なぜ人類は『グラビティデイズ 2』に惹かれるのか  vol. 2

Report

『グラビティデイズ 2』は自由に飛び回ることのできる芸術作品

『グラビティデイズ 2』は自由に飛び回ることのできる芸術作品

2017年3月21日に無料の大型ダウンロードコンテンツ(以下、DLC)、『グラビティデイズ 2 オルタナティブサイド:時の方舟 – クロウの帰結』が配信され、さらには『グラビティデイズ』シリーズのメインビジュアルなどのイラスト、登場人物や敵であるネヴィの設定画、メキシコでのイベント用に作成されたイラストなどなど、ファン必携の内容となっている公式アートブックも発売し、発売から数日を経てなお勢いの止まらない『グラビティデイズ 2』。

本稿では、『グラビティデイズ 2』の幻想的な世界を構成するビジュアルやBGM、そしてその世界でくり広げられる物語など、重力アクションと並んで本作のエッセンスと言える要素の魅力を追求していく。

文 / 村田征二朗


GRAVITY DAZE® 2 DEMO 体験版

フランス漫画の衝撃が生んだ重力的眩暈

『グラビティデイズ』シリーズの魅力と言えば、第一には別の記事で紹介した独特の浮遊感を楽しむことができる重力アクションが挙げられます劇が、重力アクションに並んで本シリーズの大きな魅力を担っているのが、その幻想的な世界を彩るビジュアルデザインです。

▲こちらは『グラビティデイズ 2』の公式サイト。背景に浮かぶ島々が独特の重力感を演出します。公式サイトにはマウスカーソルの位置やスマートフォンの傾きに応じて画面が動くというユニークなギミックもあります

本シリーズのイラストの色調は写実的ともアニメ的とも違い、フランスの漫画、いわゆるバンドデシネのような独特な柔らかさを持っているのが特徴です。そして、そんな『グラビティデイズ』シリーズのディレクター・外山圭一郎さんが過去のインタビューなどで作品に大きな影響を与えたと語る人物こそ、バンドデシネ作家・故メビウスです。メビウスは宮﨑駿や大友克洋など、日本が世界に誇る作家たちにも多大な影響を与えた漫画家であり、幻想と機械とが入り混じった世界が魅力的な作品を数多く生み出しました。

メビウスを知らないという人でも、不思議な質感を持った美しい色調やファンタジーと機械技術が混在した世界とを併せ持つ彼の作品を見れば、『グラビティデイズ』の源流であることは容易に理解できることでしょう。メビウスの作品は日本語の翻訳版も発売されているので、『グラビティデイズ』の世界や色調が”どストライク”な方はぜひ探してみてはいかがでしょうか?

▲メビウスの『アンカル』シリーズ最後の冒険を収録したコミックス『ファイナル・アンカル』の表紙イラスト。建物の中を落ちていくビジュアルは『グラビティデイズ』シリーズを彷彿とさせます
『ファイナル・アンカル』(パイ インターナショナル刊)
作:アレハンドロ・ホドロフスキー 画:ホセ・ラドロン、メビウス
© 2014 Humanoids, Inc., Los Angeles(USA). All rights reserved.

そして重要なのは、2Dイラストだけでなく、実際のゲームプレイを行う3Dマップにおいてもバンドデシネ的テイストが溢れているということです。もちろん2Dのイラストがそのまま動き回るわけではありませんが、街の建物や人々の鮮やかで暖かみを持った色彩によって映し出される世界は、ほかに類を見ない本作ならではの存在感を出しており、もはやマップそのものが自由に飛び回ることのできる芸術作品と言っても過言ではありません!

さらに、単純なビジュアルの美しさに加え、“ライブリーイベント”と呼ばれる現実世界の時間と連動したイベントがマップ内で発生するというユニークな仕掛けもあり、プレイヤーを楽しませようという開発チームの心意気が随所に見えるのもうれしいところです。

▲一定時間ごとに子ヤギが顔を出すからくり時計や、大空に広がる虹のほか、夜空を彩る花火などもあり、発見できるとついつい足を止めて眺めてしまいます

▲芸が細かいという点で言えば、水場で重力スライドを行うと周囲の水が重力に弾かれるのも面白く、個人的にもお気に入りの演出です

そして、美しいグラフィックにさらなる華を添えるのが、空中に島々が浮かび、飛行船が空を飛び交うというファンタジー感溢れる世界設定です。この幻想的な世界と柔らかな色彩のグラフィックとの相性が非常に良く、メビウス的と呼ぶにふさわしいゲーム世界への没頭感をかなり高めてくれるのです。ファンタジックな世界を重力アクションの非現実的な挙動で動き回るという体験はまさに『グラビティデイズ』シリーズでしか味わうことのできない快感であり、本作のゲーム体験を強く、深く印象づけてくれるのです。

1 2 3 >
vol.1
vol.2
vol.3