Interview

Maison book girl。1stアルバムで見せる無機質でエモーショナルな空想の世界

Maison book girl。1stアルバムで見せる無機質でエモーショナルな空想の世界

変拍子を得意とする現代音楽家のサクライケンタがプロデュースする4人組のニューエイジ・ポップ・ユニット“Maison book girl”がメジャー1stアルバムをリリース。過去の傷や罪、いつかの嘘でまみれた感情が、反復されるリズムの中で混在し、やがてクールでスタイリッシュな音に整頓され、笑顔は見せないが大粒の汗を流すライブのようなはっきりとしたエモーションで歌われていく——。10分に及ぶインストと、未来への希望を込めた青写真のようなポエトリーリーディングを含む11曲入りのアルバムのタイトルは「image」。無機質なようでいで、どうしようもなく人間的なブクガの音楽にどんな青写真を描き、どんな未来を見て、どんな希望を描くのか。聴き手の数だけ様々なイメージを見せてくれる素敵な空想の素を提供してくれる彼女たちの素顔を紹介。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 森崎純子


相変わらず、ダークファンタジーな感じで、Maison book girlっぽいです(矢川)

衣装が新しくなりましたね。

コショージメグミ いっぱい空いてるところがあるので、動きやすくて好きです。ただ、実際にライブで踊って見ると、右側だけ袖があるので、思ってたよりも熱いなっていう感じでしたけど、忍者みたいで気に入ってます。

和田倫 他のメンバーより緩めでどこも出てないんですけど、遮るものが何もないので、めっちゃ踊れるなって思います。

井上唯 みんなよりスカートの布が多くて。ダンスでまわったときに映えるなと思ってます。

矢川葵 新衣装は……すごく寒いです(笑)。一人だけ布が少なくて。まだ、慣れないです。ずっとそわそわします。

和田 寒そう。

井上 ずっと寒いって言ってるからちょっと可哀想になってくる。

矢川 とても嫌です(苦笑)。ライブをして、汗が引いたあとが極寒です。

コショージ よく震えてるね(笑)。

Maison book girl

(笑)そして、メジャーでは1枚目となるフルアルバムが完成しました。

矢川 相変わらず、ダークファンタジーな感じで、Maison book girlっぽいです。聴けばすぐに、「あ、サクライケンタの曲だな」ってわかるんじゃないかと思います。ただ、ちょっと今回は可愛らしいメロディの曲もあるのが楽しいし、何度聴いても飽きないですね。

井上 今回のアルバムにはインディーズの1st ep『summer continue』に入ってた「blue light」やライブBlu-ray&CD『Solitude HOTEL 2F』に先行収録していた「faithlessness」も入ってるし、ライブでやってる曲も多くて。でも、メジャーデビューシングル「river」のリード曲「cloudy irony」じゃなく、カップリングの「karma」が入ってるセレクトだったり、ブクガっぽさをより深く知ってもらえるアルバムなんじゃないかと思います。

和田 ひと癖ある曲がいっぱいあるので、音源でぜひ聴き込んで欲しいなと思います。

コショージ 今回、初めて、アルバムの真ん中に完全インストの曲が入っていて。それは今までなかったことだし、他のアーティストのアルバムでもあまりないと思うので、音楽が好きな方に聞いてもらって、あれ、ちょっと普通とは違うかもしれないって思ってもらえたら嬉しいなと思います。

メンバーそれぞれが個人的に好きな曲を教えてもらえますか?

コショージ 私は1曲目の「ending」が好きです。最後にドアをガチャって回した音で終わるインストなんですけど、その時の聞いてる心境や状況によって、いろんな聞こえ方がするなって思って。ドアを開けて出て行ったのか、ドアを開けて入ってきたのか。それとも、ドアを閉めたのか……。私個人としては、ライブのSEで使ってる曲でもあるので、聴くと気合が入るんですよ。だから、「ending」っていう曲名だけど、これからライブが始まるんだっていう意識になる曲になってますね。

Maison book girl コショージメグミ

コショージメグミ

和田 私は「townscape」です。サビのリズムを聞いた時に、自分で噛み砕くまでにすごい時間がかかったんですよ。超いっぱい聴いたんですけど、1回、腑に落ちてしまうと二度と耳から離れなくなる曲なんです。わかりづらいかもしれないんですけど、スルメ系の曲なので、腑に落ちるまでいっぱい聞いて欲しいなって思います。

井上 めちゃめちゃ練習したよね。私は、この中では「veranda」が一番ポップでわかりやすくて好きです。アルバム用の新曲の中では最初にできた曲なので、もうライブでも何回かやってるんですけど、お客さんも盛り上がってくれてるなって思います。

Maison book girl 井上唯

井上唯

「vernda」の歌詞はどう捉えました?

