Interview

May J.がライフワークと語る“デュエット”。アルバム13曲の豪華競演者との思い出を訊く

May J.がライフワークと語る“デュエット”。アルバム13曲の豪華競演者との思い出を訊く

デビューから早11年。常に向上心を持って自身の歌に磨きをかけてきたMay J.が、その軌跡でもっとも大切にしてきたものの1つが、デュエットソング。これまで数々の素晴らしい実力派アーティストと競演した楽曲を集めたデュエットアルバム『Best of Duets』を発表した。初めて経験したコラボレーションから、May J.が男女一人二役に挑戦したセルフデュエットという新録曲まで、彼女のボーカリストとしての歩みをたどれるような大充実の1枚。May J.と素晴らしいシンガーたちの美しい歌声をとおして、あらためて歌の持つ力を思い知らされた。

取材・文 / 恒川めぐみ 撮影 / 森崎純子


セルフデュエットだということを知らないスタッフさんに聞かせたら「誰なの??」って(笑)

今回はデュエットソングを集めたベストアルバムということですが、May J.さんの存在感が前面に出ているものもあれば、相手のシンガーを引き立たせている曲もあり。たっぷりと歌の楽しさを堪能できました。

アプローチの仕方は本当に曲によりますよね。新曲の「Yeah! Yeah! Yeah!」では、「NIVEA」のCMソングを担当している村上佳佑くんと一緒に歌っているんですけど、これはもう、お互いに本気でぶつかり合っているというか(笑)。お互いに持っている力を全部出し切るつもりでレコーディングに臨んだんです。それぞれのブースに入りながらも、同時に録音して生っぽさを大事にしたんですけど、そのときにしか生まれない熱があったり、相手がこう出てきたらこっちはこう応える! みたいな、そういうボーカリスト同士のやりとりが楽しかったですね。

全曲に思い入れがあると思いますので、それぞれデュエットしてみた感触を教えていただけますか?

はい、もちろんです! 2曲目の「ONE MORE KISS」は、まずZeebraさんとHi-STANDARDの難波章浩さんという組み合わせがすごいですよね(笑)。私がデビューする前、14歳のときに出会ってから付き合いの長いZeebraさんと、もう1人、意外な人を入れてみたらどうかということで難波さんにもお声がけさせていただきました。私はそれまでロックを歌う機会があまりなかったので、こういう意外な組み合わせで歌うのは初めてでしたね。ピースフルで爽やかな曲調で、私のR&BとZeebraさんのヒップホップ、そして難波さんのパンクロックのエッセンスがすごくいいバランスで組み合わさった素敵な曲になりました。

「Startin’ Lovin’」(with May J.)のTRICERATOPSもロック畑のアーティストですよね。

そうなんです。プリプロで初めてお会いしたんですけど、和田唱さんはすごく自由な方で(笑)。ギターを抱えた唱さんと一緒にスタジオに入ってすぐ、いきなりマイケル・ジャクソンを2人で歌い始めるところからセッションがスタートしたんですけど(笑)、「歌っていてすごく楽しい方だな」と思ったのを覚えています。しかもR&B好きですごくソウルフルな方なので、言葉ではなく音楽で通じ合うことができました。「Mayちゃんのフェイクをもっと聞かせてよ!」という感じでセッションが進んでいったおかげで、肩肘張ることなく自然体で歌えましたね。

そして「めぐり逢えたら」は、なんとMay J.さんのセルフデュエットだそうで。この発想がすごいです!

セルフデュエットって面白いでしょう(笑)? もちろん初めての経験なんですけど、最初は普通に男っぽく声を低くして歌ってみてもやっぱり無理があったので(笑)歌い方を思いっきり変えて、男っぽく聞こえるように工夫したんです。なので、この曲に入っている歌は間違いなく、ぜんぶ私の声です。歌い方を大幅に変えないと、単に私1人のハモりになってしまうんですよね。だからビブラートのかけ方も自分の癖をわざと崩してみたり、歌うときのテンションをあえて変えてみたりして。男性と女性では歌い方が根本的に違うので、大げさなぐらい自分の声を変えて歌ってみたときに、ようやく「なんか他人っぽい!?」と感じるレベルに着地できました。面白いのがセルフデュエットだということを知らないスタッフさんに聞かせたら「誰なの??」って(笑)。そういう反応はすごくうれしいです。

眉毛を太くするぐらい……あっ、あともみあげも描きました(笑)

May J.

