Interview

吉本実憂、初主演ドラマ『クズの本懐』で“花火”として生きて得た充実感を語る

吉本実憂、初主演ドラマ『クズの本懐』で“花火”として生きて得た充実感を語る

オーディションから4年。『第13回全日本国民的美少女コンテスト』でグランプリを受賞した吉本実憂が初主演ドラマ『クズの本懐』で“殻を破った”と称されている。彼女が演じるヒロインの花火は、幼なじみでお兄ちゃんのように慕う高校教師に思いを抱きながらも、寂しさから同級生と契約をして恋人関係になり、純粋であるが故に歪んだ恋愛をしてしまう女の子。知的で清楚な美少女というイメージの彼女が、5年ぶりに長い髪を切ってまで、どうしてこれほど過激なシーンが多い作品に挑んだのか。ドラマ撮影中に二十歳を迎えた彼女の変化と挑戦、そして、向上心の強さの源を探る。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 荻原大志


放っておけない花火を救いたいという一心から

ドラマ「クズの本懐」はオーディションだったそうですが、どうしてこの作品に挑もうと思ったんですか?

オーディションを受ける前に原作のコミックと台本も読まさせていただいて、過激なシーンがあるので迷いはしたんですけど、読んでいるうちに花火っていう女の子が放って置けなかったというか。感覚なんですけど、どこかしら気になっちゃう存在で助けたい、救いたいっていう気持ちが出てきて…。ただ、それだけなんです。

その感覚をもう少し言葉にしてもらえますか?

純粋だから危なっかしい方向に行っちゃうから放っておけなかった。今、言葉にするとそうなるんですけど……。

でも、本当に、助けたい、救いたいっていう一心だったんです。放って置けないっていう言葉が、一番自分の中での気持ちと一致してて、歪んだ恋愛と書かれてますけど、恋愛だけに関わらずに、誰しも持ってると思うんですよね。ダメだなって思っていても、そっちの方向に行っちゃうっていうのは、そういう部分も表現したことなかったっていう興味本位もありましたし、あとは、やっぱりお芝居が好きっていうこともあって、オーディションを受けさせてもらいました。

この役柄を演じることで自分を変えたという気持ちはありました?

常に変化し続けたいとは思ってますね。役を生きることで、吉本実憂自身も何かしら成長したいっていう部分は常に持ってるんですけど、私もなんで、“助けたい”“救いたい”が、“自分が演じたい”になった理由はずっとわからなくて…。ただ、理屈よりも前に、そう感じてしまったからには、演じてみないとわからないと思ったんです。

ドラマをクランクアップして、その答えは出ました?

まだ出てないです。全話放送されてからじゃないと、客観的に見れない部分があって、改めて客観的に見て、感じることがあったらいいなと思います。何より、主演という経験もさせてもらいましたし、現場のスタッフさんがものづくりに対してすごく熱かったので、いい経験になりましたね。

少し話しは戻りますが、オーディションから手応えは感じてました?

全然ダメでした。ここ何年か、1つのお仕事に1つの挑戦というのを掲げていて。自分の中で決めていることなので口には出さないんです。『クズの本懐』のオーディションの時も、自分の中で挑戦を決めてやったんですけど、その挑戦ができなかったっていう悔しさもありましたし、自分の中で納得いくお芝居ができなかったので、できた!っていう感じはなかったんですよね。

じゃあ、花火役が決まった時は?

嬉しかったです! フフフフ。と、同時に責任感も出てきました。髪型に関しては、皆さんに“思い切ったね”って言われるんですけど、私としては全然苦じゃなく、ラッキーくらいの気持ちでした。

3色×4人で12色の色を出さなきゃいけない役への挑戦

花火の役作りはどう考えていきました?

純粋で明るい女の子なんですけど、一途にお兄ちゃんを思っているからこそ、歪んじゃうというか。常に純愛と寂しさの間を揺れ動いている女の子だと思ってて。だから、危なっかしくて、ほっておけないんですよね。そこは、私と共感してくれる視聴者の方がいたらいいなと思います。あとは、過激なシーンもあるけど、1つ1つの行動に気持ちがあって、意味があるんだよっていう部分を見せれたらいいなと思ってました。

