特集・進化するトライセラトップスという恐竜  vol. 8

Report

最強の3ピース、トライセラトップスにUNISON SQUARE GARDENが挑んだ至極の対バン

最強の3ピース、トライセラトップスにUNISON SQUARE GARDENが挑んだ至極の対バン

TRICERATOPS presents DINOSAUR ROCK’NROLL 7<DAY.1>
2017年3月17日 EX THEATER ROPPONGI

トライセラトップスの不定期開催の自主企画“TRICERATOPS presents DINOSAUR ROCK’NROLL”は、今回で7回目。これまでゲストには、フジファブリック、スガシカオ、GRAPEVINE、桜井和寿など、そうそうたるバンドやボーカリストが名を連ねて来た。7回目のゲストは、初日がUNISON SQUARE GARDEN、2日目はシークレット(注:平井堅が登場した)と発表された。その初日、EXシアター六本木に足を運んだ。

今年デビュー20周年を迎えたトライセラは、ますます磨きがかかって絶好調。もともと演奏力には定評があったが、ソングライティングやライブの運びに独特の味が加わって、いまやオンリーワンの存在だ。小田和正や奥田民生など、先輩アーティストからも厚い信頼を受けている。

今回のゲストのUNISON SQUARE GARDEN(以下、USG)は、トライセラと同じく演奏力抜群の3ピース・ロックバンド。斎藤宏介(vo&g)、田淵智也(b)、鈴木貴雄(dr)はすでにバンドとして10年を超えるキャリアがある。3人の緊密なアンサンブルと3声のコーラスは大きな武器であり、特に斎藤の複雑なギター・リフを弾きながらのリード・ボーカルが魅力となっている。このスタイルはトライセラと重なる部分が多く、3ピース同士がガチで激突する注目の対バンとなった。

先にステージに上がったのはUSG。中央奥にドラムス、右にギター、左にベースという配置はトライセラと一緒だ。まずはロックチューン「mix juiceのいうとおり」からスタート。ピアノのトラックを走らせて、ファンキーな演奏を聴かせる。フロアの観客は3分の1がUSG、3分の2がトライセラといったところか。ストイックでパワフルな演奏を、会場がズシンと受け止める。

続く「リニアブルーを聴きながら」は一転してポップなロック。楽器と声のアンサンブルによるバンドの魅力の硬軟両面を、初めてUSGを見るオーディエンスにムダなく伝えるあたりはさすがだった。

「初日に呼んでいただいて、光栄です。UNISON SQUARE GARDENです!」と斎藤。「明日はシークレット・ゲストということで、トライセラの3人に誰なのかしつこく聞いているんですけど、答えてくれない。でも今朝、起きたときにひらめいたんです。で、自信があったので『ガクトさんですよね?』って聞いたら、違ってました」と笑わせる。

場内が和んだところで、「ワールドワイド・スーパーガール」ではバンドの本領を発揮。細かいギターの刻みに変則的なビートを織り混ぜて、スリルを演出する。トライセラの敬愛するイギリスのバンド“ポリス”を彷彿とさせるニュアンスに、この対バンに指名された理由の一端を感じたのだった。次の「クロスハート1号線(advantage in a long time)」は、3声のハーモニーが美しいメロディを際立たせていて見事だった。

USGはその後も押しの強い曲で、会場を攻めまくる。ギター・リフが印象的な「シュガーソングとビターステップ」では、ドラムの鈴木が立ち上がってオーディエンスを煽って会場を熱くさせ、「シャンデリア・ワルツ」でライブを締めくくった。

対してトライセラは、早くも上気した表情でステージに登場。4つ打ちのドラムのグルーブに乗って、60年代のイギリス・ロックの雄“クリーム”を思わせるリフ・ロック・ナンバー「FUTURE FOLDER」からスタート。USGの残した熱気のお陰で、すぐにフロアに火が付く。ギターの抑えた音色がかえってスリリングな「I GO WILD」から「スターライト スターライト」に行くあたりで、会場はすでにアンコール並みの熱さになった。コール&レスポンスやハンド・クラップの応酬など、前半としては異例の長い演奏になった。

「はっはっは、オーケー!! DINOSAUR ROCK’NROLLに、ようこそ! 久しぶり、今年初めてのTRICERATOPSのライブですよ。今回はユニゾンに来てもらいました。メチャメチャ盛り上がってましたね。去年の暮れはずっとアコースティックでやってたから、エレキの感じが久しぶりで、さっきの曲はエンディングがよくわからなくなっちゃった」と和田唱(vo&g)が笑う。

