Interview

MIYAVIが、世界を相手にギターで挑み続けて掴んだ未来像

MIYAVIが、世界を相手にギターで挑み続けて掴んだ未来像

ピックを使わずに全て指でギター弾くという独自のスラップ奏法で世界中から注目されているギタリストであり、シンガーソングライターのMIYAVI。これまでに約30カ国300公演以上のライブと共に4度のワールドツアーを成功させている彼が15周年を飾るベストアルバム『ALL TIME BEST “DAY 2”』を発表。現在、5度目のワールドツアー中であり、アジア大陸でのライブが終わって帰国したばかりの彼に、15年間の軌跡をインタビューした。

取材・文 / 井桁 学 撮影 / キセキミチコ


デビュー15周年のベストアルバムの構想はどんなものでしたか?

個人的には過去を振り返っている暇もあまりないので、アニバーサリー的なことには興味がないんですけど、オールタイムベストを出すうえで、過去を掘り下げるためにインディーズの曲を入れたいと。さらに、ただのカタログ的なベストにするのではなく、旧曲をリアレンジして新録して、あとは新曲、映画『無限の住人』に書き下ろした楽曲を入れさせてもらって。過去と未来をつなげられる作品ができたと思いました。

現在の演奏スタイルを確立した2010年から現在の活動までの『DISC 1 -Day1-』から振り返りたいと思います。まずは2010年のアルバム『What’s My Name?』。ドラマーのBOBOさんとエレアコのテイラーT-5を弾くMIYAVIさんの2人だけの演奏で、セッション的なアンサンブルが聴ける名盤です。

この頃はパッションしかなかったです。ギターの概念を全部ひっくり返して、全部ぶっ壊して新しいスタイルを創るという気持ちでやっていましたね。特に自分で事務所を設立したころだったので、ノロシを上げるという意味合いも込めて作りました。やっぱりBOBOくんと出逢えて、ライブパフォーマンスの扉が1つ開いた感じがしました。

このアルバムで、現在のギタースタイルとなっているピックを使わずに指だけでギターを演奏するスラップ奏法が確立されました。

このアイディアは三味線からですね。上妻宏光さん(津軽三味線奏者)や鶴澤清治さん(人間国宝・文楽太棹三味線奏者)をよく聴いていて、DVDも見ていました。素晴らしいギタリストはくさるほどいる中で、ソロアーティストとしてアジア人の自分がギターという西洋の楽器を弾いて、西洋の文化であるロックをやる意味。他のギタリストと同じことをやっても意味がないので、そこに三味線からのヒントを得て、スラップをし始めました。

当時のインタビューではベーシストのスラップ奏法やギタリストのタッピング奏法からもアイディアを得たとおっしゃっていました。

弦をはじくというテクニックとしては、ベースプレイヤーですね。ラリー・グラハム、ルイス・ジョンソン、マーカス・ミラー。ギタリストではラウル・ミドンやマイケル・ヘッジス、プレストン・リード、カーキ・キングとか。でもそこと同じ事をやっても仕方がないので、日本人としてギターを弾く上で三味線の演奏は永遠のテーマですね。三味線はギターよりもっと本能に近くて、ある意味原始的なんですよ。

2人だけのセッションスタイルから変化するのが、さまざまなアーティストと“対戦”する2012年のコラボレーションアルバム『SAMURAI SESSIONS Vol.1』。YUNSEKさんとの曲「Day1」が次のアルバム『MIYAVI』への布石に感じます。

YUNSEKとの曲はそうですね。HIFANAとやった「GANRYU」もそうですし。その時に多重録音をし始めた時期でしたね。打ち込みをやってミニマルなものに1度戻って、そこから肉付けしていきましたね。

その後、日本のグループTHE LOWBROWSにプログラミングを託した時期もあり、ロンドンレコーディングの世界デビューとなった2013年のアルバム『MIYAVI』を発表。MIYAVIさんとBOBOさんのアンサンブルが軸となりながらもプログラミングが導入されてEDM色も強くなっていきます。