 

ミュージックビデオも楽しかったです。

あの男性は“May太郎”という名前です(笑)。MVでは見た目も男になりきることを意識したので、メイクはほぼせず、眉毛を太くするぐらい……あっ、あともみあげも描きました(笑)。ガチ男を目指して。

「I Believe[Japanese Version]」はBIGBANGのV.Iさんがフィーチャーされていて、優しい雰囲気の楽曲に仕上がっていますね。

彼が日本にいるときに、私がディレクションをしながらレコーディングしたんですけど、優しくて紳士な人柄が表れた、とてもきれいな声の持ち主ですね。必要とされていることを彼は的確に理解して、すぐにそれを表現できるというか。もちろん繊細な部分もあるし、曲の主人公になりきって歌う姿に私もつい引き込まれて、感情たっぷりに歌えました。

「Endless Love」は鈴木雅之さんとの楽曲で、May J.さん初のデュエットソングなんですよね?

そうなんです。当時、私はたった19歳でしたし、かたや鈴木さんはキャリアの長い素晴らしいシンガーなので、すごく緊張していたのを覚えています。鈴木さんがどんな歌い方でくるかわからなかったので、いかようにも対応できるように必死で準備をしていたんです。ところが、レコーディングの前日に飼っていたワンちゃんが死んでしまって、すごく悲しくて……。そのワンちゃんのために歌おう! と思って翌日、一生懸命「Endless Love」を歌いましたね。鈴木さんは声も人柄も包容力のある方で、常にエスコートしてくれるんです。「May J.が思ったやり方でいい。ラブソングを歌うときは、年齢は関係ないんだよ」って。それが、もうかっこよくて。デュエットに年齢差は関係なく、ただ女性と男性である、それだけなんだと教わりましたね。

そしてMay J.さんといえば、クリス・ハートさん。「美女と野獣」は誰が聞いても胸を打たれます。

クリスもエスコートするのがすごく上手な人で、私に合わせてくれるんですよ。ビブラートの細かい波とかも、すごく神経をつかって口元を見て、いつビブラートが切れるのかを予想しながら歌ってくれるので、女性にとってはすごく安心して歌える、ある意味楽な(笑)、すべてを任せられるシンガーですね。本当に心から信頼できるシンガーの1人です。

ゴスペラーズとの「Up, Up And Away(feat. May J.)」も、他のポップスとは違う、迫力ある1曲。

レコーディングは、すでにゴスペラーズのみなさんの声が入ったものに、あとから私の声を入れたんですけど、村上てつやさんのディレクションがすごく厳しかったです(笑)。私が歌うところは当然、一番上のキーなので裏声で歌うんですけど、裏声ってすごくたくさん息の分量を使うので、長くキープすることが難しいんですよ。だけど「もっともっと伸ばしてほしい」って(笑)。体内にある空気を全部吐き出すつもりで歌ったのを覚えていますね。ゴスペラーズさんは5人なんですけど、まるで1人を相手に歌っているような感覚になりました。すごいボーカルグループです。

May J.

「last resort」を歌っているT.M.Revolutionさんも、そうとう個性の強いボーカリストですよね?

個性もありますし、パワーもあるし。それについていかなきゃ! という感じで挑戦しましたね。歌詞には載っていないんですけど、男性の気持ちを歌った歌詞を受けて、私は女性側の気持ちを全部英語で書かせていただきました。メロの間にスッと入ってくる英詞がそれです。西川さんもレコーディングにいらっしゃって私の歌を聞いてもらいながら「May J.はもっとこういう曲を歌ったほうがいいよ」って、そのときにアドバイスをくださったのがすごくうれしくて。それからは自分のオリジナル曲でもロングトーンを使ったり、パワー感のある歌い方を取り入れるようになりましたね。

「Back To Your Heart」ではダニエル・パウターさんとのデュエットも聴けるんですね!