井上 幸せを歌ってる系かなって思ってたら、ボイトレの先生に、「その歌い方は、小学生が思ってる、お花屋さんになりたいとか、お嫁さんになりたいっていう種類の幸せよ! もっと現実の幸せをわかるでしょ」って言われて。苦しさを知った上で、いつも幸せになるのを怖がってる系だなと思いました。

では、みなさんが今、一番幸せを感じる瞬間は?

井上 ご飯を食べてる時。今はチョコレートにはまっているので、チョコレートを食べている時が幸せです。

矢川 私もご飯を食べてる時です。なんでもいいです。とにかく、美味しいって思えるものが食べれたら幸せです。

コショージ 私は週1のラジオを聴く時ですかね。欅坂46が金曜日の24:20からやってるラジオを生で聴けた時は幸せを感じます。

和田 いろいろあるんですけど、一番最近の幸せは(笑)、清竜人25の新曲のMVをみた時です。多幸感がやばいんですよ。涙が出るほどで。電波ソングを聞いてる時は幸せのやつ(セロトニン)が出ます。

Maison book girl 和田倫

和田倫

ありがとうございます。では、葵さんのお気に入りは?

矢川 今までの取材では「end of Summer Dream」って言ってたんですけど、フリが全部ついて、あんまり好きじゃなくなっちゃって(苦笑)。今は「screen」が好きです。

井上 「screen」もまだフリがついてないから、ついたら嫌いになっちゃうんじゃないの?

矢川 まだわからないけど(笑)。「end of Summer Dream」はイントロからメロディが可愛くて。「やっとブクガに可愛いのがきた!」と思って、嬉しくて。振りも、女の子が路地裏でスキップしてるイメージが浮かんでたのに、全然違くなっちゃって……。

コショージ ダンスメインの曲になったんだよね。葵はダンスが苦手だから。

矢川 苦手だし、思っていたのと違ってたの。

コショージ ブクガの曲の中でも一番、バリバリ踊る曲になっちゃったからね。ほとんどヒップホップのダンスになってる。

和田 だから、やになっちゃんだ(笑)。

井上 そっか、あれ、そんなに気に入ってなかったんだ(笑)。

矢川 今からでも変えて欲しいくらい(笑)。でも、1箇所だけスキップできそうな場所があるので、いつかチャレンジしてみたいと思います。だから、今は「screen」が一番好きです。Bメロの音の雰囲気が好きだし、<許せないの>の歌い方をサクライさんに、「流れるように歌って」って言われて。何回も何回も撮り直したんですけど、最終的にサクライさんからOKが出たときにすごく嬉しかったのを覚えてます。

Maison book girl 矢川葵

矢川葵

ちょっと食い気味で歌い継いでいく曲になってますよね。

和田 歌詞割りが変わってて。

コショージ もともと一人で歌うところになってたんですけど、それが二人になったりしてて。これ、実は難しかったよね。

和田 録る時にみんな苦労したんですよ。サクライさんに「みんな、練習不足や」って怒られたんですけど、すごい難しいんですよ。

矢川 いつも通りに練習したのにできなくて。

井上 この中では「townscape」が史上最強にむずいって思ってたけど、「end of Summer Dream」だったよね。

コショージ そう! 隠れモンスター。

井上 裏ボスだったよね。むずかった。

過去にあった1つの出来事に対していろんな思い出し方をしてるというか(和田)

いろんな曲がありますけど、アルバム全体を通して聴くと、1つの部屋が思い浮かびますよね。青いカーテンが引いてあって、赤いソファーベッドがあり、白い天井とベランダがある暗い部屋っていう。

和田 曲が違ってても、世界観は一致してたりしますね。自分で自分を切ってみたり、錠剤を飲んで煙吐いてみたり、ベッドにこもってみたり。過去にあった1つの出来事に対していろんな思い出し方をしてるというか、以前にあったことを自分の中で反芻して、反省して、辛くなるっていうことの繰り返しのように思えます。

コショージ ただ、ちょっとずつ外には出始めてるんですよね、部屋から。

井上 いままでヒッキーだったからね。

コショージ ベッドとバスルームしか行ってなかったんですけど、ベランダや屋上に出てて。少し前に進んだのかなって思いますね。

「ending」から始まって「opening」で終わる構成に関してどう思います?