USGの熱気は、和田も巻き込んでいた。が、実は僕はこの“混乱のエンディング”が好きだった。予定調和ではなく、和田と林幸治(b&cho)、吉田佳史(dr&cho)の3人は久々の“エレキ・トライセラ”を成り行きに任せて楽しんでいた。そこには自信や余裕に裏付けられた彼らの20年があった。どんな状況も3人で楽しめる。楽しんでいれば3人は大丈夫。3人が楽しめば、オーディエンスも楽しい。この万全の構図を、トライセラはキャリアの中で獲得していた。

「ユニゾンがあっためてくれたから」と和田。「あっちっちだよ」と吉田。再び和田が「いったんペースダウンして、こっちに」と言って、ピアノの前に座る。しっとりと「HAPPY SADDY MOUNTAIN」を歌う。和田のピアノをサポートする林のベースラインがきれいだ。

次の「僕らの一歩」は、ラブソングの傑作。歌い出しの♪君を送った夜道♪というフレーズが、3ピースバンドの対決に興奮していたオーディエンスたちの心にすっと入っていく。このあたりのライブの展開の緩急が憎いほどだ。

「ユニゾンの斎藤くんと、最近、呑みに行ってないな」と和田。

「イベントに出てくれて嬉しい」と吉田。

「斎藤くんて、可愛いよね。フィギュアスケートやってそう」と林。

すかさず和田がステージ上でスケーターの真似をする。

「フィギュアが似合うロックスターって、新ジャンルだね。ユニゾン・スケート・ガーデン!」と林。

「あはは、よーし、アガってきたぜ。笑いはここまでだ! こっからはロックモードだぜ。踊る準備はいいですか?」と和田。

お互いのグダグダのギャグを拾い合い、予想不可能な展開のように見えて、流れを作る3人の“人間のアンサンブル”が飽きさせない。その上で“楽器のアンサンブル”が素晴らしいのだから、言うことはない。

和田はギターに持ち替えて、終盤に突っ込んでいく。そのギター・リフのかっこいいこと! 「GOING TO THE MOON」、「MIRROR」と3ピースロックが爆発する。そしてラストの「Raspberry」に驚かされた。

トライセラのデビュー曲「Raspberry」は、これまで何度もライブで聴いてきた。が、この夜の「Raspberry」は、いつもと様子が違っていた。この曲は、名曲の条件の一つである“Aメロもサビもずっと同じコード進行”を持つ。その一回一回が、この夜はいちいちニュアンスが異なって聴こえてきた。シンプルなのにカラフルな演奏には、20周年を迎えたバンドにふさわしい奥行があった。久々のエレキであったことと、トライセラに初めて接するUSGのファンの存在が、普段とは違うインスピレーションをメンバーに与えたのかもしれない。それ以上に、トライセラは「音楽を楽しむ新しい方法」を見つけたようにも思えたのだった。

トライセラは、たった8曲とは思えないバリエーションを見せつけた。20年目の瞬発力、恐るべし!

さて、アンコールはこのイベントのハイライトである“セッション・コーナー”だ。まず和田と斎藤の二人がステージに戻ってきて、和田はピアノの前に座り、「この曲は、斎藤くんが選んでくれました」。なんとカーペンターズの名曲「YESTERDAY ONCE MORE」を、最初は斎藤が歌う。岩絵の具のような独特の色彩を持つ斎藤の声が、美しいメロディによく似合う。サビになるとそこに和田のハーモニーが乗る。2番ではそれが逆転する。甲乙つけがたい“美ハモ”だ。さらには斎藤がギターで奏でるオブリガードが繊細で快い。非常に充実したデュオに、会場から大きな拍手が巻き起こった。

残る4人がステージに上がると、斎藤が「13年、やってきて、バンド同士のセッションって初めて! よろしくお願いします」と言うと、和田が「3ピースと3ピースなので、美しいですよ。“トリオーズ”ですね」。

トリオーズがUSGの「クローバー」を演奏する様子は、和田の言うとおり、中央にドラムが2台、左にベーシストが2人、右にギター&ボーカルが2人という不思議で美しいデザインの音楽になった。和田がギタリストとして斎藤の歌をサポートすると、斎藤は「すげー贅沢!」と感謝の言葉を捧げたのだった。

セッションのハイライトは、次の「愛をとりもどせ!!」のカバーだった。アニメ『北斗の拳』(1984年)のオープニング曲で、オリジナルは日本のツインボーカル・バンドの最高峰“クリスタルキング”が歌っている。

斎藤と和田はこの曲に行く前に、アニメ・トークを展開。10歳の年齢差を笑いに変えてオーディエンスとの距離を縮める。「イベント史上初の、アニメ曲のカバーです。俺と林の世代の、漢気(おとこぎ)あふれるこの曲をやります!」と、和田は気合いを入れて演奏に臨んだ。結果は、もちろん大成功。ハイトーンボイスで知られるクリスタルキングらしいフレーズを、斎藤は見事に歌い切ったのだった。