途中から本人しか見えない、幻の花火との会話が出て来ますよね。さらに、全編に渡ってモノローグもあって、それぞれが違うことを言ってるっていう。

そうなんですよ。難しかったけど、楽しかったです。まず、普通の花火がいて、モノローグは花火の心の中の声で、幻の花火は心のもっと奥にある花火。言い方はきついけど、花火に気づかせようとして、厳しい口調で言っちゃってるだけで、すごくいい子だし、まともなんですね。その3色っていう大きな軸がありながら、同級生の麦、麦の好きな人で花火の恋敵である茜先生、友達のえっちゃんと、片思いの相手であるお兄ちゃんに対しても変わってくるので、3色×4人で12色の色を出さなきゃいけなくて。あと、拓也も新らたに出てきたし(笑)。

茜先生に好意を持ってる人を全部自分のものにしようとして。でも、あの人と流されなくてよかったと思いましたよ。

拓也、チャラいですよね(笑)。その12色を出すことには苦戦しました。軸は3色なんですけど、いろんなカラーを出したいし、人間は何十色も出せる生き物だと思うので、そこの部分をリアルに、精一杯出していけたらいいなと思ってましたね。

それぞれで全然違う表情や声が出てたと思います。物語が進むに連れて、花火は傷つけられたり、寂しくなるシーンが増えていきますよね。それは辛くなかった?

寂しかったし、辛かったです。不安定でした。私は結構、役に引っ張られるタイプだと思うんですね。でも、常に花火でいれたことがすごく嬉しくて。特に、花火の一番軸になる全ての行動の原点になるのがお兄ちゃんなんですけど、お兄ちゃんはずっとお兄ちゃんでいてくれたから、私もずっと花火でいれたし、花火としてお兄ちゃんに好意を持てたような気がしてます。

役を“演じる”のではなく、その役として“生きる”という変化

「演じる」ということもテーマになってましたよね。相手を夢中にさせるために偽りの自分を演じて、本当の自分は自分だけが知っていればいいんだっていう。演じることを生業としている吉本さんは「演じる」ことについてどう思いました?

今まで、“演じる”っていう言葉を使ってたんですけど、映画『HIGH&LOW THE RED TRAIN』で成瀬愛華ちゃんっていう女の子の役を頂いてから、役を“演じる”のではなく、その役として“生きる”っていう変化があって。だから、花火も、花火を演じてるっていうよりは、花火として生きたい!っていう気持ちになってきました。

それは役者として大きな変化ですよね。どうしてそういう気持ちになりました?

愛華には自分とたくさんの共通点があって。すごく簡単にいうと、憧れの男性を探してるけど、会えないっていう物語だったんですね。愛華として生きてる時に、撮影が終わって、家に帰ってからも、寂しくて寂しくてしょうがなくて、何にもないのに、一人で泣いちゃったりすることがあったんです。そこで、愛華としては、すごく寂しくて泣いてるんですけど、幻の花火みたいに、はたから見てる吉本実憂は『いいじゃん、これ! 楽しいな』ってなったんですよ。

客観的な視点が生まれたんですよね。離見の見(りけんのけん)のような。役を演じるのではなく、役を生きれるようになったのはどうしてですか?

物語に関係ない部分も含めて、バッググランドを細かく作るようにしたからかなと思います。作れば作るほど、その役として生きれる。花火でいうと、撮影期間は2ヶ月なんですけど、花火自身は17年間、生きてる。吉本実憂が演じるだけでは、その経験には勝てないんですよね。だから、バックグラウンドを事細かくに作って、ノートにバーって書くんです。台本を読んで、これは違うなとか、消したり、足したりして、残ったものを自分の中に吸収してっていうやり方でしか生きれない。もしかしたら他にもやり方はあるかもしれないですけど、今の自分が見つけた方法は、それしかなかったし、そして、生きれてる気はしますね。

今作でも、花火として生きられてる実感もあった?

やっぱり吉本実憂じゃないなってすごく思いました。クランクアップ後にモノローグを録っていても、声質も違ってて、花火の方が純粋な声をしてたりするんですよね。花火として生きている時は、テンションも違いますし…。

その間、幻の吉本実憂は花火として生きてる吉本実憂をどう見てるの?

面白いなって(笑)。文字とかも変わっちゃうんですよ。花火は綺麗だけど、ちょっと丸っぽい字を書くんですね。愛華をやってる時は、跳ねとか払いも美しくて。クランクアップした時にノートを見返すんですけど、そうすると、本当に楽しいんです。あ、こういう字を書いてたんだとか。改めて、自分が出てる作品を見たりすると、顔つきも自分から見て違ったりしますね。その子が苦しい時期だとしても、楽しかったりしますね。

主演のプレッシャーを感じながら得た芝居への熱

では、初の主演ドラマ「クズの本懐」を終えて、ご自身としてはどんな作品になりましたか?