コショージ このアルバムは別れから始まって、出会って、別れてというのを繰り返してて。冒頭は「ending」というタイトルのインスト曲で、「sin morning」で新しい朝が来て、次はまた「end of Summer dream」と“end”になってて。終わりと始まりをずっと繰り返すというテーマを歌ってるのかなと思います。

井上 どっちにも進行形の“ing”がついているので、何事にも終わりと始まりがあるというか、始まったものの中に同時に終わりがあって、終わりの中にも常に始まりがあるっていうことなのかなと思いました。

和田 「townscape」という曲の中に<青い鳥は裂けて、闇が助ける>って歌詞があるんですけど、闇とか終わりとか、マイナスっぽいイメージの言葉でも、救いになり得たり、始まりになり得たりするっていうことが言いたいのかなって思います。

矢川 私はひと通り聞いた後に、次の作品につながるのかなって思いました。次も期待できそうな感じがするなって。

今までも、私は「希望」を描いてきたつもりだったんですけど、もっとわかりやすい希望を欲しているんだなと思って(コショージ)

最後の「opening」はコショージさん作のポエトリーリーディングになってます。

コショージ テーマは「希望」ですね。今までも、私は「希望」を描いてきたつもりだったんですけど、もっとわかりやすい希望を欲しているんだなと思って。めっちゃ考えましたね。

和田 レコーディングした後に、みんなで「いい話だね」ってなったんですよ。メンバー的にもお気に入りです。

井上 サクライさんの曲ともいい感じに合ってるし、1つの小説を読んだあとくらいの読後感がありました。

矢川 もらってすぐに、読み込まずに録ったので、4人でレコーディングしながら感動して。お話自体はすごい珍しい話をしてるわけじゃないけど、みんなも一度はこういう、ちょっと切ない希望を感じたことがあるんじゃないかなと思うし、心臓のいい一点をツンってやられた感じがしましたね。

ブクガの曲は聞き手がどう受け取るかで聞こえ方が変わってくると思っているので(井上)

いろんな想像が膨らむ1枚になったと思いますが、リスナーにはどう届けたいですか?

コショージ 4月だし、春のぽかぽかな、お外を歩いているときとかに聴いてもらえたらいい感じになるんじゃないかと思います。

矢川 「faithlessness」のMVを公開したときに、「ブクガが気になる」って言ってくださる方が増えたなと思ったので、今、気になり始めた人によりブクガを知ってもらえる1枚になるといいなと思ってます。ぜひ、いろんな方に聴いて欲しいです。

井上 今日、歌詞についても話したんですけど、基本、ブクガの曲は聞き手がどう受け取るかで聞こえ方が変わってくると思っているので、年齢や性別を関係なく、いろんな人に聞いてもらえたらいいなと思います。

和田 明確に起承転結がある曲がないのは、その人の「イメージ」で聞いてもらえる余地を残したいっていう意図があるんじゃないかと思います。それに、ブクガの曲は音源で聴くのとライブで聴くのはギャップがあると思うんですよ。「faithlessness」の歌詞は暗いけど、ライブではぴょこぴょこ飛んでたりして。ライブを先に見るか、音源を先に聴くかでもイメージは変わってくると思うんですけど、音源は一人で体育座りして、じっくり聞いてもらいたいです。ライブで盛り上がってる時には見逃してしまうような小さいところにも気づいてほしいです。

Maison book girl
その他のMaison book girlの作品はこちらへ

ライブ情報

Maison book girl 「major 1st album『image』release tour 2017」

4月15日(土) 名古屋 ell.FITS ALL
4月23日(日) 福岡 DRUM SON
4月29日(土) 札幌 DUCE
5月4日(木・祝) 大阪 AMERICA-MURA FANJ-TWICE
●major 1st album『image』release tour 2017 final
「Solitude HOTEL 3F」
5月9日(火) 東京 赤坂BLITZ

ライブ・イベントスケジュールhttp://www.maisonbookgirl.com/schedule.html

Maison book girl(メゾンブックガール)

2014年11月デビュー。メンバーは、矢川葵、井上唯、和田輪、コショージメグミ。
音楽家・サクライケンタが楽曲制作、総合プロデュースを行い、音楽のみならず、映画出演、ファッションブランドとのコラボレーションなど多岐にわたって活動を展開。
2015年8月にはTIF、@JAM EXPO2015、9月には夏の魔物への出演を経て、9月23日に初の全国流通作品となる1stアルバム『bath room』を発表、アイドルファンのみならず、幅広い音楽ファンから高い評価と支持を得る。
11月23日には初のワンマンライブとなる『solitude hotel 1F』を渋谷WOMBで開催。チケットはSOLD OUTとなった。
12月にはアメリカのオルタナティブロック・バンド『RINGO DEATHSTARR』の東名阪公演にサポートアクトとして出演。
2016年3月には1st EP「summer continue」をリリース。「アイドル」という枠組みだけに留まらず、様々なフィールドでの活動を予定している。
サクライケンタ独自の世界観と四人四色な個性を放つメンバーの化学反応に今後も期待のアーティスト。

オフィシャルサイトhttp://www.maisonbookgirl.com/