THE LOWBROWSはアルバムの前のシングル「Ahead Of The Light」の時期からですね。その頃は実際にEDMというものに意識も強くなって。そこに対してある種悔しさもあったんでしょうね。ジャンルで分けられたくなかったので、ギタリストとしてどういうアプローチができるのか、自分なりに全部吸収していこうと思いましたね。

そして、2014年のシングル「Real?」では、ジャム&ルイスがプロデュースしています。

ジャネット・ジャクソンの『RHYTHM NATION 1814』を作ったジャム&ルイスのテリー(・ルイス)が、マイケル・ジャクソンが言っていた言葉として“Melody is the KING”って言う訳ですよ。メロディこそが王様だと。そこで、ギタリストとして、ギターで歌いたい衝動がだんだん芽生えてきて。そこからアメリカに移住してアメリカの人たちと音楽をやり始めました。

そして、次の2015年のアルバム『The Others』ではプロデューサーにグラミー受賞チームのドリュー&シャノンを迎え、全編ナシュビルとロサンゼルスで制作。今まで使っていたギターもエレアコからエレキギターに変わります。

ナッシュビルに行ってドリュー&シャノンと一緒にレコーディングをし始めたんですけど。そのときに、ロバート・ランドルフというギタリストとセッションして。彼がスタジオに来てVOXアンプに繋いで出した音の強さが強烈で、これは負けてられないなっていうことで、ナッシュビルの全部の楽器店に行ってエレキを探しましたね。結果、ロサンゼルスのLSL INSTRUMENTSでテレキャスタータイプのカスタムギター作ってもらって弾きました。そしたらフェンダーから電話かかってきて、試しに使ってみたら良くて『Fire Bird』ではフェンダーカスタムショップ製のテレキャスターをカスタムして使ったんです。テレキャスターに他社のアームを付けたのは初めてだと思いますね。

そして2016年のアルバム『Fire Bird』です。

多くのクリエイター達とライティングセッションしてこのアルバムは作っていったのですが、世界中の人たちが踊っている音楽、かつキッズも聴ける音楽というビジョンで制作しました。よりギターで歌いたいと思って作ったアルバムです。

そして、5曲が新録されています。

これからのDay2、Day3を感じられるものにしたくて、過去の楽曲をリアレンジしました。今ステージでやるような楽曲を中心に新録して、この15年の振り幅を感じると同時に、これからの15年をイメージできるようなものにしたかったですね。

新録した5曲のギターサウンドは、よりノイズのような歪んだ音とシンセのような機械的なギターサウンドです。専門的にいうならばファズとワーミーペダルというエフェクターを駆使した攻撃的なサウンドが強くなっているように感じます。

ギターを弾くときに俗に言うギターの音である必要はなくて。そんな音ではもうワクワクしないんですよ。俺は人をワクワクさせたりドキドキさせるために、ギターを弾いていて。そのギターで歌ったり叫んだりするためそういうサウンドやプレイにしているんですよ。今、次の作品に向けて、さらに新たなサウンドにも挑戦しているんです。

続いて、『DISC 2 -Day0-』です。ソロアーティストとして歩み出したて現在のスタイルを確立するまでの時期の作品です。当時は宅録アーティストとして活動されていました。ラウドなロックもありますが、ポップな曲も多いですね。

このころは、スタイルがどうこうなかったですね。自由に打ち込んで、自由に言いたいこと言って。実は作品にはなってないけど、このころからスラップしていたんですよね。それで、キャラが強かったんで、MIYAVIというものを超える楽曲を作ろうというプロジェクトが始まって。「結婚式の唄」とかポップソングをやってみようと。

一方、「We Love You」や「Selfish love」はギターとパーカッションだけのスタイル。現在のスタイルの布石でもあったと。

渡米してストリートパフォーマー見て、自分もやってみたいと思ってやりはじめたころですね。カホーンと足にタンバリン付けて足でキックして演奏していた時期ですね。最初にスラップしたのは「Selfish love-愛してくれ、愛してるから-」かな。