最初は主演というプレッシャーもすごくあったんですけど、常に『これはいいプレッシャーだ』と感じながら撮影してて、やっぱり、お芝居が好きなんだなっていうのを再確認しましたね。リハーサルを含めて3ヶ月間、この作品に携わらせてもらって、ほぼ毎日、お芝居をさせてもらって、朝、早くても、夜、遅くても全然苦じゃないくらい楽しかったんですよ。

今、こうして目の前で話していても、本当に楽しそうだし、充実感が伝わってきます。

すごく充実してました。毎日、現場にいると、スタッフさんとのコミュニケーションも上手くとれてましたし、なんか、楽しかったっていう言葉でまとめるのがもったいないくらいなんですけど、一言で表すと、楽しかっていう感じになるんですね。監督さん、照明さん、カメラマンさん、音声さん、私たちは役者として、みんなが違うことをやってるけど、1つの同じ方向を向いてるっていう環境が本当に好きなんだなって思いました。今まで以上に、毎日、現場にいたからこそ、お芝居だけじゃなくて、カメラマンさんや照明さんのお仕事に興味を持ったりもして、自分なりにですけど、ちょっとだけ視野が広がった、世界が広くなった気がします。

そんな充実した日々の中、撮影中に二十歳を迎えましたよね。

今まで、誕生日付近に撮影してたことがなかったんですよ。12月28日なので、直前で終わったりしてたんですね。だから、初めてだったし、しかも、二十歳という節目で、皆さんと一緒にものづくりをしている期間で、たくさんお祝いしてもらいました。今までは自分の誕生日はそんなに大切にしてこなくて、人の誕生日を祝う方が楽しいタイプだったのですが、二十歳の節目でお祝いしてもらったことで、少しは自分の誕生日も大切にしていいんだなっていう感情すらもらったので、すごく幸せな現場でした。

二十代はどう生きていきたいですか?

すごいシンプルにいうと、楽しく生きていきたいです。その楽しさの中には、悔しさや自分に対する怒りも入ってるんですけど、楽しい生き方をしたいなって。常にお芝居のことを、作品のことを考えて過ごしていきたいっていうのがあります。あとは、怖がらずに生きる!。

これからもリスクを恐れずに挑戦し続けていく?

そうですね。たとえ、その時にリスクがあるって考えたとしても、長い人生を見るとそれはリスクじゃなかったかもしれない。自分の生き方次第で、それがリスクだったのか、リスクじゃなかったのかを変えられるじゃないですか。過去は変えられないけど、未来は自分の力で変えられる。だから、何にも怖がらずに……そう言いながらも怖がるんですけど(笑)、不安も大事な要素の1つなので、多少は怖がりつつも、とにかく、自分のペースで走っていきたいって思ってます。

今、何か自分の課題だなって感じてることはありますか?

課題は事細かにあるんですけど(笑)、今年の目標としてアクションに挑戦したいと思ってます。今まで、心で戦うこととか、守られることはあったんですけど、刀や拳で戦ったり、実際に自分が体を張って戦う作品に携わったことがないので、1つの目標にしてます。

『クズの本懐』で心の殻も破ってもらった充実感

攻めの姿勢がビジビシ伝わってきますね。

はい! 根本がそうだと思うんですよね。これまでは前に前に進みたい人ではあるけど、それこそリスクを考えたり、周りの目を気にしたりしてたんです。でも、本当に、ドラマ『クズの本懐』で、体の殻だけじゃなく、心の殻も破ってもらったので、自分の中では転機というか、とても印象に残る作品になりましたね。

X21のリーダーとしても活動されてますが、歌って踊るアーティスト活動の方はどう考えてます?

表現という部分では一緒だなと思ってます。だから、吉本実憂っていうことで立たせてもらってますけど、曲の中では常に演じていたりしますね。『Beautiful X』という曲であれば、吉本実憂という人がラフに綺麗にパフォーマンスしたらどうなるか?っていう方向に持っていきます。X21の時も常に演じているので、しっかりとお芝居しているところを見てもらえたらいいなと思います。

素の吉本実憂はどこで見れます? プライベートはどう過ごしてます?

私、自分で言うのもなんですけど、プライベートが謎で…。

あはははは。じゃあ、周りはもっと謎ですよね。

自分でも聞きたいです。プライベートどうしてるの?って。

じゃあ、花火が終わったら、切り替わって、素の自分になる?