「これを歌える奴はいないよ」と和田。

「ノドが引きちぎれそうでした」と斎藤。

「USGのセットリストに、この曲が加わるかも(笑)。楽しい時間はあっと言う間。USG、来てくれてありがとう。最後は僕らの曲を!」と和田が言って、ラストは「トランスフォーマー」。和田&斎藤のツイン・リードがカッコいい。“押しのUNISON SQUARE GARDEN”と、“引きもあるTRICERATOPS”の“DINOSAUR ROCK’NROLL”は、温かい両オーディエンスを熱くさせて終了したのだった。

文 / 平山雄一 撮影 / 山本倫子

セットリスト

UNISON SQUARE GARDEN
1.mix juiceのいうとおり
2.リニアブルーを聴きながら
3.きみのもとへ
4.ワールドワイド・スーパーガール
5.クロスハート1号線(advantage in a long time)
6.箱庭ロック・ショー
7.パンデミックサドンデス
8.シュガーソングとビターステップ
9.シャンデリア・ワルツ

TRICERATOPS
1.FUTURE FOLDER
2.I GO WILD
3.スターライト スターライト
4.HAPPY SADDY MOUNTAIN
5.僕らの⼀歩
6.GOING TO THE MOON
7.MIRROR
8.Raspberry

TRICERATOPS×UNISON SQUARE GARDEN
1.YESTERDAY ONCE MORE
2.クローバー
3.愛をとりもどせ!!
4.トランスフォーマー

ライブ情報

TRICERATOPS ”20TH ANNIVERSARY TOUR”

5⽉13⽇(⼟)  神奈川県 クラブチッタ川崎

5⽉20⽇(⼟)  福島県 郡⼭#9
5⽉26⽇(⾦)  ⼤阪府 ⼤阪BIGCAT
5⽉28⽇(⽇)  熊本県 熊本Django
6⽉3⽇(⼟)   埼⽟県 HEAVEN’S ROCKさいたま新都⼼
6⽉4⽇(⽇)   静岡県 浜松窓枠
6⽉10⽇(⼟)  千葉県 柏PALOOZA
6⽉17⽇(⼟)  北海道 札幌cube garden 一般券売日:4/8(土)
6⽉24⽇(⼟)  新潟県 新潟LOTS 一般券売日:4/8(土)
6⽉25⽇(⽇)  ⽯川県 ⾦沢EIGHT HALL 一般券売日:4/8(土)
7⽉2⽇(⽇)   宮城県 仙台Darwin 一般券売日:4/15(土)
7⽉8⽇(⼟)   広島県 広島クアトロ 一般券売日:4/22(土)
7⽉9⽇(⽇)   福岡県 福岡イムズホール 一般券売日:5/13(土)
7⽉17⽇(祝・⽉)  愛知県 名古屋club QUATTRO 一般券売日:4/22(土)
 【ツアーファイナル】
7⽉21⽇(⾦)  東京都 豊洲PIT 一般券売日:4/8(土)

チケット:オールスタンディング ¥4,950-(※就学児以上有料/会場により別途ドリンク代必要)
詳細はこちらhttp://triceratops.net/tour


日比谷野外音楽堂公演、決定‼
20TH ANNIVERSARY TOUR -AFTER PARTY-

7月23日(日) 日比谷野外音楽堂 ※ゲスト複数あり

チケット ¥4,950- 発売日:4/22(土)
https://www.red-hot.ne.jp/live/detail/28664

トライセラトップス

和田唱(Vo&G)、林幸治(B)、吉田佳史(Dr)により結成。1997 年、シングル「Raspberry」でメジャーデビュー。胸を締め付けるラヴソング、ロックの苦悩に刃向かうようなポジティブなリリック、そしてたった 3人で演奏しているとは思えないサウンドと、リフを基調とした楽曲は、 良質なメロディセンスとライブで培った演奏力により、唯一無二の存在感で新たな可能性を拡げ続けてい る。多くのミュージシャンにもリスペクトされている国内屈指の3ピース・ロックバンドである。また Vo&G の和田唱は、SMAP、藤井フミヤ、松たか子、Kis-My-Ft2、SCANDAL などへの作品提供も多数あり、ソン グライターとしても評価を集めている。来年 2017 年、メジャーデビュー 20 周年のアニバーサリーイヤーに突入する。

オフィシャルサイトhttp://triceratops.net


カーペンターズの作品はこちら

クリスタルキング「愛をとりもどせ!!」

UNISON SQUARE GARDENの作品はこちら

トライセラトップスの作品はこちら

vol.7
vol.8
vol.9

編集部のおすすめ