Interview

声優アーティスト・小松未可子 約3年ぶりのアルバムで踏み出したシンガーとしての新しい旅

声優アーティスト・小松未可子 約3年ぶりのアルバムで踏み出したシンガーとしての新しい旅

人気声優アーティストの小松未可子のシンガーとしての新しい旅がスタートした。昨年9月にトイズファクトリーに所属し、畑 亜貴、田代智一、黒須克彦、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)からなるプロデュースチーム・Q-MHz(キューメガヘルツ)のプロデュースによるシングル「Imagine day, Imagine life!」をリリース。新しい音楽仲間と出会った彼女は、バースデーライブや自主企画2マンライブを開催するなど、音楽活動を活発化させている。そんな中で制作されたニューアルバム『Blooming Maps』には、彼女の音楽に対する新たな決意と挑戦が込められているよう。地図を広げた彼女の視線の先にあるのは——。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 森崎純子


自分が一番フラットで楽でいられる状態、自然な面を出したいなと考えたんです

オリジナルアルバムとしては前作から実に3年ぶりのリリースとなります。ご自身の音楽活動についてはどう考えてましたか?

今作の制作は、改めて自分と向き合うことから始めたような感覚がありますね。乗り越えなくちゃいけない課題みたいなものがあるなと感じていました。

その課題というのは?

これまでいろいろと活動させてはいただいていたんですが、近年ですと、ワンマンライブは年に1回ぐらいしか行っていなかったので、自分の中でライブは特別な機会という感覚がありました。歌う場が少なかったなと思ったんです。もう一度、ステージ上でどう歌おうか、どうパフォーマンスしていこうか、ちゃんと向き合わないといけないなって。それに伴って、等身大の私を歌うような楽曲が増えたので、自分自身をどう表現するかが一番の課題になるとも思いました。今まではアニメ作品のキャラクターやテーマを背負っていくことが多かったけれど、そこを取り払ったときに、どうしたらいいんだっけ?と戸惑う気持ちもありました。なので、原点に立ち返ったような気持ちでしたね。

等身大の自分をさらけ出していくことに抵抗はなかったですか?

そうですね。そもそも、私ってどういう人間だったっけ?と思うこともありました。周りが見ている私のイメージもあるし、ステージに上がった時も、構えてしまったり、カッコつけようとしたり、ちゃんとしなきゃと考えてしまうこともあります。そういう外向きの自分を取り払って、自分が一番フラットで楽でいられる状態、自然な面を出したいなと考えたんです。ただ、意外とその取り外していく作業が難しかったですね。自分ぽいってなんだろうな、と考え直す機会にもなりました。

これまでのアルバムとは違う作り方をしてるんですね。

今までは作品に寄り添った楽曲がメインだったので、テーマを先に決めることが多かったのですが、今回は最初に自分を探す、掘り下げていく作業のほうが大きかったなと思います。その中でQ-MHzさんからみた私と、私が思う私、双方のイメージを共有しながら作っていきました。

では、ニューアルバムの中でもっとも素に近い、等身大の曲をあげるとすると。

4曲目の『ランダムメトロノーム』です。

作詞も共作されてますね。

Q-MHzさんからデモをいただいた時に、自分の中で書きたいテーマがあるので、一緒に作ってもいいですか?とお願いして。自分の感覚にすっと馴染んでいくような楽曲だったので、そこに自分の日常の言葉を当てはめていくことから始めました。歌入れも開放的でリラックスした雰囲気の中で、優しく軽く歌えたかなって思っています。

タイトルになっている“メトロノーム”がテーマになってますよね。

はい。曲を初めて聞いた時に、自分が歩いている感じが思い浮かんだんです。人間って、ずっと同じテンポで歩いているつもりでも、ときどきどうしても違うテンポやリズムを重ねて歩いているものだとも思って。ただ、私が最初に書いて提出した歌詞は暗めだったんです。自分としては最後は前向きになれるように書いたつもりだったんですが、言葉の節々に若干悲しさが漂っているとご指摘いただいて(笑)、そこを畑さんや皆さんが、前向きにポジティブに変えてくれました。

アルバム全体としてとても前向きになってますよね。この曲でも“未来図”を見てますし。

私はもともと前向きすぎない、心のうちを吐き出したような歌詞や曲が好きだったんです。でも今回は吐き出すのではなく、作り出してみるとどうなるんだろうと思い立ちまして。ある意味、自分にとってのチャレンジにもなりました。

アルバムのリード曲「HEARTRAIL」も先へ先へ進もうという勢いがあります。

そうなんです。でも、置いていかれるようなことは全くなくて。自分の中では、テンポが速くて明るい曲には置いていかれちゃうイメージがあって、若干、苦手なのかなと勝手に思っていたんです。ところが『HEARTRAIL』はむしろ、自分から食らいついていく勢いで自然に曲の中に入っていけて。新しい発見がありました。

それが今の気持ちとマッチしてる?

走り出そうというよりは、とにかく無理なく進みたいなという感じでしょうか。でも、ちょっと小走りして先が見てみたいという感覚というか。リリースする季節もスタートにぴったりですが、ここを越えるとどうなるだろうかとワクワクしているんです。アルバムを引っさげたライブも含めて、CD以外で皆さんに曲をお届けする機会を“もう一歩先”として踏み込んでいけることを楽しみにしています。

この曲には<リスタート>っていうフレーズもあります。新しい出発の感覚もありますか?

新しくもあるんですが、積み重ねてきたものがあったからこそ、ここにたどり着けたというニュアンスのほうが近いです。新しい曲に出会う時は、いつも新たな一歩という感覚があるので、毎回がチャレンジだとも思っています。

“新しい”という言葉が、裏テーマの1つでもありました

それにしても、このアルバムの中には<新しい>を意味する言葉が多いですよね。

はい。例えば、私が『こういう曲をやってみたいんです』って言ったとお伝えした時に、『実は僕たちもこういう曲を作るのは初めてです』とお返事をいただくことがあって。そういう意味では、“新しい”という言葉が、裏テーマの1つでもありました。これまでの延長線上ではありつつも、新たな試みもしたアルバムだと思います。

オープニングナンバー「また、はじまりの地図」はその言葉通り、“また”でこれまでの延長線上だということを示しつつも、新しい地図を得た旅立ちを果たしてます。

この曲は、昨年の9月にリリースした1stシングル『Imagine day, Imagine life!』とつながる曲だと教えていただいて。あの曲があったことで生まれた曲なんですが、私が何も言わずともやりたかった曲のイメージと合致していて、私とQ-MHzさんで握手したような曲だなと思ったんです。私は歌ってみるとことで、Q-MHzさんは作ってみることで、次につながった曲になった。TVアニメで言えば、第0話。一番初めに『さぁ、旅が始まるぞ』と宣言する、目次みたいなイメージです。このアルバムに限らず、ここから続いていく活動においての目次にあたる歌詞、この先に続く1曲目になったんじゃないかと思います。

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