたり、マイクもスピーカーも使わずに生の音にこだわって“No Mic,No Speakers Concert”を開催するなど、誰も真似できないような過酷な条件を次々と自分に課し、あくなき追求心でアスリートのように河村隆一というヴォーカリストの“可能性”を広げていった隆一。「LOVE」が始まると観客は棒立ちとなり、場内の空気がピタリと止まった。隆一の歌が、1音1音空気を揺らしながら耳元に届いてくるのがはっきりと分かる。『Love』のなかで唯一陰りのあるせつない旋律を放つ「Evolution」を、硬く重みのある声質で曲の世界観を表現していったと思ったら、次に軽快なポップチューン「小さな星」が始まると、その声を爽快感ある若々しい感触の癒しヴォイスへと華麗にシフト。軽やかに自ら手拍子をして、客席と一緒に笑顔で盛り上がった後、中盤のハイライトとしていよいよ「Glass」が登場。場内の照明が少し落ち、ピアノのイントロが始まると隆一の意識が歌にググッと集中して入り込んでいく。すると、その張り詰めた緊張感が一瞬にして客席へと伝わっていく。ビロードのようにラグジュアリーな光沢感を持った気品ある声が、声量や響き、ブレスの混ぜ方など細部に至るまですべてをコントロールしながら空気の振動を伝って響いてくる様は、まるで声の芸術作品を見ているような美しさ。それを正確無比に生み出す鍛え抜かれた表現者・隆一の、まさに狂気じみた域まで達した熟練した歌の技術、それをフル活用した驚異の河村隆一ワールド全開のヴォーカリングに、聴き手はただただ感動するしかなかった。だが、そんな隆一でも今回『Love』のリハーサルをやってみると、いまだからこそ不完全なところがいっぱい見えてきて「僕は後悔のない人間だと思ってたんだけど。あるね(微笑)」とお茶目な顔で話し、観客を和ませた。

河村隆一

「でも淋しい夜は…」からはライブも後半戦へと突入。夏のビーチを感じさせるアップチューン「SE.TSU.NA.」はハンドクラップで客席一丸となって大盛り上がり。「最近は半身浴とジムで汗を流している」という隆一のプライベートな話題を挟んで、次の「Love is…」でいよいよ後半のクライマックスを作り上げる。ここでは、白磁の陶器の名品を見ているような色合いを思わせる美声で、エターナルなラブソングを客席の一人ひとりに向かって届け、魅了。みんなを愛で包み込んで感動させた後、歌の終わりに隆一はフワッと観客に向かって優しく投げキッス。そして「Chrismas」のバラードに続けて、最後はステージ後方に星空が映し出されるなか「Hope」を届け、『Love』というアルバムを曲順通りに最後まで再現して、場内は再び波の音に包まれ、ライブは終了した。

アンコールは、隆一のファルセットを織り交ぜたとろけそうな優しい歌声に客席から悲鳴が上がった「CIELO」からスタート。レア曲披露に場内が湧いた「xyz」。調子にのってきた隆一から「もういっちょう!」というフレーズが飛び出し「ジュリア」が始まると、客席は一斉にダンスを踊り出し大はしゃぎ。「20周年ということで20曲。なので、あと1曲」といって最後に「深愛〜only one〜」を熱唱した隆一。今後は「まだまだやりたいこともやらなきゃいけないことも山積み」と話して、そのなかでも自分のオリジナルアルバム、さらにはLUNA SEAのアルバムが届けられたらとファンに伝えた。そして、最後に「本当に20年間どうもありがとうございました。これからも走っていきます。期待しててね! 愛しています」と客席に向かって最後にキスを投げ、ステージを後にした。

文 / 東條祥恵

河村隆一 RK 20th Anniversary Action 「Love Special Live」
2017年3月19日 中野サンプラザ

セットリスト

01. I love you
02. 好き
03. 涙色
04. Birthday
05. Love song
06. BEAT
07. 蝶々
08. Love
09. Evolution
10. 小さな星
11. Glass
12. でも淋しい夜は…
13. SE,TSU,NA,
14. Love is…
15. Christmas
16. Hope
<アンコール>
17. CIELO
18. xyZ
19. ジュリア
20. 深愛~only one~

ライブ情報

RK 20th Anniversary Action #002
No Mic,One Speaker Concert at Church Tour 2017

4月1日(土) 宇都宮聖ヨハネ教会
4月2日(日) 仙台セント・ジョージ教会
4月16日(日) アビー・ラ・トゥール教会
4月21日(金) キリスト品川教会  グローリア・チャペル
4月22日(土) 日本基督教団 倉敷教会

hide tribute 2017 -BEAUTY Side-

5月4日(木・祝) 柏PALOOZA

RK 20th Anniversary Action #003 「深愛 〜only one〜 」Special Live

5月13日(土) オリンパスホール八王子

LUNA SEA The Anniversary 2017

5月29日(月) 日本武道館

河村隆一

1970年5月20日生まれ。神奈川県出身。
1997年LUNA SEAの活動休止期間中、シングル「I love you」でソロ活動をスタート。ドラマ出演や小説の出版、他アーティストへの曲をプロデュースするなどの活動の一方、2ndシングル「 Glass 」は100万枚以上のセールス。オリジナルアルバム「 Love 」は320万枚のセールスを記録した。
2001年にソロ活動を再開。2005年5月 、INORAN、H.Hayamaとユニット「Tourbillon」を結成し、7月に日本武道館でデビューライブを行う。2008年2月にソロ活動10周年の集大成の71曲ライブを日本武道館にて行う。同年10月、ブロードウェイミュージカル「CHICAGO」に出演。2009年3月、文化村オーチャードホールにて”No Mic, No Speakers”コンサートを行う。4月にはニューアルバム「ピアノ」をリリース、5月から全国ツアーをスタートさせ、8月22日東京国際フォーラム公演にてファイナルを迎えた。9月30日にエイベックス移籍第一弾シングル「Brilliant Stars」発売。2010年1月にシングル「抱きしめて」発売。又、同名タイトルにて恋愛小説「抱きしめて」(泉忠司×河村隆一)も発売。2016年9月には河村隆一として「Colors of time」を、10月には、Tourbillonとしてアルバム「Life is beautiful」をリリース。

オフィシャルサイトhttp://www.kawamura-fc.com

河村隆一のその他の作品はこちら
vol.123
vol.124
vol.125