「素晴らしきかな、この世界」は、海外を視野へ向けたソングライティングに感じます。

やっぱり、海外に行って変わりましたね。そして、その時からワールドツアーをし始めました。その前までポップソングをやったりしていて人気あったんですよ。ただその人気って限られたものなんですよね。小さなキングダムを作るという意味ではすごく素晴らしいのだけれども、果たしてそれでいいのかなと自問自答して。オリコン1位をとって喜んでいても、そのオリコン1位はビルボードでは何位なんだっていう。メインストリームを目指したいと意識し始めて、海外に行きましたね。そうして、すべてをそぎ落としてリセットしたんです。レコード会社も移籍して、もう1回根本に戻ろうぜって。そこから“Day1”へのスタートとなるわけです。

そして最新作である「Live to Die Another Day—存在証明-」は、木村拓哉さん主演の映画『無限の住人』の主題歌です。

SMAPさんに何度か楽曲提供したことがあって、木村さんとも交流がある中でお話をもらって。彼が1人再出発する門出だと思うので、侍映画ですけど、刀の代わりにギターで戦わせてもらったという感じです。僕はこの映画を見て、「お前、本気で生きてんのか? 毎日ちゃんと生きてっか?」っていうことがメッセージと感じて。自分が信じたモノに対して本気で生きて死んでいく、その激しさやパッション。サビの大きなメロディとイントロのギターのリフが映画を観ていて浮かんできて、それをうまく料理してみました。強さがあるがゆえの包容力を楽曲の中に共存させていけるように意識しましたね。

15周年の2017年。この先の15年でMIYAVIさんが目指すモノは?

ギターで歌いたいということと、新しい時代のビートを作ること。そのビートで自分自身踊りたいですし。人は踊って歌いたいんですよね。元々音楽はパーティーのためのものが、それがどんどんどんどん難しい方向になっていく。コードもテンションノートとか入って複雑になる。ファンダメンタルなものが1つ生まれたら、その進化する先はだんだん複雑になるだけなんですよね。それはジャズやヒップホップ、ロックもそうなんです。もっともっと昔はシンプルだった。ナッシュビルでの音楽制作でシンプルなコードをしっかりと鳴らすことの重要さを学んだことで、よりシンプルかつ強い音楽を作っていきたいと思っています。

ワールドツアーは、現在、アメリカ大陸。アメリカ各地で12公演とカナダ2公演。その後はヨーロッパ大陸へ移動し、オーストリア、ハンガリー、イタリア、ドイツ、フランス、イギリスへと世界を駆け巡るMIYAVI。そして5月21日から『MIYAVI Anniversary Live“NEO TOKYO 15”』と題した待望のジャパンツアーが始まる。今回のツアーは15組のアーティストとの対バンライブ。このツアーでは、未来へとただただ邁進するMIYAVIが創り出すビートとメロディで、日々進化しているパフォーマンスが見られるはず。ワールドワイドに活躍する彼の5年後、10年後、そして15年先の未来は、ワクワクとドキドキでいっぱいだ。

ライブ情報

MIYAVI World Tour 2017 “Fire Bird”
4/1(土)Vancouver(Canada)
4/4(火)Seattle(USA)
4/6(木)San Francisco(USA)

4/7(金)Anaheim(USA)
4/9(日)Los Angeles(USA)
4/11(火)San Diego(USA)
4/14(金)Dallas(USA)
4/15(土)Houston(USA)
4/18(火)Atlanta(USA)
4/21(金)Philadelphia(USA)
4/22(土)Boston(USA)
4/23(日)New York(USA)
4/25(火)Chicago(USA)
4/26(水)Toronto(Canada)
4/28(金)Vienna(Austria)
4/29(土)Budapest(Hungary)
5/1(月)Munich(Germany)
5/2(火)Milan(Italy)
5/4(木)Cologne(Germany)
5/5(金)Paris(France)
5/7(日)London(UK)
5/9(火)Hamburg(Germany)
5/10(水)Berlin(Germany)

MIYAVI 15th Anniversary Live “NEO TOKYO 15”
5/21(日)赤坂BLITZ(GUEST:THE ORAL CIGARETTES)
5/25(木)代官山UNIT(GUEST:GLIM SPANKY)
5/26(金)Zepp DiverCity(GUEST:ゆるめるモ!)