そうなんです。私も最初は「あのダニエル・パウターと!?」ってびっくりしたんですけど(笑)、2012年、ちょうど来日するタイミングがあって、お願いしました。本当に時間がない中でも、快く応じてくれましたね。彼の歌には繊細なイメージがあると思うんですけど、シャープな側面もたくさんあって、「ここを聞かせてほしい」という部分での声の使い方がすごく上手なんです。彼の世界観に引き込まれて、一緒に歌っていて私も気持ちよく歌えました。

とてもヒーリングな曲ですよね。Skoop On Somebodyさんとの「Just The 2 Of Us」はいかがでしたか?

TAKEさんは、とても色気がある雰囲気の歌声を持っていらっしゃるので、私はすごく恐縮してしまいました (笑)。しかも曲自体もセクシーですし。レコーディングは2013年だったんですけど、そのころは私はR&Bから離れて、ポップスを歌い始めていたときなんです。だからR&Bの歌い方を忘れていて(笑)。でもSkoop On Somebodyが上手くリードしてくださって、勘を取り戻せましたし、ワクワクしましたね。

原点を再確認できたと。またガラッと雰囲気が変わる「北極星~Polestar~」を一緒に歌っているのはSHOWさん。てっきり日本の方だと思っていました。

SHOWさんは台湾の大人気アーティストなんですけど、日本語が好きで、日本のお笑いやドラマを見て勉強されたそうです。それで、この曲もすごくナチュラルに聞こえるんだと思いますし、私も曲の世界観に入り込んで歌うことができました。台湾と日本。離れているけれど、同じ場所には必ず北極星が見える。そうやってつながり合えるという、素敵なテーマの曲を表現できたなと思います。

最後の曲「Every Single Day feat.URATA NAOYA(AAA)」。ここでもガラッとジャンルが変わります。

そうなんです。やっぱり最後はアゲアゲな曲でアルバムを終わたいと思って(笑)。浦田直也さんはとても丁寧に歌う方で、その歌声の中にフェミニンさがあって、私の声に寄り添ってくれる方だなと感じました。逆に私は声の張りが強いタイプなので、歌い方も声質も男っぽいんじゃないかと思って(笑)。なので、もっと女性っぽく、か弱い感じに歌えるように意識していたかもしれませんね。

これからもライフワークとして歌い続けていきたいですね

May J.

この1枚の作品をとおして聴くだけでも、May J.さんの歌の力や表現力の幅を感じることができました。

いえ、私はまだまだです(笑)。でも相手次第で自分はどういう立ち位置で歌えばいいのか、カラーを変えるのか、女性らしく歌うのかを考えていくうちに自分の引き出しが毎回増えていくので、すごく良い経験になりました。デュエットは自分の表現力を見つめ直す絶好の機会をもらえるので、これからもライフワークとして歌い続けていきたいですね。

その他のMay J.の作品はこちらへ

ライブ情報

5月から全国ツアーがスタート!
May J. Tour 2017〜ME, MYSELF & OUR MUSIC〜

http://may-j.com/tour17/

May J.

日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち多彩な言語を操るマルチリンガルアーティスト。
幼児期よりダンス、ピアノ、オペラを学び、作詞、作曲、ピアノの弾き語りをもこなす。圧倒的な歌唱力とパワフルかつ澄んだ繊細な歌声、そして前向きでポジティブなメッセージが共感を呼び、幅広い世代から支持を受けている。
2006年7月12日ミニアルバム「ALL MY GIRLS」でメジャーデビュー。
記録的な大ヒットで社会現象にもなった、2014年公開のディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌を担当。同年の第65回紅白歌合戦に初出場。
2015年1月には自身初となる、日本武道館の単独公演を開催。

オフィシャルサイトhttp://www.may-j.com/