今が多分、素だと思うんですよね。ただ、役柄は客観的に見れても、自分のことがあまり客観的に見ることができなくて、役柄とばっかり向き合ってきたので、今、1日1分、自分と向き合う時間を作ってます。携帯に自分はこう言うのが好きだって書いたりしてます。

自分と向き合い始めて、何か気づいたことあります?

黒が好きなんだなって思いました(笑)。洋服を見てても、お店の壁が黒かったらすぐにそこに向かっちゃうし、小物もメイク道具も黒が多くて。光ももちろん好きなんですけど、影も好きなんです。だから、花火が好きなんですよね。本当に花火みたいにパッと光ったと思ったら、急に影になったりする。闇を持ってるからほっとけない。好きって言う気持ちがあるんだと思います。

また、今年は「全日本国民的美少女コンテスト」も開催されます。後輩が増えるわけですが、どんな子たちにきて欲しいですか?

夢や目標を持ってる方に来て欲しいと思いますけど、自分自身が応募したきっかけが、人見知りを直したいだったんですね(笑)。だから、夢を持ってる方に応募してっていうには説得力が足りないと思うんですけど、私自身にとっては、夢や目標を持たせてくれるきっかけになった、とても大事なコンテストで、私が伝えられることは、自分がマイナスだと思っていたこともプラスに変えられるお仕事だっていうことだけですね。

人見知りや自信のなさは克服しました?

人見知りは克服しましたね。それまでは大人の方と喋れなかったんですけど、今は逆に同世代と喋る方が緊張しちゃうという不思議な現象になってて。あと、さっきのマイナスとプラスの話でいうと、私は自分の自信のなさが大嫌いだったんですが、作品と携わるにつれて、自信がないからこそ頑張るし、努力するんだって気づきました。自信がないことはマイナスに聞こえるかもしれないけど、私にとってはプラスなことなんだって気づかせてもらったからこそ、自信がなくても応募して欲しいって思いますね。

吉本 実憂(よしもと みゆ)

1996年12月28日生まれ 福岡県出身
2012年「第12回全日本国民的美少女コンテスト」にてグランプリ受賞。
コンテストのファイナリストで結成された「X21」のリーダーを務める。
2014年のドラマ「獣医さん、事件ですよ」で女優デビュー。
大河ドラマ「軍師官兵衛」や連続テレビ小説「とと姉ちゃん」など多数ドラマ・映画に出演。
映画「紅い襷~富岡製糸場物語~」が今年9月に公開を予定している。

FODオリジナル連続ドラマ『クズの本懐』

【放送時間】毎週(水)25:55~放送 ※放送時間は変更になる場合があります。
【FOD先行配信】:毎週(金)20時配信予定
【原作】横槍メンゴ「クズの本懐」(掲載 月刊「ビッグガンガン」スクウェア・エニックス刊)
【キャスト】
 安楽岡花火 … 吉本実憂
 粟屋麦 … 桜田通
 鐘井鳴海 … 水田航生
 皆川茜 … 逢沢りな
 絵鳩早苗 … 池上紗理依
 タクヤ … 猪野広樹
 芽衣 … 吉田志織
 鴎端のり子(最可)… 志保

【脚本】萩原恵礼 髙橋幹子
【音楽】河内結衣
【主題歌】平行線/さユリ
【制作著作】フジテレビ
公式サイトhttp://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4a11/

©横槍メンゴ/SQUARE ENIX・フジテレビジョン

X21ライブ情報

NEXT FUTURE STAGE AKIBA Season vol.3 ~It’s a Beautiful X~
【日時】2017年3月30日(木)18:30開場 19:00開演
【会場】東京・秋葉原:AKIBAカルチャーズ劇場
【出演メンバー】吉本実憂・小澤奈々花・末永真唯・泉川実穂・長尾真実・籠谷さくら・井頭愛海・山木コハル・白鳥羽純・田中珠里・上水口萌乃香・松田莉奈
X21オフィシャルサイトhttp://x21.oscarpro.co.jp/

第15回全日本国民的美少女コンテスト応募受付中!

詳しくは公式ホームページまで。
オフィシャルサイトhttps://beamie.jp/contest2017.html


関連書籍 クズの本懐

2017年4月20日(木)まで50%オフ!

クズの本懐 1巻
横槍メンゴ (著者)
スクウェア・エニックス
ビッグガンガンコミックス