5/28(日)下北沢GARDEN(GUEST:LOCAL CONNECT)
6/6(火)赤坂BLITZ(GUEST:金子ノブアキ)
6/10(土)duo MUSIC EXCHANGE(GUEST:coldrain)
6/11(日)LIQUIDROOM(GUEST:04 Limited Sazabys、魔法少女になり隊)
6/12(月)LIQUIDROOM(GUEST:SiM)
6/15(木)TSUTAYA O-EAST(GUEST:Crossfaith)
6/21(水)clubasia(GUEST:Crystal Lake)
6/22(木)TSUTAYA O-WEST(GUEST:OKAMOTO’S)
6/24(土)渋谷WWW(GUEST:Charisma.com)
6/25(日)渋谷WWW X(GUEST:ちゃんみな)
6/27(火)渋谷CLUB QUATTRO(GUEST:ACIDMAN)
6/29(木)新木場STUDIO COAST(GUEST:三浦大知)

MIYAVI

アーティスト / ギタリスト。
エレクトリックギターをピックを使わずに全て指で弾くという独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに約30カ国300公演以上のライブと共に、5度のワールドツアーを成功させている。
2015年にグラミー受賞チーム“ドリュー&シャノン”をプロデューサーに迎え全編ナッシュビルとL.A.でレコーディングされたアルバム『The Others』をリリース。2016年に8月にはLenny Skolnikをプロデューサーに迎え『Fire Bird』をリリース。
また、アンジェリーナ・ジョリー監督映画「Unbroken」(2016年2⽉ 日本公開)では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、映画『Mission: Impossible ‒Rogue Nation』日本版テーマソングのアレンジ制作、SMAPへの楽曲提供をはじめ様々なアーティスト作品へ参加するなど、国内外のアーティスト/クリエイターから高い評価を受けている。
常に世界に向けて挑戦を続ける“サムライ・ギタリスト”であり、ワールドワイドに活躍する今後最も期待のおける日本人アーティストの一人である。
オフィシャルサイトhttp://myv382tokyo.com/

映画『無限の住人』

2017年4月29日(土・祝)全国ロードショー

不死身の用心棒。その命、何のために使う?
1 VS 300見渡す限り全員敵!GW必見、“ぶった斬り”エンタテイメント!! 原作「無限の住人」(沙村広明著)は、「月刊アフタヌーン」(講談社刊)で連載され、その圧倒的な画力と斬新な殺陣描写により話題を呼ぶカリスマコミック。死にたくても死ねない<無限の命>を持つ伝説の人斬り・万次は、ある事をきっかけに、親を殺され復讐を誓う少女(杉咲花)の用心棒を引き受けることに。だがそれは、不死身の万次をも追い込む予想外の戦いの始まりだった――。最強の敵陣を演じるのは、福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、市川海老蔵、といった日本を代表する実力派俳優たち。世界へ向けて放つ、 “ぶった斬り”エンタテイメントが誕生!

出演:木村拓哉
杉咲花 福士蒼汰
市原隼人 戸田恵梨香 北村一輝
栗山千明 満島真之介 金子賢 山本陽子
市川海老蔵 田中泯 / 山﨑努
原作:沙村広明( 講談社「アフタヌーン」所載 )
監督:三池崇史
脚本:大石哲也
音楽:遠藤浩二
主題歌:MIYAVI「Live to Die Another Day -存在証明-」(UNIVERSAL MUSIC)
オフィシャルサイトwww.mugen-movie.jp
©沙村広明/講談社 ©2017 映画「無限の住人」製作委員会

原作コミック

無限の住人 1巻
沙村広明 (著)
講談社
アフタヌーンKC